- 378 :ほのぼのマユデス。激震の言葉。:2005/11/21(月) 22:58:39
ID:???
- 「ゼロ、本当にステラ達は大丈夫なのか?」
アキラがお茶請けのせんべいを食べながら聞く。
「大丈夫・・・・・・・・、たぶん。」
「たぶんなの?!そんな所にステラ達預けないでよ!お兄ちゃんは別にいいけど!」
マユはゼロに怒鳴る。
「いや・・、確かにテンは微妙にサディスティックだけど面倒見もいいし強いから大丈夫。」
「ゼロ、いまむっちゃ不安な言葉が聞こえたんだが気のせいか?」
ハイネがゼロに突っ込む。
「でも、ゼロの『兄弟』って皆おんなじ感じじゃないの?」
カルマが五枚目のおかきに手を出す。が、それは途中でジョーに取られた。
「確かになー。でもあのテンってやつはだいぶ違うみたいだけど・・、何でだよ?」
マユ達ハイネ隊部外者には何の事かさっぱりである。
「・・・・マユ達がいるから後で言う。」
「俺達には話せない・・・?」
レイがいぶかしげにゼロを見る。その手にはしっかり柿の種(ピーナッツは残してる)がある。
「まぁ・・、色々あるでソキ・・・。」
「「「「わーーーー!!」」」」」
ゼロが呟きかけた瞬間、ハイネ隊が全員でゼロを取り押さえる。
なんだなんだ。ソキってなんだ。オキナワのそばか?てゆーかまだゼロの過去だけ聞いてへん。
そんなてんやわんやしていると、マユの耳に聞きなれた声が聞こえた。
『皆さん、私はプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルです。』
- 379 :ほのぼのマユデス。激震の言葉。:2005/11/21(月) 23:16:50
ID:???
- 議長の言葉を黙って聞くミネルバクルー達。
『何故、私達は・・・・。』
議長のそばにいる少女・・、『ラクス・クライン』は語る。
その言葉は地球の人々にとって、何よりも甘いものだった。
それを聞いたハイネ隊は失笑する。
「なんかさー、あの格好で言われても説得力ないよねぇ。」
キースがグラスにさらに酒を注ぐ。真面目に聞く気はいっさいないようだ。
「・・・・45点だな・・、あの衣装を着て許されるのは二次元だけだと思う。
ぶっちゃけあんなギャルゲー衣装、着せるなっつーの。露出させりゃいいってもんじゃねぇよ。
萌えを狙うなら清楚な感じで・・・、セーラー服か巫女服のほうがいい。メイドでもいいな。」
まったく論点のずれた解説を大真面目に語り始めるアキラ。
『・・・・・あれ?』
映像をみていたハロがぽつりと呟く。そこには平和だった町を蹂躙する巨大なMSと
インパルス、フリーダムについては一切触れられていなかった。
『結構編集してあるみたいだな・・・・んーと・・。』
ハロは腕を組んで天井を見上げる、彼の頭の中では自分の映像とこの映像の相違点を探しているのだろう。
そして泣き叫ぶ子供、炊き出しに集まる人々など破壊の爪痕の様子が映し出され、いよいよデュランダルの言葉に
熱が入ってくる。
『古の昔より、自分の利益の為に人々から平和を奪ってきた者達がいます!!』
デュランダルの言葉にいよいよ熱が入り、リストが浮かび上がる。
『その名はロゴ・・・・・。』
『うわぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁぁつ!!』
議長の言葉をさえぎるようにシンハロが大声を上げる。
『ネット接続・・、株・・売却、売却・・・。』
ぶつぶつと呟くシンハロ、おそらくいそいで株を売っているのだろう。
「ねぇ、ギルパパなんていってたか解かんなかったんだけど・・。」
マユがレイに聞く。
「ギルはこういったんだ・・、こいつらが俺達の敵、『ロゴス』だとな。」
- 380 :ほのぼのマユデス。激震の言葉。:2005/11/21(月) 23:27:20
ID:???
- 「でも・・、そんなこと突然言われても・・・・。」
マユの表情が困惑の色に染まる。
「大丈夫だ、ギルは正しい。」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしマユは難しすぎて分けが解からないのでスルーした!!
「くっ!!」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしルナマリアの腐女子オーラに阻まれてこちらがやばくなった!!
「・・・・・・・。」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしハイネ隊はキャラが濃すぎるためまったく効かなかった!!
「・・・・今度こそ!」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしアスランはフリーダムのことで頭がいっぱいで効かなかった!!
「あんたらはいったい何なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
レイがしまいにはキレた。
「どうしたの?レイ兄ちゃん。なんかギルパパの話難しくって眠いからちょっと寝てくる。」
『レイー、セリフのパクリはダメだって・・、あれ?誰のセリフだっけ?』
「ちっ・・、昔のブルーコスモスのリーダーはそれなりだって聞いたけど、全然ダメじゃない・・・。
もし美形でもいたらネタに出来たのに・・・・。」
「連ザ届いたから皆でやんない?」
「いいなー、俺セイバー乗って見たかったんだよ・・。所詮愛機は悲しき先行量産期・・はぁ。」
「キラ・・・・・・・。」
- 381 :ほのぼのマユデス。激震の言葉。:2005/11/21(月) 23:52:27
ID:???
- 「さてさてっ☆大変な事になったみたいだね。」
少し真面目な言葉で話すテン。ステラはずっと自分がやった行動の結果を見てから俯いている。
「ステラ・・・・。」
ゲン・・・・・シンがステラをそっとなでようとすると・・・。
「ステラ・・、いいことする。」
突然ステラは言い出した。
「どうしてだい?キミはもう人間じゃない、戦場以外でたくさん人を殺した『殺人鬼』なのに?」
テンはおちゃらけた口調ではないものの、その言葉は痛烈である。
「あんたっ・・!俺達のことを何も・・・・・!」
「黙っててくれない?シン・アスカ君・・、あぁ、今はゲン・ヘーアンだっけ。」
一発殴りかかろうとしたゲンに彼の本当の名前と偽りの名前を両方言う。
それは、彼がキミ達については調べはついてるよ、っといったようなものだった。
「・・・ステラ・・お馬鹿。何も知らない・・・・。」
ステラは独白を続ける。
「ステラ・・考えなかった・・・ネオ・・・正しい思ってた・・ステラ・・・・・・頼ってた。」
ステラの目から雫が零れ落ちる。
「・・・・色んな人・・ちっちゃい子・・・・おっきい人・・・皆殺した・・・まだステラのこと
いじめようとしてなかったのに・・・・・ネオが言ったから・・・ステラ殺した・・・でも悪いのステラ。」
ステラは目に涙をたたえながらまっすぐ前を向いた。
「ステラ・・・・いっぱい良いことする。はじめに、マユ助ける。それで・・、もっと良いことする。」
「ステラはお馬鹿なんでしょ?良いことなんて解かるの?」
楽しそうにテンは笑う。心底意地の悪い笑みだ。
「・・・・だから、お勉強する・・・・、マユに迷惑かけないよう・・・体良くする。そのため・・・ステラここに来た。」
スティングとアウルは驚いた。幼子くらいの思考力しかないと思っていたステラがここまで考えるとは夢にも
思っていなかった。これが・・、マユ達の影響だのだろうか?
ステラの言葉を聞くと、テンの笑みの種類が暗いものから明るいものに変わる。
「じゃあ、できるだけ早いほうがいいね。薬の汚染を取り除くのは薬だから施設にいなくても平気だけど・・
・・問題はMSの操縦だ、薬の効果が無くなってしまうからね、その分基礎能力を鍛えさせてもらうよ。」
どうやら彼の頭の中には『ナチュラルOS』と言う存在はないらしい。
「うん、じゃあステラちゃんは『地獄めぐりスパルタ王がこんにちは』コースだね。どうする?他の人たちは?」
ふいに自分達に問いかけられてびびる三人だが、すぐに答えは出た。
「・・・・俺も早いほうがいい、ステラと同じ・・・なんだ。その長ったらしいやつにしてくれ。」
「俺も俺も!マユにせっかく再開できたのに!!!」
ぶっちゃけゲンはコーディネイターなので薬の排除くらいでいいのだが。
しかしテンはいじめる子は多いほうが好きなのであえて黙っておく。
さて、最後にあまったのがアウルである。アウルはめんどくさそうな顔をしながらもしぶしぶ言った。
「しかたがないなぁ・・、ボクも付き合うよ、鍛えてあいつを見返してやる!!」
途中から拳を握り熱血するアウル。
テンは楽しそうに笑う。流石に毎日子供達の世話じゃストレスが流石の自分にも溜まる。
せっかくだから吐き出しちゃおうっ☆
こうして、ステラ達の地獄をも越える特訓生活が始まるのであった。
- 404 :ほのぼのマユデス。はじめてのおいしゃさん。:2005/11/23(水)
17:30:40 ID:???
- 「あれ?ゼロ。アキラはどうした。」
ここはミネルバの食堂。今は朝食の時間であるため、人が多い。
ハイネは普段より遅れて食堂にきたゼロに問いかけた。
アキラとゼロは同室である。ゼロは低血圧なアキラを起こすため普段二人は一緒に
食堂にくるのだ。
「・・・風邪を引いたらしい。。艦長に伝えておいてくれ、って。」
ゼロは自分の食事を持って席につきながら答えた。
「えっ?大変じゃないか。看病しなくていいのか?」
アスランが当然の疑問を投げかける。
「じゃあ、一つ聞きます。お客様の中で風邪の治し方を知ってる人はいますかー?」
・・・・ここはザフト軍。風邪を引く奴なんていない世界である。
「おい!そこに地球出身のやつらはしらんのか!!」
マユとジョーにビシッっと指を指すハイネ。
「・・・スラムじゃ医者なんていないし、下手したら肺炎だし、まぁ、ほぼ死んだな。特にNジャマーが投下された後は。」
いつもと同じ調子で平然と残酷な真実を告げるジョー。
「・・・・風邪かぁ・・、たしか昔見たアニメでは・・・・。」
マユは不確かな記憶を手繰るように考え込んだ。
- 407 :ほのぼのマユデス。はじめてのおいしゃさん。:2005/11/23(水)
17:50:56 ID:???
- 「げほっ!!・・・・・うー、絶対軍医はあてになんないしなぁ・・。」
なんでこんな所がナチュラル並何だろう、アキラは自分の身体を恨めしく思った。
「・・うぅ、ファイトだ。音楽でも聴いて元気を出そう。はっくしゅ!!」
アキラはごそごそと天使の石造のジャケットのCDとティッシュを取り出す。
そしてCDをプレーヤーに入れようとすると・・・・・。
「アキラお兄ちゃんー。起きてるー?」
マユとゼロが入ってきた。マユの手にはおぼんが。
「おー、妹キャラの看病フラグが立ったか・・・・。」
「やだなぁ、ウチのお兄ちゃんみたいなこと言わないでよ。これ、玉子酒作ったんだ。」
そう言ってマユはカップをアキラに渡す。
「お・・、ありがとーvじゃあさっそく・・・ってこれなんだ!!」
アキラが持ったカップの中には生卵がそのまま三つほど入っていた。
「「玉子酒。」」
マユとゼロは声を合わせて言う。
「どこがだ!!原料を言ってみろ!!」
「んーと、卵三個にキースお兄ちゃんからもらったテキーラ。」
「病人にそんなもの飲ますなぁぁぁあぁ!!」
アキラは玉子酒(仮)を投げ付ける。
「いいか?!玉子酒ってのはまず日本酒カップ一杯を沸騰させて
しばらく冷ましてから砂糖とといた卵を加えてよくかき混ぜる!!
この時熱いと卵が固まるから注意する!!
んでもってそのあとかき混ぜながらまた火をつける!!
ちょうど良い所で火を止めて飲む!!しょうが汁をいれてもいい!!」
ぐわーっと早口で説明するアキラ。
「「おぉ、流石日本人。」」
ぱちぱちと拍手をするマユとゼロ。
「出てけぇぇえぇぇぇぇっぇっ!!」
アキラは全力でマユとゼロを追い出した。
- 408 :ほのぼのマユデス。はじめてのおいしゃさん。:2005/11/23(水)
18:00:38 ID:???
- 「うー、うー、お花畑の向こうで我が親友が手を振ってるー。
えー、何?風邪で死ぬわけないだろうってー?あはははーたわけー。
我を誰だと思っているー。」
先ほどのマユ達の妨害でさらに熱が上がったのか電波度が普段の三割ましである。
「アキラお兄ちゃん!!今度は大丈夫!!おじや作ってきたから!!」
今度はマユとアスランが入ってくる。
「あー、アスランが一緒ならいいかー・・・。」
アキラはそう呟いてマユから皿を受け取る。
そこには、真っ赤な海が広がっていた。
「マユちゃん、アスランさん、なんのおじやですか?これ。」
「「チゲ。」」
「食えるかぁぁぁぁぁっ!!」
アキラは☆一徹よろしくに皿を返す。
「えー?アスランお兄ちゃんがさー。辛いほうがいいって・・。」
「汗をかいたほうが早く治るんだぞ?」
さも当然のように話すアスラン。
「消化力の弱った人間にそんなもの食わせる奴がいるか!!!いいか?!
