- 509 :1/16:2006/07/05(水) 22:13:24 ID:???
- 大西洋連邦イギリス領にあるロード・ジブリールの邸宅。
現地は、ちょうどティータイムの時間。広大な邸宅の、これまた広大な庭に、一組の男女がいる。
彼らは今、テーブルを挟んでお茶の時間を楽しんでいる……ようには見えない。
和気藹々とした雰囲気ではなく、どこかしらぎこちない二人。
二人のうち、男の方はこの館の主――ロード・ジブリール。
もう一人は主の客、もとい先日強引に連れて来られた女性――ラクス・クライン。
ジブリールは仕事中なのか、書類を読みながらお茶を飲んでいる。
ラクスは、主の顔を伺いながら……お茶に手を伸ばす。
ラクスは、強引にこの館に連れて来られたものの、着いてからの待遇は決して悪くなかった。
むしろ、真逆。捕虜としての待遇ではなく、客人として扱われていた。
軟禁されるわけでもなければ、監視がつくわけでもない。
ただ、ジブリール本人から、屋敷の外を歩くことは止めてくれと言われたのみ。
ラクスは屋敷の中で、自由ある生活を送ることが出来た。
しかし彼女は、この日突然館の主から呼ばれた。
これまで、一度ディナーに呼ばれた以外は、全く接触してこなかったジブリール。
彼の突然の呼び出しに、ラクスは内心驚きつつ、恐る恐る赴いたのだった。
そんな彼女とは対照的に、ジブリールは泰然としたもの。
仕事をしながらティータイムを過ごすことを詫びただけで、黙々と書類を読み耽っている。
……と、唐突に彼は口を開いた。
「ラクス・クライン……少し宜しいですかな? ご覧頂きたいモノがあるのですが……」
「……! は、はい……何でしょう?」
突然声を掛けられたことに、ラクスは驚きを隠せない。が、反射的に応じてしまった。
別段拒む理由もなかったからであるが……その言葉に、ジブリールは眺めていた書類を遣す。
その書類を一読するラクス。途端に、彼女の顔色は一変する。
書類には、数枚の写真がクリップで留められていたが……
そのうちの一枚に、彼女の最愛の人が映っていたのだ。キラ・ヤマトの姿が。
「キラ……!」
「……今の彼は、オーブ軍タケミカヅチ所属、キラ・ヤマト三尉。ムラサメに乗っているということです」
写真はキラがオーブ軍に入隊したときもの。写真のキラは、真新しい軍服を身に纏っていた。
しかし、ジブリールの説明は耳に入っていたのか……ラクスは愛しげにキラを見つめるだけだった。
- 510 :2/16:2006/07/05(水) 22:14:42 ID:???
- ラクスがキラへの思いに耽けり、それが落ち着くまで正味2,30秒を要した。
その後、ラクスは我に返り、渡された書類と写真のうち……キラ以外の物へと目を向ける。
その中で、ラクスはある写真に目を奪われた。キラ以外に見知った者がいたのだ。
黒の連合軍服を身に纏った、黒髪の少年の姿――ラクスを攫った人物、ゲンに他ならない。
そして、その写真と一緒にクリップで留められていた書類にはあるMSの名前があった。
それは、ラクスも良く知る機体。討伐者の名を持つ機体。
「……! これは、ストライク!?」
「ご名答。キラ・ヤマトが駆ったファースト・ストライクの後継機――ストライクMk-Uです」
ラクスの声に、ジブリールが応える。写真に納まっていたのはストライク。
赤・青・白のカラーリングだったファーストに、外見はよく似ていたが……色が決定的に違った。
グレーを基調としたカラーリングに黒が混じり、胸部・背部・脚部は若干赤く染められている。
禍々しい色――それが、ラクスがMk-Uに抱いた印象であった。
「この人物は、私をザフトの特殊部隊から救ってくれた方ですね?」
「Genocider Enemy of Natural……ゲン・アクサニスという者です」
「そして……この方が、ストライクMk-Uに乗っている」
「はい。キラ・ヤマトの後継者として……ね」
ナチュラルの敵を掃滅する者――彼がキラの後継者、ストライクMk-Uを駆る者なのだ。
ゲンと、写真に写る黒いストライクを交互に見ながら、ラクスは一つため息をついた。
このゲンという者もかつてのキラ同様、地球連合軍に利用されている者に違い有るまい――
それが、ラクスが抱いた思いであった。
やがて、彼女は残る書類に目を通す。
それらは作戦報告書の一部であろうか。地中海方面軍、空母J・Pジョーンズ、第81独立機動群……
ラクスには見慣れぬ単語が並んでいるが、おそらくそれらは軍からジブリールに届けられる報告書。
今彼女がこうしてここにいる間にも、戦争は続き、戦火は拡がっている。
ラクスは今日二度目のため息をついた。
……と、その時、ラクスの目に妙なものが飛び込んできた。
それは剣。報告書の最後の一枚、それに留められた写真に納まっているのは――極大の剣。
「XM404……グランドスラム? この剣は、一体……?」
報告書には"for Strike
Mk-U"の文字が。ラクスは、漸くそれがMS用の装備であることに気づいた。
- 511 :3/16:2006/07/05(水) 22:15:46 ID:???
