- 229 :しのはら :2005/09/14(水) 08:19:35 ID:???
- 第二十七話
- ヘブンズベースの壊滅でブルーコスモス派は大きな打撃を受けた。
デュランダル議長は巧みな情報操作を行い、「ブルーコスモスは地球を汚染する悪魔の存在」的イメージを定着させることに成功する。
世界各地で反ロゴス・ブルーコスモス撲滅運動が始まった。ブルーコスモス盟主ジブリールはロゴスの老人たちを残し、単身月基地へとその身を移すのだった。
ヘブンズベース戦で勝利に貢献したミネルバは本国へ帰還するため、一路カオシュンへと向かっていた。
「しかしヤマト大尉も忙しいですよね。休みなしで次の戦場なんて」
「仕方ないよお姉ちゃん。あの人たちはそういう部隊にいるんだから・・・」
懲罰部隊とも言われる三隻同盟は戦場の便利屋として、世界各地を転戦している。
「こっちは休暇だからいいわよ。久しぶりにお母さんにも会いたいし」
家族の話をしていたルナマリアたちの前にマユが現れた。
マユは無理に明るく振る舞い、ジュースを買って部屋に戻る。
「お姉ちゃん、マユ何かあったの?」
「この間の戦いでインパルスボロボロにして、整備主任に怒られたのよ」
ルナマリアは嘘をついた。
- 230 :しのはら :2005/09/14(水) 08:34:35 ID:???
- マユは自問自答していた。
「私は正しかったのかな・・・?」
見知った仲ではない。ステラとは少しの接触があっただけだ。
ただマユはステラを救いたかった。それだけの話。
「いいか?入るぞ」
アレックスが部屋をノックして、マユは慌ててベッドから飛び降りた。
敬礼するマユを制して、アレックスは部屋に入ってきた。
「少し話がしたいんだが・・・。君が良ければ」
二人は部屋を出、デッキへと登る。
「この間の強化人間、君とはどんな関係だったんだ?差し支えないなら話してほしい」
マユは包み隠さず話すことにした。マユはアレックスを尊敬している、軍人としても、人間としても。
- 231 :しのはら :2005/09/14(水) 08:44:18 ID:???
- アレックスは黙って聞いた。
「自分を正当化しないと、自分を守れなくなる」
アレックスはアスラン・ザラという男のことを語った。
親友を撃つことをためらって仲間を死なせ、平和への盲信から軍を脱走してザフトを撃ち、何も止められなかったと。
「君は正しいことをしたんだ、マユ」
「・・・でも」
「それを考えるのは戦争が終わってからでいい。今は生き残り、明日を迎えるにはどうすればいいのかを考えるんだ」
アレックスの言葉には、ずっしりとした重みがあった。
「少なくとも、俺はマユが正しいことをしたと思う」
「ありがとうございます、隊長」
その時、艦内に警報が鳴る。
マスドライバーに固定されたミネルバに、地球軍残党が襲いかかってきたのだ。
- 282 :しのはら :2005/09/16(金) 00:41:04 ID:???
- 第二十八話
- マスドライバーによる射出をタリアは諦めた。
射出までの時間は長い。その間敵に狙われたら、ひとたまりもなかった。
インパルス、ザク、レジェンドがミネルバから発進、地球軍へと向かっていく。
「宇宙人はおとなしく宇宙に帰りなさい!」
レイダーに乗ったレナ・イメリアのバスターダガーがインパルスを火力で圧倒し、熟練のデュエルダガーがザクを翻弄する。
「この機体、バスターの量産型?」
「噂のインパルス、性能差なんて勝利には繋がらないわ!」
「ケッ、大して強くもないクセに赤かよ?」
ビームを撃ち込んでも、装甲剥離でルナマリアを翻弄するデュエルダガー。
性能差を戦術でカバーするやり方に苦戦を強いられていく。
- 283 :しのはら :2005/09/16(金) 00:52:35 ID:???
