PC−9821Xaのアップグレード
−Videoカード編−

2002年7月22日公開

PC−9821XaのVideoカード
 PC-9821XaのVideoは、1994年当時世界最速と謳われたMatrox MGA2です。Videoメモリーは標準で2MB。これだけだと1024x768ピクセルで8bitカラー(256色)しか表示できず、32bitカラーを表示するためには、別売りのビデオメモリーを2MB増設する必要があります。
 ビデオカードはPCIスロットに装着されていますが、後の9821シリーズのような「抜いちゃダメ」と書かれたPCIもどきのビデオカードではなく、ごく一般的なPCIビデオカードで、抜いても9821グラフィックスは利用可能です。
 これはつまり、Windows用のVideoアクセラレータのみをアップグレード可能なわけで、標準装備のVideoアクセラレータを外すことのできない、後の9821シリーズよりは、つぶしの利く設計だと思います。
 さらにこの標準装備のVideoカード。基板上のDIPスイッチに「VGA on/off」という項目があり、この設定を変えれば、DOS/V機用のビデオカードとしても使えそうです。

Videoカードアップグレードリスト
greenは動作した、 orangeは動作に問題のある、 redは動作しない パーツを示しています。
型番寸評
WGP-VG4DX
(MELCO)
S3のVIRGE DX搭載のPCIグラフィックカード。Videoメモリーは4MB。
GA-RUSH6/PCI
(I-O DATA)
3D部に3dfxのVoodoo Rush、2D部にAllianceのProMotion AT25を搭載したゲームユーザー向けグラフィックカードです。Videoメモリーは合計6MB。
3dfxのGlide APIが使えるのが最大の特徴ですが、それを使ったソフトのほとんどはDOS/V機対応のため、あまり意味がありませんでした。
GA-PII8/PCI
(I-O DATA)
3DLabのPermedia2搭載、OpenGL対応のグラフィックカードです。Videoメモリーは8MB。
GA-SV432/PCI
(I-O DATA)
S3のSavege4Pro+を搭載した、9821−DOS/V両用カードです。Videoメモリーは32MB/SD-RAM。RivaTNTやRage128と同じ世代のアクセラレータ。そんなチップを載せたカードが、8年も前の98で動作するとは驚きです。ビデオメモリーが8MBのGA-SV408/PCIという製品も、同じI-O DATAから出ています。
メルコからも同じようなカードが出ていましたが、こちらは9821専用です。
GA-SV2K/PCI
(I-O DATA)
「シングルパスQuad Textureエンジン」「S3TC (S3 Texture Compression)」「ハードウェアT&L機能」などの最新ハードウェアアクセラレーションに対応した、S3の新鋭ビデオチップ、Savege2000を搭載したビデオカードです。これもGA-SV432/PCIと同様、9821−DOS/V両用で、Videoメモリーは32MB/SD-RAMです。
 動作自体には問題ありませんでしたが、98内部でビデオ信号が干渉するせいか、高リフレッシュレート時に画像が細かく揺れて、一見してフォーカスの悪い画面となってしまいました。
 発熱量も非常に大きく、PCIスロット部分の空間が狭いXaではかなり熱がこもるため、使う環境によっては排熱ファンを付けた方がいいかも知れません。

ベンチマーク
 HDBENCH Ver.2.61による、各パーツの性能評価です。グラフは、オリジナル(Matrox MGA2)より何倍速いかを示してます。

 GA-SV432/PCIがコンスタントに良い結果を示すのに対して、最新チップのはずのGA-S2K32/PCIの数字はあまりふるわず、円とテキスト表示はオリジナルより悪いという結果になってしまいました。

 CPU性能が足を引っ張っているのではと考え、CPUをHD6-MD550P-MV4(K6-2+/540MHz)に交換して、改めて比較したのが右のグラフです。

 CPU性能の向上により、円描画以外のすべての項目で、GA-S2K32/PCIの方がGA-S432/PCIに優るようになりました。
 ただ、円描画だけは非常に悪く、相変わらずオリジナルより悪い数字です。詳細は不明ですが、Xaとの相性が良くないか、ドライバーのチューニングが悪いことが原因だと思われます。

 最後に3Dグラフィックス系のベンチマークということで、FinalReality、3DMark99、3DMark2000の3プログラムで、性能評価を行いました。DirectXのバージョンは7です。
 グラフはDELL Dimension J466c(Celeron466MHz/i810)を100%としたときの、相対性能です。

 GA-S2K32/PCIはまったく奮わず、GA-SV432/PCIの方が全て優っていました。せっかくのハードウェアT&L機能搭載のSavege2000ですが、これではがっかりです。
 いずれにしても3D性能はi810の半分ぐらいで、3Dゲームにはつらい数字です。メモリーやチップセットの古さによるバス帯域の狭さ・速度の遅さは、如何ともしがたいと言ったところでしょう。

 性能的には一長一短のGA-S2K32/PCIですが、画像の揺れといい、発熱の多さといい、あまりXaに向いていないようです。むしろGA-SV432/PCIの方が、Xaには使いやすいと思います。


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