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1, 音響用スピーカー | ||||||||||||
「スピーカーの火災」て何に? スピーカーが燃えた所で、人命に影響を及ぼすような話題を引き出すことはないが、「磁石と紙」からでき て音を出す製品が燃えることに興味が引き寄せられる。 話題となったのは、十年前の12月の歳末に開催された「ロックバンド」のファイナルコンサート会場で、劇 場正面に吊り下げられたスピーカーが燃え出したことである。ホールの定数5,012名に対して4,800人以上 の満席状態で、全員総立ちのエキサイト雰囲気の中で、最後のアンコール直前でスピーカーから「白煙」が 上がった。 “会場の熱気が乗り移った”とも思えるような火災であった。もっとも、原因は演奏者が定格をは るかに超える「音量」をアンプからスピーカーに送り込んだことにある。 なお、会場は、コンサート終了後、観客を出してから、自然鎮火したスピーカーを取り替えて、次のステージ を30分遅れで開催した。もちろん、次は大音量を少し手控えての演奏となった。 音楽系の人なら、誰しもがスピーカーにはこだわりを示す。ウーファー、スコーカ―、トゥイーターに どの製品を、どのメーカーから選ぶか、と。 とりわけ最近は、iPodの音質の良さからその周辺機器が広く販 売され、スピーカーの良し悪しに注意が向かれる時代だ。さらに、自分で真空管アンプを組み立てるような 人ならなおさらのことだ。 [参考図書] 角田郁雄等著「カラー版パソコンで楽しむ極上のオーディオサウンド」洋泉社 新書判\1,000- |
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コンサート会場で焼損したスピーカー
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スピーカーの構造と火災 スピーカーは、次のような構造となっている。 ボイスコイルに音楽の信号(電流)が、入力される磁力が発生し、その磁力と磁石によって、コイル部が上下動 し、それをコーンが受けて、音として再現します。ボイスコイルはダンパーと言うコイルにつながった支えの幕で、 コイルの入力部端子を引き出します。 容量を超えて、コイルが飛び出すため元に戻らくなって、固着するため運動エネルギーとして消費されないで、 コイルに熱エネルギーが発生して、コイルが過熱出火する。 また、音声信号のような不連続波形だとコイルが上限運動をしてエネルギーが消費されるが、直流電流では、 一方向にだけ動いて留まるため、固着した状態となったコイルに流れ続ける直流電流により、過熱出火する。 |
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2, 火災事例 | ||||||||||||
屋形船のカラオケ用スピーカーからの火災 カラオケ用スピーカーが燃えたもので、アンプの出力インピーダンスをチェックしたのち、アンプの左右 の出力信号をオシロスコープで確認した。その結果、図のとおり、左側スピーカーの出力が音声信号で なく、直流波形の41Vが不連続的に計測された。このため、スピーカーが過多の電流が流れて出火した ものであった。
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車両の後部トランク内に設置されたスピーカーからの火災 車を趣味とする人に、車両内に”良質の音響空間”を作りたいと思う人は多い。 事例は、後部トランクルーム内に取り付けたウーハースピーカー(150w2基)から出火した。後部トランクに設置さ れたスピーカーシステムの上に、ゴルフ道具等を置いたため、スピーカーの振動板を抑え込んでしまい、ボイス コイルが過負荷の状態となり過熱されて出火した。
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車両のダッシュボードのスピーカーからの火災 車両の室内の助手席側ダッシュボードに取り付けられているスピーカーから出火した火災。 車両は、走行中に左側ダッシュボードから煙が出てきた火災と気づいている。 前部ダッシュボードに取り付けられていたスピーカーは、車両の純正品でなく、後付けのスピーカ― システムで、直径10cmのコーンの中央にツィーターが着いているツーウェイタイプであった。 カーステレオの出力が30Wで、スピーカーが50Wで、また、ボイスコイル付近の異常もなく、出火し たのは、ツイーター用のコンデンサであると判明した。 原因はこのコンデンサが10年近く経って、 経年劣化で絶縁破壊を起こして、過熱出火してスピーカ―のコーン部焼損したものと判定した。
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