- ジブリールがラクスに軍からの報告書を見せたのは、キラの安否を知らせるため。
同志であり盟友、恋人でもあろう男の消息を知らせてやったのは、ジブリールにとってはほんの座興。
半軟禁状態の女性に、このくらいしてやっても良かろう――せいぜい、その程度の気持ちでしかない。
ゲン・アクサニスやストライクMk-Uといった他の書類は、あくまで余禄のつもりであった。
キラはオーブ軍にいる。彼は一応無事らしい。ラクスはそのことに安堵するものの……
かつては三隻同盟の盟主として、戦火を潜り抜けた女傑としての才も覗かせる。
黒髪の少年と、黒いストライク――この二つの資料をくまなく見て、戦況を分析することも忘れない。
報告書には、緒戦の戦果が記載されていた。主たる戦場は、ユーラシア連邦のヨーロッパ方面らしい。
ラクスはそのことを読み取るが……それらが精々。今の彼女に分かるのは、この程度のことであった。
しかし、その中で、興味本位で惹かれたモノがあった。
大剣グランドスラム――何故今更このようなモノが戦場に送られたのか?
ラクスは腑に落ちなかった。彼女の脳裏を過ぎるのは、キラの駆ったフリーダムの姿。
剣一本に比べれば、フリーダムのバラエーナ収束砲のような重火器を搭載した方が、効率は良い筈。
ラクスはその疑問を、直にジブリールにぶつけてみる。
「ジブリール卿、つかぬ事を伺いますが……
報告書では、月からストライクMk-Uの元へ、この剣が送られたということですが……
このような剣に、如何ほどの意味があるのでしょうか?」
「……む?」
「敵を倒すならば、ビーム砲のような重火器を多数搭載したほうが、はるかに効率が良い筈です。
然るに、貴方が送られたのは剣一本。今更このような武器を持ち出すのは、些か――」
「――ま、時代遅れではありましょう」
あっさりと、ジブリールは非を認める。
大剣グランドスラム、それは嘗ての遺物――
彼の大剣は、前大戦の最中、ストライクのオプション装備として開発されていた巨大な実体剣。
打突・斬撃系のあらゆる戦闘に対応するのが目的で、運用試験結果は上々だった。
しかし、アーマーシュナイダーの装備が決定していたため、ストライクへの搭載は見送られる。
また、G強奪とヘリオポリスの崩壊により、剣の所在などが一切不明になってしまい……
開発計画自体が宙に浮いてしまったのだ。
が、ストライクの後継機開発に当たり、ジブリールはこの武器に目をつけた。
近年兵器開発は隆盛を誇り、ビーム兵器主体となった戦場。しかし……
一方では、ラミネート装甲を始めとした、ビームコーティングを施された兵器も登場。
今大戦では、ビーム兵器が万能とは言い難い状況になろう――それが、ジブリールの想いであった。
- 512 :4/16:2006/07/05(水) 22:16:56 ID:???
- こうして、ストライクMk-Uやガーティ・ルーを建造させる過程で、グランドスラムも再建される。
あらゆる装甲を破壊するために、剣の質量を以って押し切る――
このコンセプトを元に、新生グランドスラム建造計画は進められた。
前大戦から二年の空白――その間、高められた兵器開発の技術の粋を集めて。
過重量の問題を解消するため、剣全体の軽量化を図り……
ビームコートされた装甲を断ち切るべく、刀身にラミネート装甲と対ビームコーティングを実装する。
但し、Mk-Uとガーティ・ルーの建造が優先されたため、グランドスラムの完成は大幅に遅れた。
最も遅れたことがプラスにも働く。軽量なレアメタルを火星人、マーシャンから入手出来もしたのだ。
「……マーシャン? 火星に住む者たちのことですか?」
「ええ。彼らは文字通り、火星一帯に共同体を築いている者達です。
彼らは、地球圏にはない金属を持っている。マーズのレアメタルは、軽量にして強靭。
連中は、地球圏の中立組織にコンタクトを取っている。どうやら、地球との交流を図っているようです」
「……それで、資材の一部を手に入れたと?」
「お陰で、最良の剣を作ることが出来ました。それは今、セカンド・ストライク――Mk-Uの手の内に」
マーシャンのレアメタルを主材料として、ストライクMk-Uと共にグランドスラムは再建される。
かくして、ゲンの元へと新生グランドスラムは届けられる。ラクスはマーシャンという単語に驚きはした。
……が、やはり腑に落ちないのはグランドスラムのこと。剣よりも、有効な武器は多くある筈だからだ。
相変わらず不審顔のラクスに、ジブリールは諦め顔でこう言った。
「ま、女性である貴女には理解できぬことでしょう」
「……私が、女だと不都合でも?」
「ええ。男という生き物は、剣というモノに憧れを抱きます。少年の頃から、ね。
兵器としての有用性というより、根はもっと単純でしょう。詰まるところは……」
笑みを浮かべ、愉快そうにジブリールは応える。ラクスの次の反応を、内心楽しみにしながら。
「伊達と酔狂……といったところでしょうかな? 浪漫ですよ、浪漫」
「………」
片目を瞑りながら、茶目っ気を交えつつ……ジブリールは応えた。
実効性や有用性よりも、浪漫を念頭に置いてしまう。男とは、つまりそういう生き物なのだ。
女であるラクスには、やはり理解できないのか、彼女はキョトンとしたまま。
そんな彼女をジブリールは笑う。嘲笑でも冷笑でもなく、心底愉しそうに。そう、男だから――
ジブリールの想いを知らない筈のゲン。彼もまた、何の疑問もなくグランドスラムを受け入れていた。
- 513 :5/16:2006/07/05(水) 22:18:02 ID:???
