スピーチとは?
人々の前で(短い)話をすることをスピーチという。また、語学の習得を目的とし、〈人々の前で話をすること〉を演じることをスピーチパフォーマンスという。
スピーチでは、場面や目的に応じた言語的な表現能力が必要である。一方、スピーチパフォーマンスでは、外見や身体表現などを含めた総合的な表現力を身につけることが目標となる。
なお、《生活日本語会話5》の授業では、〈自分のことについて語るスピーチ〉と〈意見を表明するスピーチ〉を中心にスピーチの練習を行なう(※スピーチパフォーマンスの指導は、《日本語弁論基礎2》の中で行なわれる予定である)。
- スピーチ
- 定義(ていぎ)
- 人々の前で話をすること
- 目的(もくてき)
- 実用的な機能(=自己紹介、挨拶、お祝い、意見の表明など)を実現するため
- 特徴(とくちょう)
- 表現の仕方(パフォーマンス)よりも内容(コンテンツ)が重視される
- スピーチパフォーマンス
- 定義(ていぎ)
- 〈人々の前で話をすること〉を演じること
- 目的(もくてき)
- 言語(主に外国語)の練習のため
- 特徴(とくちょう)
- 内容(コンテンツ)よりも表現の仕方(パフォーマンス)が重視される
スピーチパフォーマンスについての注意
スピーチパフォーマンスは、もともと英語学習の方法のひとつなので、日本語にはそのまま応用できない面もある。たとえば、日本語のスピーチパフォーマンスでも、しばしば大袈裟なジェスチャーの使用や極端な抑揚を伴う話し方が指導されることがある。しかし、そのような話し方は実用性が低いことに注意が必要である。日本語の発話は、
- ジェスチャーを控え目に使用すること
- 謙虚で落ち着いた態度で話すこと
- 感情を抑えたおだやかな口調で話すこと
によって、よりていねいなものになると考えられるからである。つまり、ジェスチャーを使えば使うほど、抑揚をつければつけるほど、下品な話しことばになってしまう。また、実際の場面では、話の内容に集中するために目をつぶって話を聞く習慣を持つ日本人(中年以上の男性に多い)も少なくないので、ジェスチャーそのものが意味を持たないこともあるだろう。