同居人シリーズ
第三話B ◆同居人のハイスクール・パニック(後)
「オレの名前がそんなにおかしいかよ!」――
記念すべき高校入学式の当日、ふとしたことで我が家の同居人の一人
――藤島葵は、とんでもない騒動を起こしてしまった。先生が間に入っ
ても事情を話そうとしない葵ちゃんは、今まさに式にすら出席できなく
なりそうな状態にある。また、それを半ば受け入れるつもりの本人を前
に、私、結城りのと、同じく同居人の牧原樹、久遠寺参の3人はどうす
ることもできず、ただ気をもむばかりだったのだ。
やっぱりここは葵ちゃんに恨まれるのを覚悟で、訳をすべて先生に話
すしかない。
まだ恐怖が胸をよぎる中、私と樹の二人はいよいよそう決意した。そ
して…!
「…はっきり教えてやればいいだろ。」
それは樹が大きく一歩踏み出した瞬間だったので、私はこの勘違いを
正すのにしばらく時間を要した。樹の声ではなかったのだ。びくっと身
を震わせた葵ちゃんが、動揺の面持ちで声の主を探す。
「許せないことなら今、はっきりさせといた方が良い。」
落ち着いた低音の声…。深く椅子に腰かけたまま、頭をわずかにこち
らへ向けて話す彼は、私たちのすぐ一つ前の列の人だった。樹があんな