- 地中海を照らす陽光。
燦然と輝くそれの眼下、二者は互いに剣を手に取り対峙していた。
ただし、それは人ではない。人をかたどった機械人形。機動兵器モビルスーツ――
2機のMSが剣を構えるのは、オーブ軍旗艦・空母タケミカヅチの上。
ザフト軍艦ミネルバ所属インパルスと、地球連合軍第81独立機動群所属ストライクMk-U。
エクスカリバーを正眼に構えるインパルス。
対するストライクは、グランドスラムをダラリと下段に構えたまま。
今正に剣を交えんとする両機。しかし……
眼前にそれらを捉えるタケミカヅチのブリッジで、ユウナ・ロマ・セイランは意外なことを呟く。
「アマギ一尉。敵艦ミネルバに連絡を取れるかい?」
「……はい?」
「ミネルバの艦長と話がしたい。出来るかな?」
ユウナの意図を解しかねたアマギは、鸚鵡返しに疑問系で返事をしただけ。
が、ユウナは彼に構わず、再度命令を下した。ミネルバと連絡を取れと。
突然問われたことに戸惑いながら、アマギは応える。
「……タケミカヅチもミネルバもジャマーを発しています。今現在通信を繋ぐことは困難かと。
ですが……ジャマーを互いに弱めれば、通信がつくかもしれません」
「よし、取り次いでくれ。タケミカヅチのジャマーも弱めて構わない」
ユウナは一体何をやろうというのか――?
真意を測りかねるアマギだが、ユウナは仮にも一軍の将。命令を聞かないわけには行かない。
彼はすぐさま、指示通り電波妨害のジャマーを弱め、モールス信号を用いミネルバに連絡を取る。
信号は伝える。ワレ ツウシンノイシ アリ――と。
ミネルバにも容易にその信号は視認出来た。
先刻、マユ・アスカがインパルスを駆り、単身タケミカヅチに乗り込んだ。そこまでは良い。
だが、ミネルバは次の一手を打ちかねていた。
タンホイザーは潰されてもトリスタンとイゾルデは健在。接近して主砲を放つことは可能だった。
でも、そうなればマユをも巻き込みかねない。タリアは逡巡の末、モールス信号の意を汲み取る。
「アーサー、ジャマーの効力を弱めて! その後、オーブ軍と交信を!」
タリア・グラディスは副長アーサー・トラインに指示を出し、ミネルバはオーブと連絡を取る。
- 514 :6/16:2006/07/05(水) 22:19:06 ID:???
- 電波かく乱が止んだ戦場。ノイズは混じるものの、交信は可能となった。
ミネルバのブリッジの大型モニター。そこにユウナの顔が広がり、通信は始まる。
『はじめまして、勇敢なるザフト軍艦、ミネルバの皆さん。
私はオーブ軍ユーラシア方面派遣軍司令官、ユウナ・ロマ・セイラン中将だ』
「……ミネルバ艦長、タリア・グラディスです」
丁寧なユウナの自己紹介に、タリアは仏頂面で応える。
今は戦時、しかも戦闘中なのだ。このような時に交信を取るのは、降伏勧告目的なのが通例。
しかし、今だミネルバは健在。降伏など出来よう筈がなかった。
「降伏勧告なら、お断りするわ。まだ、我が軍は戦えます」
毅然とタリアは断りを入れた。タンホイザーを失い、MS二機を戦闘不能にされてはいるが……
それでも降伏するには余りある戦力。ハイネ隊での挽回は可能であった。
現に、マユのソード・インパルスがタケミカヅチにまで乗り込んでいる。
故に、タリアは降伏勧告を突っぱねるつもりでいた。が、ユウナの言葉はタリアを瞠目させる。
『別に降伏して欲しいわけじゃない。していただければ、何よりではありますが』
「では、一体何を?」
『お宅のMSが、今タケミカヅチの甲板にいるんですけど……見えますよね?』
ユウナが申し出たのは、インパルスのこと。彼は何を言おうというのだろうか?
