47 :479:2006/07/06(木) 12:06:33 ID:???
I and I and Iを書いてる479です

今回はIIIではなくIIIを書いている合間に気晴らしでちょくちょく書いていたものを投下してみようと思います
IIIのストーリーとは全く関係なく、続き物で、その上この先続くかどうなるかもわからないのですが…
暇潰し程度に読んでくださったら幸いです

48 :マユネス(1/18):2006/07/06(木) 12:08:38 ID:???
機動戦士ガンダムSEED MAYUNESS
−1st Episode− 邂逅と遭遇

「避難経路が封鎖!?」
「あなた!」
ある家族が、オーブという島国にいた。
「パパぁ…」
「大丈夫だ、マユ」
「父さん、こっちは!?」
フードを被った少年が林を指差す。
父親らしき男は、母親らしき女と目を合わせ、互いに頷く。
「こっちなら避難船も近いか…」
「マユ、走るけど…大丈夫?」
母親は、少女に声をかけた。
「う、うん…」
不安げに、少女は母親の手を握る。
家族は、林の中に入っていった。
「…こちら林道入口、アスカ一家の誘導を完了した」

もう何分走ったのだろうか。
コーディネイターといっても、息は荒くなる。
付近では爆発が続いていた。
「父さん!」
「あなた…」
「目標は軍の施設だろう。大丈夫だ、シン」
一度止まった足は、また走り出す。
「母さん!」
「マユ!頑張って!!」父親が、後ろにいる母親を気遣った。
母親は、手を引く少女を心配した。
「あぁー!マユの携帯!」
段差に躓いて少女のポーチから、ピンクの携帯電話が落ちる。
携帯電話は坂の斜面を転がっていった。
「そんなのいいから!!」
「いや!あの中にはぁ!」

49 :マユネス(2/18):2006/07/06(木) 12:10:50 ID:???
母親の手を振り払って、少女は斜面を駆け降りる。
それを追う少年。
少女が携帯電話を手にした、その時だった。
「良かったぁ」
「マユ!!」
「え…きゃああああ!?」
体が宙を舞い、吹き飛ばされる。
何が起こったのだろう。
「う…うぅ…」
左手で、携帯電話を握り締めていた。
右手は感覚がなく、右腕のつけ根がとても熱い。
体は身動きが取れなかった。
自分の体の上に、誰かが覆い被さっていることに気付く。
「…お…にい…ちゃん…」
自分を覆うこの重い体の主が兄だとわかるのに、そう時間はかからなかった。
その兄はもう、息をしていないことも。
「アスカ一家を確認しました!」
「ターゲット二名は回収不可能だな、こりゃ酷い…」
「爆心地にいたんだ、仕方ないだろう」
誰かの声が聞こえる。
「じゃあ、残ってるのは、こっちの二人だけですね」
「バスカークはマユ・アスカを。俺達はシン・アスカを運ぶ」
「わかりました」
手早く話を済ませる。
運ぶ…?
少女は疑問に思った。
助けではないと、直感する。
少女はゆっくりと、顔だけを動かし、声の主達を見た。
その中の一人と、視線が合う。

50 :マユネス(3/18):2006/07/06(木) 12:12:57 ID:???
「…!!」
「どうした?」
「あ、その…」
「おい!オーブの軍人だ!」
「チィ!仕方ない、シン・アスカだけ運ぶ。バスカーク、そこの腕だけでも持っていけ!」
「は、はい!」
体の上にいた兄が誰かもわからぬ者達に運ばれていく。
視線が合った少年は、自分の腕を持って、こちらを窺いながら走っていった。
それとは別の方向から、また誰かがやってくる。
「息は、しているな」
「ぁ…」
「大丈夫だ、避難船に医療設備がある」
オーブの軍服を着た男が、優しく声をかけてきた。
そんな声に安堵してか、少女…マユ・アスカは、ゆっくりと意識を失わせる。

コズミックイラ73年……
プラント軍事工廠・アーモリーワン。
ザフト新造艦、ミネルバの進宙式を控えたこの日。
「レーイー、ミネルバまで行くんだけど、運転してくれなーい?」
ぴょんと撥ねた赤い髪を揺らして、ミネルバのパイロットの一人…
ルナマリア・ホークは道路の向こうの金髪の少年に呼びかける。
呼びかけられた少年…レイ・ザ・バレルも、ミネルバのパイロットの一人だ。
そのレイは、軽く頷き、ルナマリアの元へ駆け寄る。

