中深層遊泳魚
/生物12

「生きた化石」と呼ばれ太古の昔から生き抜いてきている生命力の強い生き物…という印象がイマイチありません。全然すばしっこくなく南太平洋の水深五百Mくらいまでの深さをヘコヘコ漂っているし、鋭い牙があるわけでもなく約九十本の吸盤のない触手をゆらゆらさせて獲物をからめとっています。レンズのないピンホールの眼で何が見えているのか、殻の中身はいくつかの部屋に仕切られていますが詰まっているのは体液ではなくガスなのであまり深いところに行くとつぶれてしまいます。つぶした餅を巻いたようなシンプル構造の漏斗の向きを変えながら進行方向をコントロールしています。イカやタコと同じ頭足類に属しますが相違点も多いので独立したオウムガイ亜綱が設けられています。これでも先祖はアンモナイトより古く四億〜五億年前のオルドビス紀からシルル紀にかけて繁栄したチョッカクガイにまでさかのぼります。当時の殻は今のように巻いてはおらずシュッとまっすぐに伸びていました。驚くべきはその大きさでカメロケラス(Cameroceras sp.)という種類は十M級で三葉虫なんかをバリバリ食べてた海の覇者だったそうです。現存するのは数種類、和名はオウムの嘴(くちばし)に似ているから、英名はノーチラスと言います。オオベソ-はおそらく殻の中心がヘソのようにまるくくぼんでいるところからの命名でしょう。いずれにせよこのマイペースが子々孫々まで生き延びる秘訣なのです。
1.Nautilus pompilius
 オウムガイ
 20p

2.Nautilus macromphalus
 オオベソオウムガイ
 15p












チョッカクガイ