対象を定義する表現

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定義(ていぎ)とは?

定義(ていぎ)』とは、特定(とくてい)概念(がいねん)語句(ごく)意味(いみ)をはっきりと(しめ)したもののことである。また、特定(とくてい)概念(がいねん)語句(ごく)意味(いみ)をはっきりと(しめ)すことを『定義(ていぎ)する』という。

(なに)かを「はっきりと(しめ)す」ためには、〈それが(なに)であるのか〉を(しめ)すだけでなく、〈それと()たものとどこが(ちが)うのか〉も(しめ)さなければならない。

たとえば、「マグロ」を定義(ていぎ)するときに、《(うみ)()大型(おおがた)(さかな)一種(いっしゅ)》というだけでは不十分(ふじゅうぶん)である。条件(じょうけん)にあてはまる(さかな)(ほか)にもあるからである。「マグロ」を()たものと区別(くべつ)するには、《刺身(さしみ)寿司(すし)ネタとして日本人(にほんじん)(もっとも)(この)む》といった説明(せつめい)(くわ)えなければならないだろう。

定義(ていぎ)する表現(ひょうげん)

定義(ていぎ)する表現(ひょうげん)では、(おお)きく(つぎ)の4つのパターンがある。

  1. 一般的(いっぱんてき)定義(ていぎ)通説(つうせつ)多数説(たすうせつ)()べる
  2. 他者(たしゃ)による定義(ていぎ)紹介(しょうかい)引用(いんよう)する
  3. 自分独自(じぶんどくじ)定義(ていぎ)()べる
  4. 便宜的(べんぎてき)定義(ていぎ)臨時(りんじ)定義(ていぎ)()べる

一般的(いっぱんてき)定義(ていぎ)()べる表現(ひょうげん)

論文(ろんぶん)報告(ほうこく)では、通説(つうせつ)多数説(たすうせつ)など一般(いっぱん)通用(つうよう)している定義(ていぎ)概念(がいねん)術語(じゅつご)意味(いみ))を紹介(しょうかい)することがある。

一般的(いっぱんてき)定義(ていぎ)()べる表現(ひょうげん)では、(つぎ)(かたち)基本(きほん)になる。

  1. X(と)は、Yである。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  2. X(と)は、Y(という)ことである。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  3. Xは、Yと定義される。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)

ほかにも(つぎ)のような表現(ひょうげん)がある。

他者(たしゃ)による定義(ていぎ)紹介(しょうかい)引用(いんよう)する表現(ひょうげん)

論文(ろんぶん)報告(ほうこく)では、論文(ろんぶん)書籍(しょせき)辞書(じしょ)などに()かれた定義(ていぎ)概念(がいねん)術語(じゅつご)意味(いみ))を紹介(しょうかい)したり、引用(いんよう)したりすることがある。

他者(たしゃ)による定義(ていぎ)紹介(しょうかい)引用(いんよう)する表現(ひょうげん)では、(つぎ)(かたち)基本(きほん)になる。

  1. Aは、Xを、Y(である)と定義している。
    A=[定義(ていぎ)出典(しゅってん)]X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  2. Aによれば、X(と)は、Yである。
    A=[定義(ていぎ)出典(しゅってん)]X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  3. X(と)は、Yである(A)。
    A=[定義(ていぎ)出典(しゅってん)]X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)

定義(ていぎ)論文(ろんぶん)書籍(しょせき)辞書(じしょ)から直接(ちょくせつ)引用(いんよう)するときは、引用(いんよう)部分(ぶぶん)をカギカッコ(「」)でくくり、出典(しゅってん)明記(めいき)する。また、定義(ていぎ)内容(ないよう)要約(ようやく)して(しめ)すときには、カギカッコではくくらないが、(かなら)出典(しゅってん)明記(めいき)しなければならない。【参考→引用の方法

自分独自(じぶんどくじ)定義(ていぎ)()べる表現(ひょうげん)

論文(ろんぶん)のなかでは、特定(とくてい)概念(がいねん)語句(ごく)意味(いみ)自分独自(じぶんどくじ)方法(ほうほう)定義(ていぎ)することがある。

自分独自(じぶんどくじ)定義(ていぎ)()べる表現(ひょうげん)では、(つぎ)(かたち)基本(きほん)になる。

  1. Xを、Yと定義する(ことにする)。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  2. X(と)は、Yであると考えられる。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  3. Xは、Y(である)と定義してよい。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  4. X(と)は、Yであるといってよい。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)

特定(とくてい)概念(がいねん)語句(ごく)意味(いみ)自分独自(じぶんどくじ)方法(ほうほう)定義(ていぎ)するときには、それが独自(どくじ)定義(ていぎ)であることがはっきりとわかるようにした(ほう)がよい。そのためには、たとえば、一般的(いっぱんてき)定義(ていぎ)との(ちが)いを(あき)らかにしなければならない。

(つぎ)表現(ひょうげん)は、一般(いっぱん)通用(つうよう)している定義(ていぎ)()まえて、それをさらに(くわ)しくしたり、一部(いちぶ)変更(へんこう)したりした場合(ばあい)(もち)いられるものである。

一般(いっぱん)通用(つうよう)している定義(ていぎ)批判(ひはん)する場合(ばあい)には、たとえば、(つぎ)のようになる。

便宜的(べんぎてき)定義(ていぎ)臨時(りんじ)定義(ていぎ)()べる表現(ひょうげん)

論文(ろんぶん)報告(ほうこく)では、その論文(ろんぶん)報告(ほうこく)のなかでのみ有効(ゆうこう)定義(ていぎ)()べられることがある。論文(ろんぶん)報告(ほうこく)内容(ないよう)にあわせて、定義(ていぎ)をゆるいものにしたり、(ぎゃく)により厳密(げんみつ)なものにしたりする場合(ばあい)である。また、筆者(ひっしゃ)(かんが)えや立場(たちば)にあわせて、複数(ふくすう)ある定義(ていぎ)有力説(ゆうりょくせつ))から特定(とくてい)のものを選択(せんたく)する場合(ばあい)もある。

便宜的(べんぎてき)定義(ていぎ)臨時(りんじ)定義(ていぎ)()べる表現(ひょうげん)では、(つぎ)(かたち)基本(きほん)になる。

  1. ここでは、Xを、Yと定義する(ことにする)。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)
  2. 本論文では、Xを、Yの意味で用いる(ことにする)。
    X=[定義(ていぎ)対象(たいしょう)]、Y=[定義(ていぎ)内容(ないよう)

ほかにも(つぎ)のような表現(ひょうげん)がある。

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