51 :マユネス(4/18):2006/07/06(木) 12:14:40 ID:???
「ごめんねー。ほんとはヴィーノと行く予定だったんだけど」
「どうかしたのか?」
「マユ・アスカ、例の医療班の子と一緒。ヨウランもね」
車に乗り込みながら二人の会話は続く。
「整備中に怪我して、ちょっと手当てしてもらったからってもうベッタリ」
「そうか」
「でね、そのマユって子、メイリンより年下なのよ」
ルナマリアの一方的な会話をよそに、レイは車を発進させる。
「あぁそうだ。レイ、ごめんね。議長と会いたかったでしょ?」
「気にしなくていい。俺は気にしていない」
「そう、ならいいけど。それでヴィーノったら……」

基地の外の繁華街。
鏡のように光を反射させるショウウィンドウが並ぶ歩道を、三人の少年少女が歩いていた。
「えっと、買い物はこれで終わり?」
「そうだよ」
「それにしてもスゲー数だな」
「医療班、整備班、あとパイロットだっけ?」
「ブリッジのみんなもだよ」
その中に、マユはいた。
メモを片手に、二人の少年を脇に置いて、楽しげにマユは話している。
紙袋を抱えている二人は、ヴィーノ・デュプレとヨウラン・ケント。
「マユも持つよ?」
「いーのいーの。俺達で持てるから」

52 :マユネス(5/18):2006/07/06(木) 12:16:54 ID:???
「視界思い切り遮られてるけどな…」
気楽にそう言うヴィーノ。
冷静に突っ込みを入れるヨウラン。
そんな二人に笑いかけるマユ。
そんな三人の横を、自分達と同じくらいの年齢の少年少女が横切った。
「えっ…?」
「どうかした、マユ?」
「うぅん、あはは…なんでもなーい」
「変なヤツだなぁ。ほら、さっさとミネルバに戻ろうぜ」
何か軽い頭痛のような、異変を感じた。
それが何かはわからない。
擦れ違った少年少女達にだろうか。
しかし、今までにこんなことなかった。
それに少年少女達に何か感じたといっても、両側の紙袋が視界を塞ぎろくに顔も見れてもいない。
マユは首を傾げるも、両隣にいる二人に心配かけまいと、笑っていた。
「え…?」
「メイ、どうかしたなか?」
「なんでもないわ、ニンス」
「それならいい。おい、ステラはどうした?」
「あっちでクルクル回ってるぜ〜」
「馬鹿やってんだろ、馬鹿を」
マユ達と擦れ違った、五人の少年少女達。
どこか普通の少年少女とは、釀す雰囲気が違う。
「ステラー、早く来ないとニンスに怒られるぜー」
「うんっ、わかった!」
「別に怒りはしないが」

53 :マユネス(6/18):2006/07/06(木) 12:18:58 ID:???
「あら?時間にルーズなのは嫌いじゃない」
「ネオと同じで、ステラには甘いんだろ」
「妬くなよスティング。俺はお前達を全員、大事に思ってるぜ」
スティングと呼ばれた少年の頭をぽんぽんと撫でるように叩いて、ニンスという少年は言った。
フンッと不貞腐れて、スティングは先を歩く。
そんなスティングを見て、くすりと笑うメイというこの中では一番年下に見える少女。
アウル、ステラと呼ばれていた二人は、仲良く話を続けている。
だが、そんな楽しげな空気の中に、危険な匂いが漂っていた。

ミネルバへと到着したマユ達は、買い物で済ませた品々を割り当てた部署に届けると、格納庫にやってくる。
「今あるのはインパルスと、セイバーだけ?」
「そうだけど、マユってモビルスーツに興味があるの?」
「そうじゃないけど、これからお世話になるモビルスーツだから」
ヴィーノに訊かれ、マユは笑って返す。
「お世話になるのは」
「セカンドステージシリーズだけじゃないですけどね」
マユ達の話を聞いていたのか、誰かが割って入ってきた。
ショーン・ハマダ。
ゲイル・ブライアン。
ミネルバのパイロットである。
「あれ、二人も自由時間だろ?」