『勇敢なお嬢さんだ。素晴らしい。たった一人で敵陣に切り込むなど、大の男でも中々出来ない』
「セイラン中将、何が仰りたいのですか?」
『……あのお嬢さん、死にますよ。今、タケミカヅチのMS群は、彼女に銃口を向けています』
ユウナの言葉どおり、拡大映像がミネルバのスクリーンに写しだされる。
シュライク装備のM1アストレイが、インパルスに照準を合わせているのが。
一機ではない。10数機にも及ぶMSが、一斉にライフルを構え、マユを狙っている。
『あのお嬢さん、私が撃てと命じれば……死にますね。
でも、勇敢な少女兵を嬲り殺しにするのは、オーブ軍の誉れに有らず。そこで提案があります』
ユウナの次の申し出――それは両軍の帰趨を左右する大事となる。
- 515 :7/16:2006/07/05(水) 22:20:11 ID:???
- ユウナはタリアに話しかける。モニター越しに笑みを交えながら。
『一つ、勝負をしませんか?』
「……勝負?」
『今、あの白いMS……インパルスでしたか?
あのMSと、対峙している大西洋連邦のストライクMk-U。両機に、決闘をさせませんか?』
「……!! 決闘ですって!?」
決闘――荒唐無稽とも思える申し出を、ユウナはした。
タリアは、オーブのセイラン家の長男ということは知っていた。
が、セイラン家とは実利に長けた政治家の家柄と聞く。
その家を継ぐ者が、こんな提案をしようとは……タリアは夢にも思わず、ただ次の言葉を待った。
『タケミカヅチとミネルバ、どちらも危機に瀕している。
ミネルバは、多数のMSに囲まれていますし、我々はインパルスに刃を向けられている。
これでは、下手をすれば両方潰えてしまう。これでは、お互い立つ瀬がないでしょう』
確かに、ミネルバはオーブ軍のムラサメと、大西洋連邦軍のウィンダムに囲まれている。
逆に、タケミカヅチはインパルスが取り付いているが……
インパルスが、撃墜されることを覚悟でタケミカヅチのブリッジを潰すことは可能。
いわば、千日手。両軍とも、手詰まりで、決め手を欠いた状態なのだ。
『そこで、提案です。タケミカヅチの甲板にいる2機のMS。
二人に、決闘をしてもらいましょう。そして……互いの勝利に、自軍の全てを賭ける!
インパルスが勝てば、オーブ軍は無条件で降伏します。逆に……
あの黒いストライクMk-Uが勝てば、ミネルバの皆さんに降伏してもらいたい。如何でしょ?』
両軍の運命をとした一戦を、2機のMSに託す。
通常の戦闘では考えられないことを、ユウナは提案してのけたのだ。
タリアは、実直な軍人。本来ならば、このような提案を受け入れよう筈がない。だが……
「……良いでしょう。その提案、受け入れましょう」
「か、艦長!? 何を考えているんですかぁ!?」
抗弁するアーサーの声も虚しく、タリアは申し出を即断で受け入れる。
相変わらず対峙したままのインパルスとストライクMk-U。この二機に、一戦は託された。
- 516 :8/16:2006/07/05(水) 22:21:13 ID:???
- ……とはいえ、このような尋常ならざる決闘に疑義を挟まないものが、いない筈はない。
タケミカヅチでは、アマギが真っ先にユウナに食って掛かっていた。
「ユウナ様!? どういうことです!」
「……怒るなよ、アマギ」
「怒ります! これでは、無茶苦茶じゃないですか!!
