22 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/13(木) 17:48:15 ID:???
「うぇーい。」
「・・・・暇だな・・・。」
ステラとアウルは座って戦闘を眺めていた。
「・・・お前らなぁ!!そんなこと言うなら召喚獣に頼らないで戦えよ!!」
召喚獣に指令を出していたスティングは叫んだ。
確かに召喚獣が強い事は、一般的にFFなどのRPGをやってる方は解かると思うが、
理由はもう一つあった。
まず、皆さんが始めて覚えた召喚魔法を想像してほしい。解かるのならFF]が好ましい。
結構、後半の方になってくると使わない事も多かったのでないだろうか?
しかし、スティングが始めに覚えていた召喚魔法は、そんなものではない。
FF]で、スティングの中の人が誰の声をやっていたか覚えているだろうか?
まぁ、そいつは主人公グループが後半の方でいろいろな条件をクリアしてやっとこさ
手に入れられる強力な召喚獣を始めの方のムービーで披露してくれちゃったりする。
まぁ、とどのつまり解からない人にもわかるように言えば、本来ならば
物語の最終場面のやりこむ所で手に入れる激強力な召喚獣を中の人効果で
スティングは手に入れたわけである。
「・・えー。」
「えー。」
スティングの言葉に文句を言うステラとアウル。
「じゃ・・、ステラやる・・・。」
そう言うとステラはモンスターに駆け寄り、盗んだ。
「アメちゃん・・・・ゲットだぜ・・。」
「そんなんかよ!!たかがアメかよ!」
スティングが突っ込む。
「がんばれー!!」
アウルの『応援』!みんなの攻撃力がアップした!
「そんだけかよ!!だから戦えっつの!」
「別にいーじゃん。レベルが上がればさぁ・・・。」
「お・れ・が!!良くないんだよ!!」
召喚獣がもしやられたらどうする気だ、召喚獣は普通のアイテムじゃ回復しないんだ。
スティングはそんな事を考えたのだが、ステラ達が理解してくれるはずもない。
レイと言い、アスランと言い、リーダーはどっかしら苦労するものである。なむさん。

23 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/13(木) 18:03:06 ID:???
さて、戦闘終わってスティングがぐったりとしていると、旅人が通りかかった。
金髪のローブと着物の中間のような服少年とマントを羽織ったアジア系の黒髪の青年だ。
「あなた、召喚師ですか?」
金髪の少年が話しかけてきた。
「あぁ。」
「そうですか?!僕もなんです!あ、申し送れました。僕、レノートと言います。
で、あっちの人が・・・・・。」
少年が紹介しようとした青年はとっとと先に行ってしまってる。
すると金髪の少年はそっちに走っていき、青年のマントを踏んづけた。
もちろん、青年はビッタンと地面とキスをする。
「何をする?!」
「何をするじゃありません!!僕があいさつしてるのにどうしてとっとと先にいっちゃうんですか?!」
「うるさい!!おれはたまたまお前と旅をしてるだけでお前に合わせる必要はないだろう!」
「まぁ!!一体どんな育ちを受けて来たんですか?!」
「『生きているうちは負けじゃない!』」
「分けが解かりません!!」
そして、少年は青年の顔面に思いっきり杖をぶつける。そのままずりずりと
こちらへ青年を引きずってくる。
「この方はリオンさんです。僕の村にたまたまいた傭兵さんです。」
話を聞くに、なんでも少年は村の巫子で王都に使者としていくらしい。
しかし、いくら召喚師といっても十歳ほどの少年だけでは不安である。
そうしたら、村にこれから王都に行く傭兵が止まっているというではないか。
なので村人は少年の同行人を傭兵に頼んだらしい。傭兵も回復が出来る奴がいると便利なので
承諾したらしい。
スティング達も一通り自己紹介をする。
「皆さんはどちらへ?」
「いや・・、人を探してるんだが・・・。」
「じゃあ、王都に行きませんか?あそこなら人が集まりますし・・・。」
何の因果か、この五人はパーティを組む事になった。
四人以上でもNPCなので問題はないらしい。
スティングは安堵した。これでようやく負担が減ると・・・。
69 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/14(金) 19:18:32 ID:???
「おっさーかな♪おっさーかな♪」
ステラはそう歌いながら再び川魚を一匹つかみ取りした。
ここは森の中にあるちょっとした広場。そこには小川が流れていた。
ちょうどお昼時だったので魚を釣ろうと話していたのだが、既にステラが川遊び
を始めてしまい、じゃあお魚も取りなさい。と言う話になったのだ。
それは幸い+に働いた。実際、現実に旅行などに行った時に、つりぼりで釣りをすると
普通に釣っているお父さんよりつかみ取りしている子供のほうがたくさんとる物である。
「なー、リオン。このきのこ食えるのか?」
「やめとけ。うまいがものすごい腹痛に襲われるぞ。」
「・・・・・食べた事あるんだ。」
アウルとリオンは森に入ってきのこを探してきたらしい。
と、いっても適当に取ってきて今分別しているのだが。
「五匹目っ!!これで終わりよ!お魚!うぇーい!」
まるで熊のごとく魚を取るステラ。
さてはて、そしていよいよ焼く番である。
スティングが魔法で火をおこし、レノートがはらわたを取りたい人の分だけ取る。
ぶっちゃけレノートのような金髪美少年が微笑みながら魚のはらわたを取っているのはかなり
シュールな光景である。
そして、塩をつけて焼く。下手な調味料をつけるよりこれだけの方が十分うまい。
「やっけたーかなー♪やっけたーかなー♪」
ステラがそう歌いながら魚と炎を見つめる。その姿は非常にほほえましい。
が、そこに突然攻撃魔法の雨が降り注いだ。


70 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/14(金) 19:36:49 ID:???
「ステラ!!」
スティングがとっさに召喚獣を召喚してステラの盾にする。
あまりの猛攻に召喚獣は耐え切れずに倒れた。
「・・・すまねぇ・・・。俺の魔力が回復したらすぐに・・・。」
スティングも同時に無理な召喚で倒れてしまう。
「スティング!!」
ステラがスティングに駆け寄る。
「仲間と合流したのか?召喚師。」
「まったく、手間を取らせてくれる。」
「仕方がないがこれも任務だ。悪いが殺されてもらう。」
空から男の声が聞こえてくる。
ステラ達が上を向くと、そこには巨大な黒い鳥にのった全身を砲で固めた男と
なにやら巨大な傘のような防具をかぶり、鎌を持った男が浮かんでいた。
服装はそれぞれ軍服である。
「あなた達は・・・ロケッ○団!!」
「なんだかんだと・・って違うわぁ!!」
レノートのボケに突っ込む砲の男、悪い奴ではなさそうだ。
「我らは青秋桜帝国(せいしゅうおうていこく)のドミオン皇帝直属の部下だ。
金髪の召喚師、貴様の持っている物を奪い、その命を狩れとの命令を受けた。」
「・・・・軍人さんがぺらぺらと任務内容話しちゃっていいんですか?」
レノートが全ての悪役に通用する禁断のつっこみをする。
「ふ、別にかまわん。どの道貴様らはここで死ぬのだからな!!」
そう叫んで鎌を持った男はレノートに一気に近づき、鎌を振るう。
「くっ!!」
しかし、それはリオンにふさがれる。
「早く逃げろ!!」
レノートははっとしてスティングを抱えたアウル達とともに逃げた。
「逃すか!!」
全身に砲を装備した男は黒い鳥から飛び降り、そのまま標準をレノート達に
あわせる。
「だめっ!!」
ステラはそう叫んで煙玉を投げる。煙のせいで標準を失い、見失ってしまう。
しかし、すぐに男は行動に移った。
あの子供達があの傭兵らしき男を見捨てるはずがない。ならば、奴を
追い詰めればすぐに出てくるだろうと。

71 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/14(金) 19:58:02 ID:???
「目障りだ!!」」
鎌を持った男が胸の飾りから攻撃魔法を射出する。
それは、通常の魔法とは違い、曲がって横からリオンを狙う。
「ちっ!!」
リオンの腕に月を模した魔方陣が現われ、そのまま敵のビームを受け止める。
「何っ?!」
まさかの防護に戸惑う鎌の男。
しかし、すぐに後ろから砲を装備した男がこちらに撃ってくる。
それを全て避け反撃しようと構えた瞬間、突然背後から攻撃を喰らい、そのまま倒れる。
二人は確かに視界に納めていたはず・・・・・。
「三人もいないはず、そう思っただろう。当然だ、先ほどまで俺は「一羽」だったのだから。」
そう言ってリオンの腕を踏みつける。その男には黒い翼が生えていた。
「・・・・っ!半鳥人か・・・っ!」
「ご名答。」
そう言って笑う黒い羽の男。この男は変身できるタイプの獣人だったのだ。
「なかなか面白い奴だ・・・・・。どうだ?ドミオン様の元へ来ないか?」
鎌を持った男が言う。
「ドミオン様の人を見る目は確かだ。お前ならすぐにでも特別待遇が・・・。」
砲を装備した男が言った瞬間、今まで腕を踏みつけられていたリオンが
踏みつけているその足をつかんだ。
「・・・・お前らごときの主人が俺を『使う』だと・・・・?ふざけるな・・。」
思わず三人組はリオンから距離をとる。とんでもない殺気を発しながらリオンは立ち上がる。
「そこの人たちー!!逃げてくださーい!」
思わずレノートが草むらから避難勧告をするが、それどころではなくなっている。
「俺の主人は・・・・後にも先にもあの方だけだっ!!」
そうリオンが叫んだ瞬間、彼の周りを緑の光が囲む。
「なっ?!月の女神の加護だと・・・っ?!」
黒い羽の男が驚いた様子で言う。
「消えろ・・消えろ・・消えろ消えろ消えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして、内部から壮絶なまでの火力の攻撃魔法が雨あられと射出される。
それは無差別でレノートたちの方にも飛んでいってたりする。
「くそっ!!」
三人組は反撃しようとするがすべてリオンを包んだ緑の光に阻まれる。
「ふはははははははっ!!貴様らごときがっ!!」
すさまじい猛攻が哄笑と共に響く。
「くそっ!!離脱だ!!」
三人組はとうとう逃げてしまった。しかし、暴走は止まらない。
「どうすんだ。これ。」
アウルが呆然と呟く。
「お魚・・・・。」
ステラがぽつんと呟く。
「もうあーなったらリオンさんは止まりません。次の町についたらリオンさんに
おごってもらいましょう。」
レノートはため息交じりに呟いた。

98 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/15(土) 17:12:04 ID:???
「フルハウス。」
「OH MY GOD!!HAHAHAHAHAHAHA!!」
ここは王都、ありとあらゆる施設が集まっている。
それには娯楽もしかり、ハイネ一行はそこのカジノにいた。
「あー、儲かった、儲かったv」
大量のコイン袋を抱えてハイネの所へ戻ってきたジョー。
完璧なイカサマ技術でかなりの額を稼いできたようだ。
ハイネは軽くワインのグラスを傾けている。
「ははははー、お姉さん!もー一杯!!」
陽気にはっちゃけた声が聞こえる。キースだ。
どうやらそこらのおっさんと飲み比べ対決を始めてしまったらしい。
「・・・あいつと飲み比べするなんて・・無謀だよなぁ・・。」
ハイネがぽつりと呟く。その目は遠い過去を見ていた。
転がる大量の酒瓶と缶、一人余裕で飲み続けてるキース。
一番酒に弱いアキラなんて病院に運ばれた。そんな、遠い過去。
「あのおっさん、絶対死ぬ。」
ジョーはきっぱり断言した。
「あいつ、酔うことは酔うけど絶対酔いつぶれないんだよなぁ・・どうなってんだ?」
「ほら・、あれだ・・、最近なんか問題になってるらしい・・。」
ジョーの言葉にハイネの脳裏の艦内に抗議ポスターを貼りまくって艦長に怒られている
アキラの姿が浮かんだ。
「・・・のま猫?」
「のまネコ。」


99 :ほのぼのマユデス。その頃のゼロ君。:2005/10/15(土) 17:16:36 ID:???
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ここは王都の国立図書館。ゼロは仲間と離れてそこで本を読んでいた。
彼の職業は錬金術師、それは知識がなければ意味がない。
なので彼はここで錬金術に関する文献を読んでいたのだが・・・・。


-------ゼロ君の回想。
『それじゃ、図書館へ行ってきます。ハイネ。』
『おーう、行ってこい。俺達カジノにいるから。』
『早くいこー!!酒ーー!!』
『お前って酒のことしか頭にないだろ。』
『今行く!!じゃあな!』


