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延焼火災の事例研究 04[墨出し穴]
                              A9−42   10.02.06 

  1,延焼火災 04

 延焼火災で、耐火建物で、上階に延焼する事例としては、ベランダを経由する事例が
 ほとんどである。

 しかし、建築時の工事の不手際で、「上階に延焼」する事例として、今回の「墨出し穴」の事例がある。
 2010年1月29日の朝日新聞で、国交省の調査結果として、公共賃貸住宅の538棟で、「天井部分に

 開けた工事用の穴」が開いている建物があると公表したと、報道していた。
 これは、昨年6月8日、大阪府吹田市古江台の府営住宅火災の4階の住戸から出火し、火元の住戸で

 死者1名が出た火災で、上階に延焼した。 その上階へ延焼した原因として、建築時に使用されて、
 穴埋めされていなかった 天井に開けられた工事用の穴からの延焼によるものだった。

  工事現場では、「墨出し穴」と呼ばれているもので、耐火建物のフロアーの床のスラブにかどの四カ所
 ほどに直径15cm程度の穴を開けておき、 上階にむけてスラブを作る時に、建物全体の水平と垂直を

 計測するためのもので、床又は天井の内装をする時に必ず「塞ぐ」ことになっている。
 その「墨出し穴」の開いた不完全施工の公共賃貸住宅が538棟あったと言うものです。ホントなら

 当該対象建物に住んでいる居住者とその地域の消防本部に知らせるべきではないか、思う。 何せ、
 「火災」があれば、上階に延焼するのだから。そんなの建物は “耐火建物”とは呼べなくなる。

   2, 延焼火災事例 04⇒ 墨出し穴
  具体的な火災延焼事例を示します。
 
 
この火災は、平成2年八王子市内で発生した、耐火建物火災で、「墨出し穴」が施工当時に穴埋めされていなかった

 ために上階に延焼したものです。

 下階からの火災で、墨出し穴から
 延焼して、床下を焼損
 墨出し穴の拡大。床スラブに穴が
 開き、その部分の床根太が焼損
 穴の上が畳みだったので
 畳みが焼損している。

  この写真の用に、下階で火災があると、床スラブの墨出し穴を、延焼経路として、上階に延焼する。
  写真現場では、穴の位置が畳の中央部であったため、穴から床板を燃した火が、畳で抑えられて、大き

 く延焼しなかった。 しかし、畳みの縁などが穴の位置だと、延焼拡大が早く大きな火災となる。
 国土交通省の調査での新聞報道も、ではどうするか、があまり詳しく触れられていないが、「耐震偽装」

 と同様に「欠陥住宅」として対処するべきではと思う。

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