我々は今だ有利なのです! あのインパルスを、アストレイ隊で沈めれば済む話です!」
正論、全くの正論をアマギは唱える。確かに、そのとおり。
マユの駆るインパルスは、敵陣の真っ只中。周りから撃たれれば、撃墜は免れ得ない。
とはいえ、問題もあった。
「じゃあ、アマギの言うとおりにやったとしよう。その結果、どうなる?」
「……ど、どうなるって、そりゃ……」
「インパルス撃破の誘爆で、タケミカヅチは大損害を被るかもしれないね」
「……う! そ、それは……」
「あるいは、インパルスが撃墜されるのを覚悟でブリッジを沈めに来るかもしれない」
「……た、確かに。で、ですが!」
アマギはなお抗弁しようとするが、ユウナは手でそれを遮り……とどめの一言を放つ。
「よしんば、インパルスを無傷で撃てたとしよう。でもさ……
あの勇敢な少女兵を、オーブ軍が寄ってたかって嬲り殺しにしたとあっては……拙くない?」
「………」
「戦場においては、士気こそがモチベーションとなる。
……気まずいよね。女の子を、大の男が寄ってたかって殺しちゃったら……さ?」
ユウナの言葉に、今度こそアマギは沈黙してしまった。
ユウナの言葉もまた、正論ではあった。
インパルス撃墜で、タケミカヅチは損害を被るかもしれないし、それは艦橋も例外ではない。
また、最後の言葉どおり……
たった一人の少女兵を、オーブ軍が嬲り殺しにするのは、如何にも気分が悪かった。
沈黙するアマギ。彼を取り巻くオーブの兵も、気持ちは同じだった。
それらを代弁するかのように、トダカは語る。彼の一言で、方針は固まった。
「……ユウナ様の、ご指示に従います。全軍に発令! 停戦、一時停戦だ!」
- 517 :9/16:2006/07/05(水) 22:22:56 ID:???
- 同じ頃、ミネルバも蜂の巣をつついたような騒ぎだった。
最も、騒いでいるのはただ一人。アーサー・トラインその人である。
「艦長! 何を考えているんですか!?」
「落ち着きなさい、アーサー」
「落ち着いてられません! マユに一戦を託すって……無茶苦茶ですよ!!」
「向こうがやるって言ってるんだから、やらせるしかないじゃない?」
アーサーの抗弁にも、タリアは耳を貸そうとしない。
抗弁を聞いている間にも、タリアは動く。最も、次の瞬間、彼女は、言葉とは裏腹のことをする。
「メイリン、MS整備班のエイブス班長に連絡! バビ2機の修理に掛かる時間は?」
「……は、はい! 先ほど連絡がありまして……この戦闘中には無理かと」
「スエズ方面軍からの増援は?」
「暗号通信で、たった今……近隣の空戦MS隊を送ったと、連絡がありました」
「OK。やれるわね」
タリアは、マユに一戦を託すといいながらも、次の手を打つ。
その言葉に、漸くアーサーも悟る。タリアの言葉は、別の意味を持っていたのだと。
「か、艦長……? もしかして……」
「当たり前よ、アーサー。時間稼ぎに、決まっているじゃない?
仮にマユが勝っても、連中が降伏する保障もない。打つべき手は、打たせてもらうわ」
そう、全ては時間稼ぎのため。
マユの一戦を見守りながら、緒戦で増援要請をしたスエズ方面の友軍の到着を待つ。
タリアとて一軍の将。タダでミネルバを敵にくれてやる言われはない。
マユが勝てば重畳。もしも負けた場合には、決死の覚悟で弔い合戦を挑むつもりであった。
「アーサー! トリスタンとイゾルデ、起動させているわね?」
「ハッ、ハイッ! いつでも撃てますッ!」
「マリク! マユが勝つにしろ負けるにしろ、タケミカヅチは沈めるわ!
敵に気づかれないよう、微速前進! トリスタンとイゾルデの射程圏内に入って頂戴!」
タリアは、操舵士のマリクに声を掛け、打つべき手を打つ。そして、裏の指示とは逆の……
表の指示も出す。すぐに、タケミカヅチ同様、ミネルバからも自軍に停戦命令がなされた。
- 518 :10/16:2006/07/05(水) 22:24:01 ID:???
- ほぼ同時に、タケミカヅチとミネルバから停戦の発光信号が放たれる。
突然の停戦命令に、ハイネ・ヴェステンフルスは瞠目する。
停戦の信号弾の、膨大な光玉に目を奪われながら、グフのコクピットでハイネは叫んだ。
「停戦だとッ!? どういうことだッ!!」
疑問を抱きながらも、刃を交えていたムラサメと距離を取る。
相対していたのは、馬場一尉の駆るムラサメ。MS隊長同士の一戦は、一進一退。
緒戦でグフはヒートサーベルを、ムラサメはビームサーベルを抜き払っていた。
お互いに、狙うのは相手の火器。ハイネはムラサメのライフルを、馬場はグフのビームガンを。
そして、互いを斬撃が襲った。
結果は、ハイネはムラサメの右腕を断ったものの……馬場もグフ左手甲にある火器を破壊。
互いに遠距離の装備を奪われた状態で、再び切り結ぼうとしたところで、停戦命令が下る。
突然の異変。余りのことに、ハイネは勿論、馬場も瞠目していた。
「クッ……反射神経の差か! ライフルだけでなく、腕ごと持っていかれるとは!!」
『オッサン、命があることを喜びな!』
「ほざいていろ、若造が!」
ハイネと馬場は、互いに罵りあいながらも、剣を収めた。
そしてハイネ機にはミネルバから、馬場機にはタケミカヅチから電文が送られる。
その内容に、今度は二人とも大声をあげ疑義を呈する。
「なッ……! マユとストライクに一騎打ちをさせるだとおッ!?」
「馬鹿な! セイランの御曹司は、何を考えているッ!?」
互いに、電文の内容を声に出して嘆く。ベテランパイロットには、理解しがたい指示だった。
それでも、命令は絶対。上官が決めたことに、逆らうことは出来ない。
刃を収めた両機は、互いに部下のMSを招集しながら、軍を一時退く。
直ぐに再戦できる距離だが……一定の距離を保ち、両軍はにらみ合う。
残存、オーブ軍ムラサメは20余り。ハイネ隊は4機。
分の悪い戦いながらも、ハイネ隊は奮戦し、今だ一機の被害も出ていなかった。
キラに戦闘不能にされたバビ二機を除いての話だが。
- 519 :11/16:2006/07/05(水) 22:25:11 ID:???