「・・・・・・・・・・・・誰もついてきてくれなかった。」
そう呟いたゼロの表情はいつもと同じだったが目に光る物が浮かんでいた。


114 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/16(日) 13:19:27 ID:???
「さーざーめーくかーねのねーはとーびーらーをひぃーらくねー♪」
「さぁーたびーたつーとぉきがきーたー♪」
「・・・・・・。」
マユたちは馬車に乗っている。
あの村でずーっと盗賊いじめをしていたらいい加減話がすすまねぇよ!!
と言う風にシンハロが出てきて叱られたので、マユたちも他のパーティと
同じように王都を目指す事にした。
この馬車は村の人達からお礼としてもらったものだ。
何せあの村の盗賊団は全てマユたちと戦って戦って戦って、全滅したのだ。
村人にはもう英雄扱いである。
「ハロってさー、時々出てくるよねー。」
「あいつの役割はギップルでしょ。」
「ギップリャ!」
御者はレイ、女子二人は中できまま勝手にやっている。
「・・・はぁ、早く皆と合流したい・・。」
レイは思わず呟いた。



115 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/16(日) 13:32:19 ID:???
さて、場面変わってこちらはアスラン一行。
こちらも、シンハロの導きに従い王都へ向かっている。
が・・、こちらには馬車なんて上等な物はない。徒歩だ。
「はぁ・・、グレイシアー。魔物使いなんだからでっかいドラゴンとかさぁ・・。」
「やだ。可愛くないもの。」
グレイシアが仲間にした魔物はネコと狼の中間のような獣の子供、イライジャ。
臆病でちょっとダメージをくらっただけでグレイシアの後ろに隠れてしまうヘタレである。
まぁ、それでも決して戦闘中に逃げ出したりはしないのだが・・。
「もうカルマが見えないな・・・。」
兎の半獣人であるカルマはそれは足が速い。
とてもじゃないけど、常人では追いつけない。
「・・・・早く王都に行きたいなぁ・・・。」
腹をすかせたアキラが呟いた。

116 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/16(日) 13:34:19 ID:???
現在の一行の王都からの距離。

マユ一行:ちょっと遠い。
アスラン一行:それなりに近い。
ステラ一行:あと少し。
ハイネ一行:もう着いている。

199 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/18(火) 17:36:50 ID:???
マユ達一行は全員合流した。
『展開はやっ!!』
そう突っ込まれても大急ぎで終わらせないと本編に戻れないのである。割り切ってくれ、シンハロ。
さて、そして合流したマユ達一行が泊まったのは和風のホテル、つまり旅館。
ハイネやジョーがカジノでイカサマして稼ぎまくったのでそこそこの部屋がとれた。
いやいや、旅館ときたらもう修学旅行状態である。
そして、大体修学旅行で旅館に着いたら真っ先にする事と言えば風呂にはいることである。
と、言うわけで露天風呂のライブ映像をどうぞ。

200 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/18(火) 17:47:23 ID:???
「って!!男湯かよ!!」
アキラが叫ぶ。そう、ここは男湯である。
「ちょっと待ってよ!普通ならここで湯煙でぎりぎり隠したイベント絵が入るんだろ?!
見えそうで見えないのがさらにいいとかそんな一枚絵が入るはずだろ?!
んでもってここで誰が来るかで誰のルートか分かるんだろ?!」
「うるさいぞ、アキラ。」
騒ぐアキラはハイネに怒られる。
「こんのっ!!」
「負けるかぁ!!」
アウルとカルマは広い浴槽で競争を始めてしまった。
「こらっ!!湯船で泳ぐな!!」
スティングが二人をとがめる。
「・・・アスラン、お前ってさぁ・・。」
「・・・ちっさいなぁ・・・。」
「っ!!言わないでください・・っ!!」
アスランはハイネとジョーに何気にプライドを傷つけられてたり。
「へぇ〜、結構レイってイけるクチ?」
「えぇ、うちの馬鹿親父二人に付き合わされてましたから。」
露天風呂でお酒を、というお子様なら一度は憧れると言うことをしていた。
「ちっくしょう!こうなったら覗きだ!!お約束で覗いてやる!!」
まるで読者の心を代弁したかのようなアキラの叫び。
「セクハラは軍法違反だぞー。」
ハイネが注意する。
「ハイネ!でも覗かないのは読者に対する冒涜です!」
アキラも言い返す。


201 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/18(火) 17:54:44 ID:???
「・・・・何やってんの?」
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!??」」」」」」
突然の声に垣根の方を見るとマユがいた。
急いで全員前を隠す。
「覗きはだめ・・・・。」
ステラもひょこっと顔を出す。
「いや!覗いてるのお前だから!!」
アウルが突っ込む。
「それよりさぁ、早く洗って出たら?人数多いんだし。早くしないとルナお姉ちゃん来ちゃうよ?」
「全身を・・・舐め回すように・・・・見られる・・・ってマユが言ってた・・・。」
「「「「「「逆セクハラーーーーーーーっ?!!」」」」」」
そう言ってマユ達は垣根から顔を出すのをやめた。
「・・・・怖い・・女の人怖い・・。」
「アスラン?!アスラーーン?!」
女性に対してあんまり良い思い出のないアスランはがくがくと震え始めた。
「・・・・そういえばゼロは・・・?」
カルマがぼそっと呟く。
「真っ先に洗って出て行ったぞ。あいつ、始めから分かっていやがったな・・。」
ジョーが憎らしげに言った。
290 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/22(土) 14:29:00 ID:???
「-------------トレース、オン。」
そう言うとアキラは精神を魔力回路に集中させる。
ここは旅館の中庭、アキラは満月の元訓練をしていた。
他の皆は酒飲み大会でもうどんちゃかしているので彼は一人である。
満月は魔力が最も満ちる時である。
このジョブを極めることに夢中なアキラはこのチャンスを逃すわけには行かない。
錬剣術師の最大魔法を試すには。
(イメージしろ・・、赤い丘・・・、何もない・・・、ただ、剣のみ)
アキラは呪文を紡ぎだす。

−−−−−−−−−身体は刀でできている

−−−−−−−−−体は鋼で心は播璃

−−−−−−−−−幾たびの戦いをこえて・・・・

「誰かっ!!助けてっ!!」
突然の悲鳴に詠唱をやめる。
そっちの方へ走っていくとマユが鎧を来た男たちに連れ去られているのが見えた。
「マユちゃっ・・・・・・!」
アキラが叫ぼうとすると。体から急に力が抜ける。
最大魔法を使うため循環させていた魔力を急に分散させてしまったため
そのギャップに体がついていかなくなったのだ。
(なんでこんな所までリアルに作ってあるんだよ・・!シンハロ!!)
心の中でシンハロにつっこむ。
「マ・・・ユ・・・ちゃ・・ん・・。」
アキラはその場に倒れた。


291 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/22(土) 14:49:04 ID:???
「・・・マユ、マユは何処?マユがいない。ここは何処?マユは何処?」
「レイ!!しっかりしなさい!!」
ルナマリアがレイの頬をバシバシと叩く。
事の始まりは散歩に出て行ったレイが倒れているアキラを発見し、部屋に運んでからである。
気がついたアキラがマユがさらわれた事を大慌てで話して、皆はもう大パニックである。
「こう言うときは・・『教えてー!!シンハロー!!』。」
『ハイハーイ!』
ぽんっと小さな妖精サイズのシンハロが現われる。
『はい、じゃあこれ見てー。』
シンハロはなにやらぽんっとチラシを召喚した。
「ん・・・何々・・・?『ユウナ様の妹君、マユ様行方不明』??!!」
『そ、ウチのマユはそこのマユと間違われて連れて行かれたんじゃない?
賞金がかかってるみたいだしー。』
シンハロはふわんふわん飛びながら答える。
「あとこのぶっ壊れたシスコンレイはどうすればいいの?」
『あぁ・・、たぶん40%しかそろってないから他の人形から魂魄転写すれば・・。』
「流石にそれはわからないっしょー。」
なにやら和やかに漫才を始めるアキラとシンハロとルナ。
「よし・・、そうなったら明日城に乗り込むぞ。」
ハイネがそれを無視して言う。完全に彼の目は燃えていた。
「・・・・ハイネ?出来るだけ穏便に・・・。」
「俺の部下に手ぇ出すやつは誰であろうがぶっ飛ばす・・・。覚悟しやがれ!」
必死にハイネを止めようとするアスランを見つつ他のハイネ隊メンバーは
もうこりゃだめだ、とため息をついた。
377 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/25(火) 14:24:15 ID:???
「ん〜♪マイシスターマユv会いたかったよ。」
「あんたどちら様ネ。ワタシマユ違うヨ。」
ここはお城。マユはそこに誘拐された。
前、アキラから平行世界と言う話を聞いたことがある。
解かりやすく例えるとノベルゲームのルートだ。
たぶん、この世界にも『マユ・アスカ』がいてこの人となんかの拍子に兄弟に
なってしまったのだろう。哀れだなぁ、とマユは思った。
・・しかし、自分もマユ・アスカである以上どうしようもない。
「マユじゃなかったら君は誰なんだい〜?」
仕方がないので偽名を使う事にした。
「ワタシ名前神楽・ゴールドバーグ・京介ヨ。」
マユ、それは神楽違いである。しのはらさんちの神楽さん、すんません。
「はははははははー。マユ、あんまりふざけてるとお兄ちゃんおこっちゃうぞv」
「だからいい加減にするネ。ぶっ殺すアルヨ。そもそもふざけてるのはお前の存在ネ。」
一言一言確実に心をえぐるような言葉を浴びせるマユ。
そんなやり取りをしていると、突然部屋に兵士が飛び込んできた。
「ユウナ様!!大変です!!」
「どっ、どうしたんだ?!びっくりしたなぁ・・。」
「侵入者です!!次々と兵士を倒しこちらに向かっています。早くお逃げに・・。」
チャンスだった。マユはユウナの注意がそれてるうちにそのあごにアッパーを
かます。続けてそれに驚いた兵士と一気に間合いを詰め飛び膝蹴りを食らわす
そして、そのまま部屋から飛び出した。

378 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/25(火) 14:37:14 ID:???
「黄昏よりも昏き・・・。」
「やめんかーーっ!!」
とんでもない呪文を唱えようとするルナマリアをハリセンでたたくレイ。
「お前ら!!遊ぶな!!」
アスランはそう言って前に立ちふさがった兵士を切る。
アスラン達はおとりその1である。
ハイネが立てた作戦はこうだった。
『いいか・・、ここにジョーが城の兵士を客に取って入手した城に地図がある。
おそらくマユは最上階のユウナ様とやらの部屋にいるはずだ。それを助け出す。
まず、隠密性に長けたステラ。そして歌の効果で敵の行動を鈍らせる事のできる俺。
そして召喚師であるスティングがなんか旅の召喚師です、お城の教会で祈らせて
くださいとか言って潜入する。
それから十分くらいしたらレイ、アスラン、ルナマリアは城の裏門から。
派手な攻撃のゼロ、ジョー、アキラが正門か突撃。
騒ぎに乗じてグレイシア、ジョーは兵士の服を奪い取って潜入。
カルマは脚力を生かして外から直接城の飾りとかを伝って最上階に侵入しろ。
鉄格子くらいならキックでぶち壊せるだろ。
こんだけ複数から攻めれば万が一誰かが失敗してもマユは助け出される。
説明は以上だ。』

「・・・・・マユ!無事でいてくれ・・!!



