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保住直孝

「竹原? 勝てますよ、俺。」

ある若い日本ミドル級ランカーが
当時の東洋王者、竹原慎二を挑発。

すでに世界挑戦が近い竹原は
その若いボクサーを無視したが
挑発は機会あるごとに繰り返された。

「寺地や竹原は逃げてるんですよ、俺から」

最終的にはボクシングマガジンの取材に
これ以上ない毒舌挑発発言が掲載された。

「俺とやったらブッ殺されるでしょう。
これはプロになった頃から言ってるけど、
本当のことだから仕方ないんだよね。
だって竹原、本当にたいした事ないもん。

ハートはそこそこありそうだけど
技術とスピードはゼロだね、ホント。

世界挑戦、代わってもらいたい位だよ。
パンチが強い、なんて言われているけど
弱い奴を相手にしてればそりゃ倒せますよ。

でも今回ばかりは竹原に勝ってもらいたいなぁ…
その方が倒した時に俺のステータスが上がるからね。

世界戦の後、ノンタイトルでやろうじゃないか。
記者の皆さん、逃げるなって伝えてくださいね。」

後頭部だけ長い奇抜なヘアースタイルの若者は
名前を保住直孝と言う。

当時、アリを彷彿させる華麗なスタイルで連戦連勝、
確かに注目されていたがここまで毒舌だとは…

まぁ、私もこの記事によって更に注目したのだが。


無敗のまま迎えた日本タイトルマッチは
褐色ボンバー、ケビンパーマーが相手。

日本人相手の際に感じられた保住の滑らかな動きは
黒人特有のリズムの前にどこかぎこちなく感じられた。

パーマーとのジャブ差し合いに後手を踏み、
初めて制空権を取れなかった保住は
そのまま更なる追撃を許してしまう。

思ったよりも厚みのなかった保住の作戦手札。

彼の秘められたポテンシャルに期待していた私は
ちょっとばかり期待外れのルーキーに落胆した。

ジャブ、ストレート、アッパー…
次々と打ち込まれるパーマーの有効打。

保住の反撃は徐々に細くなっていく。

このまま倒されるか、大差の判定負けか…

試合をぼんやりと眺めながら
私は早くも試合後を考え始めた。

あれだけのビッグマウスが国内王座挑戦で
つまずいたとなるとすぐに辞めちゃうかもなぁ…

「!」

唐突な一撃がパーマーの側頭部にヒットすると
鍛え上げられた褐色の肉体がストンッとあっけなくダウン。

実況、解説、観客、私、そして保住自身…

誰もがキョトンとした不思議な空気の中、
ノーダメージのパーマーが即座に立ち上がる。

数秒前のダウンが幻?と感じられるほど、
再開後の展開は何も変わらなかった。

パーマーの的確な攻撃が保住の顔面を弾き続ける。

結局、最終ラウンドにパーマーが連打を浴びせストップ勝ち。

ダウンこそ奪ったがハッキリとした形で敗れ、
大勢の前でメッキが剥がれたビッグマウス。

気の短かそうな保住だけに引退も考えられた。

が、展開的に有り得ないはずの不思議な一撃。
僅かに残るあの感触、ダウンを奪った事実だけが
消えてしまいそうな彼のモチベーションをギリギリ守った。

そんな気がしてならない。


「俺にとって一番大事なのはボクシング。
もし、これを失ったらその時は自分でいられない。
はっきり言って彼女や家族よりも
ボクシングのほうが大事なんです。
だってこれだけが俺のたったひとつのプライドなんだから…」

このコメントが彼の毒舌・生き方・モチベーションを
全て説明している、救っている、と思う。

海外有名選手のビデオを集めるほど、ボクシング・フリークでもある保住。
この悪童を演じている男は、想像以上にボクシングが好きなのだ。

格上である竹原を嫌いなのではないし、馬鹿にしているわけでもない。
過酷なボクシング界、特に評価の定まらない日本ミドル級において、
自分のランキングをキッチリ上げる為に格上選手との試合が欲しかったのだ。

そう、あの毒舌は出世するために
とても有効な頭脳的手段だった…!
(結局、試合は実現しなかったが)