54 :マユネス(7/18):2006/07/06(木) 12:20:44 ID:???
「馬ー鹿。レイとルナが出てんだ、俺等は待機」
「それよりルナマリアさんが怒ってましたよ、ヴィーノと行く予定だったんでしょう?」
「ゲッ…忘れてた」
顔を青褪めて、ヴィーノは後の仕置を想像していた。
ヨウランは哀れむように、ヴィーノの肩を叩く。
「んじゃ、俺等はブリッジに行ってくるわ」
「それでは、失礼します」
スタスタと歩いていくショーンと、頭を下げるとショーンを追うゲイル。
二人を横目で見送ったヨウランは、未だ肩を落とすヴィーノの背中をバシッと叩いた。
「さ、買い物も終わったし、整備整備」
「そうだな、うん…」
「じゃあ、私も戻らなきゃ」
格納庫までついてきてしまったが、ミネルバでのマユの配属先は医務室などが主。
まだ自由時間は残っていたが、ヨウランとヴィーノにあわせて、自分も戻ることにした。
「そうか。じゃあまた、休憩時間があった時にでも会おうな」
「うん、そうするね」
二人に笑いかけると、マユは通路に向けて歩きだす。
進宙式が終われば、月軌道へとミネルバは向かう。
その間に、何度も二人には会えるだろう。
マユは制服のポケットから、携帯電話を取り出した。

55 :マユネス(8/18):2006/07/06(木) 12:22:59 ID:???
待ち受け画像は、自分と、そして兄が映っている。
「お兄ちゃん、マユね、楽しいよ。お兄ちゃんみたいな友達が、たくさんいるから……」
携帯電話の画面に映るシンに笑って、マユは携帯電話を閉じた。
扉が開くと、擦れ違い様に誰かが肩をかすめる。
「…えっ?」
マユは思わず振り返った。
懐かしい感じがする。
だが、振り返っても、格納庫のドアは閉まっており、誰も見ることはできない。
「そんなはず、ないか」
溜息混じりに笑って、また歩きだす。
しかし、マユが足を進めた直後、格納庫から銃声が響いた。

「ふう。ザフトの軍服は着慣れないな」
緑色の軍服の襟首を緩めると、サングラスをかけた少年…ニンスはコックピットの中で軽く息を吐く。
「あら、エリートの赤じゃないから?」
すると通信が入り、少女…メイの声が響く。
「冗談は好きじゃない」
「相変わらずね」
話しながらも、少年は機体のOSを起動させた。
スピーカーの向こう側からもスイッチをいじくる音がした。
メイも同じく機体に搭乗しており、起動を完了させたのだろう。
「オールウェポンズフリー。アウル達もできたかしら?」

56 :マユネス(9/18):2006/07/06(木) 12:26:47 ID:???
「下手はしないさ。戦闘ステータスで起動、メイ…行くぞ」
「はーい」
ニンスの静かな声に、メイは軽く返した。
「ブリッジ、聞こえるか。ハッチを開けろ、でないと吹き飛ばすぞ」
「こっちの誘導もお願いね」
突然の通信に、ブリッジは騒然となる。
いや、原因はそれだけではない。
艦の外、つまり基地内にある残りのセカンドステージシリーズまで、奪取されたとの連絡が入っていたからである。
「わかったわ……」
ミネルバ艦長…タリア・グラディスは、重い口をゆっくりと開いてそう答えた。
「か、艦長!?」
側で副長…アーサー・トラインが声を上げる。
タリアはそれを、艦まで失わせたいのかといったような瞳で、きつく睨みつけた。
ニンスの乗るセイバー、メイの乗るコアスプレンダーに、オペレーターの
メイリン・ホークの戸惑いが入り混じったアナウンスが流れる。
セイバーが発進すると、続けてコアスプレンダーが発進した。
コアスプレンダーは、後に続くように発進したチェストフライヤーとレッグフライヤー合体し、インパルスとなる。
装備は、ブラストシルエット。
「素敵。これで、ここを火の海に包めるのね」

57 :マユネス(10/18):2006/07/06(木) 12:29:24 ID:???
「冗談は好きじゃないと言った。離脱が優先だ」
「ふふ、わかってるわ。アウル達も無事に残りのコに乗れたみたい。よくできました」
威圧に近いニンスの発言にも動じず、メイは含み笑いと共に呟く。
インパルス、セイバー。
そしてカオス、ガイア、アビス。
最新鋭機は全機、強奪された。