そもそもおじやとかおかゆは食べ安いけど消化力の弱った病人にはじつは向かない!
病人には白身魚とかの高たんぱく質の物が良いんだ!食べやすくするなら温泉卵とかにしろ!」
「「おぉー。」」
パチパチと拍手をするアスランとマユ。
「もう来るなぁぁぁぁ!!」
アキラは再び全力でマユとアスランを追い出した。
- 409 :ほのぼのマユデス。はじめてのおいしゃさん。:2005/11/23(水)
18:25:29 ID:???
- 「あー、でも韓国だと本当にチゲ鍋とか食べるんだなー、韓国人すげぇー。
やっぱどの国でも蜂蜜とかレモンとかは飲むのかー。」
もうアキラは自力で治療法を探そうとベッドの中でノートパソコンを広げていた。
ピピピッ、ピピピッ、っとマイ体温計が鳴る。
「・・・・37.9・・・・、結構ある・・。」
アキラはパソコンのふたを閉じてぺいっと放置する。
『アキラー、入るぞ?』
機械を通したような声が聞こえる。
青い髪に青い目の青年がマユと同じようにお盆をもって入ってくる。
「うぅ・・、もうやだよー。またトンでも料理を出されるのかよー。」
布団にうずくまってシクシクと泣き始めるアキラ。
『まぁまぁ、今度はちゃんとしたの作ったらしいから。』
シンハロがアキラをぽんぽんと叩く。
疑いの目のままで体をおこすアキラ。
シンハロのお盆にはなんともいえない匂いの飲み物が乗っていた。
『はい、朝鮮人参とかの漢方薬。これ結構するんだぞー。』
はははははー、と笑いながらずいっとコップを差し出すシンハロ。
アキラの目には割烹着に大きなリボンをした少女がシンハロに重なって見える。
「・・・・・・・・・・・っ!!」
心を決め、一気に飲み干すアキラ。なんともいえない匂いに思わず胃の中の物が逆流しそうになる。
「うぇぇぇぇぇぇえぇぇ・・・・・。」
あまりのまずさに声をあげるアキラ。
『おー、ちゃんと飲んだ飲んだ。えらいぞー。』
わしわしとアキラをなでるシンハロ。
『普通の栄養ドリンクより朝鮮人参の方が良いってネットで見たから適当に作ってだけどさ、
飲めて良かった良かった。』
「適当なんかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!一発逝ってこぉい!!」
アキラはまたもや全力でシンハロを追い出した。
- 411 :ほのぼのマユデス。はじめてのおいしゃさん。:2005/11/23(水)
18:41:29 ID:???
- 翌日、アキラの風邪は治った、一応シンハロの適当漢方薬は効いたらしい。
「何だー、つまんないのー。」
マユはちぇっっと呟いた。きっと彼女の頭の中にはねぎで首を巻いたりする計画
があったに違いない。
「アキラさぁ、一晩中うなされてたよねぇ。どんな夢見てたんだろ。」
キースが朝酒にビールを飲もうとする。
一応夜中も看病しようと全員で順番に面倒を見ていたのだが、その時の彼の寝言がこれである。
「あはははー・・、お花畑が見えるよーー・・はっ!!さては固有結界?!」
「うーん・・・、頼むから親父・・、授業参観にホストみたいな格好で来るのはやめて・・。」
「おのれまてダレンーー。塵は塵にー、灰は灰にー。」
など、気になるアキラの過去から電波系まで様々な寝言である。
食堂にアキラがやってきた。
「アキラ、もう大丈夫なの?」
ルナマリアがアキラに聞く。
「お・か・げ・さ・ま・で。」
刺々しく言うアキラ。
「それにしても、一体どうして風邪なんてひいたの?」
グレイシアが呟く。確かにあの巨大MS戦はベルリンと言う寒い地域だったが
風邪を引くような事はしなかったはずだ。
「・・・・・・・・・えーっと・・。」
アキラは視線をそらす。どうやら後ろめたいことがあるらしい。一気に立場が逆転する。
「・・・あのね、徹夜で届いたゲームこっそりやってた。」
ぼそぼそと明らかに普段と違う口調で呟くアキラ。
「キャラが変わってるぞ、キャラが。どれくらいやったんだ。」
ハイネがずいっと近寄る。
アキラはばつが悪そうに言う。
「・・・一週間。」
「アキラ、健康管理も軍人の仕事だ。反省文を5百枚ほどかいて提出しろ。」
ハイネは本気でアキラに告げた。
- 458 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺麗だけど。:2005/11/25(金)
22:03:30 ID:???
- ここはハイネ隊がミネルバの一室を改造して作ったダンススタジオである。
本来公演が近くなった時に振り付けを練習するのに使用するのだが、今は全く違う意図で使用されていた。
「はぁっ!!」
「甘いっ!」
スタジオの真ん中では戦いが繰り広げられていた。
片方は幼い少女マユ・アスカ、かたや眼鏡の青年アキラ・アインズだ。そんな二人がトンファーと竹刀で打ち合っている。
トンファーによる連続攻撃で一気に止めをさそうとするマユ。壁に追い詰められるアキラ。
とうとう壁まで数十センチまで追い詰めたマユは、一気に上段の攻撃でとどめをさそうとする。
「でいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!」
マユが今にもトンファーを振り下ろそうとした瞬間、アキラの姿が突然消え、腹部に鈍い痛みが走る。
「ふむ、今の攻撃はスピードもパワーもありましたがやはり隙が多い、実戦では命取りになりますよ。」
アキラが普段とはまったく違う厳しくも優しい口調で言う。
「いててててて・・・・。」
「どうだー、アキラはやっぱし強いだろ?」
痛がるマユに近づき、ニカッと笑うハイネ。周りにはミネルバのおなじみのメンバーが集まっている。
実は復活したアキラの調子見をかねて皆で生身で勝負してみようと言う話になったのだ。
「どう言う原理なの・・アキラお兄ちゃんの変身っぷり・・・、多重人格?」
「うんにゃ、アキラのあれは妄想の行きすぎ。一種の自己暗示、催眠術だな。」
あきらかに普段とは違う雰囲気のアキラを見てマユはため息をつく。
何でもハイネ曰く、アキラは幼い頃からのイジメでかなり自分の殻に閉じこもってたらしく、
その性で一種の催眠術を習得してしまったらしい。
なんでも『好きな自分』になる、と言う類もので、要するに想像した能力そのものを手に入れる物だ。
と、いってもそれはキチンとどう言う風に戦うか目で動きを見てそれを元に頭で組み立てるものらしい。
つまり、あくまでそアキラの『妄想』は『模倣』である。
実際目で見たことのないような戦闘法、要するに『超人』の類には慣れない。
まぁ、まとめるとすれば演劇で言うところの、役を降ろすといったところである。
「なるほど、初めてこっちに来た時のアキラお兄ちゃんの性格がまったく違ったのはそのせいなんだ。」
「そう言うこった。いやぁ、あの性格の時のアキラは説教くさくて大変なんだ。」
やれやれ、色物にも程があるよなぁと呟きながらため息をつくハイネ。
「そう言うハイネも某イケメンスレに負けないくらい色物だと思いますが。」
アキラはスポーツドリンクを飲みながら言い返した。
- 459 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺麗だけど。:2005/11/25(金)
22:05:11 ID:???
- 「あ、皆ここにいたのね。もう!探しちゃったわよ。」
なにやらバインダーらしきものを抱えながらグレイシアがやってきた。
「それ何?」
グレイシアが抱えている物を見てマユが言った。
「あぁ、これ?アルバムってていっても一年分くらいだけどね。よく考えたら私達って出会ってそれくらいなのよねぇ・・。」
しみじみと語るグレイシア。そこには様々な写真が載っていた。
それぞれ士官学校時代のものと思わしきものからハイネ隊結成時のものや演劇公演のものまで。
そして・・・、そこには眩しく笑う黒髪の少女がいた。
「あれ?この人・・・・・・。」
その少女に気づき疑問を口にしようとするルナマリア。しかし、戦死してしまった人物と考えたのか言葉を濁す。
「あー、違う違う。うちの姫はちょっと家出してるだけ。・・・・死んでるわけねぇよ。」
軽く答えたジョーは最後にぼそっと呟く。その目は今まで見た彼の目の中で一番悲しい目だった。
ミーアについて説明するハイネ。その時、アスランはかすかに驚き、マユは顔を少し暗くした。
「・・・・・それにしても・・、これは何をしてる図なんだ?」
その写真はジャージを着たハイネ隊の一部のメンバーがハイネに説教されている写真だった。
「これは合宿の時の。」
すっかり学生のノリである。
ゼロが言うとハイネ隊の面々は次々に語り始めた。
- 460 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺麗だけど。:2005/11/25(金)
22:24:27 ID:???
- コズミック・イラ72・・・・。
とりあえず戦争は終わり、平和な時が流れた。
しかし、そこで困ったのが兵士の扱いである。
周りとの関係がうまくいかなかったり、規律を守るのが嫌になった兵士が
戦争が終わった後ザフトを去るものも多くなった。
しかし、そんな軍の規律を乱すような奴らが戦争が終わった後も堂々とザフトにいる奴らがいた。
その上戦力的には非常に大きいものがあり、強制的に辞めさせるわけにもいかない。
そんな兵士を、上層部は一人の若きエリートの託す、もとい押し付けた。
そして、その若きエリート・・ハイネ・ヴェステンフルスは彼らを拒まなかった。
これがハイネ隊結成理由である。
特殊な部隊として認定され、個人のMSに改造を許されるなど様々な特権がつく。
それも全て臭いものに蓋をするためであった。
さて、ハイネ隊の話をしよう。今でこそ皆仲が良いが結成当時はそれほどでもなかった。
ハイネと隊員との関係はバッチリである。だが、隊員間の間が問題であった。
それはアキラ。
アキラはいじめに遭って来た為か人と距離を置く傾向にあり、
態度も謙虚で一歩引いたものばかりであった。
その上、ジョー達がちょっとからかっただけでも酷く傷つく事がしばしばあったのだ。
別にジョー達を悪い奴とはアキラは思っていない。ただ、怯えているだけである。
ハイネはたまたまアキラの趣味の世界を良く知っていたのでよかったのだが他の隊員は
そうもいかない。
面倒見のいいグレイシアや同期のゼロ。そして妹のようなミーアにはアキラも警戒を解いていたが
ジョー達三人組にはどうしてもそのノリや風貌から怯えてしまうらしい。
そこで、ハイネはこう思った。
「そうだ、合宿へ行こう。」(BGM:私のお気に入り)
- 462 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺麗だけど。:2005/11/25(金)
22:46:35 ID:???
- 「ミーアだけ個室はずるいーー!!」
「文句いうなカルマ!!ミーアは女の子なんだぞ!!」
ここはプラントでもド田舎のど田舎、日本でいう群馬とか長野とかの
山の中といったところである。
ここは地球の日本の『温泉街』をイメージしていた観光用のコロニーだったのだが
ド田舎だったため寂れてしまったのである。
ハイネはここがちょうど良いと思い(宿泊料金も格安だ)ここで合宿をすることになったのだ。
ちなみに部屋割りは男性陣、大部屋一つ、ミーアに個室一つ。
そして、様々な訓練(例:MSによる演習、山の中でサバイバル バーベキュー)
などをこなし、夜になった時のことだった。
ミーアも大部屋に来て、全員でトランプやらウノやらドンジャラやらマージャン大会
やらをやっていた所、お菓子と飲み物が切れてしまいジャンケンで負けたハイネ、グレイシア、
ゼロが買出しに行ってしまった時である。
「それっ!!」
「おっ!!枕投げか?一度やって見たかったんだよな♪」
「じゃぁ、僕もっ!」
例の三人組(酔いどれ)が枕投げを始めてしまい、ミーアとアキラは大人しく隅っこでババ抜きをしていた。
すると、そこに突然枕が飛んできてアキラに当たってしまったのだ。
「うわっ!」
突然のことに反応できなくてもろに当たるアキラ。
それを見ていた三人組(酔いどれ状態)、ニヤッっと笑ってアキラを総攻撃である。
まぁ、これが仲のいいクラスメイト同士とかだったら微笑ましいが、
いわばリンチ状態である。ぶっちゃけまだこの時アキラは年上のキースとカルマには「さん」
付けをして呼んでいたくらいである。とてもじゃないが反撃できない。
そして、これを見ていたミーア嬢(酔いどれ)。
彼女も軍の中で『ブスのくせにラクス様の声に似てるなんて!!』と熱狂的ラクスファンに
理不尽なイジメを受けて、ハイネ隊に来た口である。その様子はミーア(酔いどれ)には
ふざけてるようには見えなかったらしく、ここに第一次スーパーマクラナゲ大戦が始まった。
- 463 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺麗だけど。:2005/11/25(金)
23:02:43 ID:???
- みんなの過去編を書こうと思ってハイネ隊から手をつけたら予想以上に長いよ、ほのぼのです。
いやね、マユ全然出てきてないけどハイネ隊の過去が終わったらオーブ時代の
マユとシンの話とかレイとマユとシンハロと議長の家族話と書く予定ですので
お楽しみに。
人気投票が始まりましたねぇ、それについての我がマユのコメントがミネルバから
届いております。VTR、どうぞ。
『シンハロー、ちゃんと撮ってる?え?!もう始まってる?!