- カオシュン基地の警備隊も出撃するが、ベルリン攻防戦の影響でその数は少ない。
バスターダガーのミサイルが放たれ、回避するインパルス。
「そんなミサイル当たらないよ!」
「まだ若いわね・・・」
ミサイルの射線を読んだレナの先読みビームがインパルスの右腕を溶解させ、追い討ち。
「戦闘は先を読んで行うものよ!」
「年増は黙って!」
マユは上半身を切り離し、ボトムアタック。
「メイお姉ちゃん、ソードシルエット!チェストフライヤー!」
しかし空中で合体しようとするシルエットをレナは叩き落とした。
「空中で合体するなんて、お子様ね!」「負けない!」
落下していくインパルス、マユが覚醒した。
機体を分離してコアスプレンダーになり、バスターダガーのビーム砲を破壊。
- 284 :しのはら :2005/09/16(金) 01:02:53 ID:???
- 「ブラストシルエット!」
射出されたブラストシルエットがレイダーからバスターダガーを落とす。
先ほど切り離した上半身と下半身が合体、ブラストインパルスへ。
「年寄りは家に帰りなさい!」
「子供が何を!」
空中で双方のビームが交錯し、激突。
バスターダガーが海面へと落ち、レイダーが助ける。
劣勢に立たされていたザフトにオーブ軍が加勢し、地球軍を駆逐していく。
カガリ・ユラ・アスハらだ。
地球軍は戦力損耗を避け、撤退した。
だが彼らの執念はあるプレゼントをミネルバに送った。
マスドライバーが被害を受け、使用不能になったのである。
- 309 :しのはら :2005/09/17(土) 19:38:36 ID:???
- 第二十九話
- オーブ艦隊と合流したミネルバは一路オーブへと向かっていた。
カガリ・ユラ・アスハの好意とプラントーオーブ間同盟から、マスドライバーの使用を許可されたのだ。
艦内ではオーブ軍人とミネルバクルーの、一時の交流が行われていた。
オーブ軍人たちは自分と親子ほど年の違うマユがインパルスのパイロットということに驚いたが、すぐに打ち解けた。
和気あいあいと交流を楽しむクルーを離れ、アレックスとカガリは展望台にいた。
かつて恋人同士だった二人、戦後二人は違う道を歩み、今に至っている。
「お前さ、変わったよな」
「変わった?昔と同じだろう」
「私には、そう見える」
カガリは少しだけ寂しげな表情を浮かべ、窓の外を眺めた。
- 310 :しのはら :2005/09/17(土) 19:50:04 ID:???
- 「あの頃に戻りたい」
カガリは語る。政治家として無能な自分は軍人として生きる道を選んだ。大戦が終わった後、本土を戦場にしたアスハ家は国際的に非難され、今でこそ沈静化したが国民からも憎悪されたのだ。
だからカガリは政界を退いた。
サハク家の後ろ盾を手にしたセイラン家が政権を握り、地球連合から脱退したことには憤りを感じるし、理念に反しているとも思う。
「一人の兵士になって生きていくつもりだ。私は」
アレックスは、カガリが死に場所を探していることを察した。
「だが・・・」
「安心しろ。私はまだまだ死ぬつもりはない」
カガリは快活に笑う。
「それに・・・」
「それに?」
アレックスの股間を握り、白い歯をむき出す。
「お前の分身は握り心地がいいんだ」
- 311 :しのはら :2005/09/17(土) 20:03:00 ID:???
- 「アレックスさん、カガリ准将、パーティーには出ないんですか?」
展望台に入ってきたマユは、カガリがアレックスの股間を握る姿を見て絶句してしまう。
「何してるんです・・・隊長」
アレックスは額に脂汗を浮かべながら答える。
「何、一種のコミュニケーションだ」
「コミュニケーション!?」
「ああ、これはオーブ流のスキンシップだ」
カガリが手を離し、アレックスは窓に手をつく。
「スキンシップというのは冗談だ、マユ。私とアレックスのしか通用しない意志疎通の方法だよ」
「意志疎通!?」
マユが唖然とし、カガリは腰に手を当て笑う。
その頃オーブでは、ミネルバを始めとした艦隊に対する攻撃隊が発進を開始した。
オーブに逃れたジブリールはセイランと結託し、政権を奪取していた。
だがそれを、誰も知らない・・・。
- 347 :しのはら :2005/09/18(日) 08:58:52 ID:???