- MS隊を率いる者は、上官に疑義を挟むこともできなかった。だが……
上官ではなく、共同戦線を張る者、部下ではなく盟友の者にとっては、気兼ねする必要もない。
ネオ・ロアノーク大佐は、J・Pジョーンズの艦橋で声を荒げていた。
彼は、即座にタケミカヅチに通信を繋ぎ、ユウナを問いただす。
「セイラン将軍! これは一体、どういうことかッ!?」
『……これは異な事を申される。我々に先陣を任せたのは、貴公ではありませんか?』
「それはそうだ! しかし、我々に何の相談もなく――!」
『戦局は、刻々と動くものですよ。現状、互いに一歩も譲らぬ激戦。
だからこそ、大軍同士では決着がつかない事もある。違いますか?』
先陣を任された以上、疑義を挟むのは止めて貰いたい――
暗にユウナはそう言って、ネオの諫言を遮る。だが、ネオとしては引き下がれる筈もない。
「それでも! 作戦の全権を、貴公に一任した覚えはない!」
『……それは、そのとおりだ。ならば、貴公らは貴公らで、動かれれば宜しい』
「……! 何だと?」
折れないネオに、ユウナはやれやれといった表情で話しかける。
『この一戦、オーブ軍とミネルバの間で交わされたものだ。つまり、裏を返せば……』
ユウナの顔から笑みが消える。そして、酷薄な声で、ネオに諭す。
『アナタ達は自由に動いて構わない。
大西洋連邦の連中が何をしようと、我々は預かり知らぬところ。違いますか?」
「……我々に、ミネルバを撃てと?」
『私からは何も言えません。大西洋連邦に比べ、我々は吹けば飛ぶような小国ですから。
ですから……やりたければ、やれば宜しいじゃありませんか? ねぇ、大佐殿……?』
笑みもなく、ユウナは言い放つ。オーブはオーブ、大西洋連邦は大西洋連邦。
タリアが時間稼ぎと応戦の準備を整える一方で、ユウナもまたネオをけし掛けていた。
互いに一歩も譲らぬ謀略戦。華々しい一騎打ちとは裏腹に、影では策謀が巡らされていたのだ。
最も、最後にユウナはネオに釘を刺す。これから始まる一戦の邪魔はするなと。
『ま、仕掛けるのは、ストライクとインパルスの決着がついてからにして欲しいものですが』
- 520 :12/16:2006/07/05(水) 22:26:03 ID:???
- ユウナとタリアが互いに謀略を巡らしていたのは、ほんの2分ほど。
その間、対峙したままのインパルスとストライクMk-U。
マユ・アスカとゲン・アクサニス。にらみ合ったままの両者に、ユウナの声が朗々と響く。
「タケミカヅチとミネルバ、両軍の合意の元に裁定は下ったッ!
これより、両軍の命運をかけた一戦を始めよう!
インパルスが勝てば、オーブ軍は全軍武装解除、投降する!