どうもーv全国のお兄ちゃんたち!マユ・アスカですv
(マユ、いかにもな挨拶は逆効果だ。今時はツンデレだ)
(えぇっ?!レイ兄ちゃんもっと早く言ってよ!)
あ・・・、えーこほん。我がほのぼのにもゲスト出演してくださった隻腕さんちの
マユちゃんが好評で私も嬉しいです。うん、あ、ひがみとかじゃないよ?
まぁ、大体あっちの人たちがホテルの料理だとすればこっちは牛丼屋だからね。
はやい、やすい(?) それなりにうまい の三拍子。
うん、まぁでも人気投票だったらまず勝てないよね。だってハイネ隊の皆とか
シンハロの性で私のキャラが目立たないもん。
でも、セーラー服とか着てるよ?・・・やっぱブル魔にしろってか。スク水は反則だ・。
なんかシンハロが袴はいて二人で『ハロまゆ道中記』とかで花札のミニゲーム。
あー、何言いたいのかってのはようするに・・・ほのぼのマユデスをこれからもよろしく。』
ブツッ・・・・・。
えー、以上ミネルバから届いたマユ・アスカさんからのビデオレターでした。
それでは。
- 501 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺礼だけど。:2005/11/26(土)
16:58:19 ID:???
- 「・・・・・・・・・・・・。」
アキラは加熱している枕投げ大会をぼけーっと見ていた。もちろん、彼も酔っている。
暇なので鞄の中から携帯ゲームでも出そうとするアキラ。
すると、何か別の物を見つけたらしく、それを引っ張り出してきた。次の瞬間。
「アキラ!!危ない!!」
アキラの方向に枕が飛んでいった。それはコーディネイターの力のとんでもない速さで
アキラへと飛んでいく。
しかし、悲鳴をあげたミーアが駆けつけるより早く、それは起こった。
「え・・・?」
空中で幾片にも切り裂かれる枕。
「俺で遊んで楽しいんだよな、あんたら。あぁ、胸糞悪い。」
普段の気弱なアキラとはまったく結びつかない声が聞こえる。
枕の中に入っていた綿がまるで雪のように舞う。
そこには、鋭い、刃物のような目をしたアキラがいた。彼の目を防護する眼鏡はない。
その手にはザフトのナイフとは違う短い日本刀のようなナイフが握られていた。
「いいだろう、いじめるなんて生ぬるいだろう?殺しあおうぜ、ジョー、キース、カルマ。」
- 502 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺礼だけど。:2005/11/26(土)
16:59:13 ID:???
- そう宣言した瞬間、ジョーの目の前にアキラの顔が現われる。突然の自体にジョーは反応できない。
「ジョー!!」
カルマがジャージの袖から投擲用のナイフをアキラに向かって投げる、が。
それをナイフ一本でことごとく弾くアキラ。
しかし、弾いている隙にジョーは何とかアキラから距離を離す。
「なっ・・、何だよ?!こいつ本当にアキラなのか?動きが全然違う・・!」
ジョーも急いでナイフを取り出す、ジョーのナイフはザフト軍兵士が使っている物だ。
見てみるとキースも指と指の間に爪のように小型ナイフを数本持って、完璧に戦闘モードだ。
今度はキースが襲い掛かる、まるで獲物を狙う猫科の猛獣のように姿勢を低く構えてから
一気に全身のばねを利用して飛び掛る。本能がこの『敵』に手加減は通用しないと言っている。
それを見たカルマもキースが飛び掛ると同時にナイフを投擲する。
さらにジョーがキースの後ろについて駆け出す。
キースの攻撃、さらにカルマのナイフを突破して油断したところを突く戦法だ。
しかし、アキラの反応は予想を超えていた。
下の布団のシーツをめくりあげる。突然広がった目の前の白にひるむキース。
そしてアキラはそのシーツの向こうからキースを蹴る。壁にぶつかり気絶するキース。
さらにシーツを一閃させ、自分に命中するはずだったナイフを殺す。
キースがやられたことを確認したジョーが襲い掛かるが、ジョーの攻撃は
スラムでの実戦経験はあるものの、アキラが良く知るザフトのナイフ術である。
姿勢を低くしてそのまま足払いをする。ジョーはバランスを一気に崩しそのまま倒れた。
「教えてやる・・・、これが『モノ』を殺すと言う事だ。」
アキラは倒れているジョーにナイフを突き刺そうと構える。これではカルマも手を出せない。
「・・っ!!だめ!!」
次の瞬間、今まで動いていなかったミーアがどこから出したのか長刀を構えて
アキラとジョーの方へ走っていく。
だが、ミーアの恐れていた事態にはならなかった。
アキラは殺そうとする姿勢のままふらり、と揺れてそのまま倒れこんでしまった。
「・・・・・・・え?」
ミーアが構えを解いておそるおそる近づくと、アキラは普段の間抜け面で眠っていた。
「・・・・・・・はぁ〜・・・。」
緊張が解けてミーアが腰を下ろす。それにしても・・・・。
「この事態、どうやって隊長に説明しよう。」
気絶しているキースとジョー、茫然自失のカルマ。そしてぐーすか寝ているアキラ。
ぼろぼろの布団、切り裂かれた枕。散らばっているナイフ。ミーアは泣きたくなった。
- 504 :ほのぼのマユデス。想い出はいつも綺礼だけど。:2005/11/26(土)
17:06:37 ID:???
- 「と、言う事が昔あってなぁ・・。まぁぶつかり合って始めてお互いを理解したというか。」
「ハイネ兄ちゃん、それ度が過ぎてる。完璧にバトロワじゃん。」
マユがしみじみと語るハイネに突っ込む。
「あれ以来、ジョー達もアキラをみやみにからかわなくなったし、アキラも素の性格で
いられるようになったし、いやぁハイネ隊の真の歴史はあそこから始まったんだな。」
『すっげーいやな始まり方だな、おい。』
シンハロも突っ込む。
「そんな事いったら俺達だってすごかった気がするが。」
レイが呟く。
「あー!レイ兄ちゃんいっちゃだめ!」
マユが急いで止めるがレイは既に語りだした後だった。
「これはマユが我が家に来たときの話だ・・・・。」
- 69 :ほのぼのマユデス。語るレイ・ザ・バレル。:2005/11/28(月)
23:20:19 ID:???
- マユはギルに拾われて我が家に来たわけだが。
なんたってある日突然義理の妹が出来たんだ。
俺は一体いつ自分がよくある恋愛ゲームの主人公になったのかと混乱したな。
まぁ、結局女の子が次々に登場するかと思いきやそれっきりだったしな、フラグは。
「ちょっと!!私は入ってないの?!」
「ルナマリア落ち着け!!」
俺も当時はまだまだガキだったからな、ギルを取られると持ってマユといろいろしたもんだ。
うん、あとでメイドさんが言うには『私のお姑さんよりすごかった』。
「うわ、女の子相手にそこまで・・。」
「やっぱレイってHG・・・?」
で、いい加減キレたマユに「正々堂々勝負しろ」って言われてな、負けた。
「「「「「「「負けたのかよ!!」」」」」」」」
お前等だってマユの肉弾戦の強さは並のザフト一般兵越えてるのは知ってるだろう?
いや、俺は当時マユを普通の女の子だと思って舐めて掛かって・・・・死んだ。
庭の木に吊るされて一晩放置。しかもその晩はしっかり雨だった。
流石の俺も死ぬかと思ったぞ。
「だって、レイ兄ちゃん本気で勝負って言うから・・・・。」
「マユ、お前の本気はどれくらいなんだ。」
『俺の中の「シン・アスカ」の記録によると・・・。』
「いわんでいい、いわんでいい。」
まぁ、そうして俺達はそれなりに仲良く共存してたわけだが。
『レイ兄ちゃん、お茶。三十秒以内に私の部屋に。』
『・・・・了解だ。』
「「「「「パシリじゃん!!」」」」」」
まぁ、こんなことがあって現在にいたるわけですよ、はっはっはっは。
『レイー、キャラが違う。キャラが。』
- 73 :ほのぼのマユデス。ステラからの手紙。:2005/11/29(火)
22:45:07 ID:???
- うぇーい、皆・・久しぶり・・・ステラです。
今日は・・ステラ達の・・・近況を「ひでおれたー」・・・え?違う?
「びでおれたー」にしたので送ります・・・・・うぇぃっ!
まず・・・ここはステラ達より・・小さい子・・マユよりちょっと下くらい?
の子が多いです・・・、うぇい。
皆・・・けんきゅーじょの・・生き残りだったり・・・「はいきしょぶん」
されるところをテンのお友達が助けたりして・・・ここにきたそうです・・。
テンとまざーが・・みんなの面倒を見ています・・・あ、まざーを紹介します。
『どうも、始めまして。そして、お久しぶりです、お父様。』
まざーは・・・この建物の・・・管理こんぴゅーたーだそうです。
あと・・ハロの子供・・・っていってるけど・・・ほんと?
まざーと・・・・ハロ・・・・・・あんまり似てない・・。
ステラ達は・・・お薬をのんで・・・あとは特訓です・・・。
お薬は・・苦くて・・飲むとちょっと体が重くなるけど・・・こんじょーでカバーします・・。
はんしゃしんけーを鍛えるために・・ぴっちんぐましーんで
あちこちから打ち出されるごうそっきゅーを避けたりしたりしてます。
あと・・・マラソンも・・やりました。山の中で・・・・。
途中で・・アウルと・・ゲンが・・崖から落ちたり・・・パンダに襲われたりしました。
でも・・・パンダ可愛かった・・です・・うぇい。
がんばって・・はやくマユ達を守れるようになりたいです・・。
え・・・?何スティング・・?ゲンが・・とびら・・やぶる?
「マユーーーー!!」
ブチッ!
- 74 :ほのぼのマユデス。ステラからの手紙。:2005/11/29(火)
23:10:01 ID:???
- ・・・・以上がステラ達から届いた手紙の内容だった。
まぁ、この手紙というのはゼロの私物として輸送班から届いた物なのだが。
「・・・ねぇ、とりあえずステラ達が元気なのはわかったけど全然その施設の様子がわからないんだけど・・。」
マユがゼロとシンハロの責任者二人に言う。
他の面々もうんうんとうなずき解説を求める。
『えーっと・・あ、俺が説明しちゃっていい?』
解説を始めようとするシンハロ、ゼロはこくりとうなずいた。
『えーっと、まずあの施設は一つの人格コンピューターが管理してるんだ。
俺が作った奴で・・・まぁ孤児院みたいなところだから「マザー」って名づけた。
いや、名前を「オカン」にしようとしたらむっちゃ怒られてさー。あ、話がずれた。
で、基本的には元々強化人間の研究所だった所を改造して作られてて
訓練所とかもこんな風になってる。』
自分自身を画面につなぎ、直接画像を見せる。
『基本的には数年かけて普通の「人間」に戻すのがコンセプトなんだけど・・。
ステラ達、けっこうつらいんじゃないかなー。』
「テンはドS。」
あっけらかんと語るシンハロとゼロ。
『それと治療薬・・・、あれはゼロの分野だったよな。』
話を振られて説明を開始するゼロ。
「あの薬は強化人間の体内にある強化薬の成分を新陳代謝を利用して排出する薬です。
本来は少しずつ使うものだけど・・、テンから来たレポートを見るとどうも運動量を増やして
それに合わせて薬の量も増やしてるみたいだ。
さっきから繰り返してるけど、かなり度を過ぎた・・異常な治療をしてるみたいだ。」
ゼロとシンハロの言葉にメンバーの顔が少し青ざめる。
「スティング・・・・。」
メイリンが泣きそうになりながらスティングの名前を呟く。
「・・・・・ねぇ?その『度が過ぎた特訓』のおかげでどれくらいでステラ達に会えるの?」
マユがシンハロに聞く。
『うーん・・・、ちょっと計算すると・・・・ジブラルタルでは合流できるかな。』
「そんなに早く?!」
シンハロの言葉にルナマリアの驚いた声が聞こえてきた。聞いたマユ本人も目を丸くしている。
『うん、連合の人たちも来るだろ?その時に紛れて合流する予定。
こっちに来る頃は全員あいつらマッチョになってるかもなー。』
冗談をいいながら笑うシンハロ。
『だからさ、スティング達を笑顔で迎えてやってくれよ、皆。あいつら
本当に頑張ってるからさ。』
シンハロは笑顔で言っているものの、そのスティング『達』には一人だけ含まれていない人物がいた。
それは・・・ゲン・ヘーアン。彼のオリジナル、シン・アスカだった。
- 82 :ほのぼのマユデス。機械仕掛けの心。:2005/12/02(金)
21:09:27 ID:???
