「朝霧の巫女」舞台探訪

〜伊勢・熊野巡礼編〜



 紀伊の亡霊を追って −和歌山県東牟婁郡那智勝浦町 熊野那智大社 −
7月17日(日)
○7:30 新宮市発
 泊まっていた新宮駅前のビジネスホテルを出発。

○8:30 那智勝浦町着 −熊野三山 熊野那智大社−
 R42を少し南下して、那智勝浦町へ。那智駅前を右に曲がって、那智山を上る。
 山腹の有料駐車場に車を止めて、300mほど歩いて、着きました。
 日本三大瀑布の一つ、那智の滝。

那智の滝

 熊野那智大社の別宮の飛瀧神社のご神体(祭神は大己貴命(おおなむじのみこと=大国主命))でもあるが、もともとは古代の熊野の民によって那智の滝が自然崇拝の対象として祭られていたのが起源らしい。そして後の大和朝廷の覇権により高天原神話に組み入れられ、さらにその後の神仏習合によって現在の熊野信仰の形となったという。
 そんな由緒は知らずとも、日本人なら思わず身を正してしまう清廉で霊的な雰囲気が漂っている。

「落差は133mもあるんだよ、凄いね!」

 …まぁ、そんな場所でも観鈴ちんが出るのは、このサイトのデフォと(笑)

 ここから熊野那智大社は約1kmほど。駐車場のお金をケチって、飛瀧神社から最短ルートで熊野那智大社へ行くため、裏参道の石段を登ることにする。
 これが、この日は暑かったために、苦行の道のりとなったのだった。

 ………ゼイゼイ。

 ………………日頃の運動不足が…。

 ………………………キ、キツイ…。

 そして、ついにたどり着きました!

「ここが熊野那智大社だよっ!」

 熊野那智大社
 熊野三山の一つ。主祭神は、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)であり、一般的には伊弉冉尊(いざなみのみこと)とされる。また、熊野牟須美大神(くまのむすびのおおかみ)とも呼ばれる。また、神仏習合的解釈によると千手観音の化身とされる。
 伊弉冉尊は、「朝霧の巫女」中では“主上”の母にあたる。
 社殿には、主祭神を含めて十二柱の神々が祭られている。

 最初に間違って同じ敷地にある青岸渡寺の方に行ってしまって、境内の裏の方から回ったのは内緒だ(笑)
 そして、これが本日のお目当ての一つ、

熊野那智大社 烏牛王

 熊野牛王符
 俗に「オカラスさん」ともよばれ、烏文字で書かれた熊野独特の御神符。熊野那智大社の牛王符は特に烏牛王と呼ばれる。\500。
 魔除けの護符であるが、誓約を行う際の誓紙として用いられることもあった。牛王符を用いて誓約を行うということは神に誓うことであり、この誓いを破ると神罰が降るとされた。

 ('05.10.23 追記)
 後日知ったのだが、「アワーズ 2004/11月号」掲載の「朝霧の巫女」第五十二回P353に、この烏牛王が登場している。
 作中で、「イヨ 日本一ッ」のかけ声の背景としてこの護符が使われているのは、符の中央に「日本第一」の文字が記されている事によるものと思われるが、これは熊野三山が奈良時代に孝謙天皇より「日本第一霊験所根本熊野三所権現」の称を奉られた事に由来する。
 (情報をいただいた速玉梛さん、「アワーズ」を持って来てくれたSUGIさん、ありがとうございましたm(__)m)

 今度は表参道を使って下山。

二の鳥居

 黒あめの「那智黒」や那智黒石の置物などの土産物屋が並ぶ表参道の石段を降りて行く。
 八咫烏関係のグッズもあってちょっと欲しかったのだけど、後に回るところで買えると思ってスルーしたら、他では売ってなくて後悔するハメに。熊野三山の中ではこの那智熊野大社の表参道が土産物屋としては充実していて、熊野三山でお土産を探すならここがオススメ。

表参道入り口


表参道入り口前から見る那智の滝

 後から思えば、この熊野那智大社がこの日のうちで一番の難関だったのだけど、さすがに名勝だけのことはあって、苦労以上に感動が大きかった探訪だった。

 紀伊の亡霊を追って −和歌山県新宮市 熊野速玉大社 −
○9:15 那智勝浦町発
 那智山を下山。新宮市を目指してR42を戻る。

○10:00 新宮市着 −熊野三山 熊野速玉大社−
 第二の目的地、熊野速玉大社に到着!