379 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/25(火) 14:53:25 ID:???
「ハッ!!」
マユは浴衣の袖に仕込んでおいたトンファーで兵士の頭を叩く。
もちろん、浴衣の下にはスパッツとTシャツを着てある。
それにしても最上階は兵士が多く、中々突破できない。
しかも構造が相当複雑らしく、下の階に下りるのはまだ時間がかかりそうだ。
自分がお姫様と同じ顔なのに戸惑って兵士は襲い掛かってくるものの
こちらを殺そうとはしない。
しかし、相手は鎧を着ている。こちらは丸腰で圧倒的に不利である。
倒す気でやれば倒せるのだがこちらを殺す気のない相手を殺すのは忍びない。
そんな事考えがなら自分はやっぱり軍人だと自嘲するマユだった。
すると、突然横の壁が爆発した。
「ゲホッ!!ゼロ!!お前調合失敗したんじゃないのか?!」
「・・・・・・めんご、めんご。」
「そんな風に謝ってもだめ!!」
壁の穴から出てきたのはアキラたちだった。
アキラが作りだした剣を階段にしてここまで昇ってきたらしい。
微妙に矢が身体に刺さっていたりする。
「あ。マユちゃんみっけー。」
キースがマユに近寄ってくる。
「・・え・・?皆助けに来てくれたの・・?」
「うん、だいぶ兵士の数は減ったからそろそろ皆来ると思うけど・・・。」

「あ!居た!!ってなんだ・・。ゼロ達に先こされちゃった・・。」
奥のほうからカルマが走ってくる。どうやらたどり着いたがこの階で
迷ってしまったらしい。

「マユ!!」
上からステラが降ってきた。・・・どうやら隠し通路を見つけて迷って迷った
末ようやくマユを見つけたらしい。ステラの後からほこりまみれのハイネとスティングとアウルがでてくる。
「あー、なんで城の奥にドラゴンが住んでんだよ・・。」
アウルが呟いた。
・・・どうやら隠し通路はとんでもかったらしい。

その後から敵を倒したレイ達、結局鎧を奪わずに力技で押し切ってきたらしい
グレイシアとジョー・・とイライジャ(獣)。

こうして、なんとかマユ救出作戦は成功した・・・が。

380 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/25(火) 15:10:24 ID:???
「いや〜、お見事だったよ。」
そういって拍手をしながら出てきたのは先ほどマユがのしたユウナだった。
全員、身構える。
「あぁ、警戒しなくてもいいよ。僕は別にあえてそこのマユを誘拐したんだから。君達を試す為に。」
「「「「「「へっ?!」」」」」」

話を聞くとこうだった。
何でも、この世界の『マユ・アスカ・セイラン』は本当に行方不明らしい。
しかし、それは世界の最果てに住む魔王の仕業だということが判明した。
今すぐにでも助けに行きたい、しかし、この国にはそんな戦力がないらしい。
すると、夢に妖精が現われて城下町の旅館にいる『マユ・アスカ・セイラン』にそっくりな
少女がいる冒険者一行に頼むと良いといったそうだ。
本当にその旅館を調べてと、冒険者の一行が一組だけ泊まっていた。自分の妹にそっくりな少女を連れた。
しかし夢のことなので信憑性がない、なのでこのようにして試したらしい。

「いや〜、それにしてもこんなに強いなら安心して頼めるねぇ〜♪」

・・・・・・無論、それを聞いたマユ一行はブチキレ寸前である。
シンハロに対する怒り、そして・・・・このお気楽馬鹿王子のせいで城の兵士という兵士
全部をやっつける重労働を課せられたのだ。しかも、その上魔王を倒せだ?

「・・・・・ハイネ。」
「何だ。グレイシア。」

「食 べ て い い ? あ の 子 。」

「やっちゃえ、グレイシア。」
ハイネが許可するとグレイシアはガシッとユウナの腕をつかんだ。
「あ、じゃあ俺も参加する。」
もう片方の腕をジョーが掴む。
「え、ジョーって受け専門じゃなかったの?」
「何言ってんだ、おれは七つの時から体売ってんだぞ。老若男女相手にしてるっつの。」
「へぇ、そうなんだ。」
平然と二人はユウナを引きずりながら奥へ向かう。
「え?え?ちょっと・・?何の話?いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ユウナは悲鳴をあげながら連れ去られる。
「何?調教?青いアリス?プリンスレベル1?」
「・・・アキラ、あんまりそう言うこと言わない。」
アキラとゼロが遠い目をしながら話す。
「・・・・旅館に帰ろう。うん、もー疲れた。」
マユが呟く。
全員、一斉にため息をついた。


381 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/25(火) 15:14:27 ID:???
・・・オチについてはのーこめんとです。別に決して影の戦記さんにインスパイア
されたわけではありません。始めっからこの予定でした(ぇ
ユウナ受けって需要あんまりなさそうだよなー、とか思いつつ。
今回は長かったなぁ・・、でも、まだファンタジー編は続きます。

隻腕さん、おたくのユウナくん使わせていただきました。ありがとうございます。

次回は隻腕さんちのマユちゃんも出てくる上、別のゲストも登場予定です。

それでは・・・。
451 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/26(水) 19:52:04 ID:???
「俺様の美技に酔いなっ!!」
ここは旅館のテニスコート。いまはマユ一行が貸切で使っている。
結局昨日の内にはグレイシアとジョーは帰ってこなくて、こうして身体を動かして暇を潰すことにしたのだ。
「にゃんじゃらほいっ!!」
キースはそう言ってアクロバティックな動きで対応する。
もう、テニスのプリンスである。
「ここでアスランが『んふっv』とか言って笑ったら最高なんだけどなー。」
「何の話だ、ハイネ。」
ハイネがそれを見ながらポツリと呟いた。ちなみにアウルは銀○中の生徒役で出てたりする。
ちなみにもう一つのテニスコートではではマユとルナマリアが「おちょう婦人!」「蝶サイコー!!」
とか良いながらテニスをやっている。
「お、いたいた。」
声に後ろを向くとジョーとグレイシアが立っていた。
「ずいぶん長かったねー。」
ゼロが作ったスポーツドリンクを飲みながらカルマが言った。
「だってぇv楽しかったんだもんvv」
グレイシアが体をくねらせながら言う。
「いやー俺の客って結構慣れてる人が多かったからよ、あーゆー反応は新鮮だったな。」
・・・・・哀れユウナ。すっかり調教されてしまったらしい。
「ま、でもあんだけ楽しませてもらって何もしないのは申し訳ないから・・・。これ、魔王城までの地図。」
ジョーが古ぼけた羊皮紙をぽんっと投げる。
「おぉっ!いかにもRPGって感じだな!」
キラキラと目を輝かせながら地図を見るアキラ、しかし、地図に目を通した瞬間、言葉を失う。
「どうした?アキラ。」
ゼロが聞くとアキラは魔王城の下の文字を指差した。
『暗黒女帝、カガリ・シーノハーラの城』


452 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/26(水) 19:57:01 ID:???
男性陣は戦慄した。

・・・・・・・・やばい・・アレを潰される・・・・!!

「何々?どうしたのー?」
マユとルナマリアが無邪気に覗いてくる。
「うわぁ・・、勝てるかなぁ・・?」
「そうだよね・・。」
あくまでマユとルナマリアには『強敵』としか映っていないらしい。
「お前ら!!戦闘能力のないジョブのやつ!!ジョブチェンジだぁ!!」
ハイネはそう叫んだ。


454 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/26(水) 20:18:32 ID:???
と、言うわけでやってきました、転職神殿。
「と・・、各自職業を変える人は変えてきてください。自分の身は自分で守れる職業に。」
ハイネはそう宣言した。
職業を変える組と変えない組に分かれることになった。

------------数十分後。
「皆遅いねぇ・・・。」
「アキラもトイレに行ったままかえってこない。」
ここは神殿内にあるカフェ。
ここには職業変えない組であるグレイシア、ジョー、レイ、ルナマリア、ゼロ
アウル、スティング、ステラ、それにマユがいた。
ちなみにアキラも先ほどまでいたのだがトイレに行ってしまった。
おや、どうやら戻ってきたようだ。

「お待たせお待たせ・・、いやーハッスルダンスするお姉さん探したんだけど居なくって・・。」
「お前はトイレをしに・・・・・」
「みんなみんなーー!!」
ゼロのセリフを遮って向こうから走ってきたのはカルマだ、なにやらぶかぶかの中華服を着ている。
「それっ!!」
そう言ってカルマが手をぶんっと縦に振ると袖からヨーヨーが飛び出てくる
「のうわっ!!」
アキラがとっさに避けるとそのヨーヨーは壁に激突する、鈍い音とともにヨーヨーが壁にめり込む。
「ちぇっ!!」
「ちぇっ!!じゃないわ!!この暗黒鰤っ子!!」
アキラが叫ぶ、どうやらカルマはジョブを暗器使いにしたらしい。
「お、おそろいで〜。」
次にきたのはキース・・・が。
「・・・ネコミミモード。」
それをみたルナマリアが突っ込む。
「いやさぁ・・、そういえばこの町に来る途中に「ハーフキャットの心」、手に入れてたんだよねぇ。」
キースは特殊アイテムを使って半獣人、ハーフキャットになったらしい。
全員、心の中でまんまやんと突っ込む。
「すまない!遅くなった!」
「アスラン、お前って本当に優柔不断だなぁ・・。」
見てみるとアスランはSF映画よろしくの全身真っ黒なコートに身を包み、
ハイネは反対にベルバラよろしくの純白の古風な軍服を着ていた。
「・・・・・タオローと・・・マリアさんのコスプレ?」」
アキラがぼそっと呟く。
なんでもアスランはサイキッカーらしい。変身するときはどこかに飛んでいくのだろうか?
「で・・、ハイネは?」
ゼロが聞く。
「革命家。」
「・・・・・強いの?」
ハイネの答えにマユが不安そうに呟く。
「何言ってんだ!!この俺が革命だぞ?!最強じゃないわけないだろう!!」
あー、こりゃハイネのために蘇生アイテム買い込まなきゃなぁ・・・。
全員、そう決心した。

449 :ほのぼのマユデス。隻腕さんとこのハイネ隊その後。:2005/10/26(水) 19:36:38 ID:???
勝手にハイネ隊とミーアのその後を想像しました。隻腕さん、すみません。



ハイネ隊全員はMSから降りミーアの無事を喜ぶ。
「よかったなぁ・・、ミーア・・。お兄ちゃんはもし地球軍のスケベ親父におまえが・・。」
「アキラ、さすがにそれはないと思う。」
アキラとゼロがまるで漫才のように会話する。
いや、といってもアキラは三分の四くらい本気なのだろうが・・・。
「本当に無事でよかったわよねぇ、ミーアちゃんっ!」
そう言ってグレイシアはミーアに抱きつく。
「あー!!俺も俺も!!」
続いてカルマも抱きつく。
そんな微笑ましい様子にハイネ、ジョー、キースも思わず微笑む。
「それにしても・・、やはりこれを渡しておくべきだった。」
そう言ってゼロはミーアに星型の髪飾りを渡す。
「これ・・、ゼロ特性?発信機でも入ってるの?」
ミーアは髪飾りを廻しながら眺める。
「違う、対MS用爆弾。」
「あぶなぁっ!!」
思わずミーアは地面に髪飾りを叩きつけた。

カチッ!!

「「「「「「「「「「「あ。」」」」」」」」」」


チュドーーーーーンッッ!!


482 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/27(木) 21:07:25 ID:???
「ここが・・魔王の城か・・・。」
「あぁ・・・・。」
全員、その城の姿に驚愕した。
その城は黒曜石で出来ていた。日の光の下ならば輝いて美しかっただろうが
曇天の空の下ではその姿は魔王そのもののようである。
周りの木々も全て黒曜石でできており、マユ一行と時折聞こえる魔物の唸り声
以外に命の気配はない。
だが・・、それ以外にも問題はあった。
「・・・・・この崖、どうしようか・・・。」
「どうしようかなぁ・・。」
そう・・、魔王の城の前には険しい谷があり、落ちたら一発でゲームオーバーである。
「うーん、どうしようか・・。」
「ハイネ!!俺がやってみます!!ちょっと、馬車引いてる馬貸して!」
アキラが手を上げる、その手には日本刀が握られていた。
とりあえず、不安なので命綱をつけておく。
そして、日本刀片手にアキラは馬に乗る。
「ハイヤーッ!!ラリー!!」
ある程度距離を取って助走をつけ、そして馬は地を蹴った!!
「「「「「おぉっ!!」」」」」
みんなから感心したような声が聞こえる。
そして・・、馬は飛んで飛んで飛んで飛んで・・・・すれすれのところで落ちた。
「うわぁ〜〜〜!!」
まぬけな声を出して落ちるアキラと馬、皆でそれを引っ張る・・が・・・。
「「「「「うわぁ〜〜〜〜!!」」」」」」
皆同じような悲鳴をあげて、巻き込まれて落ちてしまった。


483 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/27(木) 21:15:19 ID:???
「・・・・というわけで崖のそこだったりします。」
「どうすんだぁっ!!全員無事だったからいいけどよ!!」
アキラに対してハイネが叫ぶ。ここは崖の下、なんとかまだ皆HPが残っており
ゲームオーバーは免れたようだ。
「でも、ハイネお兄ちゃん。こっちの方が正解みたいだよ。」
「「「「「「え?」」」」」」
マユの言葉に全員がマユの方を向く。
すると、そこには巨大な扉があった。
「・・・・なるほど、上はダミーというわけか。」
レイがため息をつきながら言う。

こうして、マユ達は暗黒女帝『カガリ・シーノハーラ』の城に侵入した。



『いいか、まずマユがもう一人の『マユ』を助ける、だから体力回復アイテムは
たくさんもっとけ。え?何処にいるかって。そんなのニュータイプ能力で見つけろ。
あとは俺達が時間を稼ぐ。いいか?』
『言い訳あるかぁっ!!』
『仕方ねーだろ?こっちが派手に騒いで敵を集めてやるからがんばれ。』

