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住宅用火災警報器
                          D4−11      09.05/05−/06

 「住宅用火災警報器」は、消防法により“全国”の住宅、もちろん共同住宅(アパート、マンションなど)
 にも、すべての“住宅”に設置が義務づけられようとしている。
 しかし、意外と「誤解」されている。全国的に一般的であればあるほど、この「誤解」は思いもよらない
 風評となって、出回ってしまう。
 そして、その意味を曲解し、設置を頑なに拒む人も出てくる。
 その「誤解」が、風評として定着すると、その批判に「答える」消防職員も結構、苦労する、と言うより、
 意外と「答えられない」ことがでてしまう。
 なぜ、「答えられないのか?」。それは、住宅用火災警報器のそもそもの議論に根ざしている問題も
 ある。  さて、では、順に、考えて見る。

 2009'11/14 作成の「住宅用火災警報器の設置促進への道」を入れています。
  これは、住宅用火災警報器の設置による奏功例を引き合いに出して、「アパートの設置義務者は誰か?」
  の考え方を示したものです。

 2010' 03/09 住警器を取り巻く、まだある誤解から
    アパートの大家さんに設置義務があるのか

 2009'05/05 作成の全体構成
  1,新聞「火災警報器の落とし穴」の記事
  2,「住宅用火災警報器の落とし穴」を探る。
  3,法令の「寝室」だけの考え方
  4,NFPAの指摘
  5,住宅火災の発生は、どこで起こるのか?
  6,住宅火災に対する住宅用火災警報器の有効性
  7,住宅用火災警報器の作動(奏功)事例の集計結果
  8,ここまでの取りまとめ

 2010 03/09 住宅用火災警報器を取り巻く議論から 

  住宅用火災警報器の共同住宅への設置責任

  昨年、消防雑誌「近代消防」(2009’12)で、掲載された「住警器の共同住宅への設置責任は、居住者にある。・・・公営
 住宅等で施設管理者の都道府県・市区町村が取り付ける必要はない。」との考え方が、未だにある。
 先日も「月刊消防」(2010’03)「消防通信」(2010’02)などが取り上げていた。もっとも、「近代消防」の論文と「月刊消防」
 のソレは同じ消防本部のセクションの人なので同じ論法となっている。
 
 主な論点は、
 @設置の目的が、自分(家族)にふりかかる火災危険から命を守るものである。
 A設置の取付け・取外しが容易で、転居等の際、自分自身の責任で行えるものである。
 B設置が“寝室”となっており、寝室であることは居住者自らが決めるで、設置することの決定権をもっているものである。
  さらに、C住戸内にあることから、維持管理を建物所有者ができない。
 D設置されない時の消防法違反となるが“名宛人”が、所有者とすることに疑問がある。
 E設置されていない時に発生した火災の焼死者発生に対し、所有者がその刑事責任を問われることは不合理である。
 F共同住宅の自動火災報知設備を特例で設置免除した所に、また、所有者に設置義務をかけるのは、法的におかしい
  考え方である。
 などが提起されている。確かに、こんな簡単な器具一つで、「名宛人」や「刑事責任」まで持ち出されると、罰則もないもの
 だけに、「占有・管理している居住者、個人にその責任を負わせるものである。」と言えそうだ。こんな器具だけに、大家
 (所有者)か・入居者か、の二者択一を迫られると「入居者にある」と誰もが答えるものと思う。

 その意味では、@からEの考え方は正しい。しかし、そうだからと言って「所有者の責任を免れるものである。」との論理
 には至らない。
 例えば、
 @は、所有者も賃借人(入居者)の健康や安全に対する貸し手責任はある。
 A取付けの容易さは、逆に、所有者の設置の意向を受けて、入居者自身に取付けてもらえる利点となるだけのことである。
 B寝室であるかどうかも、Aと同じで、入居者の自由意志に任せて、取り付けてもらえば良いだけのことだ。そのことを
  もって、「所有者の設置責任が免除される。」ものではない。
 Cの「住警器の維持管理が所有者では、できないから」とあるが、これなどは、消防法令に定める自動火災報知設備
  (以下「自火報」)の感知器やアパートの住戸内の縄はしごなど避難器具類なども、所詮同じで、住戸への立ち入りを
  拒否されれば、必ずしも万全の維持管理に見合うものとはなっていない。
 
  逆に、法的点検で定める項目のない住警器は、維持管理といえども、居住者にお願いできる程度のものだ。
 さらにDの違反処理は、法令上から見て「想定していないもの」と言える。また、法令違反での名宛人は、その違反実態
 の内容に応じて確定されるもので、一律に占有者か、管理者か、所有者か、定められるものとはならない。屋内消火栓
 や誘導灯などの未設置案件では、それぞれの実態を精査して違反処理に望んでおり、現在のように建物の証券化など
 が進み所有・使用・管理形態が輻輳し、複雑化している中では、その個々の事案ごとに「名宛人」のとらえ方は異なる。
 
  Eも「火災と火災による焼死者の発生との因果関係を踏まえて」刑事責任を問うものであり、ハード 面・ソフト面の
 両面で検討されるのが、今までの裁判判例である。共同住宅の火災で、所有者の設置責任があるとしても、住警器
 未設置をもって、捜査機関が一律に所有者の管理責任を問うと、考えるのは、どうかと思う。現行でも、消火器未設置
 アパートの火災で、刑事責任が問われた事例はない。

  Fの自火報の設置特例建物は、法令的な面から見て、住警器の設置義務は、所有者にはなく「入居者」となる。所有
 者は、建物構造を確保して、延焼危険を排除し、安全性を担保したことから「設置義務は免除されている」と言える。
 
  このように「所有者に設置義務はない。」の論点については、見方を変えれば、その本部の地域性に立脚した対応
 で良い、のではと思える。 「所有者に設置義務はない。」として、その指導を行わないとしても、それでも十分な設置
 促進が条例の目的に応じてなされる
と考えるなら、条例施行日・内容が、それぞれ異なるだけに市町村消防行政
 の建前から見てもそれだけのことである。 住警器の設置が、良好な地域的環境から「入居者の自発的な対応ですむ」
 のであれば、それが一番良いことになる。
 つまり、地域性を踏まえない条例解釈の議論は、議論であって、普遍的な行政活動の態度とはならない。
 火災の消火活動でも、地域によっては「指揮隊」など必要としない所もあり、深層高層化に対処した指揮活動を論じて
 も、それはその地域的な課題でしかないのと同じである。




  次に、住警器の設置の議論から見ると、このホームページで触れているように、「住警器と自動火災報知設備との
 混同」と「すべての部屋に設置する東京バージョンと全国バージョンの思い違い」が根底にある。
 
 住警器は、簡易な器具である。自火報との混同では、住警器が設置されないからと言って、自火報未設置の法令違
 反と同じように、行政上扱われるものではないはずなのに、如何にも違反処理しなければならないように考えてしま
 うこと、 自火報の法定上の維持管理項目のようなものがあるわけでもないのに、大仰に維持管理の課題を取り上
 げていること、などがある。 住警器は、自火報とまったく異なる簡単な器具だからこそ、その利点を捉えて、入居者
 に依頼等して、設置や点検などをしてもらうことが可能な器具でもある。
 