- 第三十話
- ミネルバに接近する二十機のムラサメ。黒と白に塗り替えられ、対艦ミサイルを装備していた。
「ムラサメ隊からこちらへの連絡は?」
メイリンが何度も呼びかけるが、全く音沙汰無い。
タリアは不信がり、一応MSに待機命令を出した。
「タリア艦長、私が直接行ってくる」
「了解しました。マユ、アスハ准将の護衛を」
カタパルトからインパルスと赤いムラサメが飛び出す。
モニターでその様子を見ていたアレックスとルナマリアは他の誰よりも早く異常に気付いていた。
「出迎えに来る機体がどうして対艦ミサイルを積んでる!」
- 348 :しのはら :2005/09/18(日) 09:07:32 ID:???
- オーブ軍本部。
ユウナ・ロマ・セイランは判断を決めかねていた。
「カガリを撃てというのか?」
確かにセイラン家はジブリールと結託し、政権を奪取した。オーブの条約離脱で煮え湯を飲まされたジブリールは「必要な犠牲」としてミネルバ及びカガリの抹殺を要請したのだ。
「攻撃隊は準備完了です。ご支持を」
ユウナの背中に悪寒が走る。
ジブリールとの契約は大事だ。だが未来のオーブを背負える唯一の存在を殺すことなど・・・。
ユウナは自分の不甲斐なさを呪った。
自分は後ろ盾がなければ、何もできない。
「ご決断を」
視線が痛いほど突き刺さった。
ユウナは大きく息を吸う。
「攻撃開始。ミネルバ及びカガリ・ユラ・アスハの存在を消滅させろ」
- 349 :しのはら :2005/09/18(日) 09:17:35 ID:???
- ムラサメ隊が編隊を二つに分けた。
一隊はミネルバに、もう一隊はカガリに襲いかかった。
「危ない!」
迫り来るミサイル、マユが間に入った。すぐに二機は反撃を開始する。
「どうなってるんですか!?」
「あのセイランのもみ上げ野郎だ!」
レジェンドとザクファントムが加勢、ミネルバへ放たれる対艦ミサイルを落としていく。
「左舷にミサイルが突き刺さりました!」
「不発弾ですかね、艦長」
「違うわ。時限弾頭よ」
機関部にミサイル命中、ミネルバの味が遅れ始めた。
オーブ艦隊は全く攻撃を受けていない、つまり目標はミネルバだけだ。
「オーブ艦隊司令トダカ一佐に伝えて、本艦は一時後退します!」
- 378 :しのはら :2005/09/20(火) 17:01:37 ID:???
- 第三十一話
- ムラサメ隊から攻撃されたミネルバとオーブ艦隊は領海を離れた。
オーブの修理艦がミネルバに応急処置を施している間、タケミイカズチに通信が入った。
ユウナ・ロマ・セイランである。
「こちらはオーブ首長国連邦首長、ユウナ・ロマ・・・」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよこの野郎!」
カガリは手に持っていたボトルをモニターに投げつけた。
トダカやアマギは一瞬眉を潜めたものの、彼女の行動には納得していた。
「さっきは危うく殺されかけたよ。どういうつもりだ?゛代表首長殿゛」
ユウナは毅然とした態度で言う。
「我が国は大西洋連邦と再び同盟条約を締結します。カガリ・ユラ・アスハ准将はそれに反対する危険分子であり、今の世界情勢を作り出した張本人だ」
カガリは呆れを通り越して、笑みすら浮かべていた。
「ユウナ、お前はコメディアンの才能があるらしい。本当に一人では何もできない男だな」
「何だと!僕を侮辱するのか?」
「最初は父親、次はサハク、今は誰だ?当ててやるよ、ジブリールだ」
- 379 :しのはら :2005/09/20(火) 17:23:59 ID:???
