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ゴミ屋敷の火災
                               A8−46    10’12/11

 1, ゴミ屋敷(部屋)の火災
 
    ゴミ屋敷(部屋)の火災」と言うタイトルをつけたが、およそこのような対象の火災調査の分類はない。
      また、この意味のデータ項目そのものがないので、検索はできないし、実数も実態もつかみようがない。
  ここで、取り上げるのは単なる社会現象の一つだ。
  しかし、今、確実にこの「ゴミ屋敷(部屋)の火災」が増加傾向にある。
  私の個人的感覚では、5年ぐらい前からポツポツ表れ、今では、たぶん東京都内の火災の100件弱くあるのでは
  と思う。 平成21年(2009年)の東京の建物火災件数は3,154件で、うち延焼火災となったものが933件あった。
  その意味では、「建物の延焼火災の1割程度」が該当しているのでは、と思えるほどだ。ゴミ屋敷(部屋)の火災の
  場合は、「ぼや火災」ですむことはまれだから、延焼火災件数の中で捉えた(なお、大阪などの西日本の地域は
  “延焼火災”の意味が違うので、注意してください。)。
 
 この現象は、イロイロなところでも論述されてはいるが、ゴミを収集する人や乱雑の中でも平気な生活態度の人など、
 人格に根ざしたように言われるが、「ゴミ屋敷の火災」の時代的な発生経緯から見ると、エコ対策としての
 「
ペットポトル」の分別・ゴミ出し時期から、発生した現象のように思える。
 個人よりも家庭として起きていることから、火災となった家庭の供述を聴くと、「ゴミを分別する理解」と「ゴミ分別によ
 るゴミ出し」が、生活の中でうまくできない人が多いようだ。特に、新しく引っ越すと、引っ越し地域先ごと(同じ23区
 でも)にゴミ・ルールが相違するため、以前は、[細かく分別していたのが、2〜4つ程度の分別で良くなった]り、その
 逆であったり、する。 引っ越すと区・市役所で、必ず「ゴミ分別」のしおり・パンフレットを受け取り、これを熟読して、
 その指示通りしないと、地域の生活システムの中に入っていけない。この負担が、引っ越し時のゴタゴタで面倒にな
 ると、コンビニのビニール袋に入れられた[ペットポトルとポリ製トレーと紙屑]がゴミ袋となって、積み上げれてしまう。
 特に、面倒なのがペットポトルとビン・缶で、それにトレー皿が加わるジャンルのゴミが、コンビニの主力商品だ。
 つまり、普段、コンビニを良く利用する人ほど、この「ゴミ分別の難しい課題」に直面するため、その課題を乗り切れなく
 なるようだ。
その意味では、建物が新築建て売り住宅や高級分譲マンションの住宅でも「ゴミ屋敷の火災」は発生して
 いる。善良な感覚の「エコ対策に努めなければ」の思いが、生活の中の大量のペットポトルとビン・缶、トレー皿の現
 実の前に、悪戦苦闘して、敗戦若しくは戦闘放棄した結果が、ゴミ屋敷(部屋)を作っているようにも見える。
  ここで、どのようケースが「ゴミ屋敷の火災」となるかを上げると。
    @ 引っ越して、3〜5年目の家庭の住宅で発生するケース。
    A コンビニ中心の生活の独身者の住戸で発生するケース。
    B 買い物、贈答品、本などを分類して「整理できない」人の乱雑な人の住戸で発生するケース。
    B 数年前から、家人がゴミを収集してくる「ゴミ屋敷」として評判の建物から発生するケース。
    C 浮浪者の掘っ建て小屋で発生するケース。
 
 
 東京都内で、課題とされるのは、@とAのケースで、これが火災の増加傾向の主体となっている。B〜Cは、火災傾向
  とは特にリンクしていないように思える。

  火災の原因は、1)タバコ、 2)電気ストーブ、 3)テーブルタップ周辺の電気コード、 がほとんどである。
  
つまり、生活の中で、ゴミと共存すると、結果して「火災の原因」はこの3つ程度に収まってしまう。
  

  
   2 ゴミ屋敷の火災事例
 だいたい、ゴミは出入り口から膝程度のまで
 つみあがっている。
 ゴミの種類は、生ゴミではなく、コンビニ袋で
 その中にペットホトル、缶などが入れられている。
 現場の情況は、様々だが、火災は、建物全体から白煙が上がり、出火室を特定するこ
 とが困難なケースが多い。建物のいたるから「煙」がモウモウと立ち上がる。
 建物の内部進入が容易でなく、呼吸器を着けて、ゴミ袋をかき分けながら進入して、
 ホースを延長する。およそ、どこに「逃げ後れ者」がいるのか、部屋内に充満する煙と
 ゴミの海で検索・救助は刻々と進まない。まして、ゴミ袋は、2階から3階のペイントハ
 ウス部まで積み上げられいると、このゴミの海をさらに上階まで上がるのか、と絶望的
 な気分に陥る。ゴミ袋の海の戦い。
 そして、残火処理だ。およそ普通の火災の「残火処理」とはケタ違いに苦労する。
 夜の10時に出場した火災は、夜中の1時に鎮圧したが、残火処理の確認が終了して、
 鎮火報が出たのは4時になっていた。もう、朝だ。 タクタクの体、何とも変な臭い、火災
 防ぎょした充実感はまったくなく、
 「疲れた」との疲労感がはなはだしい火災。それが「ゴミ屋敷(部屋)の火災」だ。

                    
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