  そして、全国バージョンとの相違点としては、全国バージョンが「寝室だけ」となっていることを縦に「プライバシーの
 個人的問題」としていることだ。しかし、政令都市なども「寝室と台所」の設置条例も多くあり、実質、アパートなどの
 住戸では、ほとんどの部屋が設置該当となってしまう。「寝室」と言う言葉尻だけを捉えて矮小な論理展開は、全国
 的な課題の解決を遠ざけるものでしかないと思う。

  まして、雑誌掲載の論文等の中には、公営住宅の当局が、進んで住警器を設置している事務を、如何にも「余計
 なこと」と断定する考え方に、消防職員として違和感を持つぐらいだ。
  また、民間の賃貸借契約において「・・住警器を(賃貸借時の)特約条項として盛り込む・・消防側が指導・・」との
 意見もあるが、現実的に、そのような指導を当該論者がしてもいないのに論述する意味が分からない。行政機関
 たる消防が、賃貸借契約の内容を「指導する」こと自体が、あり得ないことではないだろうか。もし、そのようなこと
 があると、ある特定の地域の不動産取引にだけ、火災予防条例上の義務を別途に課せられることを、消防の行政
 指導として実施している、ことになる。  これは、法律論以前の問題のように思える。


 先日あった共同住宅火災だ。
 1階の右側の住戸から出火した。そして、2階の2住戸も焼損した。
 2階の左側の住戸には、若い夫婦と子供の3人が住んでいたが、
 この火災でけがはなかったが、焼け出された。

 東京と言わず、全国でこの種の木造、防火造のアパートの火災が
 多い。しかも、その多くが延焼火災なって、人的・物的な甚大な被
 害を出している。
 
 このアパートに、住警器があれば、もっと早い発見、通報につながって、被害が少なくてすんだかもしれない。
 [あったから]と言って、必ずそのようになる、とは言えないから、単なる予測でしかない。 しかし、このような
 アパートで、「居住者だけに設置責任を押しつける」ことを消防の論理的正当性として振り回すのでなく、所有
 者の大家が、設置の努力をすれば、安価で容易な器具だけに、大きな負担もなく、出来ることではないか、
 貸し手責任の一端として考えるのが、条例解釈の本旨であると思う。
  このような火災の悲惨な現実から離れて、「名宛人」などの議論のための議論では、大きな落とし穴にはまっ
 て身動きできなくなってしまうのではないだろうか。 現実に、このようなアパート火災が後を断たない地域や
  多くのり災者をだしている所では、より現実的な解決に向けて、関係者の努力をお願いすることが必要な
 ことだと言える

 結論として、
 所有者が、住警器を部屋数分購入して、入居者に設置依頼すれば足りる程度のことである。別に、刑事的責任云々として
 ではなく、入居者の生命や財産の安全と自己所有物件の財産保全にも役立ちうるものである。 昔なら、そのような器具
 がなく、自火報のような高価な設備しかなかったから、しかたないとしても、時代が変わり、安価で容易に取り付けられ、
 効果が期待できる器具の取付けを躊躇するものではないと思える。
 
  共同住宅の所有者が、住警器の設置を担ってもらうことが、罰則のない条例として意味のある解釈である。「住警器が、
 住居に取り付けられている器具」との認識が、徐々に広がれば、必然的にその維持管理(実は簡単なことだが)なども
 入居者に共通の認識になるものである。

 「消防通信」の社説で述べられているように、住警器の設置や維持に関しては、広く国民全体の中で醸成されて、広がっ
 ていくべき「末永いもの」である。多くの関係する人達の理解のもとに一つでも設置され「火災発生危険・人命危険・
 延焼危険
」のいずれかでも減少していくものであれば、それを進めるべき立場が消防の姿勢である。
  
  なお、立入検査として、施行期限以降に、未設置のアパートの所有者として、設置する意向が示されていないので
 あれば「条例違反として、所有者に立入検査結果通知書をもって、指導をすべきもの」であるが、それが具体的に
 どの住戸に取り付けられていないかは、聞き取りの範囲内であり、違反による罰則がないことからも指導的側面に
 おいて、妥当な範囲となる。 罰則のないことは、国民のコンセンサスの中で「育っていく」との考え方ではないだろ
 うか。 建物火災での被害を軽減させる目的を多くの国民に共有してもらうべく努めたいものだ



 
   住宅用火災警報器の今後の課題

  消防雑誌に掲載されているような「共同住宅の所有者の設置責任を議論する」ことは、安価で簡易な取付けにより、
 大きな負担もなく設置できる利便性の高い器具である住警器の特質からみても、すでに、所有者により設置促進が
 図られていることからもあまり意味のある議論とは思えない。

  そのことより、すでに約6割の設置率の中では、「今後の課題」が検討されていくものと思う。その一つが、USAの
 論文などでも散見されることでもあるが、住警器が設置されていて、「火災の死者が発生した」ことの検証ではない
 だろうか。

 現在の住警器の役割が、「火災時にその異常を知らせる」ことになっているが、現に、住警器が設置されている火災
 現場で「火災による死者」の発生もある。火災調査を進めてもすでに当事者が死んでいる以上、「鳴動音に気づいた
 かどうか」「気づいてなお避難できなかったのか」それとも、「鳴動しなかったのか」など、火災時の死に至る要因を
 解明することは、常に「解明不能」のことが多い。現に、住警器設置の火災現場で「焼死者」が発生している場合は、
 さまざまな角度から調査の俎上に載せているが、今後は、さらに組織的に検証されなければならないと言える。

  その中で、
 @自火報と異なり、住警器の構造上「自己保持回路」がないため、火災現場の開口部条件などで煙・熱の流動に
  より、途中で「警報音が鳴らなくなる。」
 A使用期間と警報音の連続鳴動時間の関係。例えば、「5年」と記載されている物が、4年目に火災信号で警報音を
  発した時、何分までは、鳴り続けるのか。すぐに、鳴り止んで「気づかない」ことが起こりうるのか。自火報は、30分
  の蓄電池により最低でもその時間の鳴動がほぼ確保されている。しかし、住警器には「連続鳴動時間」の最低保証
  はない。
 B設置方法に「壁面取付け」も可能だが、想定しているその時の部屋の大きさはどの程度なのか。どこまでが、住警
  器の守備範囲として検討されているのか。

 このような疑問が、火災調査の中で出てきている。
 今後、さらに、量が膨大で、住警器が身近な器具となり、反面、その時のリスクが甚大なだけに、発生頻度の極めて
 低い「火災時」に備えている器具のあるべき姿の検証が必要とされる。
 これは、設置による奏功事例の良い面ばかりでなく、「不作動」などの事例の分析と改善方策も必要となってきている
 ことだ。もっとも、そのことは本来、消防用設備全般に言えることでもある。
  消防用設備の費用対効果は、何度も議論されているが、「安全を考えて」と言う言葉で消え去ってしまう。
 スプリンクラーのように実際の火災時の効果が100%に近いものから、緩降機のような避難器具は火災時の利用が
 ほぼ0%に近いもの、もある。スプリンクラーは、天蓋火災時と天井のない場合の収熱板方式で、作動しないことが
 あるが、ほぼ100%だ。 しかし、これが屋内消火栓だと、共同住宅でほぼ0%、学校・工場など組織が単一の所
 で90%、事務所ビルで30%と推定される。
  このように、現行の消防用設備も“難しい”側面がある。また、グループホームの自火報設置は、建物の規模や
 利用形態からみても住宅に近く、自火報でなく無線連携式住警器でも良い、とも思える。