逆に、ストライクが勝てば、ミネルバが降伏する! 二人とも、分かったかい?」
朗々とした宣言の後、優しげな声でマユとゲンに語り掛ける。
その声に、マユは内心驚愕していた。
自分がタケミカヅチに突貫したのは、半ば自暴自棄。一か八かで降伏を迫ったに過ぎない。
しかし、それが功を奏し、一転しての決闘。信じられない思いで、マユはミネルバに通信を繋ぐ。
「艦長! 本当に良いんですか!?」
『貴女に、全てを託すわ。この戦、どの道私たちとって、圧倒的に不利だもの』
「……ありがとうございます! 精一杯、やりますッ!!」
『……死なないでね。怖くなったら、逃げてもいいのよ? 』
「逃げません! 戦いますッ!!」
タリアは嘘をついた。言葉とは裏腹に、タケミカヅチを撃つ準備を進めていたのに。
マユに慰めの言葉を掛けたのは、自責の念か。それでも、マユは健気に戦うという。
その言葉に、なおタリアは胸を痛めた。
一方のゲンも、ユウナとネオの両者に通信を繋ぎ、確認を取る。本気かと、問うたのだ。
『勿論、本気だとも。精一杯、戦ってくれたまえ』
「……セイラン将軍も、モノ好きですね。さっさと敵を片付ければいいのに」
『君たちと、今後も良好な関係を築けるかどうかの、テストさ。ここまでは上手く行っている』
「……テスト?」
『いや、こっちの話さ。それじゃ、頑張ってくれたまえ! またね♪』
ユウナの言葉に含みがあるのに気づきながらも、ゲンは操縦桿を握り締める。
話している間に、ネオからの連絡も入っていた。ネオからの通信は電文だった。
上官からの指示は、モニターに映し出された。『五分後に仕掛ける』――その文字で彼は悟った。
「ハッ! そういうことかよ! いいぜ……5分以内に、コイツを仕留めてやるよ!!」
- 521 :13/16:2006/07/05(水) 22:27:08 ID:???
- ゆっくりと、ゲンはストライクMk-Uの歩を進める。彼の操縦で、黒い機体が歩き出した。
甲板の先端部に降り立ったMk-Uが、ブリッジ近くにいる白い機体インパルスに迫る。
一歩一歩、踏みしめるように歩く黒い機体は、マユにとっては圧倒的ですらあった。
パイロットスーツに身を包んだ少女は、滴り落ちる汗に不快感を覚える。
だが……それ以上に不快なことがあった。
先ほどから聴こえてくる男の声。それは、聞き覚えのある声。
『……逃げたけりゃ、逃げてもいいぜ? 今なら、まだ逃げられる』
「……! 誰が、逃げたりなんか!」
徐々に近づいてくる黒い機体。その威圧感で吹き出る汗は、ベットリとマユの肌を濡らす。
黒いストライクは、相変わらず手に持つ巨大な銀の剣――グランドスラムを構えていない。
強いて言えば、下段の構え。だが、構えているとは言いがたいほど無造作な仕草。
それは、自信がなせる業か、虚勢がなせる業か。
前者とも後者とも判断のつかないマユにとっては、徐々に恐怖感が募っていく。
そして、また――あの声が聞こえる。
『ユニウスセブンを砕くときに助けを借りたが、その借りは大気圏突入時で返したぞ』
「……貴方となんか、話したくないッ!」
『上等。これで、お前を……心おきなく殺せる』
間近に迫る黒い機体。"殺す"という単語と共に、恐怖感は倍増される。
臆していては負ける――そう思ったマユは、敵との距離を測ろうとした。
間もなく、敵はソード・インパルスの間合いに入る。だが……
――敵の間合いが、分からないッ!
心の中でマユは叫んでいた。少女は戸惑っていた。攻守何れを選択すべきか。
もしも、インパルスのエクスカリバーよりも敵の間合いが長ければ、敵に先手を取られる。
また、見たところ、ストライクの持つ剣は実剣。
本来なら、VPS装甲のインパルスは切られる筈がなかった。それでも……
ストライクは、その剣を持ちながらインパルスを両断しようと向かってくる。。
ならば、あの剣は、インパルスをも切れるかもしれない。
敵との間合い、敵MSの性能、敵の剣の持つ能力――それらは、疑心暗鬼となってマユを襲う。
だが、そんな疑心暗鬼を生み出したのは、紛れもなく徐々に近づいてくる黒い機体の威圧感。
- 522 :14/16:2006/07/05(水) 22:28:13 ID:???
- マユが思い巡らす最中も、ストライクはインパルスに迫る。
間もなく、敵と刃を交える距離。マユはそのことを悟る。
――近いッ! もう直ぐ、ファーストコンタクト……!
自分から仕掛けるか否か。マユは躊躇った。
間合いに入ってくれば、即座に上段に構えたエクスカリバーを振り下ろすつもりだった。
しかし、敵の間合いが分からない。敵が先に動けば、防御を迫られるのは必然。
攻撃と防御。どちらを優先させるか。なおも、マユは戸惑う。
――やらなきゃ、やられる! 自分から、仕掛けなきゃ!
それは、極めて明確な答えであり、正答と言えた。だが、この場合は……
内心の動揺、迫る黒いストライクの威圧感に気圧されていた彼女には、それは当てはまらない。
敵との距離を測ることに必死の少女は、息が詰まる程の緊張感に包まれていた。
そして、それを見透かしたかのように……男の声が、マユのコクピットに響き渡る――!!
『オオオオオオオッッ!!』
それは、咆哮。獣染みたゲンの叫び声――!