- 「・・・・・・・。」
マユの心は沈んでいた。ここはパイロット控え室である。
今、ミネルバはフリーダム討伐の指令を受けてフリーダムを追い詰めている。
しかし、ミネルバのクルーはあのMSのパイロットがアスランの親友だと言う事を知っている。
全員沈痛な面持ちだった。そして、とうとう出撃のアナウンスが掛かる。
しかし、その時格納庫から悲鳴が聞こえる。
「誰だ?!インパルスを動かしてるのは!」
「何でハッチが開いてるんだ!!」
マユはその声を聞いて急いでハッチの方向を見る。
今、ここにいない人物でインパルスを動かせるのは『一人』しかいない。
「シンハロ!!何やってるのよ?!皆!!あいつを・・・。」
マユがコアスプレンダーを止めるよう叫ぶが、他のMSは動き出さない。
「ちょっと!!どうなってるのよ・・・・?!」
「・・・ザクが・・起動しない・・?ハイネ!!」
「だめだ!!俺のグフも起動しない!セイバーははどうだ?!アスラン!!」
「こっちも無理だ!!」
MSのパイロット達の声が響く。一体もMSが起動しないらしい。
マユは考えた。おそらく、これは全てシンハロの仕業だろう。
「もう!何考えてんのよ!」
マユは力任せに壁を殴った。
- 83 :ほのぼのマユデス。機械仕掛けの心。:2005/12/02(金)
21:22:09 ID:???
- 『皆、マユ、ごめん。』
シンハロはコクピットの中で呟いた。
そして、ミネルバに通信をする。
『艦長、すみません。俺の独断で行動しました。これについての責任を全て俺にあります。
フリーダムは俺だけで倒させてください。もし俺が撃墜されてら全てのMSが
機動するよう設定してあります。勝手な行動、失礼します。』
そう書いた文章をミネルバに送る。これとは別にメイリンに自分の指示に従うよう指示する。
【なぁ、こんな事していいのか?特にお嬢さんには。】
そう『相棒』に聞かれる。
『・・・あのパイロットだけは俺が倒さなきゃいけないんだ・・・・。
あんな最低の!MSの力を自分の力だと思って!ちっともMSの事を考えないパイロットは!!』
シンハロの叫びを『相棒』は黙って聞く。
【まぁ・・・、確かにあのMS、前大戦の奴なのにあそこまで戦えるってのはスペック以上だしな。
見ててこっちが痛かったし。相当大天使の整備班は大変だったろうなぁ】
うんうん、という『相棒』。
『・・よし!見えた!!行くぞ!!フォースインパルス!!』
【あいよ!】
シンハロの言葉に、『フォースインパルス』は力強く答えた。
- 84 :ほのぼのマユデス。機械仕掛けの心。:2005/12/02(金)
21:53:33 ID:???
- インパルスは目の前にいる青い死神に迫る。
あの機体の動きは十分知っている。あのパイロットは何を考えているか絶対胸部を狙わない。
『はっ!!誰も殺したくないか?!そんなに自分の手が汚れるのが嫌なのか?!
そんなんだったらMSになんか乗るなっつーの!』
シンハロは嘲笑しながらフリーダムに迫る。
フリーダムがこちらを向いてフルバースト攻撃を試みようとする。
だが、混戦状態ならともかく、一対一のこの戦いではこの動作は決定的な隙である。
ビームライフルを撃ち、それを防ぐためシールドを使用するフリーダム。
こうしておけばフルバーストは使用できない。
なおかつ、背を向ける事は自殺行為。逃げるにも逃げられない。
【ほらほらっ!どんどん行くぜ!】
『そんなに戦うのが怖いのか!あんたは!!』
機械ならではの一切のためらいのない正確な射撃でフリーダムを狙うインパルス。
確実にコクピットを狙う。しかしそれはパターン化した動きで、フリーダムも慣れてきた。
『バカが!わざとだっつーの!こっちはそっちの癖は十分研究してんだよ!』
フリーダムが回避する先、そこを予測しさらに始めに胸部を狙う風にフェイントし、Nジャマーキャンセラーのある頭部を狙う。
シンハロの予測どうり胸部の部分を防護したフリーダムは無防備な頭部をやられる。
フリーダムの色が灰色に染まっていく。
『なるほど、無くなるエネルギーを節約か!いい判断だけどな!!ごめんな!フォース!』
【うぉぉぉいっ!?ちょっとまて?!後で覚えてろよぉぉぉぉ!!】
『フォースインパルス』の叫びを無視してインパルスは分離、そしてチェストフライヤーと
レッグフライヤーをフリーダムにぶつける。
- 85 :ほのぼのマユデス。機械仕掛けの心。:2005/12/02(金)
21:54:28 ID:???
- 『メイリン!ソードシルエット!!』
シンハロの声に合わせて、曇天に生える赤い剣士が姿を現す。
背部の剣をつなぎ合わせて大剣にし、フリーダムに斬りかかる。
『ソード!!いけるな!!』
【無論だ!】
『ソードインパルス』に声をかけ、フリーダムを切り裂こうとする。
『・・・・・っ!ゴメン、あんたをこんな形でしか助けてやれなかった。』
これから破壊するMSに謝り、怨嗟をこめた言葉をそのパイロットにぶつける、
『あんたみたいな!!あんたみたいなMSを愛さないパイロットなんかに!!どんな意思があろうが!
どんなに正しかったとしても!どんな理由であったとしてもMSに乗る資格は無い!』
それは機械からの悲痛な叫び。戦場で主人を守れずに無残に目の前のMSにやられていった全てのMSの叫び。
『あんたなんかぁぁぁぁぁぁっ!!』
そう叫んで、シンハロはフリーダムを真っ二つにした。
- 148 :ほのぼのマユデス。トモダチ。:2005/12/04(日) 19:44:01
ID:???
- 『・・・・・艦長に怒られるかな?こりゃ。』
シンハロはインパルスのコクピットで呟いた。
冷却処理能力を超えた発熱によりコクピットの一部がデロリと溶けている。
自分が着ている服は特別製なので無事だがこれではマユは乗れないだろう。
【艦長どころではない、お嬢様にも皆にも、とにかく怒られるだろうな。
俺は所詮人と交わる事のない機械の身、お前の弁明をしてやることはできない。】
『ソードインパルス』の呆れた意思が伝わってくる。
そしてミネルバに着艦するインパルス。
シンハロがハッチを開けると蒸気が一気に外に出る。
そしてある程度シンハロは熱が収まると外に出てきた、するとその瞬間・・・。
「レヴォリューション・キィッッックッ!!」
仮面ライ○ーよろしく、ハイネがとび蹴りを食らわせてきた。
『ぐべらっ!!』
北斗の○のような悲鳴をあげて吹っ飛ぶシンハロ。
「トースッ!」
そのままレイにトスされて・・。
「アターック!!」
マユに壁に叩きつけられた。
- 149 :ほのぼのマユデス。トモダチ。:2005/12/04(日) 20:02:01
ID:???
- 「・・・っ!!」
「アスランさん!!」
アスランはフリーダムが撃墜されるのと同時に、何処かへ駆け出していた。
自分でもどこに行きたいのか解からない。ただ、悲しかった。
考えも変わってしまった。選んだ道も違えた。一緒に歩いてはいなかった。
昔の甘えん坊のキラは何処にもいなくなった。
それでも、親友だった。
「キラッ・・・・・!」
やりきれない気持ちがぐるぐると駆け巡る。
シンハロがやった行動は軍人としても正しい。キラも間違いなく敵だ。
でも、それでもキラとの思い出が駆け巡る。
桜の綺麗にさいた通り、ラスティ達を失ったあの日、オーブでの再開、そして戦い。
二人で駆け抜けた宇宙。全て捨てることは出来ない。割り切れない。
「アスラン!」
アキラが追いかけてきたらしい。どうやら全員で手分けしてアスランを探しているらしい。
そしてアスランにハンカチを手渡す。
「・・・・今は泣いて良いと思う。俺も・・、その気持ちは良くわかるから・・。」
アキラの言葉にはっとする。
彼の話、そしてミリアリアとキラの話を統合して、ほぼ間違いない。
何より、この間彼の看病をした時に部屋で見た写真。
二人の制服をきた少年が、卒業証書を入れる筒をもって腕を組んで校門の前で笑っている。
その少年は、アキラと茶色いウェーブの・・・・。
「アスラン?」
アキラが様子の変わったアスランを心配そうに見つめる。
「どうした・・・。」
「やめてくれ!!」
心配するアキラを振り払うアスラン。
「俺は・・、俺はキミに心配される資格は無い!無いんだ!!」
アスランは涙を流しながら叫ぶ。
「頼む・・、もう放っておいてくれ・・。頼む・・・・。」
ひたすら泣きながら訴えるアスランを困惑した目でみると、アキラは静かに去って言った。
そう、いつだって自分達は誰かの大切な人を奪ってる。それは彼だって例外じゃない。
でも、感情は止まらない。止めることはできない。
「キラ・・・・・。」
アスランは、たった少しの希望をこめて親友の名前を呟いた。
- 150 :ほのぼのマユデス。トモダチ。:2005/12/04(日) 20:09:11
ID:???
- なんだかんだいって今日も書いちゃった、てへ。ほのぼのです。
最近アキラの奴の出番が多くなってちょっと困り気味です。
ハイネ隊は動かしやすさにランクがありまして、アキラ、ゼロ、グレイシアは結構
動かしやすいんですが、ジョー、キース、カルマは結構動かしにくい。
・・・・・まぁ、ジブラルタルで活躍してもらう予定ですので・・。
さて、アスランの葛藤を描いたところで次回はジブラルタルです。
どうなるスティングとメイリン?!
アウルとマユのガチンコ勝負!!勝敗はどっちに?!
ゲンvsシンハロ!!理想を抱いて溺死するのはどっちか?!
ハイネコンサートinジブラルタル!ハイネ隊はてんやわんや!
そしてどうなるアスラン?!脱走するか?!それとも辞表をだしてちゃんと退職するか?!
次回をお楽しみにー。
- 169 :ほのぼのマユデス。ぶらざーくらいしす。:2005/12/05(月)
17:53:59 ID:???
- 『・・・・ジブラルタルかー。』
シンハロは格納庫で呟いた。
MSの移動の作業が急がれており、すでに量産期のカスタムであるハイネ隊のザクは
移動してしまった。
ちなみにシンハロがいるのはコアスプレンダーの中である。彼は暇だとここで大体MS達と
話をしている。ぶっちゃけ外で話してると皆に変な目で見られる。
【・・・・・・・・。】
『ブラスト。いい加減機嫌を直してくれよ。』
シンハロはフリーダムを倒した時から機嫌の悪い相棒に言った。
【旦那はあっしより、剣(けん)と力(りき)のやつのほうが使いやすいんでしょう?
そりゃあ、どうせあっしは遠距離ですよ。えぇ。使い勝手がわるいでさぁ。
でもね、旦那。あっしだってお嬢の役に立ちたいんです、解かりますか?
そうそう、それに何時も言ってるでしょう。あっしは横文字に弱いんです。
疾風(はやて)って呼んでくだせぇよ。】
『ブラストインパルス』・・・・、もとい疾風(はやて)の言葉が聞こえる。
こいつは絶対プラント出身じゃない、きっと幻の東アジアのガンダムに違いない。
この微妙なエセ江戸弁、一体何処で身に付けたのだろう?
第一、横文字に弱いってこいつ何歳だ?何時の機械だ?おまえ実は茶汲み人形か?
はてやエレキテルとかそこらへんか?
【おーい、そろそろ俺達も運び出されるぞ、いまセイバーが運ばれてる】
フォースの声が聞こえる。いけない、とシンハロは思い急いで外に出る。
『さて・・、待ってろよ・・・・。』
シンハロはマユと再開してるであろう『シン・アスカ』に言った。
- 170 :ほのぼのマユデス。ぶらざーくらいしす。:2005/12/05(月)
18:12:52 ID:???
- 「マユゥゥゥゥゥッ!会いたかったよぉぉぉぉっ!!」
「一撃必殺!!」
ヘリから飛び降りてきた兄に一撃食らわせるマユ。どうしても感動の再開には見えない。
「ぐはっ・・・・、マユの・・ツン・・・・デ・・・。」
「お兄ちゃん、私はツンデレじゃないよ、キルデレ?」
「Dead ore Love ?!」
マユとシンが何年ぶりとは思えない漫才を繰り広げている向こうでは、かなりの感動の再開が
繰り広げられていた。
「・・えーと、その・・ひさしぶりだな・・。」
スティングが恥ずかしそうにぼそぼそっっとメイリンに言う。
すると、メイリンはスティングに突然抱きついた。
「・・・・・ひさしぶり・・じゃないでしょ?」
「え・・・?」
メイリンに突然抱きつかれ目を丸くしながら思わず声をだすスティング。
「おかえり・・・、スティング。」
メイリンは目に涙を浮かべながら満開の笑顔でスティングを迎える。
「・・・ただいま、メイリン。」
スティングも微笑みながらメイリンを抱き返した。
「ルーナーちゃーーん!」
「スーーテーーーラーー!!」
女の子二人はがしっと抱きしめあう。
「元気だってたー?!大変だったでしょー?!」
「大丈夫・・。皆のために・、がんばった。」
「あーもー!ステラかわいいー!!」
年頃の女の子のノリで再開を喜び合うステラとルナマリア。
- 171 :ほのぼのマユデス。ぶらざーくらいしす。:2005/12/05(月)
18:14:49 ID:???