  言えることは、「住警器の設置」が、市民感覚の中で育ち、消防用設備器具の考え方が、大きく変わって来つつある
 ことだ。 つまり、時代の変化が、消防の世界でも否応なく直視しなければならない「変化となりつつある」と言える。
 その時代の大きな変化が、行政の今までの経験則的な既得の枠づけや論理を変えつつあり、ITを含めた電子化や
 世界的潮流の取り込みの中で、考え方を再構築していく時代ではないかと思える。

 


                                                      2009’11/14

    住宅用火災警報器の設置促進への道
 
 先日、アパートの住戸で、「火災発生の119番通報」があった。

 出場して見ると、布団の一部を焼損しただけの「ぼや火災」で

 終わった。早い通報が、この寒風の強い日の火災発生をぼや

 で終わらせてくれた。

 原因は、写真のように、居住者が寒いのでハロゲン電気ストーブ

 点けたまま寝てしまい。寝返りをうった時に掛け布団がストーブに

 接触して、化繊の布団に着火し、火災となった。

ハロゲン電気ストーブに接触していた焼損した布団

 しかし、「焦げて」立ち上がった煙を、室内に設置されていた

 住宅用火災警報器が反応して、ベルが鳴動したため、居住者が

 気づいて初期消火し、消防署に通報したものだった。

 写真は、天井に着けられていた「煙式住宅用火災警報器」。

 住宅用火災警報器の「奏功事例」が非常に多くなってきた。

 都内では取り付けられている建物が多くなったと実感する。
            威力発揮の住警器
    アパートの住戸に「住宅用火災警報器を設置すべき」人は誰れ?

 先日、ある消防月刊雑誌に「住宅用火災警報器の設置及び維持義務者は誰か」と言う論文が掲載されていた。

 要約すると「・・・既存の共同住宅の場合を考えてみると「自分の身は自分で守る」といった上述の住宅用火災

 警報器の趣旨に鑑み、原則的には入居者自身が当該警報器の設置及び維持義務を負うことになり・・・・」と

 あり、「・・共同住宅に住宅用火災警報器を設置しなければならない(所有者の)民事上の義務を生じることは

 ない。さらに、住宅用火災警報器は、ねじによる取付け、取外しが簡単で、建物に附合せず、共同住宅の付帯

 設備でもないことから、賃貸人の使用・収益をさせる義務に付随して(所有者が)当該警報器の設置及び維持義

 務というものも発生しない。」 「・・住宅用火災警報器の設置および義務は、むしろ、入居者自身に負わせる

 とが適当だといえる。」 「・・警報器は、寝室に設置することが義務づけられているが、・・・寝室はプライバシー

 の保護にとって・・・大家(所有者)または不動産事業者が立入る・・(維持管理はできない。)」とあった。
 
   本当に、アパートの大家(所有者)は、設置義務を免れるのだろうか?
 
 上の論文を少し大雑把に要約すると。住宅用火災警報器の設置は、

 @ 火災による死者の逓減策として、自分(家族)に降りかかる火災危険を防ぐために自らが設置するもの。

 A 容易に取付け取外しでき、また、個人の寝室につけることとなっていることから、自分でつけるもの。

 となり、アパートの住戸を占有・管理している入居者が、設置義務を負う、こととなる。

 なるほど、諸般の実情と、大家と入居者の関係から見れば、住宅用火災警報器は現に住んでいる入居者

 自身に設置の義務がある、とみるのが順当な解釈となり、「入居者で設置してください。」と言えそうだ。

 では、ここで、仮にこの法文解釈に従って、設置猶予期限を過ぎても、大家(所有者)が「入居者が設置

 する義務となっている」として、住宅用火災警報器の設置をしなかった。 


 その後、当該建物の1階の住戸から出火しあわせて2階の3住戸も焼損する火災が発生した場合。

 
類焼した2階の入居者が、大家を相手に「損害賠償請求」の訴訟を起こすとしたらどうだろすか。
 
 @ 設置期限が過ぎていながら、条文には「所有者(大家)の設置義務」が述べられていることから、それを怠り、
 
  住宅用火災警報器が設置されていれば、早い発見と通報がなされて、自分たちの住む2階まで延焼することは

 なかったのではないか。
 
 A 設置義務が入居者に負わされている、としても、新築建物では所有者が設置しているところ、既存であること

 から設置しなかったことは、同じ条件下で入居する者として、火災類焼の不利益を負うのは、不当ではないか。
 
 B 仮に、損害請求の相手が1階の火元者であったとしても、家賃収入を得ている大家が、アパートの構造上

 火災危険に対する安全対策の一端の義務を負うのは当然であって、住宅用火災警報器の多数の奏功例から

 見ても 「設置をしなかった」大家に損害請求をすることが可能ではないか。

 さて、このように
平穏に生活を営んでいた2階入居者が、「住宅用火災警報器の未設置」により発見と

 通報が遅れ、1階からの類焼による損害を大家(所有者)に請求する、ことは不可能だろうか?
 
 
来年4月以降、東京都内は「設置義務」が生じる。そのときからこの種、民事裁判が「答え」を出してくれるもの

 と思う。

 私も、大家と入居者の一対一の関係なら、「入居者に一義的に設置義務がある」と答える。しかし、だからと言って

 「大家(所有者)の設置義務を除いているとは言えない条文である以上、火災発生時に類焼した同アパートのり災

 者(入居者)からの損害賠償を負うことになる。」と答える。少なくとも、住宅用火災警報器は数多くの奏功事例があ

 り、その中では、住宅用火災警報器の鳴動を認識したのは、当該住戸ばかりでなく約4割が近隣者などであり、設

 置されていれば、火災の拡大を防止できた、とする論証は容易である。また、東京では、「寝室はプライバシー」など

 と言った、言い訳がましい設置基準とはなっていないし、「設置の取付け方法の容易さ」が義務を免れる要件になり

 得るとは思えない。

 消防用器具としての「住宅用火災警報器」は、消火器の設置義務と同様に、火災発生時には、所有者(大家)と

 利害関係にある善意の第三者(入居者)の「未設置による損害賠償請求」を排除できるものではない。つまり、

 純然たる意味で「共同住宅の住宅用火災警報器の設置義務は、所有者(大家)にある。」と考える。このことで

 言えば、事の発端としての「火災による死者の逓減策として、(USAと同様に)自主努力の中で、自らの安全の

 ために住宅用火災警報器を設置する。」と言った制度の趣旨とは別に、現に、「発生している火災の拡大抑止力

 としての効果が期待でき、それが社会一般の認識となりつつある。」以上は、日本の社会では法的に条文化され

 た「火災拡大抑制上の消防用器具」としての位置づけが出来上がっている、と言える。

 今や、「火災調査書類」の民事・刑事裁判で請求される件数の多さから言っても、「火災による損害」は裁判で

 請求して補償される事件となっている。「火災」は、関係者間の利害の輻輳する事件であり、制度の趣旨や実情

 などと言った言い逃れができる時代ではない。

 [注]1) (消防月刊雑誌)は、 「近代消防」09.12月号、
    2) (・・約4割が近隣者・・)は、東京消防庁「消防技術安全所報」46号、18年からか20年の住警器の奏功
       事例248件の分析結果からの実証データ。
 