- ユウナの顔に焦りが浮かび、呂律が回らなくなる。
「何を言ってるんだよカガリ?」
「とぼけるなよクソモミアゲ」
カガリは語った。世界中の反ロゴス討伐運動の中逃げ出したジブリールの行方はなかなか掴めなかった。
しかし一週間ほど前にサハクからジブリールがオーブにいるという情報が入り、ジェスやミリアリアといったジャーナリスト、傭兵からもその知らせは入ってきていた。
「決め手になったのはジェスとかいうカメラマンが撮った写真だ」
カガリはオーブ兵に護られているジブリールの写真を取り出す。
「あの男、顔に似合わずやり手だな。誰かと違って」
ユウナは取り乱し、回線を切る。カガリはそれを見て、苦渋の表情を浮かべた。
「事実だったとはな・・・。トダカ一佐、オーブ全域に対する警戒は怠らないでくれ」
最後に彼女は感情を押し殺すように言う。
「ロンド・ミナに連絡。゛攻撃する自由が必要だ゛と」
- 405 :しのはら :2005/09/21(水) 22:29:35 ID:???
- 第三十二話
- 「猫好きは宇宙へと上がる」
ミリアリア・ハウから一報が入った。
セイラン家の内通者からも連絡があり、艦隊でもシャトル発射の動きを掴んでいた。
カガリはタリアと協議した。タリアは一時的だが、今回のオーブ動乱を仲裁するザフト軍指揮官となっていた。
「とは言っても、ザフトの戦力は本艦一隻のみです。とてもじゃないが、オーブ軍と渡り合うことはできません」
「無論承知しているよ艦長」
カガリは立案した作戦を説明する。
「内通者からの情報によれば、敵のムラサメは輸出型のやつだ。正規軍の大半は今回の事件には関与せず、ブルーコスモス派が引き起こした」
カガリは笑って付け加える。
「全然中立じゃない」
再び作戦について話し始める。
「マユ、大気圏離脱の経験は?単機で」「二十五回です」
「違う。実際にだ」「三回・・・」
「それだけあれば立派だ。セックスも三回やれば身につく」
- 406 :しのはら :2005/09/21(水) 22:38:36 ID:???
- 作戦はこうだ。
カガリとムラサメ隊が敵ラインを突破、議事堂とシャトル発進口を制圧する。ミネルバMS隊は敵のムラサメを抑え、もしシャトルが発進した場合はストライクブースターを装備したインパルスが追跡する。
インパルスは各部にストライクの設計が生かされ、一部のオプションが利用できる。
作戦が開始され、艦隊からMSが飛び立っていく。
「あの、アスハ准将」
「なんだマユ」
「・・・ディノ隊長とは、どんな関係だったんです?」
「無人島で熱い一夜を過ごし、互いのアレを舐めあった仲だよ」
赤面するマユに、カガリは言う。
「今となっては思い出したくもない忌まわしい歴史だ。それより、シャトルが飛び立った時は頼むぞ!」
「・・・はい!」
- 407 :しのはら :2005/09/21(水) 22:46:12 ID:???
- 「私は何も約束していない」
「はっ?」
「いや、何でもない。シャトルを出してくれ」
シャトルに搭乗を済ませていたジブリールはさらりと告げた。
「しかし、セイラン親子を待たなくてよろしいんですか?」「たかだか七光り政治家が二人増えた所ではな。せっかくうるさい老人たちが核で消滅したのに、かなわんよ」
シャトル内に警報が鳴り響く。
モビルスーツが接近してきたのだ。
「・・・ネオ」
シン、いやネオはアイマスクを外し、シャトルを出ていく。ジブリールは彼を呼び止めた。
「高い金をかけて作った人形を三つも壊されたんだ。働いてくれ、シン?」
「私はネオですよ、お忘れ無く」
- 491 :しのはら :2005/09/24(土) 19:55:36 ID:???
