幻のロードスター、「M2 1058」!?


 


先日、めずらしいロードスターを某所で目撃しました。
気になるので思い切って、近寄ってオーナーに話を聞いてみると 「M2の1058だ よ。」と言われました。

「M2 1058」?

そんなの聞いたことありません。「え?なんですかソレ?」って聞き 返したところ、
1028が出た後にM2内でさらに販売が予定されていたモデルだっ たそうです。

1028はすごく高価だったけれどかなり人気があり ました。
で、全国からM2に『もっと手の出しやすいM2ロドスタを作れないか』っ て
たくさん問い合わせが
あったらしい。そこでM2も内 々で作成していて、それがこの1058って言うことらしいです。

1028の廉価版として予定されていたけど、バブルもはじけ ちゃってM2は知ってのとおり。
結果的には無理だったということだけど、正式な製品になる前のモノ だから、端々でツメが甘かったり
するし、正式に言えば『M2 1058プロト』ということ になるそうな。

へー、そんな歴史あったんだ。と少しビックリしましたが、M2は社 内で色んなモデルを作ってたりしていた様ですから、
こんな話があっても不思議じゃありません。

なんでも、1028とかと違って、いろんな汎用品で構成されている とのことなので、オーナーさんから
お許しをいただきパチパチと画像も撮らせてもらいました。



ベース車両はNA1.8ロドスタの黒のようです。
さすがに「廉価版」だけあって、外見は「少し弄ってあるその辺のNAロドスタ」とかわりません。
Bタイプリップはついていますが、1028で採用されていたダック テールは廃止されたようです。


     
     リヤエンブレム            エンジンルームエンブレム             助手席ドアエンブレム

それでもM2プレート「M2 1058」だけはしっかり と存在を主張していますね。
エンジンルームにもしっかりとM2のプレートがあります。番号は打 たれていません。レアですね。
エンジンNoの欄には「SEE ENGINE」とだけ書いてあります。

助手席側には1028と同じタイプのプレートが使用されています が、同じく番号は打たれていなくて
「M2 1058 PROTO(プロト)」とあります。

   
それを裏づけるかのように、1028ではオフセット
さ れていたM2正規のビタロニミラーが、
まだ通常のミラー位置に配置されています。

きっとこれから「本当にオフセットが必要かどうか」を詰めていく段階だったんで しょう。



       

インテリアはあきらかにM2の流れを汲んでいます。
センターコンソールを無くしてセンターパネルをスムージング化。こ れはかっこいいですよね。
あと、所々にメッキパーツが配分されているのも、1028ほどスパ ルタンな仕様を目指していない
デザイナーの意図がうかがえます。コレくらいのメッキなら、メッキ パーツが嫌いなおいちゃんも納得です。

シフトブーツは意外にも「青」。サイドブレーキカバーはコレまでのM2と違いアルミカ バーが付けられています。
不思議に思ってオーナーさんに聞くと、いまリペア中で本当はシフト ブーツと同じ青の合皮とのこと。
でも、コレはコレでいいような気もします。




メーターは名前も知らないメーカーのもので、レイアウトは純正と同 じ。
ただ、文字盤と針を入れ替えることでかなりスポーティにはなってい ます。
どうも『INDYプロダクション』っ ていうところの文字盤のようですが、
レイアウトは変わらなくてもイメージはがらっと変わって、いい感じ に なっています。
「廉価版」のためメーターレイアウトまで弄らなかったんだと思いま すが、とは言えこれはアリでしょうね。


トランクオープナーとフューエルリッドオープナーも そのまま健在。
M2のフューエルリッドもかっこいいですが、簡単便利な機能を残し てあるのはいいと思います。


あと、ドア周りですが、ちゃんとパワーウインドウです。ス イッチはセンターパネルに移設
オーディオの下段、トグルスイッチがそれです。

オート機能はありませんが、手回しからすれば十分でしょう。
デジタル表示は「油温」。これはオーナーの後付けです。


 
シートは助手席は純正、運転席はブリッドの ジータが入っています。かなり年季の入ったバケットですが
これはオーナーが自分で替えているのだとか。なんでも最初は運転席 だけ1028のエスケレートが
使われていたのだけど、自分には合わなかったとのこと。
そのエスケレートはヤフオクで売ってしまった
らしい です。もったいない。

ロールバーは「セーフティー21」の4点式のようです。ただしサイドバーが付いてます。
1028にはAピラーに接続するバーがついていましたが、 1058PROTOにはありません。
たしかに、コレくらいのレベルでもちょっとした峠なんかでは十分そうな感じ。



結晶塗装?のエンジンヘッドカバーが渋い。

エンジンはさすがに弄ってある様子。

オーナーさんも詳しいスペックは知らないらしいですが、圧縮は11くらい。カムはIN250 OUT256
とのこと。スライドカムプーリーはオーナーさんご自身が交換したん だそうです。
プーリーのカバーもないですが、これもオーナーがカットしたそうで す。

給気系を見ると吸気はオーナーの趣味でアペックスのものに付け替 えられていますが、もとは
やっぱり1028の物がついていたらしいです。エキマニ・マフラー もしかり。



嫌味じゃない太さの出口がこれまた渋い。

マフラーだけは
今は社外のものに付け替えているとの こと。
でもこのマフラーもなかなかにいい音をしていました。


で、気になる足回りですが、これはオーナーの趣味もあってオリジナ ルなところはほとんどないとの事。
最初はやっぱり1028のものがついていたらしいですが、いまではアラゴスタの車高調が入っている
とのことでした。ストロークアップアッパーマウントをつけているせ いで、M2のタワーバーが
付けられないのでしょう。純正品が取り付けてあります。まあ、この 辺は仕方ないでしょうね。


こうしてみてみると、オーナーの趣味が所々に入っているとはいえ、 全体的な雰囲気からして
おいちゃん的にはドレッシーな「1002」と、レーシーな「1028」を足して、
2で割ったものにノーマルNAを65%乗じたような感じに受け取 れました。
まさに1028の流れを受け継ぎながら、より「Fun to drive」を意識した「M2ロドスタ廉価版」
といった印象です。これはなかなかに良いのでは?
実際に販売されなかったのが残念ですね。

こうしてみてみるとM2が何をしようとしていたかが垣間見えて面白 いですね。ロードスターっていうのは
乗る人によって千差万別の楽しみ方があるし、一台だって同じ車はあ りません。そういった意味では
メーカーがある種の方向性を示す、つまりこういった楽しみ方もあり ますよ、みたいなことを表現
する方法として、過去のM2みたいなチューンドカーを出すことって 言うのは意味があると思います。




まずお目にかかることのできない「M2 1058」のプロトタイ プ。
今回幸運にも偶然みることができましたが、当時のM2は本当に元気 があったんだなあと感じました。
1058のオーナーさん、またどこかでお会いしましょう。




※この特集記事はフィクションであり、実際にはM2にこういった話はまったくありません。
どう見てもおいちゃんのクルマだしね・・・。。ごめん、みんな!



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