 新宿・明星56ビル火災の判決は、その災害の大きさから言えば納得できるとは言え、「所有者の責任」を

 大きく認めた。時代は変わりつつある。昔のように火災が多くあり「失火責任法」をもってして、免責された時代

 ではない。戸建て住宅の火災ですら、隣棟の類焼の損害を請求される時代である。まして、条文上、所有者

 の義務が明文化されている中で、設置目的の趣旨とやらを応用して“設置義務を免責”されると思えない。

 「アパートの大家(所有者)に住宅用火災警報器の設置義務がなく、入居者に義務づけられている。」と解釈され

 ている消防関係者は、たぶん、アパートの火災にあまり遭遇することなく、その悲惨な実態を目にする機会が

 少なく、条文のみから現実の社会の動きが見えずらい、おおらかな環境に住んでいる人の解釈のような気がする。

 同じ消防人生なら、おおらかな環境の中で仕事したいものだと思うが、東京では、きっちり「所有者の責任」を求めて

 「なんの懸念」もなく、設置促進を進めるのが筋道だと言える。

 そして、実態として、「火災発生や火災による死者の顕著な逓減」よりも、「延焼拡大に寄与する効果が高い傾向」を

 住戸設置の住宅用火災警報器が示していることが、この機器のとらえ方を煩雑にしている。 消防関係者間の解釈

 上の認識のズレは、このH.Pの「住宅用火災警報器の落とし穴」でも別件で取り上げているように、消防用器具で

 ありながら、東京など一部の都市で普及啓発している期待される効用と、国ベースで設置して「寝室のみ、火災に

 よる死者の逓減である」と思い込んでいる関係者の「ズレの大きさ」が大きすぎることにある。いずれの日か、この

 違いが、消防制度全体に影響するものにならなければ良い、がと思ってしまう。
 

ここからの段組は、下のような「全体構成」となっています。
  1,新聞「火災警報器の落とし穴」の記事
  2,「住宅用火災警報器の落とし穴」を探る。
  3,法令の「寝室」だけの考え方
  4,NFPAの指摘
  5,住宅火災の発生は、どこで起こるのか?
  6,住宅火災に対する住宅用火災警報器の有効性
  7,住宅用火災警報器の作動(奏功)事例の集計結果
  8,ここまでの取りまとめ

 1, 2009'02/02夕刊 朝日新聞「火災警報器に落とし穴」の記事
  下図が、新聞記事で、この記事の“影響”は大きかった。
   この記事は、表題に「火災警報器に落とし穴」と題し、02/02の夕刊に報じられた。
  
 内容は、2009’01/01に富山県南砺市で発生した住宅火災で、1階台所と居室の
 2ケ所に火災警報器が設置されていた。
  火元が1階居室付近と見られるが、住んでいた女性は1階で、帰省していた息子の
 家族らが2階で寝ていたが、火災に気づくのが遅れ、6人の死者が発生した。警報音
 は同じ部屋なら気づくが、離れていると気づきにくいという。
 また、2009’01/06に千葉県松戸市の団地火災で、和室2室と台所に警報器が
 設置されていたが、子供の背が届かないため、警報器が鳴らずに、3人が亡くなった。
 そして、2009’01/07の東京都世田谷区の住宅火災では、火災警報器が設置さ
 れておらず4名が亡くなった。
  その末尾に、火災警報器によっては、連動して鳴るタイプも販売されていると、そして、
 外部に音を鳴らして知らせる装置も販売されていると出ている。
  
 全体の文脈としては、「住宅用火災警報器」を設置していても、その部屋だけ
 で鳴って、「聞こえない」ことがあり、火災による死者が発生する
、と言っている
 ように受け取れる。
 そのことが住宅用火災警報器の「落とし穴」だ、と受け取られる内容。
  そして、図解では、「住宅用火災警報器」は、一つが鳴っても、他の機器は感知しない
 限り「鳴らない」が、「自動火災報知設備」は、一つが感知すると「全館で感知器が鳴る」
 とある。
 
   初めの南砺市の火災は木造住宅で、延べ400uもあり、住宅は
  合掌造りに近い大きな建物で全焼している。
  (⇒http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/209276/slideshow/141706
 

 この大きさの住宅で、1階で2個の火災警報器の設置である。
 そして、国の基準に従って、1階の「寝室」に設置し、
 付加的に1階「台所」に設置していた。

  国の基準では、2階に「寝室」があれば、「階段」に設置するようになっている。
  この南砺市の火災事例の住宅だと、普段は2階が寝室と使われないため、「階段」には設置されていなかったようだ。
     

  まず、国の基準から考えると、
 この火災の発生した住宅では、「寝室」が2階にあれば「階段」に取り付けて、下階の「火災」を早期に感知する事となる。
  つまり、もともと、帰省のために「寝室」が2階となったもので、設置基準を想定していない「条件」での就寝形態であった。
  ⇒のに、「火災警報器の落とし穴」となっている。

 次に、図解の「自動火災報知設備」と「住宅用火災警報器」の比較図だが。
     左図の自動火災報知設備の「感知器が鳴る」ことは、
  あり得ないことだ。しかし、図では、ことさら、このことを強調するかのように、
  「全館で感知器が鳴る」として、そのもっもらしいまででている。
 
 自動火災報知設備は、「感知器」と連動した受信機からの信号により、その階などに取り付け
 られた「発信機」が鳴る。のであって、感知器は、感知の機能しか有していない。
 また、自動火災報知設備は、建物によっては、初期は火災階と直上階しか、「鳴らない」ように
 なっている建物もあり、「全部の階で鳴る」こと、でもない。
 消防車がたくさん自分の建物の下に集まってきて、「はじめて、自分のビルから火災が発生し
 ている。」ことに気づく例もある。
 そんなこと、記者の「新聞社屋の施設担当者」に聞いてみればわかるはず、だが。

 [コメント]
 たぶん、自動火災報知設備関係の機構に関することが、ネットで検索できなかったので、憶測
 で記事にしたものだろう?
 
 次に、千葉と東京の死者の出た住宅火災については、そのどこが「火災警報器の落とし穴」なのか記事の意図が
  わからないので、コメントはしません。 

 [結論]
 新聞記事は、意外と多くの人に先入観を与え、誤解を招くことがある。
 今回、この記事は、「住宅用火災警報器」の問題点(つまり、感知した感知器だけが鳴るだけであって、建物内に居る人全員に
 早期に火災発生を知らせてくれるものではない。)を指摘しているようにも見えるが、比較した「自動火災報知設備」の機構の知識
 もあやふやだし、現に、火災となった住宅の設置条件が適切であったか、も本来、調べるべきではなかったかと思う。
 そして、丁寧にも「ワイヤレス式住宅用火災警報器」についてコメントされているが、これはP社ぐらいしか販売していない物で、
 結構、値段の高い物だ。
 しかも、たとえワイヤレスでも、1階の2箇所にだけ設置している条件では、はたして、その効果はどの程度か定かでない、はず。
 

  2, 「住宅用火災警報器の落とし穴」を探る。
  「住宅用火災警報器」その設置基準は、消防法による。
 【 第9条の2
    住宅の用途に供される防火対象物(以下「住宅」という。)の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器の設置及び維持に
    関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。
  2 住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準その他住宅における火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基
    準に従い市町村条例で定める。 】

