直接話法と間接話法
出典:森下裕美『ウチの場合は』(毎日新聞)
「〜と言う。」(「〜と言います。」)や「〜と言った。」(「〜と言いました。」)は、〈だれかが話した内容を別の人に伝える〉表現である。
「〜と言う。」の表現には、だれかが話したことばをそのまま伝える(=引用する)ものと、別のことばにまとめ直して伝えるものとがある。
だれかが話したことばをそのまま伝える表現のしかたを『直接話法』と呼ぶ。一方、だれかが話したことばをまとめ直して伝える表現のしかたを『間接話法』と呼ぶ。
たとえば、右のマンガの2コマ目を『直接話法』で表現すれば、
姉は「カニ食べたい」と言った。
のようになる。これを『間接話法』で表現するならば、
姉は、ごほうびはカニがいいと言った。
のようになるだろう。
- 直接話法
- だれかが話したことばを、そのまま引用する。
例:姉は、「カニ食べたい。」と言った。
- 間接話法
- だれかが話したことばの内容を引用する。
例:姉は、ごほうびはカニがいいと言った。
直接話法
直接話法は、だれかが話したことばをそのまま(かたちを変えずに)表現する。直接話法の文では、引用の部分をカギカッコ(「 」)でくくって示すのがふつうである。
- 張さんは「台北に行きます。」と言っていました。
- 彼は「助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!」と言った。
- 先生が「研究室に来なさい。」と言いました。
- 天気予報では、「明日は雨が降るでしょう。」と言っていました。
間接話法
間接話法は、だれかが話したことばの内容を(表現を変えて)表現する。間接話法では、ことばの内容をカギカッコ(「 」)でくくってはいけない。
- 張さんは台北に行くと言っていました。
- 彼は何度も助けてほしいと言った。
- 先生が研究室に来るように言いました。
- 天気予報では、今日は雨が降るだろうと言っていました。
直接話法と間接話法のちがい
直接話法と間接話法では、次のようなちがいがある。
- 間接話法では「と」の前が常体になる【参考:常体と敬体】
- 直接話法:張さんは「台北に行きます。」と言っていました。
- 間接話法:張さんは台北に行くと言っていました。(×張さんは台北に行きますと言っていました。)
- 間接話法では、話の内容が命令の場合「〜ように」となる
- 直接話法:先生が「研究室に来なさい。」と言いました。
- 間接話法:先生が研究室に来るように言いました。
- 間接話法では、日時の表現が変わることがある(→くわしい説明)
- 直接話法:天気予報では、「明日は雨が降るでしょう。」と言っていました。
- 間接話法:天気予報では、今日は雨が降るだろうと言っていました。
→ 練習問題