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 埋め込み型照明器具の火災(断熱材による火災)
                               A1−29   08.08.17 

  1,断熱材
 
 ★ 断熱材
  建物の防音及び省エネルギー対策の一環として昭和48年以降、急速に普及してきたのが「断熱材」です。
  製品には、グラスウール・ロックウールなどの布団のようなシール状のものから、ウレタンフォームのような
  現場で発泡させて吹きつけるものまで、多種多用の製品がさまざまな建築物で使用されている。
  それぞれは、別のホームページでみてください。
  ★グラスウール
  グラスウールは、ガラス繊維を主体として上紙と下紙でサンドイッチされたシート状のもので、住宅の壁・天
  井に敷いて、防音と断熱に使用されています。昭和36年ぐらいから使用始めて、40年代では新築住宅の
 ほとんどに使用されるようになっきました。当初は、住宅が開放型から密閉型の住宅様式になるに伴い、結露
 などの冷暖房時の影響を低減させるものでしたが、次第に省エネ型の住宅仕様として必需品となりました。
 
 断熱材と火災
   昭和60年代頃から顕著となって来たのは、この「断熱材」が延焼拡大の媒介となっていることでした。
   出火した火炎が、断熱材の表面の包装材によって、瞬く間に住宅全体に「火炎を伝送させる」ことでした。
   このため、包装材の「難燃化」対策を関係メーカ等に依頼して、今日に至った経緯があります。
   しかし、今でも当時の製品により施工されていると、延焼拡大が早いです。
   特に、カラオケ施設に改造した建物、共同住宅や寮に改造した建物が、昭和40年〜50年頃に改造され
  ていると、主体構造が老朽化しており、その上、天井・壁に延焼拡大性の高い「断熱材」が使用されている
  ために、瞬く間に建物全体の火災に発展する傾向があります。
  それは、今でも、当時の「建物」が燃えた時に見られる顕著な現象です。
 
  
   2, 埋め込み型照明器具の火災 
 ★ 照明器具工業会に要望された内容。
  [電気工事工業組合 月刊「電気工事業」2008年8月号から] (抜粋)
 
  埋め込み型使用命器具の設置は、工業会のガイドライン等に基づき施工されているが、埋め込み型照明器具が断熱材
  に覆われていたため、周囲の温度上昇を招き出火に至った火災が、過去3年で6件発生しています。
  これらの火災の発生は、断熱施工されている場所では本来使用できない種類の埋め込み型照明器具を、断熱施工さ
  れている場所に設置したことに起因しています。
   このことから、再発防止を図ってください。                                       
 
    1,埋め込み型照明器具の種類に応じた設置の周知
     埋め込み型照明器具の種類を周知し、断熱施工されている場所において使用できる埋め
     込み型照明器具を設置するようにしてください。
   2,住宅において埋め込み型照明器具を設置する場合の遵守事項の周知
     「住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針」では
     断熱構造とする天井又は屋根に埋め込み型照明器具を取り付ける場合は、断熱材で覆うこ
     とができるものを使用する事とされていることから、本指針の遵守してください。

 出火年月 火災の概要   その他 
 2006年7月  防火造2/0 店舗、住宅2階の小屋裏
から出火し、断熱材等を焼損した。
原因はダウンライト。
ダウンライトに断熱材が覆われていた。 
 2006年8月   耐火造7/1 飲食店等が混在する複合
 用途ビルの3階天井裏から出火し、断
 熱材等を焼損した。
 同じ 
 2006年10月  準耐火造3/0 診療所、住宅の3階小屋
裏から出火し、小屋裏3uを焼損した。 
 同じ 
 2008年5月  防火造2/0 住宅1階の小屋裏から出
 火し、屋内電気配線等を焼損した。
 同じ 
 2008年5月  耐火造7/1 スタジオ、共同住宅の地下
 1階から出火し、屋内電気配線等を焼損
 した。
  同じ
 2008年6月  耐火造4/0 教会2階の天井裏から出火
 し、断熱材等を使用損した。
  同じ
   ★ 埋め込み型照明器具の火災
    埋め込み型照明器具が、どのようにして火災になるのか?
     実際の火災現場から見て見る。
 
   天井から出火した、建物火災の現場。
   廊下の天井にダウンライトが取り付けられ、
   この部分から出火して拡大している。
 天井裏に上がって、シート状の断熱材を取り除く
 ダウンライトそのものは、黒く焼損しているのみである。 
              
  天井の断熱材を取り除いて、ダウンライトの配線を追うと、器具の近くの配線が短絡(ショート)している。
 この部分で発火して、断熱材が着火物となって火災となった。
               
   
 ★ 埋め込み型照明器具の火災
  
上の火災事例は、断熱材が難燃化される前の製品だったものです。難燃化されていても電気配線類が焼損したり
   天井裏の塵埃等を経由して、天井材が着火物となる事もあります。
   また、この事例では、配線の短絡でしたが、器具本体内部が過熱されて器具内配線の短絡により出火するケース
   もあります。このように、埋め込み型照明器具は、断熱材との関係において、蓄熱「過熱される」ことが要因となって、
   直接的原因の「短絡」などを引き起こします。
   このため、各埋め込み型照明器具には、仕様書の中で、どのように断熱材を被せてよいかなどが記載されています
   ので、その指示内容に従った施工が求められます。  

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