- 「・・・おい、おれ何?俺だけ一人?」
アウルは呆然と周りを見る。すると・・・。
「よぉ、一人だけあぶれちまったのか?アウル。」
聞き覚えのある声の方を向くと、顔に大きな傷のある連合の服をきたおっさんが立っていた。
「・・・おっさん、誰?」
「おっさんじゃない!!・・・お前らはこれがないと解からないのか?」
そう言って男が出したのは見覚えのある仮面ヘルメット。
「・・・・・・・・・・・・ネーーオーーーーー?!」
驚きのあまり大声をあげるアウル。
「おいおい、大声を出さないでくれよ。俺、いまネオ・ロアノークじゃないんだぜ?」
「は・・・・?」
ネオの言葉にアウルを意味不明、という顔をする。
『ネオ・ロアノークは死んだ事にした。彼を生かすために別の人間の戸籍を用意したんだ。』
ネオの後ろからザフトの赤服をきた青い髪の青年が来た。
「ハロ?!どういうことだよ?!」
アウルが意味不明、という顔をする。
『あー、この人、アウル達の『家族』なんだろ?だったら助けなきゃなぁ、って思って。
裏でいろいろ手回して、戦死者の戸籍でちょうど良いのがあってさ。
顔も似てるし、ちょうどMIAになってる。血液型も一緒。年齢も同じくらい。
しかも一度艦ごと連合を脱走して連合にはっきりした知り合いがいない。
そんなすばらしい条件が揃ってる奴がいたんで、それを渡したんだ。』
「と、いうわけで、今のおれは『ムウ・ラ・フラガ』。なんでもエンデミュオンの鷹って
ご大層な名前がついてるらしい。いやー、それにしてもどうなるかと思ったぜ。捕虜になった時は。」
はははははーと笑うネオ、もといムウ。
アウルはただ、遠くを見るしかできなかった
- 172 :ほのぼのマユデス。ぶらざーくらいしす。:2005/12/05(月)
18:30:57 ID:???
- 『さて、始めまして。ゲン・ヘーアンくん?』
シンハロはゲンにあいさつする。
「・・・・・あんた、誰だよ。」
ゲンは明らかに警戒してシンハロを見る。
『あぁ、自己紹介が遅れたね。俺は『シン・アスカ』、マユの兄だ。』
と、ゲン・・もといシンの導火線に火をつけた。
「はぁぁぁぁぁあぁぁっ?!シン・アスカはおれだっつーの!!」
ゲンがたまらず胸倉を掴む。
『あ、これ俺の免許。ね?ちゃんと書いてあるだろ?』
ゲンはその免許をばっと取り上げて見る。そこには年齢は違えど確かに自分の名前が
目の前の男の写真で載っていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁっ?!マユ!!こいつは誰なんだ?!」
「えーっと、話すと長くなりまして・・・・かくかくしかじか。」
「はぁ?!アンドロイド?!どこのSFだよ?!」
『ほら、証拠証拠。首がはずれるよー。』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ギャイギャイとと騒ぐアスカ三人組。さらにエスカレートしていく。
「あんた!!マユと兄弟ってのに髪の色も目の色の全然似てないじゃないか!!」
『ふっ!甘いな小僧!!』
そう言うとみるみるうちにシンハロの髪が青からマユと同じ黒へと変わっていく。
「なぁっ!?何だとっ?!」
『ふはははははっ!!俺の髪はPS装甲の色が変わる原理を応用して
色が変えられるんだよ!!目の色もな!!』
高らかと勝ち誇った声をあげるシンハロ。
「何だ何だー、にぎやかだなー。」
見るとハイネがハイネ隊とアスランを引き連れて来ていた。
「何やってるんだ・・、あの二人。」
「あー、マユちゃんの取り合い?」
ばかだなー、とか面白いなー、とか勝手な感想を次々に口に出すハイネ隊。
「兄さん!!いい加減にしてください!!」
このままではらちがあかないと、二人を止めようとアキラは口調を変えて二人を叱咤する。
ピタッ、とシンとシンハロの動きが止まる。
「『あ・・・・・っ!あきはっ!!』」
ほぼ同じタイミングで何かに怯えたような声をだす二人。
アキラは眼鏡を取り、髪の毛を解く。
「いいですか?勝負をするというのならもっとキチンとした方法でしてください・・。」
中の人効果で正座をしてアキラの説教を聴くシンハロとシン。
「・・・その勝負、おれが仕切る!!」
ばばんっっと説教に割り込むハイネ。
「第一回!!ヴェステンフルスプロデュース!兄王者(アニキング)選手権だ!!」
ハイネはそう勝手に、高らかと宣言した。
その後、説教臭い性格になったアキラにシン達ともに説教されたのは言うまでもない。
- 212 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権 開会式 :2005/12/06(火)
20:30:02 ID:???
- 『さー、ハイネ・ヴェステンフルスプロデュース!第一回兄王者選手権ただいま始まりだ!!』
わーーっとハイネの声に反応する観衆。ザフト、連合の制服がいりまじっている。
半分のザフト兵はハイネ目当て、それ以外は純粋に楽しみに来ている様だ。
『じゃあ、この勝負の説明を始めるぜ!キースよろしく!!』
ハイネの後ろのモニターに映像が映る・・・ただ、そこにいたのはキースではなくてカルマだった。
『・・・おーい、キースはどうした、キースは。』
『んっとねー、お酒取り上げてしばらくしたら動かなくなった。』
平然と語るカルマ。
『そっか、そろそろやばいな。』
『うん、俺もそう思う。』
日常茶飯事なのか平然と話し合うハイネとカルマ。
『じゃあ、ルールを説明するよー!まず、種目は三つ!
始めに!運動能力テストのためえーっと・・SASUK○?』
『違う!風雲ハイネ城だ!!』
『ハイネ、実は年サバ読んでない?若い子おいてけぼりだよ?』
『大丈夫だ!多分十八歳以上なら解かる!』
カルマは困ったような顔をする。
『いや、それくらいでもちょっと・・・あ、いけない!で、第一種目は要するにアスレチックで・・。
第二種目はMS戦!いやぁ、まさに連合VSザフトだね!で、第三種目はガチンコ勝負!
生身で殺しあえ!・・じゃなくてぶつかりあえ!!てゆーかほぼ身体しか使ってないね!』
カルマが解説を終える。そして、近くでゴージャスな椅子に座っていたマユに近づく。
『さて、今回の賞品である「マユ・アスカ」ちゃんに話を聞いてみまーす!
マユちゃん、コメントをどうぞ!』
『存分にやりあえ、それが青春だ。てゆーか共倒れしてくれたほうが嬉しい。』
『はい、予想通りのポイズンコメントありがとうございましたー!
じゃ、会場戻りまーす。』
そして、画面の映像はロゴに戻った。
- 213 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権 開会式 :2005/12/06(火)
20:43:56 ID:???
- 「なぁ、風雲たけ○城ってなに?」
「俺が知るかよ、メイリンは知ってるか?」
「知らない、レイは?」
「ギルが昔SASU○Eをそう呼んでいた。何回訂正してもそう言うんだ、あのおっさん。」
「レイも反抗期よねぇ、あ、そっちのポップコーンちょーだい。」
「うぇい。」
ここは観客席、アウル、スティング、メイリン、レイ、ルナマリア、ステラがお菓子を食べながら
観戦していた。
「お。おーい、ビールいるか?」
そう言って近づいてきたのはジョーだ。・・・・どうやら飲み物などを販売してるらしい。
「ステラ・・・みせーねんだから・・・飲めない。」
「てゆーかハイネ隊こんな事までやってるの?」
ルナマリアとステラが言う。
「あー、まぁ全員ハイネのコンサートとかで慣れてるし。あ、ココアもあるけど?ステラ。」
「ココア!あったかいのがいい!」
ジョーの言葉にはしゃぐステラ。
「何杯いる?えーっと・・、メイリンとステラね・・。アウルとスティングはサイダー?
レイが紅茶で・・・ルナがビールね。」
ごそごそと缶の飲み物を用意するジョー。温かいのも冷たいのも両方そろえているらしい。
『それじゃあ!第一種目始めるぜ!!』
その間に、既に勝負は始まろうとしていた。
- 228 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権
風雲ハイネ城。:2005/12/07(水) 20:35:52 ID:???
- 『さて!まずは風雲ハイネ城の第一ステージ、柳・・じゃなくて虎神池です!』
カルマの声にわーっとなる会場。
ところどころに足場のある池の前には二人の『シン・アスカ』が火花を散らしながら立っていた。
「お前みたいな偽者に負けるかよ!」
『は、笑わせるな雑種。機械でも人間でもないもんがいきがんな。』
お互い普通は言わないであろう確実に心をえぐる言葉を言い合う。
『では!スタート!!』
ピーッと笛の音が鳴る。
このゲームのルールは、池にある足場を飛んでいきゴールに到達すると言う物だ。
しかし、これは攻撃ありというたけ○の世界よりイリ○の世界に近いルールなので
戦局は解からない。
お互い一歩も譲らず機械の四肢を利用して次々とゴールに向かう。
『この勝負どうなると思いますかー?アスランさん。』
いつの間にかカルマの隣にはアスランがいた。解説者、というテロップが浮かぶ。
『そうですね・・・、まずシンハロの方は頭の回転、運動能力ともに人間を超えているけれど
冷却の方に問題があって、あまり激しい運動をすると自動的にフリーズしてしまうんです。
あとやはりバッテリーです。最初から本気で行くとバッテリーが結構早くきれます。』
『そうですかー。じゃあムウさんはどうですかー?』
するとアスランとは反対側にムウ・・ネオがいた。やはり解説者らしい。
『そうだな・・、ゲンのやつはやっぱり機械だから多少の無茶はきくな。
ただ、あいつは熱しやすいからなぁ・・・。そこが問題だな。』
『はい、ありがとうございましたー。カメラ戻りまーす。』
また場面が池に変わる。そこはマトリックスよろしくの世界になっていた。
「おちろぉ!!」
シンがグレネード弾をハロに向かって投げる。
が、ハロはそれを懐に隠していたナイフをなげ、空中で爆発させる。
ハンデとしてゲンには重火器の類の使用が許されているのだ。
『アキラの借りた騎手短剣(要英訳)!!』
ハロが鎖の先に巨大な釘が付いた様な武器を振り回す。
だがゲンはすぐにその間合いを見抜き距離を取る。
が。
『かかったな!!』
「なっ?!」
ゲンが距離をとろうとして着地した岩場は突然沈んだ。ダミーの浮きだ。
『はーはっははははは!先に行かせてもらうぜ!!』
シンハロは笑いながらその隙に一気に飛ぶ。安全そうな岩場に着地した瞬間。
カチ。
『カチ?』
チュッドーーン!!!
- 229 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権風雲ハイネ城。:2005/12/07(水) 20:51:08
ID:???
- 「何をやってるのかね?!キミ達は!!お兄さん悲しい!」
なんか虎のストラップのついた竹刀を持って袴の姿のアキ・・・アイ隊長。
「貴様らそんなのでこの業界で生き残っていけると思っているのか!?
そんなんじゃあそこでふんぞりかえってる種界のしろいあくまロリっ子の思う壺だぞ!!」
なんかアキラの後ろに虎が見える。
「と、ゆーわけでたぶんハロには予想がついてると思うけど次は『たけのこでぽーん。』です。
がんばっちゃってくれたらお兄ちゃんうれしいなー。」
そう言って手を振るアキ・・・アイ隊長。
シンハロとシンの前にはクレーンに吊るされた巨大なたけのこがあった。
「・・・・・これってSASUK○じゃないのか?」
『あー、NARUT○かもね。』
まったくかみ合ってない会話をする両者。ハロのセリフは微妙に伏字になってない。
『それじゃ、スタートです!』
カルマの声を合図にたけのこにぶらさがる二人。
すると・・・・・・。
『うわぁぁぁぁぁぁ?!』
「か・・っ!!皮が剥ける?!」
捕まった所からするすると皮がむけていく。
『あのたけのこ、どうなってるんだ?』
解説のアスランが気になったのかカルマに聞く。
『あれはですねー、摩擦を利用して強力にくっつけてあるんですけど
人間くらいの重さならあっさりはがれちゃうようできてるんですよー。』
カルマが嬉々として解説をする。完璧に他人事である。
『くそっ!!』
シンハロが騎手短剣(要英訳)を突き刺して固定しようとすると・・・。
ぶんぶんと振り子のように揺れるたけのこ。
「『うわぁぁっぁぁあぁぁっぁっ!!』」
必死で捕まる二人。それでも何気に攻撃しあう。
こんな状況でも必死にお互いを蹴落とそうとしているのは流石である。
- 230 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権風雲ハイネ城。:2005/12/07(水) 21:17:11
ID:???
- 「アキ隊長のラジオはフレンチカンカン!
・・・・・・ごめんなさい、ちょっとマネしたかっただけです。
さて、いよいよ本家本元、ハイネ城への最終関門!『じぶりたる海峡』だ!!
