辰吉丈一郎VSシリモンコン・ナコントン・パークビュー
この試合を観戦して涙を流した人は数多くいると聞きます。
戦前の予想では二十歳で負け無し、
辰吉の宿敵ビクトル・ラカンドン・ラバナレスを
まったく寄せ付けず、大差の判定で退けた、
シリモンコンは若くて上り調子のチャンピオンで
辰吉の宿敵ビクトル・ラカンドン・ラバナレスを大差の判定で退け、
辰吉は世界戦4連敗で盛りを過ぎたボクサーだと思われていた。
辰吉圧倒的不利の予想も仕方なかった。
辰吉がシリモンコンを上回るのは年が上だけの試合だった。
辰吉にとって唯一の朗報は
チャンピオンが減量に失敗した事だが前日計量。
それでも両者がリングに登場した時は
シリモンコンの方がガッチリとした体格で
辰吉よりも二回りは大きく見えた。
初回から辰吉は減量失敗の王者のボディを打たず上ばかり狙っていた。
しかし辰吉は3ラウンド終了間際に左のボディを打ち出し、
5ラウンドには左アッパーのボディ打ちでシリモンコンの体をくの字にさせ、
終了間際に右をアゴにヒットし、ダウンを奪う!
しかしその後は打ちつ打たれつの壮絶な試合になり、
7ラウンドに王者のプライドでシリモンコンが反撃し、
辰吉のアゴが何度も跳ね上がる!
シリモンコンの逆転かと思われた直後に
辰吉の強烈な右から左ボディアッパーで
シリモンコンは生も根も尽き果て、ダウン!
その後、辰吉の怒涛の連打でリチャード・スチールは試合をストップ!
何と言う衝撃的かつ劇的な幕切れ…。
試合後の辰吉のコメントが印象的だった。
「亡くなった、亡くなった僕の親友である
グレート金山選手に今日の事を伝えたいです。」
と言い辰吉は声にならず涙した。
辰吉丈一郎のボクシングに対する真面目な一面も見た!
日本で行われた世界戦で一番、印象に残る試合でした。
(アリ氏)