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古民家解体作業....広い空間を作りたい

 解体の手順は、天井を解体し、次は壁、最後に床、というように、上から壊していくのが基本。  リフォームで作り直していくときは、逆に床から始めます。

 古民家リノベーションとなると、どうしても天井を高くし広大なワンフロア空間を実現しようと考えますが、最大の難点は大黒柱に接合されている「差鴨居」の存在。     古民家の鴨居は「差鴨居」と呼ばれ、構造上重要な部材となっており、 撤去はできません。

 昔の家の間仕切りは大体1間(1820から1980mm)毎に柱が立っていますが、それより広い開口部を設けるには柱が邪魔です。  そこで、昔の家は「差鴨居」という上からの荷重を支える構造材を使うことで、 広い間口を実現していました。  昔の壁が構造体となっていなかった時代の家は、広い横架材で柱との接点を広くし揺れに耐えるよう「差鴨居」が用いられたわけです。

 構造材として300mm程度の差鴨居を入れれば、2間(約3.6m)の間隔でも持たせられるとされますが、見た目や風格も大事にしたようで、差鴨居は500~600mmほどの材料が使われています。

 「差鴨居」は大黒柱にホゾ差しで組み込まれる重要な構造材なので、簡単に撤去などできません。   また、ホゾ差にして組み上げられており、後から組み込むことはできません。    また、建具が移動できる溝(襖を開け閉めするレール)が彫ってあります。

 大黒柱には、差し鴨居が三方または四方から結合されますが(三方差し、四方差し)が、細い柱ではホゾ穴だらけになって折れやすく、在来工法での地震倒壊の主な原因とされます。    しかし、古民家は太い柱を使っており、頑丈で狂いも少なく、耐震補強を施せば、まだまだ現役として使うことができます。

 古民家の建具(襖・障子など)高さは、ほぼ5尺8寸(1760mm)で作られており、襖を開け閉めするレール(鴨居・敷居)の高さはそれに合わせた高さになっていますから、 身長176cmを超える人にとっては、移動時は少し屈みながらの体制を強いられます。  そのため、どうしても天井を高くしたかったら、床の方を下げる必要があります。

 ただ、建物全体の床を全て同じ高さにするのは、ケッコウ大変。  そこで、和室や仏間の床はそのままに、リビングだけ床の高さを下げるというのが簡単なやり方。         今回は床を全て撤去するので、床を出来るだけ下げ、床から「差鴨居」まで1900mm以上の高さを確保します。


解体順序にはご用心

 家の耐震力は外壁によっても支えられているはずだが、ユーチューブの古民家リフォームを見ていると、床を剥がし・外壁まで一気に解体して骨組みだけにしてしまうのが多いようだが、地震大国日本においては、いつ何時大きな地震が来るかは神のみぞ知るで、 油断は大敵。

 土台や柱がシロアリ被害でボロボロの状態のまま、いきなり外壁まで取っ払ったら、ちょっとした揺れでも倒壊する危険性があるので、 まず土台・大引きなどの腐食材を修復・入れ替え、強度アップしてから外壁のリフォームに移行する。(2022.9.12)


床板の解体

     

床の解体
床の解体 【床の解体】

床板を剥がすときは、敷居を撤去してから端をバールでめくると簡単。

敷居を外さずにやるときは、床板を留めている釘をバールで強引に抜き取る。

床の解体 【居間の床下】

居間の床下は以前にリフォームしていたようで、束石はコンクリート製に変えられており、大引きや束も現代的な部材に交換されている。

太鼓根太は痛みもなく、再利用されている。

【居間と廊下の床板を一部剥がしたところ】

居間の大引きは105mm角の製材が使われている。

床板はまだしっかりしているので、カンナをかけてどこかに再利用する予定。

床の解体 【旧洋間の床板解体】

既存のフローリングが経年劣化で歪み、床がブヨついている。

そこで、応急処置として上に合板を貼り付けてある。

【旧洋間の床板解体②】

合板を剥がしてからフローリングを剥がしていく。

フローリングは丸ノコで半分の長さに切ってからバールで引き剥がす。

太鼓根太にフローリングの留め釘が残るので、バールで抜いておく。

【旧洋間の床板解体(2)】

南向きで地面の湿気が少ないためか、防湿シートは敷かれていない。

使われている根太は製材した角材ではなく、すべて太鼓根太。

束の間隔が広すぎるので、もっと狭める。

【旧台所の床板解体】

こちらも張られているフローリングを丸ノコで半分の長さに切ってからバールで引き剥がす。





【旧台所の床板解体(2)】

こちらも地面には防湿シートが敷かれている。

大引きはどこかの梁を流用している。

【旧茶の間の床板解体】

こちらの大引きも、どこかの梁を流用している。  耐震性は大丈夫か。



床の解体 【古い敷居の撤去】

柱と敷居はホゾ加工で結合されている。

敷居は手前側から差し込まれている。

【】










床下の状態

     