まぁ、それなりに広くて新しい橋をボールを持って渡ってもらう!
橋はみっつあり、キミたちには真ん中を通ってもらう!
ここではモトネタだとバズーカだったり白いメイドさんが襲ったりしてくるがそれどころではない!
ハイネ隊のメンバーが全力をもって襲わせてもらうのでそこんとこYOROSIKU☆
あ、場所は移動しないから安心してね。
はい、とゆーわけでこれ。花札で勝負して全部集めると願いがかなう金のボール。別名ボーリングのボール。
では!がんばってくれたまえ!!」
虎の声と煙とともに床に消えていくアキ・・・・・アイ隊長。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
「ふん!ただのザフト一般兵くらい!」
自信満々のシンと糸色望なシンハロ。
『はい、とゆーわけで臨時に司会に代わりました。ムウ・ラ・フラガだ。
いやー、なんかつり橋をわたるみたいだけどさぁ、どうなのそこんとこ。』
『はぁ・・、ハイネ隊のメンバーは結構生身の戦闘は強いですけど・・・。』
アスラン、ネオの正体を疑っているのかスルーしてるのか気づいていないのか。
テンポ良く二人の会話は続く。
『あ、そろそろ始めたほうがよくないですか?』
アスランが話を戻す。
『お、そうだな。それじゃ!始め!!』
そして、笛の音が鳴った。
「敵は何処だ!!」
始めから敵を倒すつもりで走るシン。
反対にシンハロはまっすぐ橋を抜けることだけを目標にする。
「いっきまーす♪」
軽い声と共に投擲用のナイフがシンの前に刺さる。
右の橋を見ると少年がナイフを構えていた。
いまがチャンスとシンハロは進もうとするが、突然の衝撃に足を止める。
「・・ちっ。しとめ損ねたか。」
本気で狙っていたのか舌打ちをする美青年、ジョーだ。
カメラが撮影してるのが解かるととウィンクする。おそらく『お客』に向かってのサービスだろう。
「いくわよっ!!」
「・・・・・・束縛。」
真っ白い布と銀の鎖が横から飛来する、グレイシアとゼロだ。
あくまで二人の攻撃は束縛を目的とした物でそう危険ではないものの当たるときっと物凄く痛い。
『くそっ!マユのために!!』
「負けられるかぁぁぁあぁ!!」
---------その頃のマユ・アスカちゃん
「あー、ケーキ食べ放題だしジュース飲み放題、こりゃ天国だわ。
あ、お兄さーん。モンブランとロールケーキ。あ、ほうれん草のキッシュもー。」
- 242 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権風雲ハイネ城。
:2005/12/09(金) 15:56:41 ID:???
- 「はーはっはっはっはっは!よくここまで来たな!!」
ハイネの声が響く。
あの橋を渡りきったツインシンはナイフが刺さってたり頭がこげてたり
鎖をひちぎった後とかでもうボロボロである。
「・・・・・・・・・・・・・・・・なぁ、最後の最後だ。」
『あぁ、やっちまおうぜ。』
二人は今だけ協力することにした。
「この俺のところまでよく・・ぐぼあっ!!」
ハイネがセリフを言い終わる前に攻撃を始めるゲンとシンハロ。
「おっ!!お前ら!!人がセリフを言い終わる前に攻撃するな!!」
口から無意味に血を出しながら訴えるハイネ。
『うるさい!!先手必勝!』
だべしっ!
「おれさ、ガキのころポケモ○見ててなんでロケッ〇団が喋ってる間に
十万ボルトしないんだろう?ってずっと思ってたんだ。」
ずしゃっ!
『美形が頭と口端からしか血を出さないのってムカつくよね。』
ぼきっ!!
「あぁ、綺麗な顔にクリーンヒットさせて鼻血出したいよな。』
どごずっ!!
ぎめしょぐちゃべげっがちゃげしたいがーぐべあえべしいあいあはすたー。
『・・・ふぅ、ここまで原型を留めなくなったらいいか。』
「そうだな。」
ウサを晴らしたのか血塗れの爽やかな顔で笑いあう二人。
ジョジョに奇妙な友情が生まれてきたようだ。
『ハイネーーーーーッ!!』
同人アニメの時のように叫ぶアスラン。
『あちゃー、大丈夫かね?あれ?』
困ったような顔でムウは呟く。
『別に大丈夫だよー。』
『ハイネなら三十分で回復するわよねー。』
『だってきっと真っ二つになっても再生するぜ、ハイネなら。』
『ヤマタノオロチみたいだな。』
『ジャパニーズ・ヒュドラ?』
ハイネ隊の面々がマユの胸程度も心配してないので大丈夫なのだろう。
『次の競技いっちゃっていいよー。ハイネはこっちで処理するから。』
・・・・・処理と言う単語に一抹の不安を覚えながらもゲンとシンハロは次の
競技の会場へと向かうことにした。
「あ、そう言えばこの競技の結果はどうなんだよ。」
『んー。引き分けかなー?』
「『えぇぇぇえぇぇぇえぇぇっ?!』』
- 292 :ほのぼのマユデス。閑話休題 人気だけが僕のすべてじゃない!!:2005/12/11(日)
18:22:11 ID:???
- 「・・・・・・・シンハロ、自害しろ。」
『なんでさ?!』
マユの唐突な命令につっこむシンハロ。
「うっさいなぁ!!主人より人気があるなんて許せないじゃない?!」
げしげしとシンハロを蹴るマユ。
「・・・・あれ?カルマたちは?」
アキラが何人かのメンバーがいないのを見て言う。
「あぁ、人気投票にノミネートもされなかった組は皆で自棄酒だとよ。
・・・・・はぁ、部屋に帰れねぇよ。」
ジョーがとほほ、と呟く。
ちなみにジョー、キース、カルマは無理やり布団をもちこんで二人部屋を
三人部屋として使用している。だからグレイシアは一人で部屋を使っている。
「あ!お姉ちゃん止めなきゃ・・。酒癖悪いから・・。」
勇敢にもメイリンは一人でその部屋へ向かった、全員メイリンの後姿に敬礼する。
『あのなぁっ!!俺だって僅差で抜かされたんだぞ!!あと少しで隻腕さんとこの
シンに追いつきそうな時もあったのに・・・・・。
しょせんオリジナルを越えるなど俺には無理な話だったか・・・。』
「ハロー、それ違う人違う人。」
アスランがびしっと突っ込む。
「うぇーい。スティング達みせーねんなのに・・、お酒だめ・・。」
「まぁ、世間一般のナチュラルの高校生は皆それくらいに普通にお酒飲むからいいんじゃないか?
俺も昔無理やりギルとラウに酒を飲まされた事もあったな、あの仮面野郎ども。」
ステラの疑問にいつのまにか過去の恨みを思い出したレイは笑顔に黒いオーラを漂わせている。
「・・・レイ、お前本当に議長のこと大事なのか?」
「えぇ、大事ですよ。そりゃあ西部劇のごとく馬で引きずって素っ裸で大気圏突入させて
そのまま毒蛇の海につっこんでそのあとなんの処置もせず放っておく程愛してます。」
・・・・腐った女の子が喜びそうな「愛してます」と言う言葉が帳消しになるほどの暗黒オーラ。
ハイネは言わなきゃ良かった、と後悔した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!」
それを見ていたゼロはだっと駆け出して部屋の外へ飛び出してしまった。
「・・・・・ゼロお兄ちゃん、そんなに一票も入らなかったのがショックだったのかな?」
マユが心配そうに呟く。
『いや、暗黒女帝 カガリ・シーノハーラに負けたのがショックだったんだろう。』
シンハロがぽつりと呟く。
すると、ステラは人気投票の結果一覧を見て解かったらしくぽんっと手を叩く。
「一人だけふるねーむじゃない!!」
「「「「「「「「あ。」」」」」」」
- 344 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権 お姫様Lv.99 :2005/12/14(水)
17:01:15 ID:???
- 「・・・・・・、つまんなーい。」
マユはそろそろ飽きていた。
自分の前においてあるモニターには自分の兄二人がMSで戦っている。
かたや黒い大剣を操るMS,かたや緑と白の砲撃用MS。
見たところシンハロが押しているようである。
黒いストライクが接近しようと絶妙な槍術でダメージを食らわせる。
が、どうも詰めが甘いらしく、装甲を確実にやられてたりする。
「うー、つまんないつまんない!!ケーキもあらかた食べちゃったし!!」
マユは足をバタバタと振る。
「・・・・そうだ♪えーっと、携帯携帯。」
マユはいいことを考え付いたのか、ニヤニヤと笑いながらポケットから携帯をだした。
- 345 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権 お姫様Lv.99 :2005/12/14(水)
17:23:55 ID:???
- 【はぁー、結局ブラストの奴がいっちまったなー。】
ここは格納庫、そこの片隅で部分パーツ状態のフォースは呟いた。
【仕方があるまい、何せ同人アニメ後半の主人公のごとく活躍できないのだ、あいつは。
これくらい譲ってやった方がいいだろう。】
インパルスズはうらやましそうに話す。
【わうっ!二人ともがんばって!】
ネット中継を受信しながらはしゃぐのはガイアだ。
【うるさい・・、だまって。】
興味無さそうにガイアを黙らせようとするのはアビス。
【お前なぁ・・、少しはバカになれよ、バカに。】
【大人ぶりっ子はー。】
【かっこ悪いですのー。】
アビスをたしなめるはカオス。それに続く幼い少女の声は彼の兵装ポッドだ。
ちなみに左側の名前が『サチコ』で右側の名前が『ミチコ』だったりする。
【・・・・・・うぅ。】
会話にどうにか入ろうとして中々入れないのはセイバー。決して腹ペコな訳ではない。
彼はセカンドシリーズの中でも一機だけテスト時にいなかったこともあり、まだまだ
馴染めないらしい。だが、パイロットによき似て気軽な性格のハイネ隊ザクが取り持ってなんとか
やってきたのだ。が、彼らは別のところへ搬送されてしまい、今はちょっと困り気味である。
そんなMS達がつかの間の平和を味わってるなか、異変が一つ、
人っ子一人いない格納庫に、足音が響いた。
【ん・・・・?だれだ?】
そう思って音のほうをソードが見る(?)と・・。
【なっ!お嬢様!!】
【はぁっ?!ソードお前何行って・・・ってお嬢さん!!】
ソードとフォースが素っ頓狂な声をあげる。
確かに、そこには小さな女の子・・マユがいた。
【わう・・?マユ・・・なんでここに・・きゃうっ!!!】
マユはガイアに駆け寄るとガイアに搭乗する。
【・・・・・いーやな予感。】
アビスがぽつりと呟く。
【あぁぁぁぁぁぁっ!!とめなきゃ!!ってオクレがいねーから止めらんねぇっ!!】
【カオス様ー。】
【落ち着くですのー。】
完璧大慌てのカオス、兵装ポッドの方は落ち着きまくりである。
【わぅぅぅっ?!また・・ガイア・・ごうだつ?!】
そして、マユを乗せたガイアは格納庫を突き破ってしまった。
・・・・どうやらハイネ隊のザクのある格納庫へ行ったらしくそちらの方向から
悲鳴が聞こえてくる【俺のグゥルーーっ!!】という声はアキラザクのものだ。
グゥルに乗ってガイアinマユは空を駆けていった。
- 346 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権 お姫様Lv.99 :2005/12/14(水)
17:39:47 ID:???
- 『このっ!!当たれ!!』
【てやんでぇ!!いい加減おちろってんだ!!】
シンハロと疾風は叫びながらケロベロスを放つ。
が、それを絶妙な操作で避けるストライク。
【きひひひひひひ。あたんねーよ、ぶあーかっ!!】
ストライクはバカにしたような笑いをする。
『くそっ!!あんの生意気な真っ黒・・・!さては復習者のサーヴァントだな!!』
【旦那、あっしはそう言う話はわからないんでさぁ。そう言うのはアキラザクに・・・。】
二人が会話をしていると、急に別の『声』が紛れ込んできた。
【わぅぅぅぅぅ・・・たーすーけーてー・・・・。】
びみょーにのほほんとしたわんこのような口調はガイアのものだ。
『・・・・・ガイア?!』
【旦那!!上からきますぜ!!】
疾風の声に反応し、咄嗟にビームをかわすブラストインパルス。
『・・・・つまんないからきちゃった♪』
かわいらしく、お茶目っぽく言いながら通信してきたのはマユだ。
何気にアキラの「俺のグゥルーーっ!!」って声が聞こえてきたりするが、マユは気にしない。。
【おじょーーうっ!!】
『きちゃったーーー?!全然お茶目じゃないぞー!!マユ!!』
ぶっちゃけあの攻撃はコクピットを確実に狙ってたりする。
【わぅぅぅぅぅぅー(泣)わぁぅぅぅぅぅー(泣)】
ガイアは困ってしまってわんわんわわーん状態らしく、大泣きしている。
『さぁ!!私のお兄ちゃんになりたくば我(わたし)の屍を越えていけ!!』
『いや、屍にしちゃったらだめだろ、マユ。』
『普通は我とかいてオレと読むんだろ?』
マユのセリフに珍しくシンが突っ込む。
『・・・・問答無用!!くらえっ!!』
『うわぁぁぁぁっ!!いきなり切りかかる奴があるか?!』
『ちょっ!!!うわぁぁぁあぁぁぁぁあっ!!』
こうして、暴虐天使アスカちゃんの幕は上がった。
- 382 :ほのぼのマユデス。第一回兄王者選手権 諸行無常の響きアリ。:2005/12/15(木)
20:29:50 ID:???
