ボクシングのゲーム、実写でボクシングのバナー(3)

内山高志

10R、サルガドのテーピングがはがれ、内山が待っている間…

「うっちやま、うっちやま!」

その方向を見て、内山が決意を固めたのを感じました。

人に対する感謝を、ボクシングができている感謝を
人一倍強く感じている男だけに、KOをみんなに見せたい!
と、覚悟を決めたのがひしひしと…。

まさに周囲と一体となって完成したKOによるタイトル奪取劇。


対するサルガドは全部手札を使い切って力尽きた、完全にスッカラカン。

輝かしいスターロードを悠々と歩んでいた美男子&実力者のリナレス、
彼をほんの数秒で倒した男が数ヵ月後にこてんぱんに打たれて倒れている。

ボクシングの光と影、なんとリングは清々しい世界なんだろうか…!
登ってさえしまえばもう差別もなんにもない。拳だけなんだなぁ。


これまでダイナマイト系の派手なあだ名の国内選手が世界で何度弾き返されたか…

美しい打ち方ではない、むしろ力持ちタイプ特有のフォームが
見え隠れする中、それを努力で修正してきたのがはっきり分かる。

(この人、ボクシングが本当に好きなんだな…)
内山〜! 素晴らしい12Rでした。


逆に言うと、サルガドはなんかフラフラしていて、
初回の身のこなしから筋力不足を感じました。

7Rからジャブを使い始めましたが、
なんか食うとまた後ろ重心に逆戻り。

うーんと…、一体どんな策だったんじゃ?
(それだけ内山の圧力が強烈だったのかな…)

リナレス戦での謎、要はコンビネーションの上下なんだけど、
上に返す二の矢の際に頭が下がったまま唯一チャッチャッと打てる。
(普段の繋ぎの悪さも結果的にこれを際立たせる罠効果?)

これを何度か、と言っても数回、見ることができたのがよかったけれど、
本当にリナレスは最初にして最大、最悪の一撃を食ってしまったんだなと…


(サンドバック)



メインのタイトルマッチですが、心臓が痛かったですw

書きたい事は山ほどありますが・・・
実際に試合を間近で見ていた感想としては、
三浦選手の覚悟を決めた気迫に恐怖を感じました。

入場時のパンフレットに記載してありましたが
「相手のパンチは絶対受けてしまう。
が芯を僅かに外しこちらのパンチを当てる」
という、三浦選手サイドの相打ち狙いの作戦は見事でした。

内山選手の左に右を必死に合わせ、右には左を相打ち覚悟で。

簡単な事なのかもしれませんが、凄く勇気が必要な作戦だと思います。

実際、打ち勝っている4R以降も場内は騒然としたままで
6R以降はフラフラながら明らかに相打ちを狙い「グワァ!」
と叫びながら強打を振る三浦選手に、誰もが恐怖を感じていました。

帰り道、同席した知人と話をしていましたが
下手な世界ランカーより内山選手をよく研究していて強かったと
皆口を揃えていました。あの強打に相打ちを良く狙えるな、とも。

三浦選手の今後は未定らしいですが、あの内山選手の左を浴び続け
コーナーを何度も間違えながらも、叫びながらの前進は凄かったです。

是非復帰してあの強打を魅せて欲しいと思います。

余談ですが、アドレナリンが出てたのか・・・
間近で見た李選手の鋭い目と三浦選手の気迫が頭から離れず、
その日は殆ど眠れませんでした;;

(掲示板・生観戦した血祭氏)




K.Oダイナマイト

日本人離れしたパンチ力からそう呼ばれていますが、 彼と出会ったのは2010年1月11日ビッグサイトが初めてでした。

その頃は無敗とは言え、東洋太平洋S.フェザー級チャンピオンというだけで、 恥ずかしながら名前も顔も知りませんでした。
ですが私の通うジムの担当トレーナーが内山選手のフィジカルトレーナーだった事もあり、 細野選手、内山選手どちらかの世界奪取を期待してSRS席で観に行きました。

ラッキーパンチで王者になったと言われるサルガドを追い詰めた最終ラウンド。
自分も友人もサルガドダウンの瞬間立ち上がり、興奮気味に応援したのを覚えています。

ですがこの試合を終えても「ラッキーパンチのサルガドに勝っただけ」 とボクシング好きの友人から言われていました。

それでも直に観たあの強さ、目の前で怯えるサルガド選手の表情は驚きで、 試合を間近で見ていた私達を一発で虜にしました。

その後、V1戦〜V2戦と埼玉スーパーアリーナに多くの友人を連れて 毎回観戦に行ってますが、その友人も今では強いの一言です。

K.Oダイナマイトというあだ名からパンチ力ばかりに目がいきますが 打たれないボクシングを常に心掛け、常に保険を掛けたボクシングスタイル。

元々アマ出身でオリンピックを目指し、挫折してボクシングから離れた内山選手。
その間営業マンをしていたそうですが、初めから営業も上手く好成績だったと聞きます。
あれだけパンチ力があっても、常に冷静で深追いしないボクシングスタイルは営業を上手くこなす細かな人間性も兼ね揃えているのかもしれないな、と感じます。

