CPUの消費電力−Part3−

2002年7月5日公開 2002年8月30日改訂

「CPUの消費電力」好評でした

 CPUの消費電力で消費電力のグラフを公開しましたが、みなさん結構参考になったのか、その後あちこちで言及やリンクされていたようです。
 期待にお答えして、最新版をお送りしたいと思います。最新版と言うことで、クロック600MHz以下のCPUは除外し、代わりにItaniumやPowerPC、AlphaといったCPUを取り上げてみました。できればSUNのUltraSPARCIIIや、HPのPA-RISCも載せたかったのですが、データシートが入手できなかったり、消費電力が記載されていなかったりで、残念ながら載せることができませんでした。(情報をお持ちの方は、ぜひ教えて下さい。)

 縦軸がデータシート記載のMaximam PowerもしくはThermal Design Power、横軸が実クロック周波数です。以前のグラフと、特に縦軸のスケールが違っていることに注意して下さい。(前回のグラフの縦軸上限は80W。)

インテルvsAMD、消費電力対決

 高クロック街道まっしぐらのPentium4ですが、消費電力の点ではプロセスが0.13μに移行したこともあって、2.5Gという高クロックでも消費電力は60W以下に抑えられています。

 対するAthronXPですが、0.13μ(Model8)プロセスになって消費電力は下がっているものの、高クロック品は0.18μのPrntium4並みです。1.8GHzのAthlonXPの製品名が2200+ということなので、2.2GHzのPentium4と比較してみると、AthlonXP-67.9W対Pentium4-55.1Wと、やはりAthlonの方が電力を消費することになります。この辺は高クロックに特化したアーキテクチャを持つPentium4の面目若如と言ったところです。

 インテルとAMDのクロック競争を消費電力という面から見ると、AthlonよりPenrium4の方に分がありそうです。

(追記 2002年8月30日)
 Northwoodコアになって消費電力が大きく下がったPentium4ですが、その後発表された高クロック品では、再び60Wを越えています。来年には3GHz超のPentium4が発売されるそうですが、消費電力はどのぐらいになるのでしょうか?

エントリーCPUの在り方

 CeleronもついにPentium4コアとなりました。消費電力は、プロセスが0.18μということもあり63.5Wもあります。P6コアの旧Celeronが高々34.8W(@1.4GHz)だったことを考えると、隔世の感があります。

 新Celeronは、性能や価格から見るとよいCPUだと思いますが、消費電力の面から見るとまったく評価できません。ハイエンドCPUの場合、性能を求めるため消費電力が増大するのはある程度仕方のない部分があります。しかし、あまり性能を求めていないエントリーCPUなのに電力は馬鹿食いする、というのは何か釈然としないものがあります。

 新Celeronは、これから一般向けのPCに多く採用されていくことになると思いますが、一般のユーザーがちょっとメールやインターネットするのに、こんなに電力が必要になるというのは、ちょっと問題だと思います。

 新Celeronと対照的なのが、VIAのC3プロセッサです。消費電力に関して言えば、現行デスクトップCPU中で最も低い消費電力9.6W(@933MHz)を誇ります。性能的には新Celeronの足元にも及びませんが、一般ユーザーがちょっと使う分には十分な性能を持っています。消費電力が少ないと言うことは、冷却系の負担が少なく静音化に有利なだけでなく、電源やマザーボードへの負担も軽くなり、総じて各パーツの寿命向上につながります。これらの特徴こそ、まさに一般向けPCに求められるものではないでしょうか。C3はもっと一般向けPCに採用されても良いと思います。

その他のCPU

 話に聞く割には、なかなか実際にお目にかかれない、インテルのItaniumプロセッサですが、その消費電力も実際にお目にかかれないものでした。データシートに記載されたその値はなんと116W!しかもクロックはわずか800MHzでの値です。クロックアップなど論外でしょう。

 電力食いで昔から有名なのは、旧DECのAlphaプロセッサです。1.3GHzのAlpha21264で80Wとなっています。クロックの割に多いように見えますが、Alpha21264の浮動小数点演算性能はIntel系とは比較にならないぐらい良いので、性能を考えると相応のものだと思います。

 ようやくギガプロセッサとなったPowerPC G4(MPC7455)ですが、グラフにしてみるとPentiumIII/旧Celeron相当の消費電力なのが分かります。とは言うものの、ライバルのIntel&AMDが軒並み電力馬鹿食いCPUに移行してしまったので、結果的にそれらに比べて電力消費は少ないと言うことになります。

(追記 2002年8月30日)
 Itanium2(1GHz)のデータも追加しました。130Wという驚異的な消費電力です。Itanium系列はサーバー向けらしいですが、高い熱密度や巨大な冷却システムが必須であることなど、はたして信頼性の求められるサーバーに向いているといえるのでしょうか。