マユはハイネにそんなアバウトすぎる作戦を言い渡されて激怒していた。
しかし、マユの足は止まる事がない。なぜか何処に行くべきか解かっている。
「待っててね・・・、『マユ』ちゃん!」


484 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/27(木) 21:26:05 ID:???
「おー、見つけた見つけた。」
シンハロは牢獄の前にこの世界での『体』を出現させた。
「・・・・誰?」
牢獄の中にいる青い翼を生やした青年がたずねてきた。
「思ってた通り綺麗な姿なんだな、マスターフリーダム。嬉しいぜ。」
「・・・・僕はGガンに出てきた覚えはないんだけど。」
青年が静かに突っ込む。
「・・・あんたって、ノリ悪いのな。まぁ、いいや。俺はアンタのために
ここまでしたんだからな。」
「どう言うこと?僕男には興味ないんだけど。」
今度は冷めた風にボケる。シンハロは苦笑した。
「アンタは・・、俺達の『世界』のアンタだろ?話がしたいんだ。
・・・・・あんたは『あの』パイロットと戦場を駆けて楽しいか?」





「はぁ・・・。」
『マユ』はため息をついた。『フリーダム』と共にさらわれてこれで一週間である。
あの馬鹿兄貴が助けに来た様子もないし、暇つぶしの道具もない。
ご飯はまずいし、もう最悪である。
誰か・・、出来ればカッコいい勇者さまでも助けに来てくれないかなぁ・・・と
何回も考えていたことをまた考え出す。
しかし・・、その考えは突然現われた声に中断された。
「おーい、『マユ』ちゃーん!」
・・・その声は自分にそっくりだった。

485 :ほのぼのマユデス。マユデスファンタジー。:2005/10/27(木) 21:41:29 ID:???
「あんたのバカ兄貴から助けてきてくれって頼まれましたから来ましたよー。
私は別に禁断の欲望にたぎるエロ親父じゃなくて清廉潔白な女の子ですので答えてくださーい。」
すると、格子付の窓がある扉の一つから腕が飛び出してきた。
・・・もしあの腕が『マユ』の物だとしたらあの高さから腕が出てくるのはないと
思うのだがマユはあえて突っ込まない。
「えーっと、あぁ、なんだ。せいやっ!!」
マユはその扉の前に立ち、トンファーで鍵を破壊する。
もし魔術式だったら開けられなかったので助かった。
「えーっと、『マユ』ちゃんですかー?」
マユがそーっと扉を開けると・・・・。

そこには自分自身の腕を持った汚れた白いドレスを着た『自分』が呆然と立っていた。

「・・・・バっ・・・、バラバラ・・っ悪魔の・・・!!」
「これ義腕!着腕だから!!」
急いで義腕をつける『マユ』
「なーんだ、エドか。」
「どう言う安心の仕方!?」
マユのボケに『マユ』が突っ込む。なんともシュールな図である。
そうして、しばらく二人を見詰め合ったあと、ぷっと吹き出した。
「・・・そっくりだね。」
「うん!そっくり!」
二人はそう言って笑いあう。
「私の名前は『マユ・アスカ』・・・・・『セイラン』」
あとから付け加えたよう『セイラン』を言う隻腕のマユ。
「んーっと、私は本当は『マユ・デュランダル』じゃないといけないんだけど・・、
特別に『マユ・アスカ』にしてもらってる。」
二人はなんとなく恥ずかしいような気持ちになる。
自分が二人いるという事態は本当は慌てなくてはいけない自体なのだが、何故か心は
安らいでいる。それは、おそらく相手も『マユ・アスカ』だからだろうと二人は納得してしまった。
「さ!さっさとこんなジメジメした所から抜けだして帰ろ!」
「うん!!!」
二人の『マユ』はその手をしっかり握り締めあった。

486 :ほのぼのマユデス。その頃のほかのメンバー。:2005/10/27(木) 21:51:38 ID:???
『よく来たな・・・、人間ども・・。歓迎するぞ・・。』
ゆるりと玉座に身をくつろがせアスラン一行と対峙する暗黒女帝カガリ。
その姿はすきだらけのようで圧倒的な迫力を放っている。
「・・・・。」
アスランはその姿から目を背けた。目の前の女性が決して『カガリ』だからではない。
その衣装だ。
もうミーアのライブ衣装を越える露出度の高さである。しかもそれらは全て地上にあった
城と同じ黒曜石で出来ている。
唯でさえお前何処のギャルゲーの主人公や、と突っ込まされるくらいの
ウブで朴念仁で優柔不断なアスランには刺激が強すぎる。
ちなみにステラ以外の女性になれていないスティングとアウルには刺激が強すぎた
ようで鼻血をたらしている。
「・・ナーガだ・・。ナーガがいる・・・・。」
ルナマリアが恐怖したように呟く。しかし、その目は闘志に燃えていた。
「ルッ・・・、ルナ?」
レイが口をパクパクさせる。
「負けらんないわ!!あんないかにもな衣装を着た巨乳にだけは・・負けられない!!」
お前、それ『ラクス・クライン』への恨みも入ってるだろう。
レイはそう突っ込もうとしたが同士討ちになってはつらいので言葉を抑えた。

537 :ほのぼのマユデス。マユデスファイナルファンタジー。:2005/10/29(土) 21:12:54 ID:???
ファンタジー編ファイナルです。少し長め?



「これで私に角が生えてたらなぁ・・・・。」
「IC○?」
「伏字になってないよ!!」
二人の「マユ」は手をつなぎながら、漫才をしながら城から脱出しようとしていた。
「あっ!!」
角を曲がるとそこにはモンスターがいた。
「くそっ!!ねぇ、その腕に銃とか内蔵されてない?!」
「されてない・・・。」
んなわけないじゃん、と言う目で『マユ』はマユを見た。
「じゃあ錬金術は?!」
「いや、これは決して人体錬成をしたわけではなく。」
びしっっと『マユ』は突っ込む。
「えぇいっ!じゃああたしが何とか倒すから『マユ』ちゃんは自分を守って隠れてて!」
マユはそう言ってトンファーを装備してモンスターに向かっていく。
敵は狼タイプ二匹、コウモリタイプ三匹、モノアイオクトパスが一匹だ。
「じゃ、まずは目潰しっ!!」
マユはわざと敵をひきつけるように大きな声を叫びながらモノアイオクトパスに向かっていく。
に向かう。
やわらかい目玉にトンファーを投げつける、トンファーはそのまま目玉にささった。
モノアイオクトパスはジュブジュブといやな音をたてながら溶解する。
「うぇーーーいっ!!
ステラ風に叫びながらもう片方のトンファーを変形させ、ブーメランの形にして投げる。
それはコウモリタイプを全て倒し、狼タイプのモンスターをひるませる。
その隙にモノアイオクトパスに刺さっていたトンファーを拾いブーメランになったトンファーもキャッチ。そのまま残った狼タイプのモンスターへ向かう。
「ごめんねぇっ!強くってさぁ!!」
今度はアウルのマネをしながら狼タイプのモンスターにまわし蹴りを喰らわす。
が、たいしたダメージにはならなかったらしく跳ね飛ばされるマユ。
そしてそのまま壁に激突した。
「・・・っ!!」
油断していたのを不覚に思い体制を立て直そうとするマユ
「あぶないっ!!」
突然の『マユ』の声に我に返ると、目の前には狼タイプのモンスターがいた。


538 :ほのぼのマユデス。マユデスファイナルファンタジー。:2005/10/29(土) 21:17:14 ID:???

「あぶないっ!!」
『マユ』は思わず叫んだ、が、ここからではどうしようもない。
どうしよう・・、どうしよう・・。
『マユ』の目にはスローモーションでマユに襲い掛かる狼達が見えていた。
しかし・・、体は動かない。
もうだめだ、と思った瞬間、狼達の体が光の帯となって消えていった。
「え・・・・・?」
呆然とするふたりのマユ。
「ったく・・・。マユは俺がいないとやっぱり・・・・げばっ!」
「マユ!!」
格好よく登場したシンハロを突き飛ばして、青い羽の生えた青年が白いドレスの『マユ』に近づく。
「フリーダム!!無事?!」
「うん、僕は平気、マユこそ怪我はない?」
何やら感動の再開を始めるナイトと姫。
「こんにゃろっ!!こんな面倒なことさせやがって!!」
「あぁっ!やめてくださいご主人様!!」
まったくもって感動的ではない会話をするロボットとチャイナ娘。
「・・で、シンハロ。あんたこんだけ面倒なことさせたんだからこの二人を無事に送り届けてよ?
そんくらいはしてちょうだい。」
まるでジョ○ョのようなゴゴゴゴゴゴッと言う効果音をバックにシンハロに詰め寄るマユ。
「はいはい、じゃそこの二人は俺のそばに来て。」
そう言ってシンハロは『マユ』と『フリーダム』をそばに寄せる。
すると地面にに魔法陣が浮かび上がり、光を放つ。
「・・・・・・。」
マユは白いドレスを着てフリーダムに寄り添う自分を見つめる。
そして、取っておきの笑顔で言った。
「またね!」
「うん・・・・!」
二人のマユは笑いながら手を振る。
「んじゃ、また迎えにくるから。」
シンハロがそう言うと魔法陣は光を増す。
そして三人の姿は消えた。


539 :ほのぼのマユデス。マユデスファイナルファンタジー。:2005/10/29(土) 21:18:54 ID:???
『いけっ!!ムラサメ!!』
次々と配下のモンスターを繰り出すカガリ。
「くそっ・・!これじゃ直接ダメージ与えられないじゃないか!!」
薔薇をバックに言うハイネ。
「なんだよ、その薔薇は。」
「だって革命家だから。」
アキラの問いにさも当然のように答えるハイネ。
「・・・・あv」
ステラは何やら敵から盗めたらしい。
「これなにー?」
戦闘中のアウルに聞く。
「うるせぇ!!暇なアキラに聞けよ!!」
アキラは剣を作って投げたり薬で仲間を回復するだけであとは何もしてなかったりする。
「アキラー、これなに?」
ステラは手にしたマイクのようなものを見せる。
「あ、これは確か・・『吟遊詩人』のマイク・・だったと思う。」
「ぎんゆー・・?」
「うん、これで歌うと吟遊詩人と同じ効力が・・・。」
「?」
ステラはアキラの説明が理解できないらしく、頭にはてなを浮かべている。
「えーっと、ほら『ぴちぴちボイスでライブスタート!』」
「あ!」
ステラはようやく理解したらしくぴょんっと高い所にある室内の飾りへと上っていく。
ステラがマイクを構えると何処からともなくピアノの調べが聞こえてくる。

てん、てれれれん♪たーらーらーらー♪
「え・・・?」
「まさか・・・このイントロ・・・。」
「ステラ!!やめろ!!
それに重なるヴァイオリンの調べ。

『悲しみーをこさえてー♪』

「歌詞間違ってる!間違ってるよステラ!!」
そんな突っ込むを隠すように・・、ドドドドドと言う音が聞こえてくる。
それは・・・大波だった。


540 :ほのぼのマユデス。マユデスファイナルファンタジー。:2005/10/29(土) 21:21:19 ID:???