- 第三十三話
- 影のオーブと呼ばれるアミノメハシラ。三隻同盟軍大尉キラ・ヤマトはソキウスに案内され、新たなMSの元へ案内されていた。
キラはストライクフリーダムを見、思わず口元に笑みを浮かべた。
「全く素晴らしい。バカの妄想が具現化したみたいだよ」
「それはミナ様ですか?大尉」
「いやいや、考えなくてもわかるはずたよ」
キラはパイロットスーツに着替え、コクピットに乗り込んだ。
デュランダル議長からの命令により、キラはオーブのミネルバと合流する任務を受けていた。
「ヤマト大尉、我々は自分で考え行動することができません」
「同情するよ。こっちもピンクの電波に上手く乗せられたんだから」
「しかし大尉は、自分で考え行動できる人間です。だからこそミナ様はあなたに自由を手渡した」
三人のソキウスは微笑する。
「ご武運をお祈りします」
「・・・ありがとう」
ハッチが開き、無限の宇宙が広がっていく。
「キラ・ヤマト。ストライクフリーダム、出るぞ!」
- 492 :しのはら :2005/09/24(土) 20:08:34 ID:???
- ミネルバににムラサメ隊が低空侵入、対艦ミサイルが殺到する。CIWSがそれを次々に落とし、ルナマリアザクとオーブ軍ムラサメがミサイルを阻止した。
レジェンドはカガリを議事堂まで護衛した後シャトルへと向かったが、そこでムラサメの妨害に遭う。固定ドラグーンでムラサメを貫くが、数の劣勢は覆せない。
議事堂に強行着陸したカガリのムラサメは護衛を伴って内部に侵入した。
ユウナは軍本部ではなく、ここにいた。
「カガリ、どうしたんだ・・・」
カガリはユウナに強烈なパンチを浴びせ、すぐさま軍本部へと向かった。
「私が聞きたいよ」
シャトルがマスドライバーを駆け上がっていく。
レジェンドも手が出せない。
「マスドライバーを潰したら国際問題になる。マユ!」
- 493 :しのはら :2005/09/24(土) 20:18:50 ID:???
- 「マユ・アスカ、インパルスブースター出ます!」
インパルスが射出され、天空へと駆け上がっていく。
だが重量の問題から射程距離にはなかなか入らず、追いついた頃には宇宙へと到達していた。
「落ちなさい!」
その時、シャトルから何かが飛び出してきた。
マユはすぐさまブースターを切り離す。
「閣下はやらせない!マユ」
「お兄ちゃん!?」
デスティニーの斬艦刀がブースターを切り裂き、マユは間一髪でそれを避ける。
「なんでお兄ちゃんはジブリールを庇うの!」
「お前にはわからないことだ、マユ!」
切りかかるネオ、マユは間合いととって避けた。
ネオがもう一度切りかかった時、高出力のビームが空間を裂く。
「なんだ!?」
ストライクフリーダムだ。
「こちら三隻同盟軍大尉、キラ・ヤマトだ!」
- 560 :しのはら :2005/09/25(日) 21:15:20 ID:???
- 第三十四話
- 「フ、フリーダム!」
マユは思わず近づいてくる機体を見つめた。
「なんでフリーダムがここにいるんだ!」
インパルスに背を向け、ネオはフリーダムに襲いかかった。
ネオは少しだこ安堵した。
(いいところに来てくれたよ・・・)
アグニとカリドゥスが同時に火を噴き、交錯する。
デスティニーは光の翼を展開し、フリーダムに切りかかる。キラは一閃を避け、ためらわずにインコムドラグーンを解き放った。
「なんだと!?」
「俺はニュータイプじゃないがな。いい時代になったよ!」
四方からのビームがデスティニーを狙い、その全てがコクピットに照準を合わせていた。
「達磨にするのはやめたんだ。どうせ死ぬからな!」
「俺はまだ死なない!死ねない!」
シンは覚醒し、ビームの網をかいくぐってフリーダムに肉薄した。
- 561 :しのはら :2005/09/25(日) 21:27:03 ID:???
