”A report on the first postwar meeting of this NAB committee”と欄外に記載されています。米国の放送技術関係者だけでなく、ITC =International Telecommunication (Union) Conference (1947年ITU総会がAtlantic Cityで開催)からソ連・カナダ・ベルギー・南ア・ポルトガル・キューバ・インドの放送技術者が出席していますー後の米国内に限定したNABの会合とはかなり性格が違います。
LP前夜(=SP時代)の各国放送設備の事情や規格の整備が急務だったことが窺えます。レコードに関した部分では
BBCのA.E. Barrett(本文のBarrattは誤植)は1942年に提示されたNABのtranscriptionディスクの規格に言及しその100マイクロセカンド(1590Hz)の高域pre-emphasisカーブは急俊過ぎて問題がありBBCのイコライザーは8kHzで10−12dB以内に収めている
FairchildのLindenberg氏も現在のtranscriptionディスクの音質から100マイクロセカンドでは再生歪が多く発生する
ベル研究所のMiller氏は35-40マイクロセカンド(4kHz-4.5kHz)のpre-emphasisを試しよい結果を得たので、2dB程緩いカーブの方がノイズ歪ともに満足できる値になるだろうとし、
さらにpre-emphasisを50(=3183Hz)や75(=2122Hz)や100(1590Hz)マイクロセカンド間で変更した場合のイコライザー変更費用などにも言及している。American Broadcasting CompanyのRuddell氏は音質改善が顕著なら設備費用の方はさほど問題にならないだろう
C.C. Rieskind(これはRCAのH.I. Reiskindの間違い?)は商業レコードの録音側crossover(再生側turnover)についてはNABのtranscriptionディスクの規格を転用できるとしている。米国内の商業録音スタジオのcrossoverは250Hz−600Hzとばらつきがあるが一つに統一した方がより均一な再生ができるだろう。
はっきりとした結論は出ずIREの1948年の会合に引き継がれたようだが、John McKnight氏の調査によると実際のIRE(後のIEEE)からはディスクのイコライザー規格は発表されることがなかったようだーLPが出現したりテープの特性の改善が顕著だったりしてそれどころではなかった。一段落したのはやはり1954年のRIAAに続き1955年改定BS1928以降ということか?そしてIEC98(1958)が制定されますが米国RIAA/英国BSと内容的には同じでした。