『二度とーこないーーいまー♪あなたのことーしかー見えないー♪』


ザパーーーンと波が引く。
そこにはびしょぬれになってぐったりと倒れているハイネ達と暗黒女帝カガリ・シーノハーラがいた。
「・・・・・何が起きたの?これ?」
駆けつけたマユは呆然としている。
「マユー!」
「うわっ!!」
ステラが上からぴょんっと抱きついてきた。
『ふっ・・まさかこの私が・・・・。』
典型的なラスボスのやられセリフを言おうとするカガリ。
「あーもー、スキップスキップ。音声付だとこーゆーのめんどいよねぇ。」
どこからかだしたPS2コントローラーでとっととセリフをスキップするマユ。いいのかそれで。
長いセリフをスキップするとボヒュンっと煙と立てて暗黒女帝カガリ・シーノハーラは消えた。
『お疲れ様・・。長い事ご苦労だったね・・。』
「ニャイアさん?!」
アキラが突然復活する。
「違うっつーの!!ゲームクリアおめでとう!」
そう言ってシンハロがぽんっと出てくる。例の妖精姿だ。
「さ・・、悲しいけどこの世界も泡沫の夢。さぁ・・・、つらい現実に戻ろう。」

「「「「「「「この世界も充分つらかったわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」」

倒れていた全員も起き上がり、真のラスボス戦と言う名のリンチが始まった。


541 :ほのぼのマユデス。マユデスファイナルファンタジー。:2005/10/29(土) 21:24:46 ID:???
「まったく・・酷い目にあった・・。」
全員あの部屋からでて廊下を歩いている。全員、文句を言いながらも楽しかったようだ。
だがマユは一人だけ難しい顔をしている。
『あの』マユはなんだったのか・・、そしてあの世界が本当にゲームの世界なのか。
しかし、まぁそんなそれこそファンタジーな考えはありえない。あれはあくまでゲームである。
「・・・・・。」
しかし、マユにはどうしてもあの『マユ』の手のぬくもりが偽者だとは思えなかった。

55 :ほのぼのマユデス。大脱走は運動会の定番。:2005/11/02(水) 21:03:58 ID:???
「皆、こっち!」
「おい!!マユ!!」
マユはアウルの声を気にせず走った。
自分がこれからやることが生きてミネルバに帰ってくることも難しくて
たとえ帰ってきたとしても銃殺刑に値する事も解かっている、それは覚悟の上だ。
ハロがアキラと話していた会話に、こう言うものがあった。
「十困ってる者がいれば、九助ける代わりに一を捨てなければならない。」
あのオタク二人組がなんであんな難しい会話をしていたのかは解からないが
それは今の自分に似ていると思った。
アウル達を助けるために自分が犠牲になるのだ。
死んでも寂しくはない、どうせお兄ちゃんとお母さんとお父さんが待っているのだ。
叱られるかもなぁ・・、なんて事を考えながら私はMSの格納庫まできた。
『・・・マユ。』
突然の声に驚くと、そこにはハロが立っていた。他に誰もいない。
『マユ、悪いがここは通せない。』
そう言ってハロは立ちふさがる。
「なんでよ!!ハロには解かるでしょう?!」
ハロはマユの『兄』だ。マユの思考回路なんて簡単に読んでしまうだろう。
『確かに、俺にはマユの言う事は理解できるし納得もできる。』
「だったら!!」
『だが、行かせられない。俺の存在理由は「マユ」だ。俺はマユの為に存在する。マユがいれば俺は「ハロ」であり
「シン・アスカ」だ。けど・・、マユがいなかったら俺は唯の兵器だ。ただ人殺しの道具の試験品。
いらなくなったら捨てられる・・・、唯の道具だ。でも、マユがいれば俺は『シンハロ』だ。
だから、俺はお前を止める、マユ。
そもそも、スティング達が連合に戻って人として扱われなくなるのは『機械』として認められない。
しかし、プラントに戻ってもダメだということも理解している。
けど・・、、マユがスティング達を返しに行ったらマユが殺される。それはだめだ。
「シン・アスカ」としても、「シンハロ」としても許されない。だから・・・・・。』
ハロの言葉はそこで止まった。マユが抱きついたからだ。
「ごめん。」
マユはそう呟いてこの人型ボディのレイと自分しか知らない緊急停止スイッチを押す。
シンハロの体がビクンッと震えてそのまま倒れこむ。
こうすれば誰かが『ハロ』の体に人格データを転送するか、メンテナンスプログラムが完了するまで動かない。
「おい!!まさかお前本気で・・。」
スティングが困惑した声を上げる。
「本気の本気。そこのヘリ使うから・・、あ。ハッチどうしよう・・・・。」
マユは一瞬壊すかとかも考えたがそれはちょっと・・・・、と考えを改めた。
「・・・・・・マユ?」
声に驚いたマユが後ろを向くとメイリンがいた。
「くっ・・・・・!」
これがハイネ隊とかレイだったら余裕で撃滅なのだがメイリンは攻撃できない。
しかたがないのでこっそり持ち出してきたいざという時の為の睡眠薬噴射装置を投げようとする。
が・・、メイリンは慌ててとんでもないことを口にした。
「待って!スティング達を帰しに行くなら・・・私も協力する!!」
「え・・・・・?」
メイリンのとんでもないセリフにマユは目を丸くした。


56 :ほのぼのマユデス。大脱走は運動会の定番。:2005/11/02(水) 21:21:32 ID:???
「何で・・?メイリンが・・・?」
マユは確かにメイリンがステラ達とそれなりに仲良くしているのは知っているが・・。
「だめだ!!」
スティングがメイリンの両肩を掴む。
「見なかったことにしろ!!さっさと部屋に戻れ!!」
スティングは叱り付ける様にメイリンに言う。
「だって!!私スティングに迷惑かけてばっかで!!」
メイリンも負けじと言い返す。
「だってじゃねぇ!!迷惑かけたくないなら部屋に戻れ!!」
「いや!!私だって・・私だって・・・・。」



それからはもうステラはすやすやと寝だし、アウルとマユはマンガを読みながら二人のケンカを聞いていた。
その二人の言葉から理解する二人の馴れ初めや話はもうそりゃ少女マンガ真っ青の青春ぶりである。
寝ているステラはともかく、アウルとマユはおそらく25mプールが埋まるであろう
量の砂糖を口から吐いている。
「マユ・・、口直しに武装○金読みたいから貸せ・・。頭の中がストロベリーだ。」
「いいよ、じゃあアウルもジョジ○貸して・・・。頭の中がディ・モールトやばい。」
「ネオ・・・・ゲン・・・・・。」
結局、マユがスティング達を返すためにミネルバを出発するのは予定より遥かに遅くなった。

63 :ほのぼのマユデス。最下位の再開。:2005/11/03(木) 17:48:47 ID:???
「約束どおり一人出来たぞ!!」
ネオがそう言ってウィンダムを降りる。
そこにはステラ達三人組。そしてその前に一人の少女が仁王立ちしていた。
・・・・バズーカに二挺拳銃、そして何より何かのスイッチを手にして。
「ふん、来たか・・・・・。」
明らかに見かけとはま逆の口調で話す少女。
たぶん言葉だけ聴けば微笑ましいが、そこに詰まった殺気は大人でも震えるほどだ。
「この通りステラ達は無事よ。私はステラ達を返しに来た・・・・交換条件つきでね。」
「交換条件だと?」
ネオは眉をひそめた。
「そうよ・・、これ以上ステラたちから・・・・・。」
『ステラーーーーッ!!』
マユの言葉をさえぎり大声と共に上から黒い人影が降ってくる。ストライクMk-Uだ。
ぷちっと上司と思われる仮面の男をあっさりつぶすストライク。
「ゲン!!」
ステラの顔が輝く。
ストライクのパイロットはMSから降りるやいなや、ステラの元へ高速で駆け寄った。
「ステラ無事?怪我はない?体調は?ザフトに変なことされなかったか?
ご飯はちゃんと食べてる?歯磨きはきちんとしなさい?あとお外からかえったら
きちんと手を洗ってうがいしなきゃだめだよ?」
「・・・・おーい、途中からおかんになってるぞー。」
スティングが突っ込むがストライクのパイロットは止まらない。
「・・・聞いてねぇ・・。つーか、俺ら眼中になし?」
アウルがため息をついてぼやいた。
しかし、そんな中、マユはストライクのパイロット・・ゲンをみてなにやら震えている。
「その・・何かしらネジが全て抜け落ちてる言動・・・・異常なまでの粘着質な愛情・・・
そのこと意外は一切目に見えてない執着心・・・・・まさか・・。」
マユはガタガタと二挺拳銃を構えたまま震えている。
「・・・・・・マ・・、マユ?」
スティングがマユの異常に気づきそーっと近寄ると・・。

「何やってんだーーーー!!こんのくそみそ兄貴!!」

と、さけんでゲンの頭に回し蹴りを叩き込んだ。


64 :ほのぼのマユデス。最下位の再開。と、別れ。:2005/11/03(木) 18:21:57 ID:???
「死んだと思ったら連合でなにやってんのよ?!修正するわよ?!」
まるで二挺拳銃をトンファーのように構えながら叫ぶマユ。
「なっ・・、何なんだよ!あんたは!!オレはあんたなんか知らないぞ!!」
「ふーん・・、あんだけしつこく兄妹じゃなかったら裁判して訴えて人生ぼろくそにするぞー
ってくらいストーカー行為を繰り返してたお兄様が記憶喪失?ふーん・・・血祭りじゃあ!!」
「なぁっ!!本気で撃ってくる奴があるかー?!」
「うるさい!!その趣味悪い仮面ごと脳髄をぶちまけてやる!!」
「うわぁ!!こんな妹いらねー!!」
「気にしないで!私ツンデレだから!!」
「ツンデレじゃない!!こんなのツンデレじゃない!!」
追いかけっこを始めるマユとゲン。
いや・・、それは追いかけっこといっても生死をかけたものなのだが。
「すげー、マユ。あのゲンを本気で追い詰めてる。」
「確かに・・、あいつはマユみたいな年下・・いや、年下の女の子には手を出せなかったからなぁ
・・・。」
「マユ・・・ガンカ○・・・うぇーい・・。」
エクステンデッド三人組はそれを微笑ましく見守っている。
「しねぇぇぇぇぇ!!オレの下であがけぇぇぇ!!」
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
マユの狂気じみた姿にゲンは恐怖する。
「そこまでだ!!」


65 :ほのぼのマユデス。最下位の再開。と、別れ。:2005/11/03(木) 18:23:54 ID:???
突然の制止の声にマユはピタッと止まって声の方を見る。
すると、そこにはウィンダムに乗っていた男がビシッとヒーローよろしく立っていた。
といっても、生きているのが不思議なくらいボロボロだったが。
「いや、ヘルメットがなかったら即死だったな。」
「ヘルメットがあっても即死だ、ネオ。」
仮面の男に容赦なくスティングの突っ込みがはいる。
「俺は不可能を可能にする男だからいいんだよ!!・・・・で、お嬢さん?
君はステラ達を俺に返しに来たわけでそこにいる男を殺しに来たわけじゃないんだろ?」
ネオが話しかけるとマユははっとして手を下ろした。
「そうだった・・、バカ兄貴が記憶喪失なんてことになってるから・・。」
「お前なんてしらな・・・・。」
ズキューンッ!!
マユはゲンに当たるすれすれの所を撃った。
「返すのついての条件は一つよ・・・・。
別に戦場から離せとか、そう言う不可能かつ難しいことは言わない。
ただ・・・・・・これ以上、ステラ達から何も奪わないで。」
マユは今にも泣きそうな声で喋った。
「解かった・・約束しよ・・。」
「約束じゃだめ。契約よ。」
マユはネオに言い放った。
「約束を大人は必ず破る・・、だから契約。
契約だったらペナルティがあるから、大人は破らない。
そうね・・、契約違反したら・・必ずあなたを殺す。
ううん・・だめ。コロスだけじゃ飽き足らない・・・。
ずっとずっと苦しめば良い・・、それこそ理性がなくなっても限りない苦痛に悶え死ねばいい・・。」
少女の姿に不釣合いな怨嗟と狂気・・、しかしそれは少女の『大切な人』を守りたいと言う
無垢で純粋な美しい意思から生まれでた物だった。
「解かった・・?これは契約。約束なんて薄いものじゃない。」
少女の目が暗く沈んだままネオを見返す。その目は本気だった。


66 :ほのぼのマユデス。最下位の再開。と、別れ。:2005/11/03(木) 18:24:52 ID:???
「・・・・解かった・・・、これは契約だ・・・。」
ネオはしばらくの沈黙のあと、答えを出した。
「うん、それならいいや。」
そう言うとマユはステラ達に別れを告げる。
「またね、ステラ。またお茶しよ?」
「マユ・・・・。」
ステラは悲しそうな目でマユを見つめる。
「またね、スティング。メイリンは必ず私が守るから。」
「・・・・・頼む。あいつ、誰かがついてやらないとだめなんだ。」
スティングはまっすぐな目をマユに向けた。
「じゃあね、アウル。戦場であったらまっさきに襲い掛かるから。」
「なんで俺のだけそんなセリフなんだよ?!」
マユの突然のセリフに突っ込むアウル。
「決まってるでしょ?!私のデザートを食べたものは万死に値するの!!」
「そんなてめぇのルールしるか!!」
「うっさい!氏ね!」
「死ぬのはお前のほうだ!チビ!」
ステラ達から見ればいつも通りのケンカを始めるマユとアウル。
しかし、今日は流石に勝手が違っていた。
アウルの顔面の前でマユは拳を停止させる。
「・・・あんたとの決着はまだついてない。生きてまた生身で私と戦いなさい。
今よりずっと強くなってコテンパンに伸してあげる。」
「ふん!それはこっちのセリフだね!お前なんか圧縮してやるよ!」
あまりにも子供っぽいが、あまりにも悲しい別れの挨拶。
「そう、あと最後の一人・・・。おい、バカ兄貴。」
マユは先ほどのバーサーカー状態になってゲンを見つめる。
ゲンはビクッと身構えるが・・・。
マユはにっこり笑ってこう言った。
「早く思い出して迎えに来てよね、お兄ちゃん!」
そう言って、マユは背を向け、乗ってきたヘリに乗り込んだ。

