- 422 :運命の兄妹 1話:2006/01/19(木) 13:45:26 ID:???
- 1・マユ・アスカ
私の名前はマユ・アスカ。逆から読むとカスア・ユマ。
なんとなく名前になっているようで、なってない。微妙。
これでもザフトアカデミーのエリートの証である赤服を着ることが許されている。
前から思ってるんだけど『赤服』てPCで変換したら、『赤福』になる。オーブではよく食べてた。
ちなみに東アジア共和国の中の日本とかいう場所が発祥の地らしい。だからどうした。
・・・少し混乱気味らしい。さっきルナ姉と歩いていたら、いきなり一人の男とぶつかって胸を触られた。
そいつが不届きにも謝りもせずさっさと行こうとしていたので、一緒にいたルナ姉が怒り狂って、猛抗議していた。
ルナ姉とは、私の同期でザフトの赤服、ルナマリア・ホークのことだ。
さばけた性格で面倒見がよく、アカデミーで私の面倒をよくみてくれた。ルナ姉には本当に感謝している。
容姿端麗でスタイルも抜群。なのに、彼氏がなかなかできないのはなぜだろうか?
一度、しっかりもの同士、レイ兄ちゃんとなら上手くいくんじゃないかと思って、
どう? と言ったら『マユはまだお子ちゃまねえ』と言われて頭をなでられてしまった。
男女の仲というのは、私にとっては未知の領域。アウターゾーンというやつだ。古い。しかも多分違う。
まあ正直、一度彼氏ができると、その男以外目に入らない時期があるらしいので、
ルナ姉が男と付き合うことになんかならなくて良かったとも思うのだが、これは内緒。
話がそれてしまった。・・・何の話だったっけ? ああそうそう、ぶつかってきた男の話だ。
そいつは、私達の抗議に。
『そう言えば、女性というのは胸部とかを触られると不愉快に感じるんでしたね。大変失礼しました』
と、何やら気味の悪いことを言ってくるので、さっさとその場を後にした。触らぬ神に崇りナシである。
あんな奴に触られてしまったというのは、痛恨事だった。チョベリバってやつ。コレ覚えている人いるだろうか?
――――違うか。
私が今、少し混乱しているのは、その男がシンお兄ちゃんに似ていたからだ。
ちょっと私にかまいすぎなとこがあったけど、いいお兄ちゃんだった。優しくて、真っ直ぐで。
そのお兄ちゃんはもういない。オーブで地球連合のクソッタレどもに殺されたからだ。
- 423 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/19(木) 13:48:19
ID:???
- マスドライバーがどうしても必要だった地球連合軍は、再三引渡しを迫り、最後通牒をつきつけて
オーブに侵攻してきた。そして、私達家族は逃げる途中で戦闘に巻き込まれ、
お兄ちゃんも、お父さんもお母さんも死に、私は右腕を失った。
四文字熟語で言うと天涯孤独。全然笑えない。
その後、オーブは陥落。ウズミ全代表は自殺。戦力が足りてないのにツッパラかったのは
失政だったとは思うが、悪いのは無理矢理侵攻した地球軍だし、責任とって死んだのだから許してやろうと思う。
ちなみにその娘は、スタッド・ポーカーででロイヤルストレートフラッシュがでるぐらいの幸運に恵まれて、
前大戦の英雄になり、今はオーブの元首になっている。どうもお飾りらしいけど。
親の失敗の責任を娘が取る必要もないと思うし、地球軍を大分殺ったらしいので、こいつも許そう。
許せないのは地球軍とその黒幕、ブルーコスモスの奴らだ。色々調べた結果分かったのだが、
どうも地球軍の後ろにはブルーコスモスという集団がいて、オーブ侵攻にもその親玉、
ムルタ・アズラエルとかいう奴がからんでいたらしい。
大戦は終わったけど、この集団が解散したなどと言う話はまったく伝わってこない。
―――それなら私が殺してやる。そのために手に入れた力だ。
サド入ってんじゃないかと思う教官達にしごかれて手に入れた力だ。
血反吐を吐くまで訓練して手に入れた力だ。・・・本当に出た時は流石に休養したけど。
大丈夫。ブルーコスモスってのは、コーディネーターを一人残らず殺しつくさなくては気がすまない集団だ。
おそかれ速かれ、何かしかけてくるのは間違い。私が現役の内にもう一度くらいはあるだろう。
11歳であることに感謝、だ。
戦いになったら、思う存分地球軍の奴らを殺して殺して殺してを殺して殺して殺して・・・・殺してやる。
にしても、あの男、本当にお兄ちゃんに似ていた。金髪ですみれ色の瞳でなかったら、
お兄ちゃんが生きていたと思ったかもしれない。
・・・よそう。こんなことを考えるのも、まだ私に未練が残っているからだ。
お兄ちゃんは死んだ。そして二度と生き返られない。それが非常な現実というやつだ。
さて、久々のオフだし、やることは・・・・昼寝にきまっている。
平日の昼間から寝られる喜びを存分に貪り尽くしてくれるわ!