  となつており、
 【 (住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の基準)
  第5条の7 
    1.住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、次に掲げる住宅の部分に設置すること。 】
   とあり、「寝室」と、2階以上に寝室がある時は「階段」にも取り付けるとなっている。

  「寝室にだけ、取り付ける。」が、基本となっている
  東京都内のように「全室(居室・寝室・台所・階段・廊下など)」を設置の対象としているものではない。
  京都市などは「寝室+階段」と「台所」としている。
  つまり、市町村によって、少しづつ、義務設置の年月日の期限も異なるし、設置箇所の対象も異なる。
 
   
 義務化の開始日は
 図の赤が平成20年。青が21年。緑が22年、黄色が23年と
 なつている。法の定めでは、リミットが23年6月1日だ。
 東京は平成22年(2010年)4月1日となる。


 設置の箇所
 原則・政令で定める「寝室」のみ  
 全居室は、東京の23区と多摩地区。
 「台所」を入れているのが。
           北海道では札幌市とその周辺市町村のみ。
           大阪府は「大阪市」と一部。京都府はほぼ全部。
           千葉県は「千葉市・市川市・船橋市」。
            大阪市・名古屋市・神戸市などに限られる。
 広島県全域・埼玉県全域などは、原則「寝室」のみで、他もほとんど。
 リンク先 http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei_gaiyou/gaiyou_index.html
   

   東京近県の[設置条件]を拾ってみると、下表のようになる。
    たとえば、東京都下と埼玉県下では、隣接しているが、まったく条件が異なる。
  全居室・階段・廊下等  台所にも設置   寝室(階段)のみ
東京都   23区と都下、八丈町  大島、神津  三宅など5つの島 
 千葉県   な し   千葉、市川、船橋、松戸、浦安、長生郡広域、山武郡広域、夷隅郡広域  習志野市、柏市など23地区
 埼玉    な し      な   し   さいたま市など35地域のすべて
 神奈川県    な し 横浜、川崎、横須賀、鎌倉、相模原、三浦、秦野、逗子、葉山町     平塚、小田原など18地区 


  国の政令基準
 
 寝室が2階にあるときは
 2階寝室と階段に設置。
 1階にしか寝室がない時
 は、1階寝室だけに設置
 する。
 
  左図のような、国の設置基準では、2階の「寝室」と「階段」にだけ、ある場合に、
  どれだけ、法令の記載している
「・・火災の予防のために・・」効果があるのか?
   
 
ボタンの掛け違い 
 「住宅用火災警報器」は「火災による死者」を低減させることを主たる「目的」として、設置されている。
 しかし、現実には、
 「火災を予防する」つまり、「火災の発生を知らせる。」ことに受け取られている。
 「火災による死者」とならないように「早く感知して・・・・逃げれば良い」のであって、
 火災に早く気づいて、火災拡大を防止する目的ではないはず。
 なのに、この「考え方」のスタンスが、ごちゃごちゃになってしまっている。
 
 その主な要因は、
 東京では、すべての部屋に取り付ける、意味において「早く感知」し「早く消すことも」可能なのだ。
 その意味では、住宅用火災警報器を設置していると「初期消火」につながる。
        

      ⇒東京都下の設置基準へリンク
 
 この[全国バージョン]と[東京消防バージョン]の違いが、理解されていないと、消防職員で
 あっても、うまく説明できないことになる。

 


  3, 法令の「寝室」だけの考え方
  消防法の改正は、平成16年6月に衆参両院で全会一致で可決・成立し、平成18年から施行された。
  その経緯は、平成15年に「地域の安全・安心に関する懇話会」の「住宅防火に関する専門部会」での検討内容から、「住宅防火」
 を法令に取り込んで、住宅からの「火災による死者」を低減させる内容であった。
 
 
     「火災の死者」の増加傾向

1991年(平成3年)から2007年(平成19年)の全国統計
 このグラフからも、少しつづ「住宅火災の死者」が増加し
 ていることがわかるし、その増加傾向が「高齢者(65才)
 の死者」の増加となって現れている。

 つまり、「火災による死者」の低減策が求められている。
 

 「米国での住宅用火災警報器の設置率と死者の低減傾向」
 
 消防庁H.Pにあるように、アメリカ(USA)では、1977年から
 住宅用火災警報器の設置が進むにつれて、住宅火災による
 死者が顕著な低減を示している。右図:青線・設置率、赤・死者数

 USAでは、住宅用煙警報器(HSA)と呼ばれる物で、1977年から
 住宅において、設置が進んでいる。
 2004年(平成16年)の電話調査では96%の設置率が回答されている。
 
     
 
  火災による死者の発生要因
 
右図は、「火災による死者」の発生要因として、調査したデータで
 2006年と2007年(平成19年)の消防白書からの2,905件のデータ
 で、「逃げ後れ」は1,700件だった。
 「逃げ後れ」が58%、約6割となる。
 
 その「逃げ後れ」の細分類で最も多いのが「発見が遅れ、気づいた
 時は火煙が回り、既に逃げ道がなかったと思われる。
」に分類
 されている(37%)。


 
       
  発火源と着火物の関係
  右図は、発火源と着火物の関係である。
  1983年〜1987年(昭和62年)までの5年間の「住宅火災による死者」
 の火災3,629件の「発火源」と「着火物」を相関にして件数でグラフ化
 したもので、このグラフを検討対象とした、とある。
 つまり、着火物「ふとん類」と発火源「たばこ、マッチ、ライター」である。
 着火物は「ふとん類」が最も多く843件あり全体の1/4を占める。
 発火源では「たばこ・ライター」が949件と、やはり全体の1/4を占める。

      
  「就寝」中に亡くなっている
 2003年〜2007年(平成19年)までの過去5年間の住宅火災での
 「火災による死者」は、東京消防庁管内では474人だった。
 その死者の「亡くなった」時の現状から、亡くなった時の「状況」を
 推定して、区分したのが右図だ。
 「不明」が188人で、どうしても「火災調査」で亡くなった時は推定の
 範囲として「わからい。」ことが最も多い。次いで、「就寝中」の169人
 で全体の4割であった。
 「避難中」に亡くなった人などもその前には「就寝していた」ことも考
 えられ、火災時に「就寝していた」が、最も「火災による死因」に
 大きな要因
となっている。
 そして、そのことは「発見の遅れ」や「逃げられなかった」ことに結び
 つく。
  
  
 [ 結 論 ]
 これらの結果(データ類)から見ると、「住宅用火災警報器」を、「寝室」に、設置することになったことがわかる。
 火災想定として、「たばこの火や古いストーブなどの見のまわりの火が布団や衣類等に着火し、避難行動も
 取れずに死亡する」というもの
、としている(小林恭一氏「住宅防火対策が「今」になるまで」フェスク2009'02から、)

 
 ★このようなストリー展開からすれば、
  「寝室に火災警報器を設置することによって、早く気づいてもらい、
早く避難して
   “火災よる死者とならない” ようにすることが、住宅火災からの死者の低減に結びつく」となる。