82 :ほのぼのマユデス。違えた道。:2005/11/05(土) 20:14:17 ID:???
「・・・・・・・・・・・・・。」
マユはミネルバの格納庫に戻り、黙ってヘリから降りた。
周りを銃をもった男に囲まれる。
その中に、一人なんの武装もしていない男がいた。
「ゼロお兄ちゃん・・・・?」
特に自分と関わりのない彼がどうしてここにいるのだろうと考えていると・・。
突然、頬を叩かれた。
「え・・・?」
まさか予想もしていなかった痛みに呆然とするマユ。他の面々も驚いている。
「どうして余計なことをした!!」
ゼロが普段からは考えられない怒りの声をあげる。
「あと少し!!あと少し苦しみに耐えるだけで!!彼らは『兵器』から『人間』に戻れたんだぞ!!
それをキミが余計なことをして連合に戻した!!キミさえいなければ・・・・!!」
冷静な仮面を完璧に崩して激昂するゼロ。
「ゼロ!落ち着け!!」
ようやく追いついたと思われるハイネ隊の面々がゼロを取り押さえる。
「離せ!!許さない!!絶対に許さない!!」
ゼロは暴走を続ける。
「ゼロ!今は過去を悔やむよりこれからの事を考えろ!お前らしくないぞ!!」
ハイネの言葉にハッとしてようやく冷静になるゼロ。
「・・・・・すまない。」
そう一言言うとゼロはバッと包囲を振りほどきそのまま帰っていった。
「どこ行くんだ!!ゼロ!!」
「射撃場!!」
ゼロはまだ怒りが収まっていないらしくずんずんと行ってしまった。
「・・・ゼロが・・射撃場?」
カルマがぽつりと呟くとハイネ隊の顔からさぁっと血の気が引いた。
「やばい!!ゼロをとめろ!射撃場が使い物にならなくなる!!」
ハイネ隊はわーっと慌てながら騒がしく去っていった。

83 :ほのぼのマユデス。違えた道。:2005/11/05(土) 20:29:55 ID:???
「あぁ・・・。」
射撃場についたアキラは絶句した。
的という的は全て真っ二つにされ時には何百もの破片にされてるものもあった。
「やっちゃった後だったわね・・・。」
グレイシアが頭を抱える。
ゼロは息を荒くしながら射撃場の中心にいる。
その手には拳銃ではなく、一枚の布だった。
「はぁ・・はぁ・・・・・っ!!」
いまだに興奮しているらしく、さらに真っ二つになった的を布で切り裂く。
またある的は布地で締め付け、砕く。
「・・ゼロのこの技、MSに生かせないのが残念だよねぇ・。」
キースが他人事のように呟く。
「布で鉄を切り裂くなんて少年漫画みたいなことやっちまうのは凄いんだけど・・、対人ならともかく
MS戦じゃあビーム兵器にやられて終わりだし・・・・それに。」
ジョーが呆れながら言う。
「それ以前にそんなこと行っても軍の上層部は信じてくれないしね。」
ましてや問題児の集まりの『ハイネ隊』なんかじゃさ、とカルマがため息をついて続きを言う。
「ハイハイ、ゼロ君そこまで。」
ハイネがゼロの肩をぽんっと叩く。
「ハイネ・・・。」
ゼロは相当汗をかいていた。無駄な事を嫌う彼はめったに汗をかかない。
「落ち込んでるゼロ君に嬉しいお知らせv」
「?」
ウィンクするハイネに?マークを浮かべるゼロ。
「ハロに頼んどいた物がジブラルタルに届いたそうだ。きっと気に入るぞ。」
「???」
ゼロはハイネの言葉にさらに?を浮かべた。
しかし、ハイネは満面の笑みを浮かべてゼロを見つめるだけだった。

103 :ほのぼのマユデス。恋する乙女は最強だ。:2005/11/07(月) 23:22:58 ID:???
「・・・ごめんね、メイリンお姉ちゃん。巻き込んじゃって。」
「別にいいよ、私も自分がやりたくてやったわけだし・・。」
ここは独房。メイリンとマユは連絡がつくまでここで拘束されている。
「メイリン!マユ!」
突然の声に驚くと、独房の前にルナマリアが立っていた。
「何でこんな馬鹿な事やったの?!」
ルナマリアは目に涙を浮かべながら叱咤する。
「何で・・・!!何で捕虜を帰すなんてバカな真似したの?!
軍人だったらそれくらいわかるでしょ?!自分が殺されるのよ?!」
ルナマリアは怒りながらボロボロと涙を流す。
そんなルナマリアにメイリンは申し訳なさそうに、一言言った。
「・・・お姉ちゃんはさ、好きな人を守るのに理由がいるの?」
そして、メイリンはまっすぐルナマリアに視線を向けた。
「スティング達がプラントに送られたら、散々身体をいじくられて、人として
見られなくて、最後には殺さるかもしれないのに・・・私は黙っていることなんて出来ない。」
「でもっ・・!!メイリンが何でっ・・・・!スティング達は私達のこと忘れちゃうのに!!」
「・・・記憶に残るとかそう言うのは関係ないよ、お姉ちゃん。私はスティングのことがすき。
それは絶対の事実で、スティングの思い出がなくなっても変わらない。
スティングが生きれるっていうなら、たとえ私のことを覚えてなくてもかまわない。
私はスティングが・・、ちょっとでも幸せを感じて生きてくれるなら・・・それだけで充分。」
メイリンはそう言って両手を胸に当て重ねる。
まるで大事な宝物を守るように。


「・・・・おーい。二人ともー?もしもーし?」
その頃、隣の独房のマユは完璧に置いてけぼりだった。
133 :ほのぼのマユデス。極楽独房マユ日記。:2005/11/09(水) 20:31:43 ID:???
○月☆日
独房は激しく暇なので、たまってたプラモデルを作る事にする。
レイ兄ちゃんにライトや道具も持ってきてもらってレッツトライ。

・・・・・・・独房は空調があまり聞いてないのを忘れてスプレーを使いとんでもないことになった。
メイリンお姉ちゃんにお詫びにアイスをおごる約束をした。

本日のおやつは紅茶のシフォン。
ふんわりクリームとの絶妙な甘さのバランスがたまらない。

○月■日
ルナマリアお姉ちゃんがNAN○を持って来てくれたので、メイリンお姉ちゃんと二人で読む。
CDも聞いて、映画のキャストについて文句をいったりする。つーかナオ○出番すくなっ!
ノリノリでレ○ラと○ナの物まねで歌っていたところをご飯を届けに来たハイネお兄ちゃんに目撃される。
笑われると思いきやみっちり歌のレッスンをさせられた。疲れた。

今日のおやつはニホンのオキナワって所のドーナツ「さーたーあんだぎー」
アキラお兄ちゃん特製であげたてサクサク。

○月△日
アキラお兄ちゃんがモニターつきゲームを持ってきてくれた。
これでTVがなくても遊べる!やったね!嬉しーど!
アキラお兄ちゃんが持ってきてくれたゲームソフトは・・・・・。
『王子○Lv1、Lv1.5』
・・・・・・本気かいな、あの人。
ちなみにメイリンお姉ちゃんはNAN○のゲームを貸してもらったらしい。ずるい。

今日のおやつはクッキー。
飲み物のココアにはマシュマロが浮かべてあった。

○月×日
王子が育たない!!何故ですか?!
メイリンお姉ちゃんもノ○を落とせないと騒いでいた。
何故か一番嫌いな○クミばかり好感度が上がるらしい。世の無常よのぉ。

今日はおやつは遠慮しておいた・・・。
さすがにコーディといえどそろそろやばい。

○月♪日
・・・・・・・緊急事態で、インパルスが必要になったらしく私が呼ばれる。
メイリンお姉ちゃんもブリッジに一時的に戻る事になった。
まだ、この時私はあんな事になっているなんて想像もしなかった。


146 :ほのぼのマユデス。幻の痛み。:2005/11/10(木) 23:55:48 ID:???
「で・・、最適化したステラ達はどうだ?」
ネオ・ロアノークはエクステンデッド担当の医師に言った。
「はい、なにやら報告によると前とだいぶ変わった所があるようで・・、
まぁ、戦闘に支障はないでしょう。お聞きになりますか?」
「あぁ。」
医師の報告にネオは耳を傾けた。
「まず、ステラ・ルーシェについてですが・・、なにやら食後にデザートを
求めるようになったようです。」
「は?」
ネオは思わず間抜けな声をあげる。
「しかも、ガトーショコラだのバナナオムレツだの今まで食べさせたことの
ないようなものばかり求めるそうで・・・。」
「もういい、他の奴らは?」
ネオは気を取り直して言った。
「ゲン・ヘーアンについては他のエクステンデッドから聞いた話なのですが
なにやら・・・美少女ゲームをやりながら『そうだよなー、マユ。マユはお兄ちゃん
のこと大好きだもんなー。』と無意識のうちに喋っているのを聞いたそうです。」
「・・・・・・・・・。」
言葉を失い頭痛のする頭を抑えるネオ。
「そして、スティング・オークレーですが、なにやらステラ・ルーシェの髪を
二つに頻繁に結んでいるようです、というか気がつくと勝手に結んでいるらしいです。」
「・・・・・・戦闘に支障はないが、ろくなもんがないな。」
ネオは思ったままの言葉を口にした。
「あ・・、しかし最後にいい方向に変化している奴がいます。」
と、なると残りのひとりだろう。
「アウルか?」
「はい、何やら急に体を鍛え始めたそうです。」
そうして医師は最後まで報告をして戻っていった。
「・・・・・・・いくら消しても本当に大切なもんは消えないのかねぇ・・。」
そう言ってネオが見たモニターの先には、巨大なMSの図があった。

155 :ほのぼのマユデス。あぁ、隊長様。:2005/11/12(土) 20:31:23 ID:???
「くそっ!!何なんだよ?!あのバケモンは!!」
ジョーは悪態をつきながらパイロットスーツに着替える。
「何だって地球であんな事やってるのよ連合は!!」
グレイシアは髪を纏めながら言った。
「・・・・・・・・・・。」
ゼロは黙っているがそのスピードは普段よりずっと速い。
「・・・・所でハイネは?」
カルマの言葉に全員が固まった。


「ちょっとー?!ハイネー?!」
ハイネは部屋に閉じこもったまま出てこない。
「・・・・・・まさか・・・・。」
「こんな時に・・・・。」
ハイネ隊は全員汗を流す。
そして、キースは呟いた。
「ハイネ・・!こんな時に『ほーこたんコレクション』を見始めちゃったなんて・・・!!」



156 :ほのぼのマユデス。あぁ、隊長様。:2005/11/12(土) 20:34:02 ID:???
もうこうなったらハイネは絶対扉を開けないことをハイネ隊を知っている。
だったら・・、力ずくで引きずりだすしか方法はない。
「うし、下がってろ。」
ジョーがどこからともなくバズーカを取り出す。
「オラオラオラァ!!行くぜぇっ!!」
何かが取り付いてるように見えるが、気のせいである。
ジョーはバズーカの嵐を容赦なく扉にぶつける。
しかし・・・・・・。
「フェイズシフト装甲だと?!」
そう・・、他の壁と変わらない色だった扉はオレンジ色に変化していた。
これではビーム兵器でも持ってこないと破壊は無理である。
その後もハイネ隊によるハイネ引きずり出し作業は続いた。
「そんな・・、たかがドアロックにこんな複雑な防壁が?!くっ・・・・・。」
ドアロックを解除しようとしたり。
「ほらー?ハイネー?ignitedだよー?俺達で歌っちゃうよー?」
ハイネの習性を利用したり。
「ハイネ、灰色+同盟のドラマCDよー?主役ほーこたんよー?」
ほーこたんにはほーこたんを。
「エクスカリヴァーーー!!」
「だめだ!!そんなことしたら・・!!」
天岩戸のごとく急にとんでもない芝居をしてみたり。
「俺は・・・失敗作なんかじゃないーーっ!!」
「うわーー!!カルマが壊れたー!!」
中には精神崩壊し始める者まで。



「で、そんなことしててハイネ隊の皆が体力使い果たしちゃったんで私が釈放されたんですか?艦長。」
『・・・・・・・・・・・・そうよ。』
マユが乗ったコアスプレンダーはハロが既に準備を整えてくれていて今すぐにでも発進できる。
『コアスプレンダー、発進どうぞ!!』
メイリンの声がコアスプレンダーに響く。
「マユ・アスカ」
『MH-P Shin-HARO!!』
「『コアスプレンダー、行きます!!』」