その声は、容易に少女の判断を誤らせる。マユは動く。否、動かされてしまった。
「……ッ!!!」
ゲンの声に反応するかのように、インパルスは一歩を踏み出す。怯えたマユの挙動だ。
が――遠い間合い。まだ、エクスカリバーの射程内にストライクMk-Uは入っていなかった。
「……え?」
『戦場では、ビビったヤツが真っ先に死ぬ。士官学校で、教わらなかったのか?』
中途半端な格好で、ストライクの眼前に出てしまったインパルス。
エクスカリバーを振り下ろそうにも、そこにストライクはいない。もう半歩の距離。
だが、少女がその距離を縮める前に――敵は既に、下段から上段に剣を構え直していた。
『そして、お前は今から死ぬんだよッ!!』
- 523 :15/16:2006/07/05(水) 22:29:06 ID:???
- ゲンの一声と共に、振り下ろされるグランドスラム――!
慌てて防御体制をとろうと、上段に構えたエクスカリバーを下ろすインパルス。だが……
ゴッ――!!
鈍い音が、タケミカヅチの甲板から海域全体に響き渡る。
インパルスの防御は、辛うじて間に合った。しかし、グランドスラムの剣圧全ては受けきれない。
響き渡ったのは、グランドスラムを受けきれず、肩口を切り裂かれたインパルスの装甲の音。
無残に切り裂かれた肩は、VPSさえも凌駕するグランドスラムの威力を物語っていた。
「き、切られたッ!?」
『チッ……! 良い反応をするな。 言った筈だぜ? 全てを両断する剣だとッ!!』
黒いストライクは、即座にバックステップした。再び、剣を振るうべく。
――切られた、VPSは効かない……そんな!
実剣でVPS装甲は切れない筈……内心、こうあれば良いと思っていた事象は、裏切られる。
実剣に見えたグランドスラムは、あっさりとマユの期待を裏切った。恐怖が、再びマユを襲う。
剣を振り被るストライクの姿、それに怯えるマユ。だが少女は、仲間の声に我に返る。
『マユ! 怯えるな!』
「……レイッ!?」
『相手の剣は、ビームサーベルほど軽量ではない! 受けようと思えば、受けられる!』
レイ・ザ・バレルの言葉に、マユは正気に返る。
グランドスラムは、決まれば一撃必殺となろう。だが、反面その振りも大きい。
レイの言葉に従い、即座に防御体制を取るマユ。
インパルスの出力を上げ、グランドスラムの衝撃に備える。
再び響き渡る轟音。しかし、今度はエクスカリバーで敵の剣を受け止めた。
『気休めにもならないが……恐怖を打ち破るには、勇気しかない! 頑張れッ!』
「は、はいッ!!」
マユの兄代わりになることを、ルナマリアから頼まれたレイ。彼はこの時、それを実践していた。
- 524 :16/16:2006/07/05(水) 22:30:04 ID:???
- レイの言葉は、ゲンにも聞こえた。
怯える少女を縊り殺すことなど、彼には簡単――だった筈。
しかし、目の前に広がる光景は、それを否定する。
目の前にあるのは、エクスカリバーで斬撃を受けるインパルスの姿。
「どうやら、セコンドは優秀なようだな! クソッ!!」
舌打ちしながら、またもストライクはバックステップを踏む。
ただし、今度は間合いを広く開ける。
敵を恐怖させ押すことが出来るなら、強引な攻めも可能だろう。だが……
仲間の声に我に返った少女に、その手は通用しまい。ここからが、本当の勝負。
ゲンは距離を取りつつ、正眼にグランドスラムを構える。
「さて、どうする……お嬢さん?」
マユの駆るインパルスもまた、正眼にエクスカリバーを構える。
正確には、正眼ではない。両刃のエクスカリバーは、片刃しかゲンに向けられないからだ。
それでも、体勢を整え、攻撃の機会をうかがうマユ。
彼女のコクピットに、またも男の声が響く。
『怯えるのはやめたんだろう? 攻めてきたらどうだ?』
「……ッ!!」
マユは相手の意を察した。ゲンの言葉は挑発に他ならない。
歳相応に経験の浅かろう少女を、掌で弄ぼうとするのが言葉の真意――マユはそれに気づく。
敵の言葉に唆されてはならない。恐怖感を覚えてもならない。勇気を持って戦わねばならない。
そう思い、冷静さを取り戻そうと努めるマユだが……
先ほどから消えない不快感が、なおマユの心を苛立たせた。
それは、相手の声。ゲンの声は似ていたのだ。死んだ筈の兄の声に。
冷静にはなれないかった。こみ上げてくるものは怒りばかり。少女はインパルスを駆る。
勢い良くタケミカヅチの甲板を蹴り、白い機体が勇躍する。少女の激情と共に――!!
「その声で……その声で、喋るなあッ!!!」
エクスカリバーの斬撃を受けるストライク。
切り結ぶ両者、2機のMS。両機が奏でる斬撃の轟音が、周囲に木霊し続けた。