対象を描写・説明する表現
出典:森下裕美『ウチの場合は』(毎日新聞)
文章の中での描写と説明 文章中的描寫與說明
描写とは、(実在する)物や(経験した)出来事、(見たり聞いたりした)事柄を『事実』として(できるだけ)正確に表現することをいう。
描寫就是將〈實際存在的東西〉及〈經歷過的〉事情,〈將所看所聽的〉事情以『事實』〈盡可能〉正確的表現出來。
説明とは、物や出来事や事柄に関する(くわしい)情報を主観的または客観的に表現することをいう。
說明就是將東西或事情有關的〈詳細〉情報,以主觀或客觀的方式表現出來。
- 描写(びょうしゃ)
- 事物・出来事を事実として正確に表現する
- 説明(せつめい)
- 事物・出来事に関する詳細な情報を述べる
「カニ食べたい」
例えば、上に掲げた4コママンガ(2コマ目)について述べた文では、次のようになるだろう。
例如上方所刊載的四格漫畫〈第二格〉中所敘述的文,就像以下的樣子。
- 姉は「カニ食べたい」と言った。《→描写》
- 姉は、高級でいつもは食べられないカニが食べたかったのだ。《→説明》
【参考→〜と言う】
描写が、姉の発言を事実としてそのまま表現するのに対して、説明は、姉の発言の背景を話し手が(主観的に)解釈して表現しているのである。
描寫是直接將姊姊的發言做為事實表現出來,相對的說明則是說話的對象將姊姊的發言背景〈主觀性的〉解釋所表現出來的。
描写とストーリー 描寫與故事
出来事や事柄の描写は、ストーリー(story)を展開させる働きをする。なお、ストーリー(story)とは、出来事のつながりや流れのことである。
事情的描寫,有讓故事開始的功效。再者故事就是將事情連結及發展等。
たとえば、次の文を考えてみよう。
列如,請看以下的句子來思考。
- 弟が寝ました。母が寝ました。父が寝ました。《→描写》
- 弟はいつも早く寝るタイプです。母は仕事で疲れていたようです。父は多分ゴルフで疲れたのでしょう。《→説明》
ここで描写の文は、
在這裡描寫的句子是、
A(弟が寝たこと)→B(母が寝たこと)→C(父が寝たこと)
という出来事のつながり(流れ)を表現している。一方、説明の文は、話し手の解釈を述べるだけで、出来事のつながり(流れ)を表現しているのではない。
事情發展表現出(發展)。另一方面說明的句子是將說話者的解釋敘述出來,並不是將事情的(發展)表現出來。
描写の文と説明の文のバランス 描寫的文章與說文章的平衡
出来事や事柄を表現するときは、描写の文と説明の文をバランスよく組みあわせるようにする。
要將事情的發展表現出時,必須將描寫的文章與說明的文章有效率的搭配。
××悪い例(『描写の文』だけが続く)
父は「百点とったらごほうび欲しいって言ってたな」と言った。姉は「カニ食べたい」と言った。父は「じゃあみんなで食べに行くか」と言って、家族全員でカニを食べに行った。しかし、姉は「でもぉ、アタシへのごほうびだから」と言って、カニの身をカラから出させた。
問題:4コママンガの内容を文章にするとしたら、どのように書けば良いか考えてみよう。