195 :ほのぼのマユデス。惨殺魔法MS マジカルインパルス登場!:2005/11/14(月) 23:54:02 ID:???
「・・あれ?ハロ。今日、なんかいつもと違わない?」
『ふっふーん、なんと俺オリジナルインパルスなのだーvようやく仕上げが終わってさーv』
マユがチェストフライヤーなどを見て言ったの問に自信満々に答えるシンハロ。
「おおう、なるほど。じゃあちょっくら見せてもらいましょうか。」
そして、インパルスが合体すると・・・・。

通常のMSより遥かに大きい腰のスカート部分、そこからはバーニアが噴出している。
そして手の部分の装甲は花びらのような飾りがついている。
・・・・・・そして、全体的な色はピンクと黄色と白である。

「・・・・・ハロ、これ何?」
『マジカルインパルス。』
マユはシンハロが答えた瞬間バシバシとシンハロを叩き始める。
『いたいたいたいたいたい!!外見はふざけてるとか思うかも知れないけど
性能は折り紙付だって!!』
「ほほう、ならばいってみせい。」
脅すマユにハロはインパルスのモニターに図形を出現させる。
『えー、まずこの腰の部分のバーニアによってフォースシルエットをつけてなくても
同等の推力が得られます。ようするにソードシルエットとかでも空を飛べます。』
「それで?」
『武器はマユに合わせたトンファーを特別に作りました。ビームガンとしても使えます。
あ、もちろんビームサーベルにも。』
「ふむふむ。」
『インパルスの合体機能を利用して一からフレーム構造を見直し、より格闘戦向きに仕上げました。
ほぼマユの思った通りに動いてくれます。』
シンハロは一通り説明を終える。
「でさ、このデザインは?」
『・・・・・・・・・・・・だってさ、魔女っ子ってステキじゃん。』
「あんたってメカはぁぁぁぁっ!!」
207 :ほのぼのマユデス。破滅との戦い。:2005/11/15(火) 23:12:18 ID:???
「行くよっ!!シンハロ!!」
『了解っ!!』
気を取り直して私は巨大なMSに向かって飛んでいく。
確かに外観はふざけているが、性能は申し分ない。
・・・・後で外見のデザインと名前は変えさせよう。うん、絶対。
『マユ、おそらく敵はあのビームバリアのおかげで遠距離攻撃は効かない。
攻めるなら一気に距離を詰めろ!!』
シンハロの言葉どおりに私は一気にアクセルを踏み込み加速する。
しかし、そんな私の目の前に三体のウィンダムが立ちふさがった。
一体は青、もう一体は緑、そして最後の機体は・・紫。
「っ・・!!まさかあの変態ネコミミ仮面・・!!」
マユは激昂する。・・結局あの男は自分との契約を何一つ守らなかったのだ。
『・・・マユ・・?マユ・・・・・?マユ・アスカさーん?』
普段とは明らかに違うマユの様子にシンハロは不安な声をあげる。
「上等よ・・・、あのおっさん・・・。24時間フルアスランお兄ちゃんコンサートの刑よ!!」
『マユー!!それだけはダメだーーー!!たとえどんな人間だとしてもあれは人に
聞かせて良いものじゃないーー!!止めるんだー!!』

208 :ほのぼのマユデス。破滅との戦い。:2005/11/15(火) 23:26:50 ID:???
「シンハロ!!メイリンとあの緑のウィンダムを通信できるようにつないで!!」
『えっ・・?!何で・・?!』
マユの唐突な言葉に困惑するシンハロ。
「いいから!!愛の力でどうにかなるの!!やれ!!」
『は・・っ、はい!!』
マユに脅されシンハロの目の部分が点滅する。
そして、通信がつながったらしい緑のウィンダムの動きが止まる。
・・・・・・十秒経過。
『すまねぇネオ!!俺は愛に生きる!!』
『おい!!こらスティング!!』
シンハロを通じて相手の回線の会話を聞く。・・・スティング説得完了。
・・・・・青のウィンダムは・・・・。
「てりゃっ!!」
緑のウィンダムを呆然と見てた隙にフリーダムヨロシクに青のウィンダムをだるまにする。
そのまま落ちていく青のウィンダム。・・・・アウル説得完了。
『今の全然説得じゃないよ!!』
「肉体言語で語ったのよ!!」
『あんたって人はぁぁぁぁ!!』
シンハロの言葉を無視して
紫のウィンダムは・・・・・雑魚だからほっといても大丈夫だろう・・。
さて、最後の問題は・・・・。
「ステラ・・・・。」
マユはおそらく巨大なMSに乗ってるであろう友達の名前を口にした。


229 :ほのぼのマユデス。昔と今。:2005/11/17(木) 21:43:13 ID:???
「ステラーッ!!」
マユは叫びながら巨大なMSに向かう。
しかし、敵のMSは容赦なく攻撃してくる。
『シールド発動!!』
シンハロがインパルスの両手を前にかざすと手首部分の花びらのような飾りが
持ち上がり、そこからビームシールドが幾重にも重なるように出てくる。
それは巨大なシールドとなり無慈悲な攻撃からインパルスを守る。
「おぉっ!!」
思わず感嘆の声をあげるマユ。
『後でアキラに怒られるなー・・、『そのシールドは俺が使いたかったのに』とか言われそう・・・。』
マユ、ハロともに不敵な笑いを浮かべながら進んでいく。
しかし、その前にさらに黒い影が浮かび上がった。
「ストライクッ・・!!!あんのバカ兄貴!!」
マユはトンファーを取り出し、さらにそこからビームサーベルを出す。
ストライクもサーベルを構えるが、その時、突然巨大MSにビームの嵐が突き刺さった。
むろん、それらは塞がれたがそれでもその鮮やかな攻撃は出現したモノの存在を示すのに
充分だった。

「フリーダムッ・・!!何でこんなに悪いことが立て続けに起こるの・・・!!」
マユは思わず舌打ちをする。
『バカマユッ!!チャンスだっつーの!!』
シンハロはマユを叱咤し自らインパルスを操作してフリーダムに注意を向けた
黒いストライクの横を抜けていく。
スピードを上げてステラの所へ向かうがすぐに黒いストライクが追いついてくる。
「くっ・・・・・・。」



230 :ほのぼのマユデス。昔と今。:2005/11/17(木) 21:57:35 ID:???
しかし、突如ストライクに突撃する緋色の影。
『マユ!!』
聞きなれたもう一人の『兄』の声が聞こえる。
「レイ兄ちゃん!!なんでグフイグナイテッドに・・・?!」
『ハイネ隊が隊長が使い物にならないのでこれででてくれ、と。
マユ、黒いストライクは俺が引き受ける。それに・・・。』
レイが指した方向を見ると自由の死神に裁きを下す赤い救世主。
「セイバー!!アスランお兄ちゃん?!」
『アスラン?!』
マユとシンハロは驚く。確かセイバーは動けはするものの万全の状態ではないはずだからだ。
『まだエネルギーラインの調整が終わってないのでビームライフル、ビームサーベルは
使えないが本体に直接ついているビーム砲、そしてハイネ隊のメンバーから
借りた実弾兵器を装備している。倒すのは無理だが時間稼ぎなら大丈夫だそうだ。』
レイが笑いながら告げる。
『行って来いマユ!!お前なら大丈夫だ!!ステラ達を助けて来い!』
レイに励まされマユはまっすぐ巨大MSへ向かう。
「・・・・・大丈夫、私はもう一人じゃない!!」
マユの言葉に答えるかのように駆動音を上げるインパルス。
仲間がいて、相棒が支えてくれる。マユにはステラを助けられない可能性が考えられなかった。
266 :ほのぼのマユデス。破壊との決戦 :2005/11/18(金) 18:44:53 ID:???
「キラ!!やめろ!」
アスランはキラを説得しようと試みる。
『アスラン・・・?!どうして・・・・。』
「おまえこそ一人でどうした?!アークエンジェルは?!」
アスランはキラに問い返す。
『皆は・・正式なオーブ軍になったから・・、だからボクだけ・・。』
キラの話から読み取るに、アークエンジェルはオーブ軍の正式な所属となり、戦闘を止める
ような事はやめたのだろう。
しかし、キラはそれに反対し、オーブ軍を単独で抜けた・・・そんなところだろう。
「キラ!!おまえ一人でそんなことしてどうする?!カガリにも迷惑がかかる!!ラクスだって・・・。」
『違う!!ラクスはボクの味方だ!ボクは・・・ラクスの為に・・・、世界の為に・・!』
「・・・・・・キラ・・・。」
おそらく、キラは怖いのだろう。今までたくさんの人を殺して、大事な人が逝ってしまって・・。
だから、ラクスと言う『女神』にすがっているのだろう。
だが、アスランの頭に疑問が残った。確か、今ラクスは孤児の世話をしていたはずだ。
世界の平和の為に歌うのではなく、大事な人達の為に歌う。それを彼女は非常に気に入ってたはずだ。
『私・・・、小さな幸せに憧れてたんです・・。普通の女の子に。だから、今の生活がとても嬉しくて・・・。』
アスランが見たこともないような華やかな笑顔で笑うラクスを思い出す。
・・・・・なぜあんなに幸せそうだった彼女があの生活を放棄してまでキラに賛同しているのか・・。
『だから・・・!キミがボクの敵というなら・・!!』
キラは本気の攻撃をアスランに仕掛けてくる。
「待て!!キラ!!」
そして、赤と青のダンスが再び始まった。

267 :ほのぼのマユデス。破壊との決戦 :2005/11/18(金) 18:58:55 ID:???
「・・・・・・・・!」
レイはストライクのパイロットの存在を一対一となって改めて感じ取る。
そう・・・、この感じはマユ・・、そしてシンハロに良く似ている。
「まさか・・・・!」
レイは刃を交えながらもストライクのパイロットの存在をより深く感じようとする。
それは、マユと非常に良く似た炎を纏っていた。何かの為に燃え続ける炎だ。
だが・・、しかし何か壁のような物に包まれていてよく解からない。
しかし、この燃え方は・・・・。
レイの結論は出た、おそらく間違いないだろう。
「マユの兄・・・・シン・アスカか!!」
レイは黒いストライクとの回線をつなぐ。
『何だよ?!俺に降伏するか?!』
興奮した様子でストライクのパイロットが笑う。
「・・・・・おまえ、シン・アスカか?」
その名を呟いた瞬間・・、ストライクのパイロットの動きが止まった。
『シン・・?シン・・・ア・・・・スカ・・?しん・・・しん・・・。』
ストライクのパイロットは急に何かに怯えるかのように震えだす。
「あぁ・・、言い忘れたな。『マユ・アスカ』の兄、シン・アスカか?」
『マユ・・・アスカ・・?シン・・マユ・・・兄・・・・・・。』
マユの名前を言った途端、急に体の奮えが止まる。レイが訝しく思った瞬間。
『うぅぅぅぅう・・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
急にストライクのパイロットは暴走し、切りつけてきた。
(・・戦女神の加護を与えてしまったか・・・。しかし・・、間違いない!!)
「シン・アスカ!!」
『ガァァァァァァァァッ!!アアアアウウウウウウゥゥゥウッ!!』
壊れた機械のように吼えるストライクのパイロットの真の名を、レイは呼び続けた。