- 「ですとろーい!!あいあむちゃんぴおーん!!」
先ほどまで黒いストライクとブラストインパルスの戦っていた会場には・・・・・・。
マユinガイアがポーズをとりながらデンっと立っていた。
「はははは・・、どうすんのよ、これ。」
ボロボロの黒いストライクとブラストインパルス、そしてめちゃくちゃになった会場に呆然とするハイネ。
そのハイネをよそにゼロは被害総額の計算を始めているし、グレイシアは救護班の手配。
ジョーは整備班にストライクとインパルスのことを謝り倒してるし、カルマは議長に報告。
アキラは既にミネルバメンバー以外が避難した会場の後片付けに入っていた。
「よっと・・・。ふぅ・・。これでばか兄貴どもは成敗したか・・・。」
「成敗したかじゃない!!」
スパコーーンッと景気良く響くハリセンの音。
「いったぁ・・・・!何すんのよ三蔵・・じゃなくてレイ兄ちゃん!!」
「こっちのセリフだ!!マユ!!散々暴走して観客避難させなきゃいけない事態にしたのはどいつだ!!」
がぁっっと怒るレイ。
『うわぁ・、表面樹脂がボロボロ・・・、腕もフレームごと総交換かなぁ・・・。』
自分の状態を冷静に確認するシンハロ。微妙に紫電が腕から走っている。
「はい、これアンタの体。」
『お、サンキュー、ルナ。通信準備・・アクセス開始。』
ルナマリアからハロの体を渡され、そちらに移るシンハロ。
「ステラ!!どうしてマユにガイアを貸したりしたんだ!!」
スティングはステラを叱っていた。アウルはゲンの救出に向かっている。
「おい、そこまでしなくても・・・・。」
「ネオは黙っててくれ!!」
スティングおかん属性決定。ネオへたれ亭主決定。
「うぇーい・・。だって・・ゲンが・・・。」
「ゲンが?」
「ゲンが・・マユばっかりかまうから・・・・う・・・うぇ〜〜い!!」
そう言うとステラは泣きはじめてしまった・・・が。
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!ごめんよステラぁぁぁあぁぁぁあぁぁっ!!」
キャプ翼風に言うならば、「アウルくんふっとばされたー!」。
ゲンは助けようとしたアウルをぶっとばしてステラの元に駆け寄り抱きつく。
「俺ってば自分のことばっか考えてステラのこと全然考えてなかった・・!ごめんよぉぉぉぉぉ!」
「うぇ・・・い・・ゲン・・・苦しい・・ギブ・・・ギブ・・・。」
ゲンが思いっきり抱きしめてるせいで、ステラの顔は真っ青だ。
「・・・いったい、これってどっちの勝ちなんだろう?」
メイリンは呟く。
「・・・・・・・レイの一人勝ち・・ってとこだな。」
はぁ、とアスランはため息をつき、マユ、シンハロ、さらにハイネを説教する
レイの姿を見た。
- 6 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!:2005/12/16(金)
20:12:11 ID:???
- 「ギギギギギギギ・・・・・。」
「どうした、ルナマリア。」
ここは宿舎の一室。マユの部屋である。
ここではアウル、マユ、レイ、ルナマリア、ステラ、ゲンがそれぞれの時間を過ごしていた。
まぁ、集合場所状態である。
「メイリンの奴・・・、スティングと今日はデートだって町に繰り出してんのよ・・・、ギギギギギ・・。」
レイは本を読みながらなるほど、と思っていた。要するにルナマリアはひがんでいるのだ。
「おのれメイリン・・。私がバカップルにバーストアタックをする会の会長だと知っての狼藉かしら・・。」
どんな会だ、というかじつはお前しか会員いないだろうとレイは突っ込もうとしたがやめておいた。
読んでいた文庫本に目を戻す。アキラから借りた物だがなかなか面白い。ライトノベルもバカにできないな、とレイは思う。
「おのれぇ・・・・、よし。レイ、ちょっと付き合いなさい。」
そう言うと、ルナマリアはレイの襟首を掴んで引きずる。
「ルナちゃんとレイ・・・どこいくの・・・?」
絵本を読んでいたステラが聞く。
「ちょっくらバカップルを撲滅してくる。」
「おい!!俺を巻き込むな!!!馬に蹴られて死んでしまうぞ!!聞いてるのかルナ!!」
レイの意見を無視して、ルナマリアはバタン、と扉を閉めていった。
レイの悲鳴が廊下から聞こえてくる。
- 7 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!:2005/12/16(金)
20:23:27 ID:???
- 「ふっふっふっふっふ・・、これで完璧ね。」
「なぁ、死んで良いか?」
不敵な笑みを浮かべるルナマリアにうつろな目のレイ。
ルナマリアの格好は胸にさらしをつけて、革ジャケットの男装。
足りない身長はごついブーツでごまかす。
反対にレイはもう・・ゴスロリの黒いドレス。
某世界最古の魔道書とか薔薇乙女とかも真っ青のゴスロリである。
「なんで・・この年で・・女装・・・っ!!」
拳を固めて奮わせるレイ。そうとうツライらしい。
「あ!!来たぞ!!」
口調まで完璧にしたルナマリアが影から通りをのぞく。
そこには私服姿のメイリンとスティングの姿があった。
「スティング、どう?初めてなんでしょ、クレープ。」
「あぁ、結構うまいな・・。ステラ達は好きそうだ。」
二人はクレープを食べながら歩いていた。
「・・・スティングってば何かにつけてステラ達って・・。」
ぶすっとなるメイリン。
「あ・・、いやその!これは癖っていうか・・何と言うか・・。」
スティングは大慌てで弁明しようとする。
するとメイリンはにっこり笑って・・。
「じょーだん!スティングがお兄ちゃんなのはしょうがないからねー。」
と、すました顔で言った。
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・・・・。」
「落ち着け、ルナ。ばれるぞ。」
壁を今にも砕きそうなルナマリアを押さえるレイ。
すると、スティングとメイリンはデパートに入っていった。
「あ・・・・!レイ!追うぞ!!」
「この格好でかぁっ?!チョット待て!!知り合いにあったら・・・。」
「黙ってろ!老け声!!」
「老け声?!結構気にしてるんだぞ!!!」
- 8 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!:2005/12/16(金)
20:37:29 ID:???
- 「あれー?ルナマリアとレイ?」
「何やってるの?」
「つーか、何だよその格好。」
聞き慣れた声に振り向くと、そこにはハイネ隊仲良し三人組がいた。
「・・・・・いやだーーー!!みーらーれーた!!死ぬーーーー!!」
レイは号泣しながら暴れる。
「わーわー!!ストップストップ!!」
急いで全員で抑える、そうでもしないと題名が「マユデスサスペンス劇場 フランス人形の悲劇!!」
に変わってしまう。
「はぁ・・はぁ・・・。三人は何でここにいるんだ・・・。」
落ち着いたレイが三人に聞く。
「何って、遊びに来たんに決まってるじゃん!久々の休暇だし、羽伸ばしておかなきゃ。」
カルマが目を輝かせながら言う。
「男三人で?」
「「「うるさい。」」」
ルナマリアの言葉に即座に三人が反応する。
「三人とも、中身はともかく外見はいいんだ。彼女くらいいないのか?」
中身はともかくって何だ、と言う思いを飲み込んで三人は話し出した。
「ジョーの場合はねー、彼女と付き合っても『お仕事』がバレてすぐ別れちゃうんだよねー。」
カルマのセリフにカチンときたのかジョーも言い返す。
「カルマは付き合うのはいいんだけど堂々と恋人らしく出来ないって理由ですぐにフラれるんだよな。」
キースは一人だけ安全圏にいるつもりらしく、ラムの瓶のふたを開ける。
「んでもってキースはー。」
「確か前の彼女には隠してたAV見つかって振られたんだよな。」
二人のセリフに一気にラム酒を吹くキース。
「ちょっ・・!なんでそれ知ってんの?!」
大慌てのキース。
「・・・・隠してたお宝ビデオ♪キミにぜーんーぶすーてーられ♪」
「そのまま本気で怒ってでていかーれた♪」
「「ちーがーう♪道を選んだ♪仲間内♪それでとーおしーてる♪」」
「うわぁぁぁぁん!謀ったな?!謀ったな二人とも!!」
どうやらアレは当てずっぽうに言っただけだったらしい。
「・・・いくか。」
「そうね・・・。」
大騒ぎする三人を置いて、ルナマリアとレイは尾行を続けることにした。
- 9 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!:2005/12/16(金)
20:43:33 ID:???
- やばい、スティングとメイリンのラブラブシーン書くの凄く楽しい。ほのぼのです。
そう言ってる割にはちょっとしか書いてませんが。
どうも書いてる最中にそれぞれのシーンがアニメってよりギャルゲーっぽい
画面で想像してしまう。
出来る人は想像してみましょう。できれば某ほろーあくたらしゃーなノリで。
とりあえず、このデート編が終わったらそろそろ本編の流れに戻ります。
まぁ、今回のノリはラブコメっぽく書けたらいいなーと思います。
それでは。
- 26 :ほのぼのマユデス。閑話休題 アキラ・アインズはくじけない。:2005/12/17(土)
16:40:36 ID:???
- 『アキラ、セキワンサントコノマユニアッサリヤラレタヨナー。』
つくてーん、つくてーん、とアキラの横で跳ねながらシンハロが言った。
二人も休暇と言う事でその手の店をめぐろうと話していたのだが、シンハロの体のメンテが終わらないので
まちぼうけを喰らっていた。
「いいんだよ、死んでも俺の物語はあそこで終わらないんだから。」
アキラは缶の紅茶を飲みながら言った。
『フーン、ナンデサ。』
ころころと転がりながら聞くシンハロ。
「決まってるだろう・・、俺はあの後サーヴァン○ととして聖○戦争に召喚されるからだよ!!」
『ナッ、ナンダッテー!!』
ババーンととアキラの後ろに雷が鳴ってる様子を想像していただきたい。
「そうさ・・、おれはサーヴ○ント『フェイカー』として呼ばれるんだ。」
うっとりしながら妄想を始めるアキラ。
「まったく、こんな弱そうなのが僕のサーヴァン○だって!!しかも宝具が使えない?!」
「いやー、あはははは・・・・。」
「なっ?!貴様何者だ?!私の剣をここまで模倣するなど・・・。」
「答えてもおそらく、あなたは私のことを知らないでしょう。しかし、私はあなたのことを良く知っている。
最強の○ーヴァント、セイ○ー、いや・・それともアルト・・。」
「貴様!!それ以上口を聞くな!!」
「マスター、友達は大事にしたほうがいいと思うけど?」
「うるさい!!どうしてお前にそんなこと・・・。」
「・・いやー、マスターの外見が俺の親友そっくりでさー。・・それに。
俺、友達少なかったから、マスターにそんな風になって欲しくなくてさ。」
「何やってるんだよ!!○宮!おいフェイカー!!助太刀しろ!!」
「オッケー!相手はキャ○ターか・・・・。よし、行くぜ坊主!」
「なっ?!慎○?!何でお前が!!」
「よぉ、久しぶり。アキラ。」
「え・・、嘘だ・・・・。何で・・・何でお前がこのタイミングで・・金ぴかの変わりにでてくるんだよ!!!」
「あー、やっぱアキラにはかなわないかー。あははは・・・
何言ってるんだよ!!俺だって・・ずっとお前に・・・・・・・・・・・。」
うつろな目で語り続けるアキラ。
『おーい、アキラ?メンテ終わったから行こうぜ。』
人型の身体に移ったシンハロが声をかける。
「はっ?!今タイ○ー道場でぶるまーに・・・。」
『うん、なんか大変なことになってるのはわかったから理想郷にでも投稿してこい、な?』
- 27 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!:2005/12/17(土)
17:02:34 ID:???