「…なにこれ…」
マユの第一声は、その一言だった。
銃声を聞き付けて格納庫に戻ると、そこは血の海と化していた。
「いやぁ…嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌…」
力無く膝をつき、目の前の光景に絶望する。
同時に蘇る記憶。
鮮明に、はっきりと、血の臭いも肉が燃える臭いも全て。
「おい…」
「嫌…嫌…嫌…」
「おい!」
「え?」
顔を上げると、そこにはショーンとゲイルの姿があった。
心配そうな表情を浮かべて、マユを見ている。
「ショーンさん、ゲイルさん…」
「どうしたんだ?お前は無事なのか?」
「格納庫から銃声がして、それで……」
呼吸が荒れていた。
思い出してしまった記憶を抑え込んで、ゆっくりと自分を落ち着かせる。
「この状況を見れば、気分が悪くなるのも無理はないでしょう」
「俺達は追撃に行く。ここで殺られた奴等の代償、払わせねぇと」

58 :マユネス(11/18):2006/07/06(木) 12:31:57 ID:???
ゲイルがマユを気遣ってそう言うと、ショーンと顔を見合わせた。
その顔は、互いに怒りに満ちている。
「あの!」
二人を見てマユが声を上げた。
「マユも連れていって!連れていって…ください」
必死な形相で、頼るような視線を向けて、マユは訴える。
マユの顔を見て、ショーンとゲイルはまた、互いに顔を見合わせた。

生存した整備士達が焦りながらも、ミネルバに残る二機の搭載機の発進準備を進める。
「ショーン機ザクファントム、ブレイズウィザードを装備して発進してください!」
格納庫内に響くメイリンのアナウンス。
その声は、微かに震えていた。
「続いてゲイル機ザクウォーリア、ガナーウィザードを装備して発進してください!」
ザクファントムはカタパルトデッキに降り立つ。
「艦長、構わないんですか?二機とも砲戦仕様で」
「えぇ、許可します。基地や市街地に被害は与えたくないけど、仕方のないことだわ」
「最悪、撃墜も許可すると?」
「……そういうことよ」
ショーンとのやりとりに、タリアは焦燥して答えた。
新型機を全機、奪われたことの怒りや屈辱。
そして、これ以上の事態悪化を防ぎたいという緊張。

59 :マユネス(12/18):2006/07/06(木) 12:33:52 ID:???
タリアの言葉から、ショーンはそれを感じ取る。
「ショーン・ハマダ、ザクファントム…行くぜッ!」
ショーンは声を張り上げて、ザクファントムを発進させた。
続けて、ザクウォーリアがカタパルトデッキに降りる。
「マユちゃん、本当にいいんですか…?」
ゲイルは弱々しく声を出す。
コックピットシートの脇に、マユの姿があった。
「あんなこと言ってごめんなさい。でも何か、マユも行かなくちゃならない気がして…」
何故、自分があのようなことを口走ったのか、今でもマユはわからないでいる。
だが体は、強くマユを動かしていた。
「じゃあ行くけど、モニターに映るからあまり動かないで下さいね」
「りょうかい」
「でも揺れるからしっかり掴まっていた方がいいかな?」
「え?」
「ん〜…まぁいいか。ゲイル・ブライアン、ザクウォーリア発進します!」
「えぇぇぇぇ!?」
勝手に納得して、ゲイルは勝手にザクウォーリアを発進させる。
マユはどうしていいのかもわからずに、コックピットで声を響かせるだけだった。

