給与等の条件は要チェック
 

since:2012/01/15
lastupdate:2012/01/15

 
 自分が就職したいと考える分野が決まったら、大学に届いている求人情報やハローワークの情報をチェックしましょう。ここできちんとチェックすべき項目を 解説していきます。

1. 企業・法人の方針
 実際に医療・福祉の分野では、大きな違いはないように思われがちですが、意外と企業・法人の方針で職場全体の考え方や職員のモチベーションなどが変わっ てきます。可能であれば、先輩方や教授陣などから情報収集をするとベター。

2.給与・休暇・手当 など
 給与等の条件はカナリ重要となるでしょう。はっきり言って、同世代の平均的な年収から比較すると平均以下のところが多いことは間違いあり ません。もちろん、夜勤や休日出勤などがあり手当と言う形で上乗せされることもありますが、時給換算すると厳しいところも多いでしょう。一概には言えませ んが、概ね予想される正規社員として採用された場合の初任給(年収ベースの税引き前)と年間休日は以下の通りです。

@高齢者分野の現場職員(介護職等)
 年収:230〜300万円 年間休日:96〜124日 
A高齢者分野の相談員
 年収:230〜280万円 年間休日:108〜124日
B障害分野の支援員または相談員
 年収:230〜300万円 年間休日:108〜124日
C児童養護施設
 年収:230〜300万円 年間休日108〜124日
D医療機関の相談員
 年収:250〜350万円 年間休日:108〜127日
E上級地方公務員や社会福祉協議会などの福祉職
 年収:280〜350万円 年間休日:120〜127日
F医療・福祉分野以外の一般民間企業
 年収:250〜500万円 年間休日:96〜130日以上
Gその他

 給与や年間休日はあくまで私が今まで求人誌やハローワークの情報、実際に勤務している人から聞いた情報を基に大まかに纏めたものなのでもしかすると大き な違いがあるかもしれませんが、そこはご了承ください。
 さて、年間休日は求人情報の部分を見ればすぐに分かることですが、給与に関してはあくまで年収ベースで考えて下さい。例えば次のような求人情報の場合、 条件としてはどれが有利でしょうか?

(1)A特別養護老人ホーム
基本給:150,000円 夜勤手当:5000円/回 賞与:4.0ヶ月/年
夜勤:5回/月 年間休日:108日
昇給:年1回3,000円(前年度実績) 労働時間:40時間/週
その他、住宅手当・扶養手当・通勤手当別途支給

(2)B特別養護老人ホーム
基本給:180,000円(夜勤手当含) 賞与:3.0ヶ月/年
夜勤:4回/月 年間休日100日 労働時間:40時間/週
昇給:年1回4,000円(法人平均)
その他、住宅手当・扶養手当・通勤手当別途支給

(3)C老人保健施設
基本給:145,000円 夜勤手当:4000円/回 賞与:5.0ヶ月/年(前年度実績)
夜勤4回/月 年間休日124日(前年度実績) 労働時間:35時間/週
昇給:年1回2,500円(前年度実績)

 この条件を見ると、(2)の条件が良さそうに見えますが…実際のところはどうなんでしょう?
(1)の場合
基本給:150,000円×12ヶ月=18,000,000円
夜勤手当:5,000円×5回×12ヶ月=300,000円
賞与:150,000円×4.0ヶ月=600,000円
トータル:2,700,000円(その他手当等除く)

(2)の場合
基本給:180,000円×12ヶ月=2,160,000円
夜勤手当:0円
賞与:(180,000円−5000円×4)×3.0ヶ月=480,000円(夜勤手当相当分を控除)
トータル:2,640,000円(その他手当等除く)

(3)の場合
基本給:145,000円×12ヶ月=1,740,000円
夜勤手当:4000円×4回×12ヶ月=192,000円
賞与:145,000円×5.0ヶ月=725,000円
トータル:2,657,000円(その他手当等除く)

 実際に金額的に見れば、(1)が最も多いわけですが、時給換算した際には(3)が一番高くなります。ただし、賞与や年間休日、昇給が前年度実績となって いるため、変動要素も含んでいるわけです。例えば、賞与が3.0ヶ月になった場合には、年収ベースで29万円のダウンとなるわけなので、注意が必要となり ます。また(2)の場合には、基本給に夜勤手当が含まれているため、賞与の額がイマイチ確定できません。基本的に賞与は基本給に乗じることが多いため、夜 勤手当を沢山出しているという理由で、賞与が今回の目安の金額よりも大幅に減額される可能性もあります。
 また、意外と軽視されがちなのが昇給額です。年間2,000円の昇給の場合、賞与を考慮しても年収ベースでわずか30,000円程度しか上がらないわけ です。10年経ってもわずか300,000円しか上昇が期待できません。その辺りの意識もしておいた方がよいでしょう。

 お金のことを考えて就職するわけではないでしょうが、仕事を選ぶというのは自分だけのことを考えていれば良いというわけではないと思います。10年後、 20年後のことを考えておかないと、就職してから転職を検討しなければいけない時期がくるかもしれません。しかし、民間企業から医療福祉の業界に飛び込む のとは訳が違い、医療福祉の業界から民間企業への転職は、容易ではありません。その部分を念頭に就職活動することをお勧めします。