PC−9801DA

2000年2月20日執筆

 出向先の大学の研究室で新しい98を導入することになり、当時の主力機種をということで購入したのがこのDAでした。

 長きにわたり98ノーマル機の主力をつとめたRA21。しかし1991年1月ついにモデルチェンジし、DAが発表になりました。久々の98主力機種の新作ということで期待されていたのですが、蓋をあけてみると80386(20MHz)−1.6MBとCPUもメモリーも据え置き。RA21にサウンド機能ついて、ソフトウェアDIPスイッチなどの小改造が行われ、多少安くなっただけの機種でしかありませんでした。当時、このスペックを見て非常にがっかりしたのを覚えています。

 これまで98の主力機種はVX21、RA2、RA21とモデルチェンジごとに明らかなスピード向上が計られ、「先進の9800シリーズ」というキャッチフレーズはあながち嘘でもなかったのですが、ここで足踏みを始めてしまいました。IBM/AT互換機と98シリーズとの差が目立ってきたのも、この頃からだったように思います。

 当時の事実上の主流であったMS−DOSの為のマシンとしては、特に不満のない性能ではありました。しかしすでにWindows3.0〜3.0Aといった、386のプロテクトモードを生かせるOSが登場しており、それらの存在を考えるとDAのスペックは最新機種として役不足だった感は否めないと思います。CyrixのCx486によるDAのパワーアップが異常に流行したのも、DAの性能に不満を持つユーザーが多かったことへの傍証です。思うにDAは最低でもクロック周波数25MHzにすべきだったのではないでしょうか。

 どうしてNECがDAの性能を抑えたのかについては、当時H98シリーズが次世代98として売り出し中で、これらの機種とかち合わないように、という思惑があったからだと言われています。当時のH98シリーズのエントリー機種はH98model60(386/25MHz)だったため、ノーマル98機種をそれ以上のスペックにできなかったのもうなずける話です。そのH98シリーズですが、エントリー機種のフロッピーモデルでも標準価格83万5千円と、個人にはとても手の出せない価格設定がなされており、個人ユーザーレベルでの購入は問題外でした。NECとしては、オフコンのリプレースやワークステーションとしての需要を見込んで価格設定したのでしょう。しかし、企業のパソコン導入に際して、個人的にパソコンを使いこなしているパワーユーザ達の意見が参考にされる場合が多く、彼らにそっぽを向かれたH98が主流になることはなかったのです。