- 513 :その1:2005/10/28(金) 20:02:43 ID:???
- ゲンの格好は黒のスニーキングスーツ+バイザー、記憶は弄られてません。
状況はステラが捕まってるミネルバの医務室です。
ゲンは捕らえられたステラを救出するためミネルバへ単独潜入。
医務室で拘束されていたステラとの接触に成功する。
「ステラ!俺だ、分かるか?」「・・・ゲン?」
ステラの衰弱の度合いはゲンの予想以上に激しかったが、手持ちの薬品を投与すれば十分回復の見込みのあるレベルだった。
ゲンは腰のポーチから筒状の注射器を取り出すとキャップを外しステラの左肩に押し付ける。
「プシュ」と小さな音と共に薬液が注射される。
「ザフトの連中なんの処置もできなかったのかよ・・・」
ゲンがステラの拘束具を外しながらザフトの医療水準の低さに憤っている間に、
ナチュラルの医学の結晶である注射を受けたステラは、土気色だった皮膚に血の気が戻り、
虚ろだった瞳には生気が宿る。数分後には先ほどまでの衰弱は嘘のように消え失せたステラの姿があった。
「立てそうか?」「・・・大丈夫」
ゲンが肩を貸してステラを立たせる。
まだ少し足元がおぼつかないが、この様子なら薬が全身に回れば十分動けるだろう。
「ゲン・・・迎えにきたの?」「ああ、もう大丈夫だいっしょに帰ろう」「うん!」
再会を喜ぶ間もなく、医務室の扉が開き招かれざる来訪者が現れる。
マユがステラの様子を診にやってきたのだ。マユは次の瞬間に二度驚く事になる。
「ステラ!あなた元気になっ・・・!」一度目はステラの元気な姿を見て。
「って、えぇ!?」二度目は全身黒ずくめのどう観ても怪しいバイザーの男を見て。
マユはとっさに拳銃に手を伸ばすが反応速度ではコーディネーターであり
加えて様々な強化処置を受けているゲンには敵わない。
マユが構えるよりも迅くゲンはマユに照準を合わせて言い放つ
「その物騒なものを床に置いて両手を挙げるんだ!・・・ゆっくりな」勝利宣言を―――
- 514 :その2:2005/10/28(金) 20:05:12 ID:???
- 出鼻を挫かれたマユは侵入者の要求に従う他なく、銃を足元に置きながら考える。
(どうしょう…このままじゃ良くて人質、悪ければ…)マユの体が小さく震える
(何か助かる方法を考えなきゃ!―――でもどうしょう…)
マユは言われた通り両手を挙げながら上体を起こす。
果たして、マユとゲンはようやく最も驚くべき事柄に気がつく事になる。
「お兄ちゃん!?」
「マ………っ!」
「お兄ちゃん!お兄ちゃんなんでしょ!?」
「し、知らん!俺にはいもうt・・!俺はお前なんて知らない!」
突然の再会に涙ぐむマユ、対してゲンは冷静に振舞おうとしても焦りは隠せない。
「私だよ!マユだよ!」「知らんと言った筈だ!」「でも・・・!」
食い下がるマユに拳銃を向け直しながらゲンが言う。
「とにかく手を挙げたままこちらに来るんだ、大人しく拘束されれば命までは奪わない」
一瞬の沈黙の後、先に口を開いたのはマユだった。
「・・・お兄ちゃん」「だから何度言えば・・・」
「たった今偶然気づいたんだけど・・・」
マユの口調は先ほどとは打って変わって落ち着いた――強い意志を秘めた言葉だった。
黙らせようとしたゲンも思わず聞き入ってしまう。
「オーブ人はミネルバの医務室の空気を吸うと・・・鼻の頭に血管が浮き出るんだね」
「何・・・!!」
鼻に手を当てて確認するゲンとマユ。ステラは訳が分からずキョトンとする。
「マユ・・・嘘は・・だめ」嘘を見抜き咎めるステラ
「うん、ごめんね」
「だけど!・・・貴方やっぱりお兄ちゃんなんでしょ!?」
「!!」
- 515 :その3:2005/10/28(金) 20:07:02 ID:???
- 「ハハ・・・参ったな・・・」嵌められたゲンは俯き自嘲する。
マユに向き直ったゲンの顔からは先ほどまでの敵意は消え失せ
代わりに在るのはマユにとって最愛の――二年前を境にもう見ることは無いと諦めた――
シン・アスカの笑顔だった。
「マユ、暫く見ない間に渋く・・・いや、大きくなったんだな」
「本当に・・本当にお兄ちゃん・・・なんだよね?」
「ああ」
ゲンは首肯し、マユの瞳には再び涙が溢れる。
「ずっと・・・ずっと会いたかったんだよ・・・」今にも泣き崩れそうなマユ。しかし―――
「・・・・・・・・・・・・・だが」突如ゲンの眼が鋭く光る。
ゲンは素早くバイザーを操作しサーモグラフィーモードに切り替える、
同時に懐から握り拳大の物体を取り出すと、それを床に叩き付けた――スモークグレネードだ。
次の瞬間、部屋は煙に満たされ視界は限りなく0になる。唯一人、ゲンを除いて。
(しまった・・・ッ!)
煙幕の煙をBC兵器の類と思い込んだマユは、息を止め眼を閉じ医務室から脱出を図る。
だがマユの脳裏にはある疑問が浮かんだ――
(この煙が毒ガスか何かなら、何の装備もしていないお兄ちゃんだって・・・今となっては演技だったのかもしれないけど・・・解毒剤を持っているとしても只では済まないはず)
(さっきの状況なら私を撃てばそれで済む・・・そもそも毒ガスなんて物を使う必要は無い)
(まさか・・・本当の狙いは――)
そこまで考えたところでマユは首筋にゲンの手刀を受けて気絶した。
煙幕が収まると、そこには気絶したマユと彼女を支えるゲン、心配そうにマユを見つめるステラの姿があった。
ゲンはマユをそっと床に寝かせ、首筋で脈を測り命に別状が無いのを確認すると「ごめんな」と一言呟いた。
「これで・・・いいの?」
「ああ、俺はマユが生きてるって判っただけで十分さ」
「それに俺たちはもう存在しない人間・・・亡霊だ。亡霊がいつまでも生きた人間と一緒にいる訳にはいかないよ」それは自分に言い聞かせるような言葉だった。
マユとの別れが辛いのかステラは浮かない顔をする。そんなステラの頭を撫でて慰めるとゲンは言う。
「さあ!皆の待ってる処へ帰ろう。MS格納庫まで一気に進むぞ!できるな?」
「うん!」ステラは力強く頷いた。
- 516 :最後に :2005/10/28(金) 20:08:41 ID:???
- 貧弱な言語中枢を振り絞って妄想を具現化しようと試みましたが
どう見てもjojoネタです。
本当にありがとうございました。