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表彰・受賞業務 2

    (優秀設計知事賞受賞)

1994

笹目川環境整備護岸実施設計

埼玉県浦和市

埼玉県浦和土木事務所

設計コンセプト

軟弱地盤に位置する中小都市河川への、多自然在来工法の積極的導入です。
出来うる限り天然素材を使用しています。


画面右側(右岸)にJR埼京線の高架が走っています。上り武蔵浦和→北戸田間の車窓左に見えます。



河床に設置した捨石の中洲です。
小動物の営巣場所となります。干潮時には水面上に現れます。      


耐用年数4,50年の南洋材を使った木工沈床護岸です。中詰にヒューム管を用いて水生動物の棲息ヶ所を確保しています。手前は粗朶柵工です。



軟弱地盤であるため抵抗鋼矢板を設置した区間もあります。表面は丸太を並べて被覆し、矢板の凹部には粗朶を入れています。

 

低水護岸として杭打ち片枠工を設置しました。打込み杭の抗力と中詰石の重量で土圧に対抗します。


木工沈床護岸の天端は平石による歩道にしました。板石の布設方法はなんと土極めです。


下から木工沈床(護床工)、蛇籠工平石遊歩道(土極め)、フトン籠積及び杭打ち片枠工です。


 石積みで用いた材料は山形県庄内二乃滝石を使用しています。一つ一つの形状と表面の風化具合が生態系に程好く調和しています。
 積み方は全て空目地とし、植物の根張りと小動物の潜り込みを容易にしています。

感潮河川ですから干満により水位が変動します。干潮時で水位が低下した時はお世辞にも綺麗とは言えません。

堤防天端の遊歩道の切石張り舗装です。福島県白河石の鋸引きっぱなし土極め芝目地です。



両岸には東屋又はテラスを設けています。

アーチ構造の木橋です。



トラス構造の木橋です。

所感

 大都会の中の小河川に多自然在来工法を詰め込んだ例。凡そ考えられる工法は全て用いているような気がします。
ここまで徹底してやれば表彰物と思ったら、表彰されました(笑)。
当時発注担当者の意欲が高く、予算も潤沢にあったのでしょう・・ 設計していても随分楽しかった覚えがあります。
 設計から10年くらい掛って一応完成しました。途中から水質浄化の事業も加わり荒川の導水等の様々な取り組みが行われています。多自然施設に見合った綺麗な水質が戻るのもそう先のことではないと思います。

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