   ★ しかし、実際のところは、この検討がなされている時に、すでに。
  東京の火災予防条例として、(住宅用火災警報器の設置等)条例案ができており、平成16年3月に施行された。
  その条文では、義務ではなく、推奨事項としてではあったが、火災警報器を「居室・台所・廊下等」全室設置となっ
  ていた。
  この国と東京のズレが、ありながら、現実には、統計的な分析や研究はあまりなされては、いないようだ。
  消防研究センターの論文に、この「火災警報器」の設置箇所に関する研究は見当たらない。
  もつとも、「火災による死者」を含めて、火災調査データには、「寝室」という空間のとらえ方がない
  のが、決定的に 問題を煩雑にしている。

 
 ★アメリカでの内容
 アメリカ(USA)での住宅用煙警報器の設置は、1971年当時に連邦議会が「火災による損害を低減させる」ために
 米国消防委員会を設置し、火災問題を調査研究した。2年後の1973年に大統領に報告された。

 その報告書が「アメリカは燃えている」と言うショッキングなタイトルの内容の濃い報告書であった。
  その当時に見積もられた推定火災損害額114億ドルと言われている。
 
 報告書は、主に、消防制度教育・訓練、そして研究開発などであるが、
 第16章「家庭の防火」
として、“住宅火災の早期発見”が提言され、
 その中で「・・家庭に、承認済みの火災感知器や警報装置を設置すべきこと、保険業界が保険契約者に
 感知器の住宅内に設置させる動機を与えることを・・勧告する。」
とある。
                    (⇒ 全文の翻訳は、1985年(昭和60年)に東京消防・企画課 岡崎氏が出されている。)
 このことが、以後の「住宅用火災警報器の設置」に向けた大きな運動となった。
 その成果。
   
 アメリカのNFPAの資料では、
 左図のように、30年の間に、住宅火災は約半分に低減し
 あわせて、「火災による死者」も半減している。


 [コメント]
 ここで、注意してもらいたいのは、上の消防庁の資料で示す「火災感知
 器の設置率と火災による死者の低減率」の明確な相関ではなく、「住宅火
 災そのものが減少した」ことである。
 このことは、「火災感知器」の設置条件を「火災による死者」の低減だけを
 目的にした、「寝室だけ」に設置することが、「住宅火災の減少」⇒「火災に
 よる死者」の減少に結びつけたUSAの歴史的教訓に“学ぶ”ことなのか?

  
 
  4, NFPAの指摘
 ★現在の報告では「住宅用煙警報器及び他の火災感知・警報器(白書)」が
    2006年4月NFPAのMarty Ahrensが報告している。
  この中で、指摘されていることが。「落とし穴」となつていることである。(M署ましも氏の翻訳から抜粋)。 

 
 ★ 火災警報器設置住宅での、火災による死者の発生。
  1999年から2001年までの3年間の全米の住宅火災で、火災警報器が鳴動した場合にも係わらず30%の死者が発生した、と推定する。
  1.2世帯住宅では24%、アパートでは56%を占める。
 
 ★被害者は警報音を聞いたか?
   火災警報器1個では全体に聞こえない。ある階で警報が鳴動しても、他の階又は他の階でもドアが閉まっていれば別の部屋は聞こえ
  ない。だから、多くの住宅は規定のとおり1つ以上の火災警報器を設置すべきである。
   火災警報器が鳴動した場合の死者の39%は、死亡時に出火区域に居なかった。

  就寝していると鳴動に気づきにくい、鳴動した火災での死者の38%は就寝中であった。アルコールなどの就寝では、鳴動への対応能力を
 低める。幼児では75dBaでは起きない。60歳を超える人は55dBAでも25%は気づかないし、70歳を超えると75dBAでも10%は気づか
 ない。睡眠薬の服用者は75dBAの警報でも気づかない。

 ★ 「米国における煙警報その他の火災感知設備」が
    2007年4月NFPAのMarty Ahrensが報告している。(M署ましも氏の翻訳から抜粋)。
  


 ★ 2004年の電話聞き取り調査では、25件中24件は「住宅用火災警報器を住宅に設置している」と回答している。つまり設置率は96%
 となる。しかし、2000年〜2004年の過去5年間で、米国消防庁に報告された「住宅火災」のうち半分しか、住宅用火災警報器が作動しな
 かった。
 その原因は、通常は、「電池なし・外れ、電池切れ」であり、「電池なし・外れ」は、誤報のために「電池を外した」まま放置しているためである。
 このことから、“配線方式の”感知器の設置が望まれる。
 それは、
単一受信方式の住宅用火災警報器では、他の階、他の部屋では聞こえないかもしれない。(から。)

 「住宅火災の死者」の65%は、正常な住宅用火災警報器のなかった住宅で発生している。
 そのうち、「住警器があったが作動せず」が22%、「住警器がなかった」が43%であった。また、アパート火災では15%が設置していない。
 
  [コメント]
  このNFPAのレポートの指摘事項が、「1,落とし穴」の新聞記事とよく似ている。
  しかし、アメリカのそれは、煙警報器(HSA)と呼ばれるもので、「設置条件」も日本の法令条件とはかなり異なる。
     

  5, 住宅火災の発生は、どこで起こるのか?
  住宅火災は、次の図のように、居室と台所に大別される。
       ★ 住宅からの火災として、東京の2004年から2007年(平成19年)の3年間の住宅と共同
 住宅の居住部分に限って、「出火箇所の部屋別」を出火件数を集計した。
 全部で5,329件のうち、居室で50%、台所で42%であった。
 
 ★ もっとも、日本の住宅の多くが2DK、3DKからすると、「居室」と「台所」しか、ないのが実情だ。
 日本の住宅は、例えば「子供部屋」と言っても、寝るときは「寝室」に、勉強する時は「勉強部屋」に
 そして、子供が居る時は「子供部屋」と呼称される、つまり、純然たる「部屋」名が確定するのは
 「風呂場」程度で、台所も「ダイニング」であったり「リビング」であったり、洗面所も「脱衣所」で
 あったり「洗濯場」であったりする。

 結局のところ、火災統計上での分類的な「寝室」は存在しない。
 その意味では「寝室に取り付ける感知器の有効性」を検証するのは、「夜、寝ている時」に限られる
 ことになってしまう?
 ⇒ : 日本の「火災調査データ」には、出火箇所の部屋の特定としての「寝室」はなく、すべて
      「居室」として扱われて、統計計上される。 
 
   
 ★ 「火災による死者」の発生する「火災」だけを抽出する場合
 と「住宅火災」全体から見る場合では、その火災原因は異なる。
 この図は、2005年〜2007年(平成19年)の過去3年間の東京消
 防庁の「火災による死者」の火災原因と、「住宅(住宅・共同住宅の
 居住部分)火災」の火災原因を件数でグラフ化して、比較させた。
 
 3年間で、「火災による死者」310人の中で火災原因が「たばこ」であった
 ものが103件、33%を占める。
 「住宅火災」は、5,337件あり、「たばこ」は988件19%、厨房器具が
 1,781件33%であった。

 
 つまり、「火災の死者」だけをターゲットとして「火災予防対策」は
 本来の2割程度しかなく、しかも、そのことで、「火災安全」と呼ぶに
 は、あまりにも、「住宅火災全体」の姿からは的外れとなる。
 「台所」の火災を「警戒しない」ことは、住宅火災の最も大きい出火箇
 所を「見過ごす」ことになる。
 果たして、これで本当に「住宅用火災警報器を設置して、安全だった。」
 と言えるのかな?
東京方式の設置
  