5機の新型モビルスーツ。そしてそれを追うザフトモビルスーツ。
だが、新型機の圧倒的な力に、ザフト側は押されていた。

60 :マユネス(13/18):2006/07/06(木) 12:35:49 ID:???
「奪われたザフトのモビルスーツに攻撃されるなんて皮肉よね」
「無駄口を叩いてる暇はない、ルナマリア」
「ちょっとは話相手になってよね…もう」
ミネルバを出て自由行動をとっていたルナマリアとレイも、この強奪事件に巻き込まれる。
そして基地内に配備されていたザクを駆り、二人は奪われたモビルスーツを追った。
「追い付いたわ!あいつらぁ!!」
「他はほとんどやられたか…ルナマリア、油断するなよ」
「わかってる、あたしは赤なのよ!」
「ふっ…それは俺も同じだ」
カオス、ガイア、アビスを捉え、ルナマリアのザクウォーリアが前進する。
ビームトマホークを取り出すと、ガイアに向けてそれを放った。
「何ッ!?」
ガイアを奪ったステラが、ビームトマホークの接近に反応して声を上げる。
モビルアーマー形態に変形させて飛び上がり、迫るビームトマホークをぎりぎりで躱した。
だが、弧を描き再びそれは襲いくる。
「くっ!」
モビルスーツ形態に戻ると、即座にビームサーベルを抜き、ガイアはビームトマホークを叩き落とした。
「あいつ…殺す!」
「おいステラ!あんま熱くなるな!」
「メイが待ってるからね、僕は置いてっちゃうよ〜?」

61 :マユネス(14/18):2006/07/06(木) 12:39:05 ID:???
激昂するステラ、それをなだめるスティング、そして我関せずのアウル。
ガイアはその場に立ち止まり、ビームサーベルを構えたままザクウォーリアに向かって突進していった。
「うぇぇぇいッ!!」
「向かってくるなら、こっちのもんよ!」
振り下ろされるビームサーベルを寸前で避け、ザクウォーリアはそのままガイアにタックルをぶつけた。
「くぅぅぅぅ!」
「貰ったぁ!」
吹き飛ばされ地面を転がるガイアに、とどめを刺そうとザクウォーリアは接近する。
「ルナマリア!」
「!?」
通信から聞こえたレイの声と同時、上空から光が走った。
その光の正体であるビームはザクウォーリアの右腕部に命中する。
「きゃあッ!」
腕が爆発し、その衝撃にルナマリアは声を上げた。
「ビーム!?上空から!?まさか!!」
モニターが空を映す。
そこには、1機のモビルアーマーが風を切って飛んでいた。
ニンスの奪ったセイバーである。
「ステラ、おうちに帰らないとネオが心配するぞ」
「ニンス!うんっ、ステラ帰る!」
頭に血を昇らせていたステラだったが、ニンスの声を聞くなり表情を一変させた。
旋回するセイバーに、ガイアはまるで飼い犬のようについていく。

62 :マユネス(15/18):2006/07/06(木) 12:41:02 ID:???
「ルナマリア!平気か?」
「これじゃ追うのは無理ね…それに、セイバーまで…」
「あぁ。恐らく、インパルスもやられている」
ザクウォーリアの損傷を受け、カオスとアビスの追撃をやめたザクファントムが舞い戻った。
レイもこの戦力差に、これ以上の追撃は無理と判断する。
奪取した新型を取り逃し、2機はその場に立ち尽くしていた。

ガイアを置いて先を進むカオスとアビス。
「ニンスの奴、またステラに…!!」
「なに?妬いてんの?」
「うるせえ!」
ニンスがステラを気遣うことに憤るスティング。
「あの人は遅れるのが嫌いなだけ」
カオスとアビスのコックピットにメイの声が響いた。
「メイ!」
「ここまでは、良くできました。帰ったら揺り篭の中で膝枕してあげる」
「本当!?」
「ほんと。で〜も…まだよ。こっちも追われてるの」
優しくメイがそう言うと、インパルスはカオスとアビスの元へ降り立つ。
振り返れば、メイの言う通り2機のザクが追って来ていた。
「あれを落とせばいいわけ?」
「アウル、それはいいの。ここを出るのが最優先」
くすりと、メイの口許が笑う。
「それに…戻ればニンスにも会えるわよ?スティング?」

