第17回社会福祉原論問題



問題1 わが国の社会福祉の歴史に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 日露戦争後の社会不安の高まりに対して、政府は恤救規則の運用を緩和して困窮者の救済をする一方、道府県による救済事業を育成・推進するために感化救済事業講習会の開催や中央慈善協会を設立した。
B 第一次世界大戦勃発による資本主義経済の急速な発展は、都市部の民衆の生活に豊かさをもたらしたが、農村部では物価上昇により米騒動起き、政府は地方改良を進めるために方面制度を設立した。
C 第一次世界大戦後の慢性的不況は深刻な社会不安を招き、恤救規則を廃止し救護法を制定した。救護法の特徴は、公的扶助義務主義に立つこと、生活扶助・医療扶助・助産・生業扶助に救護の種類を拡大したことである。
D 日中戦争・太平洋戦争下、戦争遂行のために人的資源の確保と健民健兵政策を強化し、社会事業は厚生事業と呼ばれるようになった。政府は厚生省を設置し、国民健康法・医療保護法などを整備した。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○

問題2 セツルメント運動に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 1884年、バーネット夫妻(Barnett,S.&H.)の努力でトインビー・ホールが設立された。
B 1889年、アダムス(Addams,J.)がシカゴに設立したハル・ハウスが、アメリカでセツルメント活動を普及させる契機となり、社会改良の近代化に貢献した。
C 1897(明治30)年、片山潜が東京の神田三崎町に「基督社会事業の本営」としてキングスレー館を設立した。
D 1916(大正5)年、賀川豊彦は、『貧乏物語』を著し、神田新川のスラムでセツルメント活動を展開した。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○


問題3 社会福祉におけるニードの考え方に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 三浦文夫によれば、潜在的ニードとは、当事者がニードの存在を自覚あるいは感得しておらず、また専門家からも現時点ではニードがあるとは認められないものの、将来的にその当事者に、ニードが発生する可能性が高いことを示すものである。
B 三浦文夫によれば、貨幣的ニードとは、ニードそのものが経済的要件に規定され、貨幣的に測定され得るものであり、さらにそのニードの充足は主として金銭給付によって行われているというものである。
C ブラッドショー(Bradshaw,J.)によれば、規範的(normative)ニードとは、既にサービスを受けている集団の特性を調べて、同じ特性を有しているのにサービスを受けてない人がいれば、その人は規範的にニードがあると認められるというものである。
D ブラッドショー(Bradshaw,J.)によれば、感得された(felt)ニードとは、孤独や不安など、当事者への心理的な支援を必要とする状態を示すものであり、主に専門家による当事者の観察によりニードの有無を決めるものである。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○


問題4 次の法律のうち、当該法律の本則に、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する「不服申立て」について、特別な定めがあるものに○、ないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 生活保護法
B 知的障害者福祉法
C 母子および寡婦福祉法
D 老人福祉法

1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

問題5 福祉サービスの供給に関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 福祉サービスの直接の提供者としての国の役割は縮小するものの、財源調達と規則の役割を保持する国家を条件整備国家(enabling state)という。
B 民間営利事業者が福祉サービスに参入することによって、支払能力のある利用者の選別化や、質の低いサービスの提供と言った弊害が生じることをプライバタイゼーション(privatization)という。
C 公的な福祉サービスが十分に機能していない場合に、家族や友人などインフォーマルな資源により、残余的にケアを補完する体制が、残余的福祉モデルである。
D 『ウルフェンデン報告』(1978年)は、イギリスの民間非営利団体(ボランタリー・セクター)の役割を、多元的な福祉システムの中で積極的に位置づける契機となった報告である。

1 A B
2 A C
3 A D
4 B C
5 C D


問題6 に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 社会福祉士及び介護福祉士法によれば、介護福祉士は、その業務を行うに当たって、要介護者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない。
B 社会福祉士及び介護福祉士法によれば、社会福祉士が信用失墜行為をした場合には、1年以下の懲役に処せられると規定されている。
C 精神保健福祉士法によれば、精神保健福祉士は、その業務を行うに当たって、精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない。
D 社会福祉士及び精神保健福祉士は、その名称を用いて業務を行う場合には、厚生労働省に備える各々の登録簿に登録し、厚生労働大臣により法人と認可された各々の職能団体に加入することが法律で定められている。

1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 × ○ ○ ×
4 × × ○ ○
5 × × ○ ×

問題7 行政機関の職種・業務に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 福祉事務所で現業事務の指導監督を行う所員は、社会福祉主事でなければならない。
B 身体障害者福祉司は、社会福祉士でなければならない。
C 知的障害者福祉司は、社会福祉士でなければならない。
D 母子自立支援員は、社会福祉主事又は児童福祉司でなければならない。

1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○


問題8 社会福祉法に規定する苦情に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 運営適正化委員会は、都道府県社会福祉協議会に置く。
B 運営適正化委員会は、福祉サービスに関する苦情について解決の申出を行った申出人及び当該申出人に対し、福祉サービスを提供した者の同意を得て、苦情の解決のあっせんを行うことができる。
C 社会福祉事業の経営者は、福祉サービスの利用者等からの苦情に対して、適切な解決に努めなければならない。
D 社会福祉事業の経営者は、苦情解決のために第三委員を設置した場合は、その中立性を確保するために報酬を出してはならない。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × × × ○


問題9 福祉国家に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 ウィレンスキー(Wilensky,H.)は『福祉国家と平等』において、福祉国家の発展に長期的に影響を与えるのは、経済水準の上昇であり、その国家がいかなる政治体制であるかは影響がないとする福祉国家収斂説を唱えた。
2 ハイエク(Hayek,F.)は『自由の条件』において、福祉国家が、インフレーション、累進課税、威圧的な労働組合、教育における強大な政府支配、広範な恣意的権力を持つ社会サービス完了という新たな危険をもたらしたと論じた。
3 ティトマス(Titmuss,S.)は「福祉の社会的分業」という論文において、福祉国家を民主主義、資本主義という三つの構成要素の関係でとらえるとするハイフン連結社会という概念を唱えた。
4 ギデンズ(Giddens,A.)は『第三の道』において、新たな福祉国家の方向性として、金銭給付よりも、教育や職業訓練によって人的資本に投資することを重視するポジティブ・ウェルフェアを提唱した。
5 エスピン・アンデルセン(Esping-Andersen,G.)は『福祉資本主義の三つの世界』において、脱商品化と社会的階層化という二つの指標を基に、福祉国家レジームを自由主義的、コーポラティズム的、社会民主主義的という三つに類型化した。


問題10 国際援助に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 第二次性世界大戦後の我が国は、ユニセフ(UNICEF)のミルク・衣料品、国際復興開発銀行(IBRD、いわゆる「世界銀行」)からの経済インフラのための資金融資を受けていた。
B我が国の政府開発援助(ODA)実績(支出純額ベース)は、1991(平成3)年以降、世界第1位であったが、2001(平成13)年からアメリカに次いで世界第2位となった。
C 2004(平成16)年の世界保健機関(WHO)への分担率の上位3か国は、スウェーデン、デンマーク、ドイツであった。
D 「草の根・人間の安全保障無償資金協力」は、開発途上国において活動しているNGO等が実施する草の根レベルに直接する経済・社会開発プロジェクトに対する資金協力である。


1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × × ○ ×
5 × × × ○







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