  ★ この上図が、東京23区と都下市町村の設置条件だ。 
  この場合は、「住宅火災」全体を、火災警報器の設置場所とし、火災危険の対象としている。
   住宅用火災警報器の1つが、感知・鳴動し、他の部屋に居て、聞こえない場合でも、少なくも、火災室の隣などの部屋の住宅
  用火災警報器が順に、鳴動して
いくので、「熟睡」していて、火災室から離れた部屋であっても、「火災による死者」に至るまでには、
  ならない。
  日本の家屋は、台所以外の部屋から出火でも、火炎が立ち上がる、天井裏に広がり、上階の押し入れへと延焼して「拡大」することが
  多い。この場合でも、「煙」は、天井裏から各部屋へと広がるので、他の部屋も天井付近に「煙」が漂い、「煙感知器」の作動が期待で
  きる。   
 「住宅火災による死者」の統計としては、このH.Pの「火災損害調査」の「焼死者の統計」に掲載しています。
  この「焼死者の統計」のH.Pの統計数字が、主として1992年(平成4年)の「火災による死因の生理学的検討結果報告」(東京消防庁)
  と、2007年(平成19年)の「火災による死者の実態」(東京消防庁)からのデータです。
  そこで、今回は、「火災の実態」の2005年〜2007年を参考資料としました。
 
 6, 住宅火災に対する住宅用火災警報器の有効性
 
★ 住宅火災における「住宅用火災警報器の有効性」が取り扱われている。
  この数字は、何んなのか?   
 [国・消防庁のH.Pから]    
 ★ この住警器設置効果の比較図は、国・消防庁と東京消防で使用している。
  国・消防庁     6.1 対 1.8      (平成14年データ)
  東京消防(等)   6.3 対 2.4      (平成20年データ)
  東京消防(単)   5.5 対 3.1      (平成20年データ)
 
 解説では、「住宅火災100件あたりの死者の数」を指標として、
 「住警器設置の有り」「無し」では、その数値がどの程度異なるか、と言う比較だ。
 
 単純には、住宅火災100件が発生した時に「住警器が設置されていれば、いな
 いときより、1/3程度の死者発生ですむ。」と言うものだ。

 

  
@この時の「住警器等」の「等」の言葉が曲者で、「自動火災報知設備」の設置対象物を入れている。
   その数値では、東京消防では、住警器のみ117件に対して、自火報設置対象数が560件だ。
   つまり「等」の文字を使うとすれば、「自火報等」と言うべきもので、特に、平成14年の国の統計数値はほんどが「自火報」だ。
  自火報と「住警器」では、その性質が異なる。
  全国的には、住警器は「寝室しか」設置しないもので、それと「自火報設置」共同住宅と一緒に扱うのは、どう考えても、数字のごまかし。
  東京でも、住宅での自火報設置は、特例の効かない高層マンションに限られるので、「住環境」に違いがありすぎる。

  
A そして、「住警器単独」で見ると「住警器なし 5.5」対 「住警器あり 3.1」。 
   つまり43%の低減率が、今のところ、もっともらしい数値のようだ。
  
  参考までに平成20年の統計から、住宅火災1件あたりの焼損床面積の比較では、
  「住警器なし 12.5」に対して「住警器あり 10.8」で、14%の低減率となっている。
 その程度が、現在の時点での「効能」ではないかと思える。 USAの報告ではないが、すべて完璧に設置されているとは限らない中で
 その「効能」を比較するのは、危険すぎないかと思える。

  7,住宅用火災警報器の作動(奏功)事例からの集計結果 
  東京消防の消防技術安全所(旧「消防科学研究所」)が、「住宅用火災警報器が作動した」として報告された事例の集計結果。
   2005年から2008年(平成20年)までの3年間で、248件あったとして、公表している資料を股引きします。
     (⇒ 元本は、「東京消防」平成21年3月号“奏功事例から見た住宅用火災警報器の効果」から)

  
  奏功には「火災」となったものと「非火災」となったものがあります。
  248件中、ぼやなど火災となった事例」が130件、火災と至らずに「非火災となかった事例」が117件、その他1件です。

     ★ やはり、「台所」が多い。
  左図の1は、原因別に見た場合です。
 「ガスこんろ」に関連する火災が、73%を占めています。
 
 出火箇所別では。
 左図の2に示されるように「台所」が78%を占めている。
 約8割だ。寝室は7%、その他の居室が13%であった。 
  
 ★ 警報音を聞いた人は、別室、次いで隣棟などだった
。  
 警報音の鳴動を聞いた人は、別室が一番多い、43%。
 次いで、「隣棟、隣戸等」が30%、さらに「屋外」の人が10%となっ
 ている。
 

 ★ 「火災」に対処すると言う意味では、住宅用火災警報器は
 「隣室」に居たり、外に居る人などが「注意」してくれて、大きな
 「火災」になることを防いでいる姿が見えてくる。
     
       
 ★ 奏功例
  左写真1は、出火箇所の部屋。
   写真2は、感知した階段の住宅用火災警報器。
  1階のタンスの上の置かれた仏壇の灯明(ロウソク)が
  倒れ、仏壇に着火した燃え上がった。
  階段の住宅用火災警報器が感知し、鳴動して、
  「火災」の発生に気づいている。
   8, ここまでの取りまとめ                       2009'05/05
  東京消防で、「住宅用火災警報器の設置」のきっかけは
  2000年(平成12年)3月に、大田区の田園調布消防署管内で、21時40分119番通報された住宅火災があった。
   耐火造4/0、1階事務所、2階以上住居の1世帯5名の住宅の2階から出火し、2階、3階の60uを焼損。この火災で、子供を
   含む5名が火災により亡くなった。2階から出火し、階段を経由して、3階へ延焼した。何とも痛ましい現場だった。
  
   この「火災」を教訓として、住宅であっても警報器を設置すべきだ。 本来、「法律で規制すべき対象としてとらえるべきでは
  ない一般住宅」に対しても、その家族の安全を守るべき手だてとして、USAで既に一般している「火災警報器」を日本にも定着させる
  べきだとの考えで進められた。初めは、条例により新築の住宅だけを対象に「義務づけ」られ、既存建物は自主であったが
  消防法により、期限を設けて「既存住宅にも義務設置」となった。
  しかし、今まで「法体系」とは異なることから、必要最低限を対象として「寝室のみ」とされたようだ。
  全国、ほとんどの市町村は「寝室のみ」を条例化して、住宅用火災警報器の設置を進めている。

 ★ その際、既に東京は自主として「各居室・台所・廊下・階段」などすべての部屋を対象としていたため、その形態をそのまま、
  取り込んで、既存住宅のすべての部屋に住宅用火災警報器わ取り付けることになった。

 ★ 「寝室だけ」では、その効果は「火災による死者の発生」の低減に限定されることから、「住宅火災」を考慮して「寝室」+「台所」も
  設置として取り込んだのが、大阪、京都など一部の消防本部である。
 