「ここが熊野速玉大社だねっ」

 熊野速玉大社
 熊野三山の一つ。主祭神は、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と熊野夫須美大神の二柱。熊野速玉大神は、一般的に伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と解釈される。神仏習合的解釈によれば、薬師如来の化身とされる。
 社殿には、主祭神を含めて十二柱が祭られている。
 (以上、熊野速玉大社のサイト,他を参照しているが、熊野本宮大社のサイトには下記の記述がある。
『第二殿 速玉之男神 本地佛 薬師如来
 伊邪那岐大神様が黄泉国に伊邪那美大神様に逢いに来られ、互いにあるお約束事をされた時に、唾を吐き合う儀式の中から生まれた神様。
 熊野三山 速玉大社の主祭神。』)

 首座にあたる熊野本宮大社、景勝地である那智の滝を持つ熊野那智大社と比べてしまうと一見見劣りする感があるけれども、ガイドによれば神宝館は「南紀州の正倉院」と言われるほど多数の神宝類が展示されていて見どころとのこと。
 …が、残念ながら時間が無いので立ち寄らずにスルーする。

熊野速玉大社 熊野牛王符

 ここでも牛王符をゲット。
 あと残るのは、本命、熊野本宮大社の牛王符のみである。

○10:15 新宮市発 −中辺路 熊野川−
 あわただしく熊野速玉大社を出発。
 熊野川に沿って熊野本宮大社を目指す。

「熊野川だよ。すごくきれいだねっ!」

 途中、道の駅「熊野川」で取ったのが上の写真。
 古来、ここは熊野速玉大社と熊野本宮大社の間の水上の巡礼路だそうで、世界遺産の一部として登録されている。川が世界遺産として登録されているのは唯一のことらしい。
 水は青く澄んでいて、周りの渓谷の風景と相まって、神秘的なほど美しく輝いていた。
 川面を吹く風にもう少し涼んでいたかったけど、時間に追われているのでそこそこで切り上げて、また行軍再開。

 紀伊の亡霊を追って −和歌山県田辺市本宮町 熊野本宮大社 −
○11:15 田辺市本宮町着
 長い旅の末に、ようやくたどり着きました。
 「朝霧の巫女」熊野巡礼の最終目的地、熊野本宮大社。

一の鳥居

参道

神門

 熊野本宮大社
 熊野三山の一つで、三山の首座。主祭神は、家都美御子大神(けつみみこのおおかみ)であり、別名を熊野坐大神(くまぬにますおおかみ)、熊野加武呂乃命(くまぬかむろのみこと)ともいい、一般的には素盞鳴尊(すさのおのみこと)と解釈される。神仏習合的解釈によると、阿弥陀如来の化身とされる。
 「朝霧の巫女」中では、素盞鳴尊は乱裁の“主上”として登場する。
 この神社の由来として、崇神天皇六十五年に家都美御子大神が熊野夫須美大神、速玉之男大神を伴って大きな櫟(いちい)の木に三体の月となって降臨したことを起源とする降臨神話がある。
 旧社は1889年(明治22)の洪水で流されるまで、熊野川の中洲にあった。旧社地の中州は「大斎原」(おおゆのはら)と呼ばれている。
 主祭神を含めて十二柱が祭られており、うち八柱は現在も大斎原に祭られている。

八咫烏が描かれたのぼり

 八咫烏
 家都美御子大神の神使とされ、「朝霧の巫女」中では乱裁道宗が化身した姿として登場する。
 「古事記」や「日本書紀」に神武天皇が東征の途上、天から遣わされた八咫烏の道案内で熊野・吉野の山中を行軍したという記述があるが、八咫烏はそれ以前からの熊野土着の信仰だという。

 神門の中は撮影禁止なので、境内の写真はこれだけ。
 ちなみに、熊野本宮大社の降臨神話も、天照大御神が宮中から移されたのも、同じ崇神天皇の時代というのが興味深い。
 そして…、

熊野本宮大社 熊野牛王神符

 はい、これが今回の熊野巡礼の目的、熊野牛王神符。
 「朝霧の巫女」第四巻P216で楠木が忠尋に渡すお守りのお札の図案が、コレ(P235にほぼ全図案が出て来る)。大きさが違うので全く同一のものではないようだが、素盞鳴尊が主祭神の、八咫烏にゆかりのある神社のお札であるというところに意味が隠されている。