63 :マユネス(16/18):2006/07/06(木) 12:43:38 ID:???
「……フンッ」
3機はバラバラに散ると、カオスが兵装ポッドを射出した。
インパルスとアビスは、移動しながらビームを内壁に飛ばしていく。
「奴等、脱出を!?」
インパルスとガイアの行動に、ショーンは驚きの声を上げた。
「ゲイル、そっちはお客乗せてんだ!わかってんな!?」
「ショーンじゃあるまいし、そんな無茶しませんよ!」
「何をー!?」
兵装ポッドから発射されるビームに翻弄されながらも、2機のザクは前へと進む。
「たくさんの人が死んでる…」
そんな中、マユがぽつりと呟いた。
「また戦争が…戦争が起きてる」
破壊された街の景色は、マユの中で一つの疑問を浮かばせる。
「また戦争がしたいの?あなた達は?」
「なに…?人の、声?」
誰かの声が聞こえたのを、メイは聞き逃しはしなかった。
その声は少女の声で、自分に似ていて、不快になる。
「どうかした?メーイー?」
「へ…?な、なんでもないから、心配しないで」
アウルの呼びかけに我に返ると、メイはケルベロスを発射した。
「耳障りな声…!!」
ビームに怒りを上乗せしたかのように、その一撃で内壁を破壊することに成功する。

64 :マユネス(17/18):2006/07/06(木) 12:45:30 ID:???
「ニンス、出口は作ったわ。スティングが待ちきれないから早く帰りましょ」
「了解だ」
メイが通信を終えると、インパルスとアビスはアーモリーワンを脱出した。
そして追い付いたセイバーとガイアも、残ったカオスと合流する。
「すまない、スティング」
「別に。ステラ、今度は言うこと聞けよ」
「うん、ごめんね」
カオスが兵装ポッドを回収し、3機も破壊して出来た空洞から脱出を果たした。
「くそっ!」
「深追いは禁物です、ショーン。それに、ミネルバから…」
「帰投命令だろ!?わかってらぁ!」
不満が残る終わり方に、思わず叫ぶショーン。
ゲイルも、余り良い気分とは言えなかった。
マユはただ、じっとしている。
じっとしていながらも、心臓はドクドクと鳴って、ずっとマユの中で響いていた。



65 :マユネス(18/18):2006/07/06(木) 12:48:25 ID:???
半オリジナルキャラクター紹介

ショーン・ハマダ
ミネルバモビルスーツパイロット。
ザフトレッドであり、ルナマリアと同い年。
熱血で直情的な性格。
搭乗機はザクファントム。
本編では名前だけの登場。「星屑の戦場」で戦死している。

ゲイル・ブライアン
ミネルバモビルスーツパイロット。
年齢は、ショーン、ルナマリアの一つ下。
敬語を使い、やんわりとした性格。
ザフトレッドで、搭乗機はザクウォーリア。
本編では名前だけの登場。ショーン同様、「星屑の戦場」で戦死している。

ニンス・ロアノーク Nins
ファントムペインに所属するモビルスーツパイロット。階級は大尉。
ネオの片腕的存在で、ネオが出撃しない時などはモビルスーツ隊の指揮を行う。
冷静な性格で冗談は嫌いだが、ネオとメイの二重攻撃(両者のジャンルが違う冗談)に飽きれ果てている。
エクステンデットの担当はスティング。
ストレートの長髪で色は黒。サングラスをしているのが特徴。
服の下は火傷の痕だらけらしい。

メイ・ロアノーク May
ファントムペインに所属するモビルスーツパイロット。階級は中尉。
容姿からすると10歳前後なのだが、そのモビルスーツの操縦技術は凄まじい。
エクステンデットの担当はアウル。
ニンスに寄り添うように一緒にいることが多い。
妙に落ち着いていて、少女らしからぬ口調で話す。
茶髪のショートヘアで、前髪に目元が隠れている。
右肩に大きな傷があるらしい。

66 :あとがき :2006/07/06(木) 12:51:41 ID:???
マユVSマユという構図はないなぁと思って書いてみました(まだ戦ってはいないですが)
IIIのマユ(ヴィア)が礼儀正しい子なので、明るく元気なマユを書きたくなった、というのも原因の一つ
千切れた腕とか、結構使えそうなものはあるわけで
ただ単なるクローンだと説明がつかないので壮大なフィクションで上塗りするつもりです
ニンスは、PP戦記様などのゲン、舞踏様のケイなどと一緒という感じ
偽名というか新たな名というか…
セイバーがミネルバにあるのは数合わせなので、特に意味はありません

マユの現在の腕の状況
アーモリーワンにいるはずのデュランダル、アスラン、カガリ
ヨウサンとヴィーノは死んだ?
などの謎は次回は持ち越し
いつになるかはわかりませんが