  「住宅用火災警報器の落とし穴」は、地区ごとによる設置条件の違い、による解釈。
  
  「住宅用火災警報器」を寝室のみに付けている場合は、「その部屋からの出火」と「隣室等から煙が流入しやすい建物構造」により
  早期に感知できる、ことである。
  「早い、煙の感知」ができれば、今までと異なり、早く気づいて「避難など逃げることができる。」はずであり、その効果は期待できる
  ものと思う。「火災による死者」の発生を低減させることが、将来的には期待できる。
   
  しかし、この場合には「住宅火災」そのものとは、関連性が薄い。
  前「7,住警器奏功事例」に見られるように、実際には「台所」の火災に「威力」を発揮している。
 当署管内でも、今年に入って数件の都営住宅での住警器奏功事例があるが、すべて「台所」であった。
 このように、「住警器」を設置すると「火災予防につながる。」 と、思い込む人が居れば、その意味では、各居室・台所のすべてに
 設置することである。

 この中で、東京消防では、「住宅火災の予防」を住警器の設置促進の中で、展開している。しかし、一歩隣りの「埼玉県」では全市町村が
 「寝室のみ」で設置させている。この違い、「全国バージョン」の意味することと「東京バージョン」のそれの違いを、良く理解してもらうことを
 勘違いされると、この違いが「落とし穴」となるものと思う。

 
統計はできる限り正確に使用すべきでは!
  
 この「住宅用火災警報器の設置」あるいは、「効果」などが、消防庁・消防研究センターでの検証・研究対象とはなっていない。
   もともと、この法令制定時に「有益な資料を提供があった。」とは思えないので、その延長線上として、今だに、何もないのかな?
   そして、厳密な取り扱いをされていない「火災データ」が、正確性よりも、見栄えのよさで、資料とされているように思える。
   そのことが、多くの一般の人の「誤解」を生む結果を引き起こすのでは、思う。
   無理を承知の数字あわせの「効果」は、数年して、違った時に大きな「負の遺産」を引き込むことにならなければと思う。

 追記
  「住宅用火災警報器は、火災室しか聞こえないことがある。」と言うことの意味。
  アメリカのNFPAの報告にも、1室又はその程度しか、設置されていな住宅火災で、「聞こえなかった」との報告を出している。
   しかし、アメリカのブロック積み隔壁住宅の構造と、日本の木造建物では、「煙」の拡散流動がまったく異なる。
   新規の2×4システム住宅などやマンションなどを除く“既存の住宅”では、「寝室」にあれば、火災室が異なっていても
   煙が流れ込んで、「逃げる・・」に間に合う程度に「警報」が鳴動すると考える。
   この課題は、どの程度の住宅をサンプルとするかに、よるが、かなり広い住宅(新聞記者が住んで居られるような?)でない
   限りは、十分の効果が期待できるものであり、住宅用火災警報器の「落とし穴」と表現すべき理由はないはずだ。

 
「7、住宅用火災警報器の作動事例から」言える、警報音の意味
   「7,住宅用火災警報器の作動事例」を見ると、「隣棟・隣戸」と「屋外」が合計40%もある。
    実際の事例では、自分の家に居る時の火災もあるが、外出など居ない時に発生した場合にも、戸外の近隣者が、その警報音から
    119番通報していることになる。
    この意味は大きい。
    自分の自宅内で起きた異変を、それが実際に「火災」であれ、「火災でなく」ても、近隣者が注意して、連絡してくれるほどに、
    住宅用火災警報器の「警報」が、認知されていることを表している。
    先般、都営住宅で、換気扇から「煙」が出て、警報器が「鳴っている」のを聞いた、同じアパートの人が「火事だ」と思って
    ご主人に知らせ、119番通報した。ご主人が消火器を持って、その住戸に行って消し止めた。天ぷら油に火が着いて、
    燃え上がりかけた時だった。
    設置された「住宅用火災警報器」は、「外に」対しても、家庭内の危険情報を発信している、ことを、知ってもらいたいと思う。

  住宅用火災警報器設置による統計のあり方。「火災」と「非火災」のあいだ。
   「抑止火災(仮称)」、それとも「防止火災」かな!
   
「火災統計」は、確実にすべての火災1件1件をとらえる。
     しかし、「非火災」は、統計と言う意味ではまつたく、対象さされない。
    これでは、「設置義務化」になって、その効果をどのような評価するのか?がまったく、でてこない。
    もっとも、「設置したけど、その設置状況を確認してくれない。」と言う人もおられるぐらいに、関心は高いだけに、なおさらだ。
    また、消防が行政として、「設置義務」を強いておきながら、その意義を「統計」として把握できないのは、おかしなことだ、と思う。

    ただ、「非火災」は通報されない限り、わからないので、「正確性」に欠けるかもしれないが、それは「火災」とて同じだ。
    そこで、「住宅用火災警報器が作動した」ことによって「火災」とならなかった場合には「抑止火災」と定義して、「統計」の俎上に
    乗せる必要を思う。
    住宅用火災警報器が作動して「火災」となった場合は、通常の「火災統計」で検索できる。が、「非火災」はできないので
    ぜひ「抑止火災(仮名)」として、「統計」を作ることだ。

 
 火災保険料率の課題!
    
住宅用火災警報器の発端は、アメリカで、その浸透には火災保険が関わっている。
    今後、東京方式の各部屋に「住宅用火災警報器の設置」が進めば、「住宅火災の低減」は明らかだ。
    反面、東京以外では「寝室だけ」なので、「火災による死者」の低減効果は期待できる。
    いずれにしろ、「住宅火災」に果たす役割は大きいのに、「料率」の改定に関わる話は聞こえてこない
   
    このままだと「東京方式」での住宅火災の低減を、地方のそうでない「地域での住宅火災」の火災損害額にかぶせる
    ことになり、明らかに、火災料率不均等による「東京都民の地域的損害」を負うはめになる。
    昔と異なり、「料率算定会」の基準適用がなくなったとは言え、未だに、その根拠の乏しくなった、東京都内での
    「地域格差料率」を一律に損害保険会社は踏襲していること、と合わせて、
    さらに、住宅用火災警報器設置義務化による「他人の褌で・・・・・」てこと、になるのかな?
   確かに、1世帯あたりの「住宅火災保険金」はたいした額ではないが、やはり、より正確に「住警器設置後のリスク計算」を
   出して、保険徴収すべきでしょう。 ⇒ でないと、極端には消費者金融会社の「過払い返還」ではないですが、それこそ
   将来に大きなリスクを損害保険会社自体が背負いこむことになりそうだ、と思う!

  
住宅用火災警報器の設置率?
   
設置を促進している、ことから言えば、「どの程度、設置されているか?」を把握することは、当然ではあるが、現実は
    難しい。10万人あたり100人の消防職員、つまり約5万世帯に100人だ。一人500件の住宅を訪問すれば、把握で
    きる、はずだが、現実には、訪問しての聞き取りでは「不在」や「訪問販売員と間違われて、応答されない。」など、容易
    に進まない。
     2009年4月18日朝日新聞の報道では「火災警報器の設置 住宅は45%どまり」と出ている。
     東京都は69.7%とある。次いで、宮城県の68.5%だ。そうだ。いずれも、国・消防庁の試算による。
     この集計は、東京消防では、世論調査による「聞き取り」数字をもとにしている。だから、「全室設置」なのか「1こ設置」
    なのかは、わからない。と言っても、埼玉県下では「寝室だけ」なので、設置条件が違うと、「設置されている。」ことの
    意味が異なるように思える。

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