6年間というボクサーにとって気が遠くなるような時間を経て、
保住は念願だったケビンパーマーとの再戦に漕ぎ着けた。

その間、スキンヘッドの強面男、青山二郎とドローを演じ、
最暴具浩一戦での不完全燃焼(突然、攻めていた最暴具が試合放棄?)、
カジノでの現行犯逮捕(のちに保釈?)、
次世代ホープ鈴木悟には接戦ながらもアゴを割られてのKO敗北…

周囲もかつてほど、この悪童に大きな期待を抱いていない。
ボクサーとして目的を失いそうな項目がいくらでも浮かんでくる。


が、当の保住はたったひとつのプライド、
「ボクシング」を決して捨てなかった。

現役続行に激しく逆風が吹き荒れる中、
不利の予想にも関わらず組んだパーマーとの再戦。

もしかしてラストファイト…?

そんな想いを抱きながらゴングを待った自分が
謝りたくなるほどの保住の熱〜いファイト。

6年前に若い保住が倒れたよりも1ラウンドだけ早く、
逃げ回る褐色ボンバーは執念に捕まりリングに倒れた。

(ボクシング続けてて良かった!)
この瞬間に保住の雪辱が達成されたのだ…


保住物語がここでハッピーエンドだとしても
それは日本重量級の歴史に燦然と輝くものだ。

その後、一流世界王者ウイリアム・ジョッピーに挑戦、
棒立ちストップで敗れたものの最後までボディを狙い続けた。

私は決して恥ずかしい敗北じゃなかったと思う。
日本屈指のボクシング・フリークが
考えた末に選んだ作戦・スタイルなのだ。

解説席から見つめる竹原の熱い視線。

それはかつてのうるさい悪童を見る瞳ではなく、
同じジョッピーという壁に挑んだ仲間に贈った、
「勝ってくれ!」という熱いビーム。

このシチュエーションが私には
とても微笑ましく感じられた…


闘志こそ光ったが、世界戦は完敗。



投稿

私が保住選手の存在を知ったのは
テレビ朝日のGET SPORTSを見たからだった。
   
ごく最近ボクシングのテレビ放送を見始めた私は
ミドル級には現日本チャンピオンの鈴木悟しか
強い選手がいないと思っていたのでとても驚いた。
 
鈴木選手は好きになれなかった私だが、
保住選手は幼い頃に憧れた辰吉丈一郎以来の
好きになれるボクサーだった。
   
ジョッピー戦は残念な結果だったが、
私は最後まで保住が勝つと思っていたし、
それにこれで終わってほしくないと強く思った。
 
来年は鈴木選手に強烈なKO勝ちでリベンジして、
保住直孝が東洋ミドル級最強であることを証明して欲しい。
 
現在日本ではボクシングは人気がないし、
東洋では中量級のレベルが低いと馬鹿にする奴もいる。
 
しかし保住選手が勝ちまくれば、もしかしたらまた
大きなチャンスが手に入るかもしれない。

私はプロボクサーに憧れることしかできない情けない男だが、
こんな奴にも大きな夢をみせてほしいのだ。

応援してるので、またがんばって欲しい。

(投稿・湯浅光徳氏)



投稿

先日、5月1日に「日本ミドル級タイトルマッチ」がありました。

失礼ながら私は荒木慶大の幼馴染みで、
当然荒木の応援で会場に行きました。

保住選手の過去の実績等は、友人からの情報やサイトで調べました。
調べれば調べる程、「今回の相手はめちゃめちゃ強敵やなぁ」と感じてました。
去年の7月にやっつけた鈴木悟より強敵と思いました。

実際、保住選手が会場入りする時のガウンの背中には「別格」という2文字が。
はっきし言ってびびりました。

壮絶な打撃戦の末、我らがチャンピオン荒木が勝ちましたが、
試合前、あんなに憎たらしかった保住選手が、とても恰好良く見えたのは、
荒木応援団のほとんどが感じた事と思います。

こっちのセコンドへ挨拶に来たときも惜しげも無い拍手。
あれは慰めの拍手じゃ無く、喝采の拍手だったと思います。

これから荒木は世界挑戦へ向けて踏み出すでしょう。

次の再戦は是非世界が注目する大舞台でしたいものです。
保住選手の不屈の闘志には敬意を評します。

(投稿・健氏)



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