 本殿を降りて、旧社地である大斎原へ。

大斎原の大鳥居

 大斎原内には八柱の神々が祭られているのだが、境内は撮影禁止であり、後の予定も控えていることもあって、これで熊野本宮大社を後にすることに。
 それにしても、那智の滝がある熊野那智大社はまだしも、熊野本宮大社の参拝客はさすがに年輩者が多い。観光バスを見ると、町内会や老人会とか。歳とってリタイヤした頃にまた再び熊野を巡礼するのも悪くないなぁ、と思ったり。
 その時には…、

「熊野本宮大社か。ここは若い頃に観鈴ちんと来たよ」
仲間1「またUSOさんの『観鈴ちん』が始まったよ」
仲間2「その『観鈴ちん』って一体誰よ?」
「ふぉっふぉっふぉっ、それは秘密じゃよ」

 そんな老人に、なってみたいねぇ(笑)

 番外編 「CLANNAD」風子ポスター −和歌山県西牟婁郡中辺路町−
○11:30 田辺市本宮町発 −中辺路−
 ここからは「朝霧の巫女」を離れた番外編。
 熊野本宮大社を出発して西へ、かつての中辺路を通るR311を行く。

○12:20 中辺路町着
 熊野本宮大社から走ること約40kmほど。着いたのは…、

「ここが伊吹さんが紹介してた『滝尻王子』だねっ!」

 「風子みたいな落ち着いた大人の女性にとっても似合う滝尻王子ですっ!」
のコピーで日本全国中に衝撃を与えた、「CLANNADキャラ観光PR起用」事件(別名:「一体どうした!? 和歌山県西牟婁振興局!?」事件)の象徴、「風子ポスター」の元ネタ、滝尻王子。

 これはKEYファンとしては、一度寄っておかねばならんと(笑)
 暑い日差しの中、近くの売店で食べたアイスクリームはおいしかったし、満足。

 番外編 TV版「AIR」舞台探訪 −和歌山県日高郡美浜町−
○12:30 中辺路町発
 滝尻王子を出発。R311をまた西へ。
 田辺市で海岸ぞいに出て、今度はR42に乗ってさらに西へ。

○14:00 美浜町着

「往人さんと歩いた道だよっ!」

 ハッ、これは、TV版「AIR」の背景ではないか!
 「朝霧の巫女」を追っていて、とんでもないものを見つけてしまったぁー!

 …すんません、ウソです。最初から計画に入ってました。
 UME_BLACKさんのブログで情報を見かけて、どうしても撮りたくなって寄ったんです(w

 さて、これにて2日間の全目標の攻略完了。
 あとは、帰還するだけである。
 フェアリィ空軍特殊戦の任務は、「必ず帰還すること」だ。<それ、判る人にしかわからんから

○15:30 美浜発 −阪和道−
 途中の阪和道が海南IC手前で7kmものこの日一番の大渋滞。
 重いクラッチの断続で左足がすっかり筋肉痛に…。
 そういえば、雨でない日に美浜町へ来たのは始めてだったっけ。

○18:10 吹田料金所通過 −近畿道−
○19:45 養老SA着 −名神道−
 眠気に耐えきれずにピットイン。
 30分ほど仮眠…。

○20:15 養老SA発 −名神道−
○21:30 小牧JCT通過 −中央道−
○23:30 自宅着
 や、やっと着いたYO!
 この2日間の走行距離、約1,200km。長かった…。
 時間と体力との勝負だったけど、我々は勝ったのだ!

 …案の定、翌日は腰痛でずっと倒れてるハメになったのだったが(笑)

 信州から出かけて行って、2日間で、「朝霧の巫女」の伊勢神宮から熊野三山、はては「CLANNAD」の滝尻王子から「AIR」の美浜町まで走破しました。これが本当の「聖地巡礼」(笑)
 欲張りな企画で時間との勝負でしたが、それだけ充実した探訪ではありました。
 心残りだった点は、時間が無かったせいで伊勢の外宮を回れなかったことと、熊野でゆっくり出来なかったことです。
 時間が出来たところで、もう一度ゆっくりと熊野から、今度は吉野あたりを巡ってみたい気がしてます。
 「ここはワシが若い頃に観鈴ちんと‥」<それはもういいって

  終わり。