268 :ほのぼのマユデス。破壊との決戦 :2005/11/18(金) 19:22:07 ID:???
「ステラ!!」
マユはステラに語りかける。
『おまえぇぇぇぇぇぇっ!!よくもアウルを!!』
アウルを倒されたステラは怒り、マユにひたすら攻撃する。
「・・・くっ!!」
マユは必死に攻撃を避け、防ぐ。
『まぁ・・、狙いがこっち向く分民間人の犠牲は減るかな・・・っ!!』
シンハロがとっさにインパルスを分離させ、ミサイルを避ける。
が・・・・、マユが見たミサイルの先にはそこで死んだ母親を起そうとする子供がいた。
「・・・・・っ!!」
ミサイルを打ち落とそうとするが遠距離攻撃がない今のインパルスでは届かない。
マユの目が絶望の色に染まった時、突如ミサイルが打ち落とされた。
『ごめん!マユちゃん!ちょっと遅くなっちゃった!』
そこには一見オレンジショルダー以外は普通のザク・・、カルマのザクがいた。
「カルマ!!」
マユは驚きのあまり叫ぶ。
『民間人は俺達ハイネ隊が全力で守る!だからマユちゃんはそのMSを!』
「解かってる!!」
カルマの力強い言葉に、涙ぐみながら、マユはステラにふたたび語りかける。
今度は叫ぶのではなく、物語を読み聞かせるように。
「ステラ・・、一緒にさ、ハイネ隊の劇の衣装で着せ替え遊びしたよね。
その時、ステラってばドレスの裾ふんで転んじゃって・・・。」
インパルスは武装はせず静かに巨大MSに近づいていく。
「皆でカラオケ大会もしてさ・・・。アスランお兄ちゃんの歌、すごかったよね。
ステラの歌も可愛かったよ?そういえば私の歌の感想まだ聞いてないな。」
マユは巨大MSの胸部に来る。そこは巨大なビーム砲の正面であり、指一つでインパルスは消滅する。
「シンハロのゲームの体験版ですっごい酷い目にあったよね。
物凄い強い敵と戦わせられたり・・。ステラ、私を助けにお城に乗り込んでくれたよね。ありがとう。」
そして、インパルスのハッチが開き、パイロットの姿が見える。ヘルメットをとった少女の目には涙が流れていた。
「ステラ・・・、ちょっとの間だけだったけど、私達友達だよ。
こんなに、ステラ達との思い出がある。それを考えただけで、こんなにあったかい。だから・・・・。」
マユは全てを受け入れるように腕を広げる。
「おいで・・、ステラ。一緒に、アウルもスティングも・・・。皆一緒に。」
マユが告げた途端、巨大MSのハッチが開き、ピンク色のパイロットスーツの少女が出てきた。
「マユ!!」
ステラは巨大なMSのコクピットからインパルスのコクピットに飛び込む。
二人の少女は固く、涙を流しながら抱擁する。
「マユ・・、ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・ステラ・・・。」
「いいんだよ・・、ステラは悪くないから・・・。」



269 :ほのぼのマユデス。破壊との決戦 :2005/11/18(金) 19:25:56 ID:???
『よし!!離脱するぞ!!』
シンハロは急いでハッチを閉じ、巨大MSの前から離脱する。
ステラはマユのジャマにならないように移動する。
『メイリン!ソードシルエット!!』
シンハロがメイリンに指示を出し、ソードシルエットを装備するインパルス。
剣の重さでスピードは減じたものの、問題はない。
これから倒すのは目の前の動かぬ破壊自身なのだから・・!
剣を構えるマユの手に、ステラの手が添えられる。

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

二人の掛け声と共に、ベルリンを蹂躙した破壊は静かに幕を閉じた。

270 :ほのぼのマユデス。破壊との決戦 :2005/11/18(金) 19:38:10 ID:???
シンをうっかりシオンって打ち間違いそうになりました、ほのぼのです。
デストロイ戦終了です、いや・・この話は前から考えていたのですが、
数パターンあってどれにするか悩みました。
そのパターン例。

@アスランの『Quiet night C.E73』で三秒で撃沈なデストロイ。
Aスティングが乗ってメイリンが説得する『最終兵器彼氏』
Bアウルが乗ってマユが説得する『ステキだね。』

考えててギャグにしようかシリアスにしようか悩みましたが、結局シリアスにしました。
隻腕さんやインジャスティス作者さんのようにはいかなかったかも知れないですが、
面白いと思ってくだされば幸いです。
全国見積もって14人のハイネ隊ファンの皆さん、次回はハイネ隊がそれなりに
活躍する予定です。MSはないですが。お楽しみに!



巻末ふろく:この話をギャグにするセット。

その1:シンがじぶんとマユのなまえをつぶやくシーンはマユたんはぁはぁな思い出を
おもいだしてるゲンだとおもってね!

その2:マユとステラがだきしめあうシーンではステラの肩のアーマーがシンハロにごつごつあたってるとおもってね!

その3:さいごのシーンはけっこんしきのケーキにゅうとうなステラとマユをそうぞうしてみてね!
310 :ほのぼのマユデス。破壊の後。:2005/11/19(土) 18:20:31 ID:???
デストロイは破壊された。それと同時にネオはザフト軍に拘束された。
で、ステラ達はと言うと・・・・・。
「マユゥゥゥウゥゥゥゥウッ!!お兄ちゃんおまえのこと忘れてたなんてぇぇぇえ!!」
ゲンは号泣しながらマユを抱きしめる。マユの顔が微妙に青ざめている。
はむはむはむはむはむ・・・・。
「美味しい?ステラ?」
こくりこくりこくり。
ステラはルナマリアにもらったマシュマロは頬張っていた。幸せそうな顔である。
「・・・・・・・。」
「・・・なぁ、忘れてたの謝るから許してくれよ・・。」
スティングはステラとバカップル状態でハートが回りに漂っている。
「・・・・・・・・・・。」
「気にするな、俺は気にしない。」
アウルは一人だけマユにより大怪我をさせられむっつりしていた。レイの励まし?も
聞こえていないようだ。


そして・・・、その頃のほかのパイロット達は・・・・。


311 :ほのぼのマユデス。破壊の後。:2005/11/19(土) 18:59:17 ID:???
「よしよし・・、大丈夫だからねー。」
白衣を着たカルマが泣き続ける少女をなだめる。
一見少年のような彼だが実年齢は22歳のれっきとした社会人である。
ザフトは市民軍なので本来の職を持っているものも少なくない。
カルマ、彼は実はれっきとした心理学者である。
彼の心理学というのは非常に幅が広く、小学校のカウンセラーから催眠術までばっちりだったりする。
なので彼の特技は手品、そして暗器使いだったりするのもこの人間心理の知識を応用したものだったりする。

「大丈夫です、いま国連やザフトの基地から救援物資がくるはずです・・。あぁ、住宅の方は・・・。」
ジョーは様々な年齢の人々の質問に対し、不安を与えぬよう適切に答えている。
彼の職もまた老若男女を相手にし、相手にどう接するかが非常に重要な職である。
ましてや、彼はスラム育ち。このような極限状態に自ら陥ったことも珍しくなかった。
プラント育ちのコーディネーターには思いもつかないような対応方法や技術を知っている。
今回の件ではそれが非常に役に立っている。

「それで・・、ウチの人は金髪に青いたれ目で・・・・。」
「はいはい・・・、こんな感じですか?」
アキラは鉛筆とコピックを走らせ、次々と行方不明者のモンタージュを作っていく。
死体や行方不明者の数は尋常ではない。遺伝子鑑定が出来ない以上
それの身元を捜すには視覚的に確認するしかない。
アキラの絵の技術は別にマンガだけではなく、それなりに似顔絵なども描ける。
家族の写真などを持っていない人々は、アキラの前に長蛇の列を作った。

「・・・・・・・・ここだね。」
キースは人間では移動できないような瓦礫をピョンピョンと飛んでいく。
空に向かって手を振ると、上からハイネのグフイグナイテッドとグレイシアのザクウォーリアが降りてくる。
『ここか?』
「うん、地図と看板の破片らしきものからして。」
『じゃ、やるわよ。ちょっとどいて。』
ザクとグフは瓦礫をどける。すると、そこにはまだ無事な包帯や薬のボール箱があった。
MSがの上空から見たのではこういった店の瓦礫などは見落としてしまう。
かといって、生身の人間が瓦礫を探そうとするにしても瓦礫を越えられない、
あわよくば崩れた瓦礫の下敷きである。
しかし、人でありながら猫の能力を有するキース。彼ならその運動能力で人間では無理な
高さの瓦礫も越えられ、なおかつ落ちてきたとしても避けられる可能性が大きい。
グレイシアのグゥルにダンボールを乗せる。
「二人とも!!ここから五キロ先に食料品の倉庫があるらしいんだ!僕は先に行くね!」
そう叫ぶとポンッと再び崩れた建物を飛んでいくキース。
『おい!!少しは休憩しろ!!』
ハイネがキースの体を心配して叫ぶ。しかし、キースは白い息を吐きながら夢中で壊れた町を駆けていった。







312 :ほのぼのマユデス。破壊の後。:2005/11/19(土) 19:00:54 ID:???
「・・・ひっく・・、ひっく・・。」
カルマとジョーだけでは人々全ての心のケアは不可能だ。ましてや親と離れた子供はどうしたらいいか解からない。
ここはそんな子供達は一箇所に集められていた。
すると、泣き叫ぶ少年の足元に何かがコロコロと転がってきた。
少年がふと足元を見やると・・・。
『ハロ!ハロ!』
その球体は耳のような物をパタパタさせながら跳ねる。
「あっ・・、すまな・・うわっ!!」
ザフトの赤服を着た青年がつまずき、持っていた段ボール箱を落とす。
すると、その中から次々と色とりどりのハロが現われ、子供達の所へ飛んでいく。
『アスランさん・・、よくこんなに作りましたね・・・。』
リヤカーをごろごろと引きながらシンハロが呟く。
リヤカーの中にはまだ色とりどりのハロが静止状態でいた。
子供達の顔につぎつぎと笑顔がうかぶ。

『リナ!リナ!』
『エルザ!エルザ!』
『ローエン!ローエン!』

次々とハロが子供達の名前を呼んでいく。
その声に気づいた何人かの大人がその子供達の所へ飛んでいった。
「さぁ、行くぞハロ!まだ泣いている子供達は大勢いるんだからな!!」
アスランはそう言ってまた移動を開始する。
『ちょっとアスランさーん、ロボットでもこの重さはきついですって・・・・・。
「シン」の奴に一発喰らわせてやろうかと思ってたのに・・・・・・アスランさーん?聞いてます?』
アスランの瞳は輝いている、彼は自分は戦いしか出来ないと思っていた男だ。
こんな形で人の役に立てるのは嬉しいのだろう。
『はぁ・・、俺ってば本当にお兄ちゃんだなぁ・・・・。』
シンハロはため息をつきながらもリヤカーを引いた。

313 :ほのぼのマユデス。破壊の後。:2005/11/19(土) 19:32:14 ID:???
場面は再び戻る。
マユ達がいるのは町の郊外である。
マユはゼロに『ステラ達を『人間』として生きさせたいなら来て。』と言われたので先ほどのメンバーでこちらに来たのだ。
すると・・、そこに小型の輸送機らしきものが向かってくる。
それは、マユ達の目の前に着地した。
ゼロは一歩前に出てその輸送機から降りてきた人物を迎えた。

「チャオチャオッ☆ いやぁ、久しぶりだねッ☆ゼロロン☆」

その人物は非常におちゃらけた調子で挨拶をした。
その長い金髪は軽くウェーブしており、顔にはめがね、さらに白衣。年のころはゼロと大差ないだろう。
なんか急に場違いな乙女ゲーの攻略キャラみたいな男が現われた。
「久しぶり、テン。元気?」
「この姿を見てどこか元気じゃないっていうのさッ☆」
二人は対照的な会話をする。ふと、テンと呼ばれた男がマユ達の方へ向かってウィンクし、自己紹介を始める。
「自己紹介が遅れたねっ☆僕の名前はテン・サルバトーレ☆ゼロロンとの関係は血のつながった兄弟ってとこかなっ☆」
・・・・・本当に兄弟なのか?確かに言われて見れば顔はよく似ているが、あまりにも印象が違うので全員困惑する。
「テンは強化人間を『人間』として生きれるようにする施設の職員なんだ。と、いっても職員はテンしかいないけど。」
預けられない!!こんな怪しい人にお兄ちゃんはともかくステラ達は預けられない!!
マユはそう心の中で叫んだ。
「あーっ☆疑わしいって顔してるなっ☆じゃあこれ見てよっ!」
そう言ってテンは懐からだしたカードを見せる、それはシンハロ(人間バージョン)の姿の写真が入った物だった。
「何々・・、私は・・・・・資金援助?!シンハロが?!」
マユは目を疑ったが実は金持ちかつ機械の癖にまったく行動が読めないシンハロのことだ、それくらいしてても不思議ではない。
「信用してくれたっ?大丈夫っ☆僕が責任を持って薬がなくても生きてけるようにしますっ☆」
・・・・シンハロが関わっているならまず信用できるだろう。奴はマユのデメリットになるようなことはしない。
何より、自分達にはステラ達を生かせることの出来る薬をもっていないのだ。彼に頼るしかないだろう。
「・・・・・・・・・・お願いします。」
マユはそう言って頭を下げた。
「うんっ☆まっかせて☆じゃあ、そこの子達はこれに乗って☆ちょっち遠いからさっ☆」
ステラはテンが気に入ったらしくルナマリアとマユにばいばいしてから輸送機にのる。
ステラが乗ったら他のメンバーに拒否権はない。
これからの人生に前よりはいいような悪いような微妙な気持ちになりながら
エクステンデッド男性陣は輸送機にとぼとぼ乗り込んだ。