中古盤の格付け

一様ではありませんが以下纏めてみました。主な典拠はWonnebergのVinyl Lexikon (2000) 137−138頁です。

アメリカ(Goldmine)では9段階:mint(m), near mint(nm)/mint minus(m-), very good plus (vg+), very good(vg), good plus (g+), good(gd), fair(f)/poor(p)。値付けnear mintまでが100%で以下50%、25%、15%, 10%、5%でpoorは5%以下になる
Goldmineは1986年設立の米国コレクター誌    https://www.goldminemag.com/    まだ生き残っていることに驚きです(名盤の限定復刻盤も出している)。

イギリス(Record Collector)では7段階:mint(m), excellent(ex), very good(vg), good(gd), fair(f), poor(p), bad(b) 値付けはそれぞれ100%、80%、55%、40%、30%、15%、5%   
Record Collectorは1979年創立の英国コレクター誌    https://recordcollectormag.com/ いまだ健在なのは歴史を感じます。

ドイツでは5段階:mint(m), very good(vg), good(gd), worn(w) and fair(f) 値付けはそれぞれ100%、75%、50%、25%、10% ドイツのFairクラスが最悪なのに注意。   
ドイツのOldie Marktは1982年創立のレコードコレクター誌でLPとEPに分け中古市場での中間価格を示した有償の月刊カタログだったが、アナログレコードの出物が少なくなったせいで(その値付け幅が大きく変動し)廃刊となり、ビデオや古本など他の市場に転換したようだ。

格付けは各国微妙に違っているのが面白い。Fairはどうにか許容できるという意味で使われている。来日したフランス人によると日本の中古盤(ディスクユニオンのもの)は比較的上等のようです。ハードオフなどで捨て値の物は存外に程度の良いものと悪いものが混在していました。豪華な外装のプゥルセル・ベスト20は赤盤の見本盤でmint状態でしたー音楽評論家先生が大して聴かずに手放した物か?白ラベルの見本盤は販売促進(新譜紹介)のために作られた非売品で中古市場では比較的安く手に入る。ジャケットに入手した日付がマジックで書き込まれたものがあり、購入した店名を記しているもの、又は来日した音楽家のコンサート会場外で購買したと思われる外盤などがあります。手放した人は今は何を聴いているのか、もしくはもう物故しているのか等、中古盤を聴くたびに想像してしまいます。中古LPは特殊なものを除けば廃品扱いです。その受け皿となる店が少なくコレクター誌も一部ジャンルを除いて日本にはないのが現状です。海外輸入の中古LP盤専門店は1980年代からいくつかあったが長続きしないようです。そもそもの値付けが高すぎて一部の限られたマニア向けでは先すぼみになるのは必定。所詮借り物の文化だからでしょうか?

中古盤の国際的(?)略号(Wonneberg Vinyl Lexikon P.354-355:SECOND HAND) 
AS(art sleeve), BK(book), CC(cut corner), CO(cut-out,drilled), CV(coloured/clear-transparent vinyl), D/LP(double LP), EW(edge warp), G/F(gatefold sleeve二つ折りジャケット), M(mono), MAG(magazine), M/S(mono/stereo mixed), NAP(not affecting play), NC(no cover), NOC(no original centre), OFFS(offers requested/invited指値要相談), OL(on label), ORG(original), PD(picture disc), PR(promotion), P/S(picture sleeve), Q(quadraphonic), RE(reissue), REPRO(reproduction), RI(reissue),S(stereo), SAE(stamped addressed envelope), SPLT(split), SOL(sticker on label), SR(slight ring-wear盤縁に摺れ傷), SS(still sealed),ST(stereo), STKR(sticker), TIC(ticsプチプチ雑音), TOC(tape on cover), TOL(tape on label or tear on label), TOS(tear on sleeve), TS(taped seamsジャケットにテープ補修), T/P(test pressing), TRI(triangular centre=Single特有な中心穴:そのままで中心穴は小穴で再生でき三角の部分を除去すればEP用大穴になるものUS Patent2734748), WL(white label), WLTP(white label test pressing), WOC(writing on cover), WOL(writing on label), WOS(writing on sleeve)


WonnebergのVinyl Lexikonにはレコードの企画書(通称Label Copy/Schallplattenpass)も2例載っていました。レコードを制作する前に、元になる音源と録音日/各演奏時間/Matrix numbers/原曲の著作権(BMI/ASCAPなど)/発売レーベル/アルバムタイトル/レベールに記述する曲名や事項/発売フォーマット(Record Size/Cassette/8 track tape)等を1枚に纏めた書類です。ジャズなどでよく録音日が曲ごとに明記されているのはどうして可能なのかが分かりませんでした。その原拠となる内部書類があるのですね。 


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