- ビームシールドで防御しながら、キラはネオの強さを体感していた。
「スーパーコーディネーターなんて、嘘だな」
「ほざくな!また正義の味方気取りか」
キラはライフルを連結させ発射、デスティニーの翼をえぐる。
インコムを積極的に利用し、デスティニーを攻め込む。たがネオの卓抜した技量はキラを上回り、劣勢を互角に持ち込んでいた。
「ヤマト大尉!」
「下がれマユ、お前が勝てる相手じゃない!」
「いっつも他人を見下して、大尉は!」「どうも。マユはシャトルを、ジブリールを!」
シャトルへ突撃するインパルスを遮ろうとするネオにキラが立ちはだかり、火力でデスティニーを攻める。
「インコム、行け!」
ワイヤーがデスティニーを絡めとり、身動きを取れなくしたが、ネオは光の翼でワイヤーを一掃した。
「所詮コンピュータ制御じゃあな!フリーダム!」
- 562 :しのはら :2005/09/25(日) 21:37:39 ID:???
- マユはシャトルまであと少しのところに到達したが、ミラージュコロイドを解除した戦艦に進路を阻まれ、ダークダガーに翻弄されてしまう。
「シャトルが!」
シャトルが戦艦に吸い込まれていく。マユの放つビームはダガーに阻まれる。
ビームサーベルで切ろうとしても、ダガーのバズーカがインパルスを行かせない。
シャトルの回収を確認したネオは恥じることなくその場を後にした。
デスティニーは戦艦を守りながら、宙域を去る。
キラは深追いしなかった。
「あんな奴が連合にいるとは・・・。それに、俺は主人公じゃないしな」
マユの元に向かおうとした時、緊急連絡が入った。
キラは驚愕する。
「ユニウス・セブンが?」
- 33 :しのはら :2005/09/28(水) 08:30:32 ID:???
- 第三十五話
- コーディネーターたちの墓標ユニウス・セブンは今、戦場と化していた。
「ヤマト大尉、ユニウス・セブンが地球へ向けて加速を!」
ザフト艦隊と合流したマユとキラは休む間もなく戦っていた。
「地球軍は味方を殺す気なの!?」
ユニウス・セブンを軌道から外したのは地球軍の特殊部隊だった。
ダークダガー隊はメテオブレーカーを守るザフトMSを次々に撃ち落としていく。
「こいつらはブルーコスモスの連中だ!」
インコムでダガーをズタズタにし、キラはザフトを援護した。
キラはユニウス・セブンが動き出した理由を自分なりに解釈していた。
地球での支持を失ったブルーコスモスを地球軍は切り離し、大西洋連邦もその存在を有害なものだと発表した。
だからブルーコスモスは反対する地球軍、優勢なザフト軍を一気に叩き潰す作戦に出たのだ。
- 34 :しのはら :2005/09/28(水) 08:42:03 ID:???
- やがてデスティニーとガーディ・ルーが参戦したことで、事態はさらに悪化した。
マユはデスティニーと剣を交えてながら、兄に呼びかける。
「なんでお兄ちゃんたちはこんなことするの!?」
「必要だからだ!」
「なんのために必要なの?罪もない人たちがたくさん死んじゃうよ!」
デスティニーの一撃を避け、ビームライフルを撃ち返す。
「何もせず、流されているだけで充分に罪だ。お前にもわかるだろう、マユ!」「バカ!」
マユは覚醒し、両手にビームサーベルを持って突進した。
「私たちみたいな兄弟が生まれるんだよ?たくさん!」
「どこにそんな証拠がある?言ってみろ」
「お兄ちゃんは自分が何をしてるかわかってないんだよ!」
- 35 :しのはら :2005/09/28(水) 08:51:28 ID:???