築150年古民家・床下の状態
【コンクリート束石にリフォーム済の床下】

コンクリートの束石に替えられている部分も、一部は自然石の束石が混在している。

防湿シートの効果は、よほど丁寧に束石周囲を隙間なく覆わないと、効果が薄い。



【床下の換気扇②】

換気扇は南側の乾燥した空気を取り込み、北側の湿った空気を排出させるのが基本なので、北側に3台設置する。  ランニングコストは月100円程度。





【コンクリート束石と自然石が混在している床下】

コンクリートの束石に替えられている部分も、一部は自然石の束石が混在している。

防湿シートの効果は、よほど丁寧に束石周囲を隙間なく覆わないと、効果が薄い。



【北側の東端の和室】

こちらも床下はリフォーム済のよう。

北側でも、換気が良い場所はそれほど湿気の影響はなさそう。



【リフォーム前の束】

リフォーム前、150年前の古民家の束。

この部分は手つかずの状態で、昔の土台がそのまま残っている。

これで2011年の三陸沖地震の震度に耐えたのだからスゴイ。






腐食が進んでいた床下

     

腐食している床下の解体
【北側の小部屋(東)】

こちらは地面には防湿シートが敷かれているが、完全に床板と床下が朽ちている。

北側で湿気が多いため、150年も経つとこうなってしまう。

防湿シートは束の周りは隙間だらけとなり、万全とは言えない。
【床下には換気扇が取り付けられていた】

途中で換気扇を取り付けていたようだが、その周辺は穴があって効果はなかったよう。

外側からの湿気が多すぎるため、換気扇でも対応できなかったようで、北側の土台はかなり傷んでいる。

【北側の小部屋(東)・その2】

太鼓根太も腐食してボロボロ。

こちらは土台を全て新しく造り直す必要があるが、湿気が酷いので地面はコンクリートで覆う必要がありそう。

床の解体 【その3・腐食した床下に走る貫】

北側の湿気が多い床下の柱や貫は腐食している。

床下の湿度対策として調質機能のあるものや、防湿シートを敷き詰めたり、床下換気扇をつける。

ただ調質機能といっても、いずれ能力いっぱいになればそれ以上は機能しなくなるので、効果の持続性は疑問。
【その4・150年経過した床下の柱】

貫はボロボロで、その上に載せられていた根太も腐食が進んでいる。

あまり使われていなかった部屋なので、ここまで酷い状態になるまで放置されていた。

【その5・撤去後の北側の小部屋(東)】

床下の部材は全て腐食しているので撤去。

地面はかなりデコボコしているので、コンクリートを流し込み整地する。

左手が北側なので湿気が入り込まない工夫が必要。





長押・鴨居の撤去

   

長押・鴨居の撤去
長押・鴨居の撤去 【「リフォーム中の古民家差鴨居」】

筑100年以上経つホンモノの古民家の「差鴨居」は、 重厚な佇まいを醸しだしており、現代の安普請にはない独特の雰囲気がある。

古民家の構造材として機能している「差鴨居」は、シロウトがおいそれと手出しできるようなものではない。

そもそも撤去などしたら地震でアッというまに崩壊しかねない。
長押・鴨居の撤去 【一般的な「長押」を切断する】

「長押」を外すときは、真ん中でカットする。





長押・鴨居の撤去 【「長押」を柱の仕口から引き剥がす】

「長押」の端は、柱の欠きこみに挿されている。

力ワザで引き剥がす。





長押・鴨居の撤去 【「薄鴨居」も途中でカットしてから撤去】

「薄鴨居」も「長押」同様、まず途中で切断する。

その後は力ワザで引き剥がす。

構造材として使われている「差し鴨居」は、こんな撤去は出来ない。



長押・鴨居の撤去 【欄間の取り外し】

欄間(らんま)は周囲の材に掘られた溝に差し込まれているのが一般的。

隙間にバールを差し込み、周囲を広げるようにして取り外す。








天井裏の不要部材を撤去

     
天井裏工事
【貫(水平方向の部材)は壊せない】

天井にある貫(水平方向の部材)は伝統工法で筋交いの役目があり重要箇所なので、外せない。

縦に入っている材は撤去可能。



【天井の不要部材を撤去】

貫を見せたい場合、掃除するときはサンダーの木工サンダーを使い、表面を削る。



【つもりに積もったホコリの掃除・スス取り】


梁や鴨居には長年のホコリが堆積している。  これをブラシやスケラーでこそぎ落とす。

表面に頑固にこびりついているので、サンダーを使い表面を軽く削る。

金属サビ落としや塗装剥がしを使うより、木工サンダーがお勧め。
【最後に水拭き】


研磨作業が終わったら、表面を水拭き。




【小屋束の交換】

劣化具合によっては、小屋束を交換。

既存材より太めの材を使う。

さらに小屋束には筋交いを入れておき、耐震性を高める。

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吊り天井の撤去

     

吊り天井の撤去
吊り天井の撤去 【】

天井板が固定しておらずスライドする部分があるかも。

竿縁と天井板を地道に一枚ずつ外し綺麗に一枚板で撤去するか、両端の竿縁を切断して一気に天井を落とすか。

竿縁から剥がすとき、隙間にバールを突っ込んでまくる。

吊り天井の撤去 【吊束】

吊束(つりづか)とは、鴨居が中央でたわまないよう、上から吊りあげている短い柱。

構造的・強度的に重要ではないので、梁のちょっと下を切り撤去。





土壁の撤去

 古民家の壁は「竹小舞」の土壁ですが、重くかなりの重量が柱にかかっています。      

土壁の撤去
土壁の撤去 【】





土壁の撤去 【】










     

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