- 424 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/19(木) 13:50:31
ID:???
- 2. ステラ・ルーシェ
「ステラ、目立つことすんなよなぁ。」
迎えの車を待っている時にアウルが声をかけてきた。
さっきの一件をどうやら見ていたようだ。怒るのも無理はない、どんなことが原因で
任務に支障がでるか分からないのだ。まったくもって僕のミスだ。
「すいません。けどまさか、手が触れただけであんなに怒るなんて・・・。」
「何やったのさぁ?」
「女性の胸部に触っただけですよ。」
「そんだけぇ?」
「そうですね。」
「わっかんねぇ、何でそれであんなに怒るわけぇ?」
「僕に聞かれても。」
にしても、それだけしっかり見ていたなら、助け舟ぐらい出してくれても良かったと思うのだけど
それは、言わないでおこうと思う。
「・・・お前等、そろそろ黙れ。時間だ。」
「へいへい。」
「失礼しました。」
スティングさんに怒られてしまった。
彼は僕らのリーダーだから何かと色々他に気を配らなくてはならない。
大変だと思う。できるだけ力になろうと思っていたのに、早速迷惑をかけてしまった。
この失敗は教訓として、二度と同じことをやらないようにしなければ。
同じ失敗は許されない、それがラボの掟だ。
- 425 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/19(木) 13:52:23
ID:???
- 僕はステラ・ルーシェ。今まであった大半の人間が僕が自己紹介すると怪訝な顔をした。
何でも、この名前は女性の名前らしい。
ラボではコンピューターがランダムで名前を選ぶのだが、どういうわけかこういう名前になってしまった。
別にどっちでも良いだろうと思うのだけど、外の世界では大問題らしい。
分からない。ラボの外は不思議に満ちている。
特に分からないのが、男、女、という区別だ。色々男にはやってはいけないことがあって、
それを破るとさっきのようにトラブルになってしまう。気をつけなくては。
しかも、本来男というのは女性に『欲情』したり『恋愛感情』を抱いたりして大変らしい。
僕らは投薬の影響でそういうのから開放されているから、そういう悩みとは無縁だけど。
投薬の影響といえば、髪の色と目の色が変わってしまうというのがある。
それもとんでもなく奇抜な色に。僕は前は黒髪で真紅の瞳だったらしい。
別に変わったからといってもどうとは思わないけど、余りにも奇抜だと人に覚えられやすく、
潜入任務とかには不利という欠点がある。困ったものだ。
おっと、流石コーディネーターだ。まだ生きている。ナイフを投げてとどめを刺しておく。
危ない所だった、警報など押されたら任務に支障が出る。
スティングさんとアウルの方に目をやると、二人は首尾よく全滅させていた。流石だ。
僕はまだまだ精進が足りない。ナイフの角度が甘かった。基地に戻ったら練習しなくては。
・・・ついでに、戦闘中に余計なことを考えるこの癖も直さないと。
任務はここからが本番。ええと、この機体は・・・『ガイア』か。よろしく、『ガイア』。
- 426 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/19(木) 13:53:34
ID:???
- 3. マユ・アスカ
炎の中、私は笑っていた。込み上げてくる笑いが抑えられなかった。
艦長は敵の正体は不明と言っていたが、トップクラスの軍事機密である新型MSのハンガーやら
パスワードを入手し、それに乗っていきなりスムーズに動かせる技量を持つパイロットを擁している組織、
そんなものは・・・。
「・・・また、戦争がしたいの? あんた達は。」
まったくもって嬉しい奴らだ。やはり、最後の一人になるまで殺しあいたいらしい。
上等!! それなら、私はこの『インパルス』で全てを薙ぎ払ってやる。
私は、インパルスに対艦刀・エクスカリバーを大きく振りかぶらせ、目の前の『ガイア』に突進させた――
- 444 :「マユが行く」 二話:2006/01/20(金) 23:13:02
ID:???