まだ穴が多いと指摘されている方も多い様ですが、実際に試合を良く見ると解ります。
距離感が抜群で足の動きだけで相手に打たれない位置をキープしています。
更に詰められてもスウェーで確実に避けられる保険を掛け、避ける際も必要最小限の動きでスタミナをロスしません。
それでも詰められた場合でも、ボディーを中心とした強力なパンチがあります。

難を言えば、パンチがあり過ぎるので国内にスパーリングパートナーが殆ど居ない点でしょうか・・・。
ヘッドギアを付けていてもボディーで肋骨を折られる人が後を絶たないそうです・・・。

しかし、パンチ力があるのはボクサーとして最高なのかもしれませんが、 毎回、試合前になると拳に麻酔を打ち(パンチ力が強すぎるので殆ど骨折する為) その上で試合に臨むのですが、試合後の痛みは強烈で毎晩うなされる程だそうです。

毎試合、拳に麻酔を打ちリングに上がるボクサー。
試合では強力な拳を相手に打ちこみ、その拳の痛みに耐えている姿を想像すると K.Oダイナマイトの裏側を見ている気がします。

(メール投稿・血祭さん)



内山 vs ソリス

王座獲得時から内山陣営が待望していた統一戦でしたが、この戦いは個人的には危険なカードだと思っていました。

互いに体を立てて戦う二人の主武器は右ストレート、ワンツー。

互いのベストショット、出会い頭の交通事故が序盤からあってもおかしくないスタイル的な相性に加え、内山が悩まされている右拳痛により、今回はとにかく左を練習したという試合前のオフィシャル情報。

本来ならリードブローがあるって事は素晴らしいことだけど、その磨きかけの左ジャブにソリスの右が被ってきたら…。(三浦がドンピシャを決めたシーンはソリス陣営もチェックしているはず)

実際に試合が始まると互いの得意な距離=危険な距離でどう大砲を当てていくかの神経戦となる。

当たる距離でソリッドブローを放つソリスに対して、内山はグイグイ前へ前へと外していく。小さなヘッドスリップが何度も何度もそりゃ見事、打ちながらも常に防御意識が先にあることに驚かされる。

徐々にソリスが圧力に負けはじめ、重心が後ろ足に逃げ始める。打ち返しがない体勢を確認するとダイナマイトに着火、慎重な強打者内山が徐々に攻撃思考100%のストレートを混ぜてくる(これがまた迫力ある!)。

ソリスも何度か相打ちタイミングで反撃を試みており、内山に怖さを感じさせるべく努力をしていた。が、その勇気がラウンドが進むごとに目減りしてくる。

緊張感のある、いいタイトルマッチだな…、年末にこんなプレッシャーを堪能できる幸せ。(自分が食らったら早々に心が折れちゃいそう)

10R、ソリスの顔面に強打が入り防戦一方に。だが、致命打を避けるべくソリスも必死だ。

終盤だけに内山のスタミナロスが心配されたが、動く顔面には見向きもせず、動かないボディにグサリ一発。なかなかできないことなんだけどなぁ…、ナイスチョイス。

11R、本来フックというのはスイングするパンチである。

内山のフックは以前から思っていたのだが、普通に考えればスイングが小さすぎる。というか、ほとんどスイングしていない。悪く言えばハエタタキのようであり、本来ならダメージングブローになりえない。(私は新人に指導する時、同様のフックを何度か修正させてしまった記憶がある)

が…。

ソリスはこのフックを食らい強烈なダウン、目の上からドクドクと出血したまま10カウント。どう考えても甚大なダメージを受けている…。

すげぇ…。
何年も見ているボクシングだが、今のパンチは凄い。遠心力に頼ることなく筋力だけであのインパクトは尋常じゃない。

いや、今のパンチだけじゃない。内山の全てが凄い。詳しくは書かないが、彼の右ストレートの軌道も理想と言われるまっすぐ軌道ではなく、一旦上がってから下がるというか、アメージングな軌道を描いている。私のボクシング観そのものを変えるような素晴らしいボクシングだった。

サルガドの時も凄いと思ったが、私は当時のサルガドの実力やモチベーションに疑問符を付けていた。が、今回のソリスは実績もあり、試合中も王者たる素晴らしいボクシングで堂々と渡り合っていた。

内山は凄い。
もっともっともっと見てみたい!

(サンドバック)



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