- 「えっ?!スティング私服ってそれしかないの?!」
メイリンが驚いた声をあげる。
「あぁ、まぁ滅多に出かけることもなかったしな。」
平然と言うスティング。
「だめだよ!!それじゃあもしこれから先戦争が終わったらどうする気?!仕方がないなぁ。私が見繕ってあげる。」
ふぅ、とため息をつきながら言うメイリン、だが何故かスティングじゃ驚いている。
「?、どうしたの?」
「いや・・、戦争が終わってからのことなんて考えられなかったからよ・・・。
そうか、終わっても・・・・まだ先があるんだな。」
嬉しそうな顔をしながら語るスティング。メイリンはその顔を見ると、ぎゅっと手を握る。
途端にスティングが真っ赤な顔になる。
「なななななななななななっ・・・・・。」
「ほらっ!そんな湿っぽい話はナシナシ!!行こう!!」
真っ赤になるスティングを引っ張りながらメイリンは男性服の階へと向かった。
「グーギーゴーグーギーガーゴーギー。」
「ルナマリア、警察を呼ばれるぞ。」
革ジャンの少年とゴスロリの少女。ルナマリアとレイだ。
「おのれ・・、レイ。ちょっくらザク持ってきて。」
「やめろ!最強最悪のテロリストだぞ、お前。」
レイが暴走しかけのルナマリアを何とか抑える。
「うぇーーい、ルナちゃんとレイみっけ!」
ステラがぱたぱたと歩いてきた。
「ステラ・・、一人でここに来たのか。」
「ううん、マユと・・アウルと・・ゲンと来たんだけどね・・・。」
「兄ちゃんたち代わってよー。」
「黙ってろ!!!」
ここはおもちゃ売り場のゲームの体験版が置いてあるところだ。
ふつーはお子様やら高校生やらおっきいお友達がいるところだが・・・・・・。
そこは黒髪の少女と水色の髪の少年に占領されていた。
「行け!!くじら!」
アウルの使用キャラである錨をもった少女がくじらを召喚する。
「うざったい!!がーんふれーむ!!」
マユの使用キャラである赤い服の筋肉質の男は地を這う炎を出す。
「いるか!!」
「ばんでーっと!りーぼーるばー!」
「シャチ!!」
「ぶっきらぼーに投げる!!」
ちなみに向こうのガシャポンコーナーではいい年した黒い髪に赤い目の少年がひたすら
女の子向けと思われる犬のガシャポンをやり続けている。
・・・・・そこはお子様が泣く阿鼻叫喚の図となっていた。
- 28 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!:2005/12/17(土)
17:17:22 ID:???
- 「ねぇ、このジャケットは?!」
「・・・なぁ、こんなに要るのか?」
次々に服を選んでいくメイリンにスティングは気を遠くする。
「そうだよ!普段着るのからお出かけ用まで・・、全部そろえなきゃ!
あ・・!そうだスティング!お金持ってきてる?」
メイリンは百面相のように表情を変えながらスティングに話しかける。
そして、スティングが取り出した財布の中身を見た途端、ツインテールが逆立った。
「・・・・?少なかったか?」
そこには・・、日本円にして福沢さんが百人ほどいたのだ。
「ちょっ・・、スティング?!なんでこんなにお金持ってきてるの?!」
「いやさ、ネオに『デートだったら金は大目に持っといたほうが良いぞー。』って言われて・・。」
「もーちーすーぎー!!・・はぁ、スティングも結構一般常識ないんだね・・・。」
メイリンは頭に手を当てながらため息をついた。
「ふふふふふふふ、ふーっふっふっふっふっふ・・・。血祭りじゃぁ!!」
「ルナマリア、子供の前でそれはやめろ。」
「私もう13だよ?!レイ兄ちゃん!」
「うぇーい!ステラ子供じゃないもん!」
「なー、アウル2アースダラーでいいんだって!貸してくれよ!」
「うっせぇなぁ!なんでガシャポンの犬のぬいぐるみに2アースダラーもだすんだよ!」
さらにメンバーは周囲に迷惑をかけていたマユ一行を回収してパーティを組んでいた。
「スティング・・楽しそう・・・・・。」
ステラはメイリンに振り回されるスティングを見てほにゃっと笑う。
「・・・ステラ、ステラもあーゆーのがしたいんだったら・・・。」
どさくさに紛れてステラの肩を抱こうとするシン。
「・・てれってれーてれてれー♪」
ルナマリアが急に歌を歌いだす。
「・・っ!この曲は!!逃げろ二人とも!バーストアタックが来るぞ!!」
レイが必死にルナマリアを止める。
「うわぁぁぁ!えーっとっ!ステラに「かばう」コマンド!!」
「お兄ちゃん!それゲーム違う!!」
「っておい!!ルナマリア本気だぜ?!」
・・・・・・そのあと六人はデパートを追い出されたそうだ。
- 77 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!どころじゃねぇ!!:2005/12/19(月)
01:06:05 ID:???
- きみがこーのままー♪いなくなーってしまーうなーんてー♪」
アキラののんきな声が聞こえる。ここは町の大通りである。
アキラとシンハロは欲望のままに買い物をしていた。
ちなみにアキラの格好は普通にパーカーにジーンズ。シンハロは群青のコートである。
はたから見れば普通の若者・・それも結構いい部類に入るのだが。
・・・・・・・その会話と明らかにポスターとか入った紙袋が近づきがたいオーラをかもし出していた!!
「えっと、マウンテン・オーシャンには行ったから・・・。」
『あぁ、次は虎だろ、その後にK本で・・、あと万だらけ。』
おたくショップの名前を次々と挙げて悦に入る二人。
すると、その道の途中になにやら人だかりが。
「何々?」
どうやら銀行強盗らしい、銀行の周りはパトカーでいっぱいだ。
そして、どうやら人質になっているのは・・・・・どこか見覚えのある金髪の少女。
「・・・・・・・・・・・レイ?何のコス?」
『銀様じゃね?』
激しくコメントの間違ってる二人であった。
うぇーい・・・ステラ・ルーシェです。
えーっと、ただいまルナちゃん達と一緒にスティング達を・・・すとーきんぐしてました。
そしたら・・・デパートを追い出されちゃったので・・・・過ごしやすい銀行で待機しよーとしました。
すると・・びっくりびっくり・・・・。銀行ごーとーさんの登場です・・うぇーい。
と、言うわけで、ステラ達は人質です・・。
しかも・・レイが女の子と間違えられて・・・・・銀行ごーとーさんに連れて行かれました。
ルナちゃんいわく・・・きっとりょーじょくのそのに連れて行かれたそうです・・・。
と、いうわけでぶいてぃあーるスタート。
「うーん、人質が私達以外に・・・・銀行員の人も含めて結構いるなぁ・・・。」
「ちぇっ、それじゃ暴れられねーじゃん。」
物騒なことを言うアウルとマユ。
「レイ・・・あーでもレイ受はなぁ・・。」
明らかに勘違いしているルナマリア。
「ステラ!俺が守るから!」
一歩間違えたら暴走しそうなシン。
「・・・・・・・・・・お腹すいた。」
状況をまったく理解してないステラ。
そんなメンバーが、人質に取られてしまっているのであった。
- 78 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!どころじゃねぇ!!:2005/12/19(月)
01:07:52 ID:???
- 「おい!この女の命が欲しかったらとっとと車用意しやがれ!!」
レイに拳銃を突きつけた犯人グループの一人が吼える。
レイは心底面倒な顔でじーっとしている。
「あ!メイリンとスティングじゃん!」
アキラは銀行の前にあった広場のベンチに座っていた。隣ではシンハロがパソコンに自分をつないでいる。
アキラはデパートから出てきた二人を見つけて、声をかけた。
「うわ・・・、すげぇ人だかり・・・。何かあったのか?」
スティングがアキラに聞く。
「あー、銀行強盗でー。なんか某薔薇乙女のコスプレをしたレイが人質に取られてる。」
『ついでに今銀行の監視カメラハッキングしたらマユにステラに・・あー、ルナもアウル・・・・ゲンの奴も捕まってるな。』
シンハロはハッキングした画面をモニターに移す。
「なっ・・・・・!あいつら何やってるんだ!!」
スティングは思わず駆け出そうとするが、メイリンに止められる。
「おい!離せメイリン!!」
噛み付くスティングにメイリンはがぁっっと反撃する。
「スティング落ち着いて!!今スティングが出て行ったら皆の命が危なくなるでしょ!!」
メイリンの言葉に落ち着くスティング。
『うーむ、今から無理矢理インパルスを来させて・・・あー、逆効果か。』
つーかこの間の事件から口聞いてくれないんだよなぁ、疾風のやつ、とぼやくシンハロ。
アキラはどうにか助け出せないかと考えている。
「ただいまの持ち物は・・、あ、マウンテン・オーシャンで買ったハルバートと・・・あとネタで買った看板。
だれかこの近くにいないかなぁ・・、電話電話。」
(・・・・・・早くこのおっさんをどうにかしてくれ。)
レイは心の中でぼやく。
臭いしうるさいし唾は飛んでくるしと最悪である。
すると、なにやら人だかりの向こうでピョンピョンと飛び跳ねる赤いツインテール。
(・・・・・・メイリン?)
それは間違いなく自分の同僚であるメイリン・ホークだった。何やら看板を持っている。
(くそっ・・・。見えない。)
レイは何とか看板を見ようと身体を乗り出す。
「おい!!こら大人しくしてろ!!」
男によりきつく絞められ、レイはとうとう切れてくる。
(中に他に人質はいるが・・、まぁいいか。どうせ何とかなるだろう、ステラ達がいるし。何より・・・・。)
非常にアバウトであるが、もう決断したらレイの行動は早かった。
本気を出して警察に気を取られている男の腕から逃げ出し、その腕を掴む。
そしてひねり上げ、踊るように回転し男を取り押さえる。
華麗な少女の姿をしたレイの姿は、まるでゲームの一シーンのようだった。
- 79 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!どころじゃねぇ!!:2005/12/19(月)
01:10:21 ID:???
- 「何だ?外が騒がしいな・・、おい!見て来い!!」
主犯と思わしき男が下っ端に命令する。
しかし、その男が確かめる必要はなかった。
なぜなら、血まみれの男を引きずったゴスロリ少女がゆっくりと入ってきたからだ。
「・・・・・・・・人がせっかくの休暇なのに・・・・散々な目に遭ってるのに・・・・・お前らは・・・・・・!」
ごごごごごごごごごご・・・・とレイの後ろに黒いオーラが浮かび上がる。
「かまわねぇよ!やっちまえ!!」
しかし、犯人グループは懸命にもレイに攻撃しようとする。
が、それは突然走った銀色の軌跡に弾かれた。
「・・・・・・・おそい。もうちょっと早く来たらどうだ?」
『そう言うなよ・・。ここまで来るのに結構手間取ったんだぜ?』
そう言って巨大なハルバート(武装斧)を構えるのはシンハロだ。
「・・・・・・お前、そのでっかい斧はどうしたんだ?」
『え?あぁ、アキラとメイドのコスプレしようって話になってたんでさぁ、ネットでオーダーメイドしたのを取ってきたんだ。』
「メイドのコスプレにそのでっかい斧がいるのか?!」
漫才をしているようにも見えるが、この会話をしながらもシンハロは放たれた弾をことごとく無力化している。
「くそっ!!おい!!そこのガキども!!」
新たに人質を取ろうとマユ達のほうに近づくが・・・・。
- 80 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!どころじゃねぇ!!:2005/12/19(月)
01:12:05 ID:???
- 「あは♪いっちゃえ♪」
バカに明るい声が聞こえたかと思うと、マユ達の方へ近づいてった男はぱたっと倒れる。
その男の首筋には注射器が刺さっていた。
なにやらピロリロリロリン♪なんて効果音と共にマユ達の前に立ちふさがる影が一つ。
「まじかる☆アキランただいま参上です♪人質を取るなんていけない子ですねー。お仕置きです!」
なにやらフード付きマントを被った魔女っ子と言うより本物の魔女と言ったほうが似合いそうなアキラがそこに立っていた。
「いっけぇ!!ケミカルEXプロージョン!」
アキラがマントから試験管を取り出し、投げるとその試験管が大爆発を起こす。
明らかに犯人グループは大暴走するシンハロとアキラとレイに気を取られていている。
すると、こそこそっと身を屈めながらスティングがやってきた。
「おい、この隙に窓から人質逃がすから手伝え。」
「うぇーい、スティング・・・・地味・・・・・。」
「うっせぇよ!ほら気づかれない内に!!」
確かにこれは地味だが重要な役割である。
呆気にとられている人質を・・、こそこそと逃がす。
メイリンが既に近くにいたハイネ隊のメンバーと連絡を取っておいたので、とりあえずスムーズに行った。
が・・・・・、問題はその後である。
「うぉらっ!!」
明らかに人間が振り回せない重さのハルバートで周りの備品ごと犯人をぶっとばすシンハロ。
「まだまだいくよー♪」
ノリノリで破壊活動&怪しい薬を振りまくアキラ。
「お前たちがいるからぁっ!!」
一連の不幸を全て犯人グループのせいにして、大暴れするレイ。
「私三人目!!」
「こっちは四人目だぜ!!」
「ステラ五人目!」
便乗して大暴れするお子様バーサーカートリオ。
・・・・・・後日、請求書を見てハイネとアスランは救護室に運ばれたそうだ。
- 81 :ほのぼのマユデス。すてぃめい!でぇと!どころじゃねぇ!!:2005/12/19(月)
01:42:27 ID:???
- ラブコメで終われなかった、ごめん■■。ほのぼのです。
・・・・うん、はい、もっとラブコメ期待してた人ごめんなさい。
でもね、ぶっちゃけラブコメの纏め方ってよく解からなかったんだ。
うん、でももっと他のところでがんばるから!修行するから!!
−−−−−逃げの次回予告。
ミネルバメンバーが招待された議長主催のクリスマスパーティー。
華やかな音楽、うまそうなご飯、お酒。
そして何より一応議長の養子であるレイ、マユ。
うまく猫をかぶれるのか?!
それなりに期待して待て!!