- 1.アウル・ニーダ
僕の名前はアウル・ニーダ。
いっとくけどアウル・ニダじゃないから勘違いすんなよ。
今、バスを待ってる。ああバスって言っても走ってるバスじゃないから。
比喩的表現ってやつかな? こういうの。
『スティ〜ング! きりがない。』
『分かってる!』
スティングも大分イラついてるみてえ。
そりゃこんだけ馬鹿みたいな数に包囲されてりゃ、誰でもナーバスになるよね。
な〜にが、大した数は配置されてない、だよ。
この雑な情報もって来た奴 ぜってえ殺す!
ま、それ以前に生きて帰れっか分かんねーけど。
『同感です。そろそろパワー残量が心配ですね。』
・・・いたよ、全然ナーバスになってない奴。
ちなみにあいつ今、白い機体と鍔迫り合いやってる最中なんだけど。
どこまでマイペース貫いちゃってるわけぇ?
『あ、すいません。フォローどうも』
取りあえず援護で胸部のビーム撃ったら、律儀に通信が来た。
おい、ステラ、後ろ後ろ。白いのが剣、ぶん投げてきてるって。
あ、避けた。
なんか、あいつだけ余裕っぽくて結構ムカつくかも。
「うおっとぉ!」
やべえ、ちょっと今死ぬとこだった。ミサイルとビームの一斉射撃かよ。
ムカついたから、胸部の複相ビームと両肩の三連装ビームを、こっちも一斉射撃
ゲイツR3機、ジン一機撃破。
って・・・なんかまた6機も来たんだけど。
全然、意味ねーじゃんよ・・・
- 445 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/20(金) 23:14:41
ID:???
- 『・・・仕方ねえ、お前ら。使うぞ』
『ええ? マジぃ!?』
スティングが、無茶なこと言うから、ついクールなこの僕が
あんま、クールじゃないこと言っちゃったじゃないか。
そりゃ僕も考えないことはなかったけど、アレは、ぬけたときメッチャ苦しいんだよね。
『僕は、スティングさんの指示に従います。』
ま〜たそれかよ、ステラ。自主性がないってんじゃね? そういうの。
つーか、あの白い機体なんかやたらステラに執着してるんだけど。
あ、ステラの体当たりで吹っ飛んだ。
で、起き上がってまた突進してく。こりねーな、アイツ。
何? お前ステラになんかされたの?
そういやさっき、偶然あのパイロットが。
『また、戦争がしたいの? あんた達は。』
とか言ってたのが聞こえてきたけど、そんなこと俺らに言われても困るんだけど。
やりてーのは、多分ラボに金出してる奴とか、ネオの上にいる奴なんだからそっちに言ってくれってぇえのお!
大体めーわくしてんのはこっちだぜ。
コーディネーターなんてのがいるから、俺らみたいなのが量産されんだからさぁ。
あ、だけど何かその後、ゲラゲラ笑ってたから、ひょっとしたらザフトの強化人間かも。
だったら、あの狂ったみてえな行動も説明つくじゃんか!
きっとそうだって。
なあ、さっきからそこの壁に隠れて僕のこと狙ってるお前、そう思わねえ?
まあ、今吹き飛ばしちゃったから答えようないけどさ。
にしてもこの胸部ビーム砲、壁ごとゲイツぶっ飛ばすなんて、結構威力あるよなあ。
- 446 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/20(金) 23:15:49
ID:???
- 『おい! 聞いてるのか、アウル。』
「うん。聞いてる。』
悪い、スティング、全然聞いてなかった。
で、何?
『仕方ないだろうが。全方位から取り囲まれてんだぞ?』
ああ、アレを使うって話か。
ちなみに、スティングがそういうのはマジ。もう完全に囲まれてる。
このままだと、奮戦して死ぬコース一直線だね。
『分かった。』
『よし。』
『了解です』
僕は、手にはまってるブレスレットを触った。
血管に直接γ−グリフェプタンが注入される。
う・・・相変わらず・・・。
『最高だぜ、こりゃぁ――――――――――――――――――ッ!』
『全部落とぉおお――――――――――――――――――――す!』
最高にハイってんじゃねえええええええええ????? こういうのおおおおおおおおおおおお!!!!!
『あ、力が湧いてきました。相変わらずスゴイ効き目ですよね。』
だから、何でそうお前は――――――――――
「続く」