- 「各機、メテオブレーカーの防衛を最優先に!敵は俺がなんとかする!」
フリーダムが突進し、インコムで瞬く間に四機のダガーを撃破、メテオブレーカーにプログラムを打ち込むザクやグフに取り付かせない。
「やらせるか!」
八基のインコムが射出され、放たれたビームがバリアとなってザフト軍を攻撃から守る。
メテオブレーカーはプログラム入力を終え、作動を開始した。
少しして爆薬が作動、ユニウス・セブンを真っ二つにし、地球軌道から逸らした。
ネオは光の翼でインパルスの両手を切り落とし、宙域を離脱した。
「・・・感謝するぜフリーダム」
- 62 :しのはら :2005/09/29(木) 08:16:02 ID:???
- 第三十六話
- ユニウス・セブンの落下という最悪の事態を首の皮一枚で回避した世界は、ブルーコスモスへの怒りに燃えていた。
プラントはミーア・キャンベルやプロパガンダ放送でブルーコスモスの実体を誇張して伝え、国家総動員態勢「デスティニープラン」を実行に移した。
プラント評議会では地球軍アンザッヘル基地への総攻撃が承認され、部隊は月軌道へ移動を開始した。
ヤマト大尉と別れたマユはミネルバと合流し、一路コペルニクスへと向かっていた。デュランダル議長を乗せたミネルバに新しい任務が下る。
「コペルニクスで行われる停戦条約の締結に向かう議長を護衛せよ」
ナスカ級を伴って進むミネルバに、反ブルーコスモス派の地球軍艦隊が合流した。
「こちらは地球連合軍、モーガン・シュバリエ大尉。護衛につく」
- 63 :しのはら :2005/09/29(木) 08:29:00 ID:???
- 警戒していたルナマリアは苦笑しながら言う。
「不思議な気持ちだわ。昨日までの敵とこうして共にいるなんて」
「こちらも同感だ。ザフトのエース」
合流したのはヤキン戦で活躍した105ダガーとウィンダム部隊だった。
「・・・撃たないでよ。後ろから」
「安心してくれ、女性には正面から挑む主義だ」
ミネルバ艦橋に腰を下ろしていたデュランダルは頼もしい味方であるダガー隊とザフトMSの会話を聞き、感銘に近い感情を抱いていた。
「艦長。今この場所には、ナチュラルもコーディネーターも関係ない。同じ目的で同志が集まり、こうして会話している」
「・・・そうですね。議長」
「人はいつか分かり合えると私は思っている。平和の基本は相手を理解し、思いやることだ」
デュランダルは静かな口調で言う。
「自らの理想のみを押し付け、それに従えというのがラクス・クラインの考えだった。私はそれが、とてもじゃないが平和へ向かう道とは思えない」
「正しい意見です」「だから私は今ここにいる。君たちもな」
- 64 :しのはら :2005/09/29(木) 08:38:35 ID:???
- 「うわっ」
一機のウィンダムが姿勢を崩した。
グフにぶつかり、あらぬ方向へ飛んでいく。
「危ない!」
マユが止める前に、ソード105ダガーが二機を止め、放す。ダガーのパイロットから通信が入った。
「悪いな。インパルスのパイロット」
「大声じゃ言えないですけど、新人が多いんです」
「ははは。君だって子供じゃないか」
マユはムキになって反論した。
「子供じゃないです!」
「そう怒るなよ。仲良く行こうぜ!」
ダガー隊各機から通信が入る。
「クリス、お前ロリコンだったのか?」「犯罪だぜぇ」
「ザフトのお嬢ちゃん、俺たちがエスコートしてやるからな!」
口調は荒っぽいが、彼らからコーディネーター差別の意志は全く感じられなかった。
そしてメイリンから通信が入る。
「コペルニクス上空に敵艦隊!数一五!」