ボクシングのゲーム、実写でボクシングのバナー(3)

木村登勇

不思議な風貌の木村という男、そのボクシングスタイルは衝撃的だった。

相手となる吉岡孝幸は売り出し中の正統派ボクサー。
色の白い長身と長い手足、距離感も抜群で大崩れしない。

過去に日本タイトルを10度も防衛した桑田弘から明確な判定勝ちを収め、
悲願の日本タイトル挑戦に向けて一直線、といった状況でのテレビ放映。

対する木村はもみあげを伸ばした不思議なヘアースタイルこそ異彩を放っていたが、
地方から進出してきたボクサーということもあって実力的には疑問符が付いていた。

美しいフォームからノーモーションで飛んでくる吉岡の正確なストレートが
この不敵な笑みを浮かべる謎めいたボクサーを倒すのではないか、そんな気がしていた。

試合開始数分、木村の奇抜なボクシングが切れている。

「木村術」

後日、自身の口から語られるそのスタイルは我流だと思われる。
重心は中心からやや後方に感じられ、
腰の上だけがぐにゃりと動くような不思議なスウェー、
無理と思われるような角度からの左右のフック。

特にスパーでしか磨けない密着戦での技巧は見事だった。

ダメージを与えてもコンビネーションで追い詰めるのではなく、
相手の攻撃をとにかく空転させつつ自分の攻撃だけをヒットさせていく…

口元に笑みを浮かべながら戦っているように見えたので余裕があるのかと思ったが、
カメラがズームアップした際の木村の一瞬の表情が今でも忘れられない。

終盤、木村リードで進んでいた展開、リング中央付近で向かい合っている両者。

吉岡がクイッとフェイントを交えながらストレートを狙っている雰囲気に対して、
その吉岡を凝視している木村のその表情、ある一瞬で反応するための集中力。

結局、次の瞬間には両者空発後のクリンチとなるのだが
そんな何気ない一瞬の表情がなぜか自分の印象に残っていた。

どこかで見た気がするので、調べてみると自分はホールで彼を一度見ていたようだ。

木村の10戦目、学生時代に柔道で実績を残している奈良選手に6R判定勝ち。
この興行を自分はホールで生観戦している。
残念ながら記憶には残っていないのだが。

11戦目はのちに国内タイトルマッチで大善戦するフットワーカー川島辰久、
続いて紹介した吉岡戦となるのだが、これには木村陣営の大きな狙いが隠れていた。
連戦全てがアウトボクサーという偏った対戦相手は大きな目標への道だったのだ。

当時のライト級王者は磐石の防衛記録を築きつつあったリック吉村。
国内ランカーを見渡しても彼に一度は敗れた名前ばかりで新鮮味はすでにない。

そんな中、東北から現れた新鋭の存在は大いにクローズアップされた。

残念ながら試合はかみ合わなかった。
木村の優れたスウェーはジャブの多くをかわしたが、
得意の密着戦が全てクリンチで防がれてしまったのだ。

疲れた両者のクリンチ数はリックの防衛戦の中でも最多だったと思われる。
若武者に期待していた観客にとってスリルのない試合となってしまった。

多くのファンにとって木村登勇の名前は、
リックに防衛数を与えてしまったボクサーのひとりとして
ぼんやりと記憶に残った程度だったかもしれない。

にも関わらず、木村登勇の物語はここから輝き始める。

リックに敗れたボクサー達の多くが引退という選択肢を選ぶ中、
木村はここから超激闘ロードをガンガンと突き進むことになるのだ。

湯場、坂東竜、松田、大久保、橋浦、そして湯場。

どの相手も当時のA級ボクサーとして名を残す素晴らしいボクサーだ。
木村はレベルの高いリングで時に苦闘を経験しつつもボクシングを磨いていく。

負けた試合でも相手を存分に苦しめ、決して自身の評価を落とす内容ではなかった。

特に当時最も世界に近いと呼ばれていた湯場との二度に渡る対決では
「木村は曲者」という強烈な印象を我々に与えた。(試合展開はドロドロだったが!)


気が遠くなるような努力のその先に日本王座決定戦が用意される。

対戦相手の小野淳一はサイドステップのできる正統派ボクサースタイル。
過去に日本王座を5度も防衛した実績から木村の不利が予想されていた。

試合は一進一退の好勝負となった、らしい。
というのも関東ではテレビ放送がなかったため、
自分の目で確認できなかったのだ。

ただ、雑誌で結果を知った時、自然と笑みがこぼれた。
「リック戦から3年、あの木村は日本王者になったんだなぁ…」

この時点で北から来たこの若者の物語は、すでに素敵なサクセスストーリーだと思う。
が、個人的にはまだまだ一波乱、ドラマが待っているように思えてならない…

なぜならこの男、木村登勇のボクシング「木村術」は、
相手が強ければ強いほど、眩しいほどに光輝く魅力がある!

…好カード、望む。


NorthBoxingsiteを閲覧する木村選手。
この笑顔を世界戦のリングで見れたなら、どんなに素敵なことだろう…



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