Pバルブ作動原理を考えてみる。
せっかくPバルブを分解したので、ここからは「Pバルブの作動原理」について
考えてみたいと思います。
文系のおいちゃんに果して理解できるかどうか分かりませんが、頑
張って推測してみましょう。
Pバルブは一般的に、
「ワッシャなどを入れてやっ
てバネのイニシャルを上げてやることで、リヤブレーキの効きが良くなる」
と言われています。
それはいったいどういうことなんでしょうか。
Pバルブの内部構造はこんな感じです。
赤い枠が想像の内部構造
緑がフルード
青がプランジャ
濃灰色がパッキン(左)とリップシール(右)
黄色がスプリング
一番右の灰色が蓋(ロックボルト)です。
ワッシャをいれるというのは、蓋とバネの間ですね。まあ、それでイ
ニシャルがあがるのは理解できます。
が、これだけでは何がどうなってリヤの効きが弱くならないのかさっ
ぱりです。
こうして図解にしてみれば分かるかと思いましたが、これだけでは全然分
かりません。(^^;
この図は、無圧力&ブレーキを普通に踏んだ状態で、Pバルブから出
て行くフルードの圧力が、
左フロントブレーキ、リヤブレーキ共に
一緒の時です。
この図だけ見れば、なぜリヤの方へフルードが流れるのか不思議ですよね。
プランジャの「L3」とリップシールはバネで接触はするんですが、
シール側の接面には凹凸が付いていて「密着」はしないよ
うになっています。
こんな感じのでこぼこ具合と、かなり余裕のある動きをす
るリップシール
この隙間からフルード入り込み、さらに、リング状になっている「リップシール」の内径は
プランジャ径対して大きいので、その間からリヤ側へフルードが流れ
るようになっているみたいです。
まあ要は、心配しなくてもちゃんとフルードは流れているってことで
す。
あたりまえですが。
で、いよいよ本題に入ります。まずは、
「ブレーキの圧力が一定値に達した時に、
リヤへのフルードの圧力が減る」という現象を検証してみます。
ネットで色々調べてみたんですが、ロドスタのPバルブを完全に説明
しているHPはどこにも無かったので
他社の車のPバルブ構造を参考にしてみたんですが、
つまり、プランジャがちょっとだけ右に動いてフルー
ドの流量を制御するということらしいです。
こんな感じかな?
リップシールはケース側に固定。「L2」と「リップシール」が近づく、または接触することで
フルードの流量がある程度制限されて、リヤ側への圧力が減ると。
生徒「先生、質問です!」
先生「何かね?」
生徒「フルードが入ってくる時点ではフロントブレーキとリヤブレー
キに
同じ圧力がかかっているハズなんですが、
なぜプランジャが右に動くんですか?」
先生「・・・今から言うからちょっと待ってなさい!」
いや、本当はよく分からんのですが。(^^;
でも、もう少し頑張って、おいちゃんの少ない知識を基に推測してみ
ます。
プランジャを動かす要因として考えられるのは、もちろんブレーキを
踏んだ時の圧力だけです。
となると、プランジャが右に動くためには、フロントブ
レーキフルードの圧力が、リヤ側より勝らなきゃいけません。
古い記憶を遡りますが、中学校の物理で言うと「圧力」っていうの
は、
「圧力=力の大きさ÷面積」で して、
かかる力が
一緒なら作用する面積が小さいほど圧力が大きい
ってことですよね。
これを基に、文系のおいちゃんが、いまにもショートしそうな頭をフ
ル回転させて、Pバルブに置き換えて見ましょう。
フルードが、プランジャに左右の力を与える場所を考えてみると、フロン
ト側は「A面」、リヤ側は「F面」です。
(共に「水色」の色をつけている部分ですね。もっと正確に言うと
テーパーがついている部分とか、L2の
一部分とかありますけど、ここでは完全に無視して話しを進めます)
「A」の直径が約「3.3mm」でしたから、これからトップ面積
(フロントブレーキフルードとの接触面)を算出します。
「A」の面積は
1.65mm×1.65mm×3.14=8.54865 で、「約8.5mm2」と出
ます。
続いて「F」の面積ですが、直径が「11.08mm」ですから、同
じように計算して面積は「約96.4mm2」となります。
で、実際にフルードが左へ圧力をかける面積はドーナツ状ですから、
これを算出するためにこの面積から、「G」の面積を
ひいてやります。
「G」の直径が「8.41mm」ですから、同じように計算して面積
は、「約55.5mm2」とでます。
「F」−「G」=40.9mm2(ドーナツ状の面積)
とまあ、単純に計算すれば、これがリヤ側のフルードがプランジャを
左に押す面積となります。
こうしてココまで計算するまでもなく、見た目で面積が違うのが分か
るんですが、(^^;
要は↓
結局、普段のブ
レーキング圧力では「A圧力」<「ドーナツ面圧力+バネの力」だけれど、
ある一定量以上の圧力になる
と、「A圧力」が勝ってプランジャが右に動く、ということでしょう。
・・・あの、正しいんでしょうか、この考え方?(^^;
ながつ教授のデータによれば、ブレーキ踏力30kgf/cm2の時
からリヤの効きが弱くなってくるということです。
一応、そっちのほうの検証もしてみましょう。まずは単位を合わせま
す。
A面積「約8.5mm2」は「0.085cm2」。D面積は
「0.409cm2」です。(よね?)
単純に30kgf(「f」って何?フォース?)が、それぞれの面積
にかかる力を見てみましょう。
30kgf÷0.085cm2=352.94…
30kgf÷0.409cm2=73.349…
つまり「A面」へは「約352gf」、「ドーナツ面」へは「約73gf」の
圧力がかかっているといえます。
(ひょっとしたら単位とかがめちゃくちゃかもしれません。あくまで
もシロウトの計算としてみてください)
この「A面」と「ドーナツ面」の差、「約279gf」をバネが埋め
ているということになるのでしょう。
バネレートはNBのもので約「1.04kg」と出しました。この数
値が正しいとはまったくもって言えませんが、
仮にこれが正しいとして計算すれば、このバネに279gをかけてや
ると・・・
やった、やったよ母さん!約0.268mm縮んでるよ!!
最大のブレーキ圧力70kgf/cm2がかかった時には、「A面」
「ドーナツ面」の間に約652gの差が生まれ、
バネは約0.63mm縮むと。
・・・うん、「E」の幅とリップシールの厚みから見てソレくらいは
動きそうだ!
まあ、この計算で言えば10kgf/cm2の圧力でも、プランジャ
が動き始めることになるんですが、
約0.2mmくらいまで流量的に大きな影響はないのでしょう。たぶ
ん。
いや、もう、そう決めました。(^^;
この考え方が合って
るかどうかは別にして、なんか個人的に納得できるような雰囲気になってきました。
まあ、ここまでやってみて何となく分かった気がしますが、たぶんこ
れに摩擦係数とかいろいろ関係してくる
ハズですから、ホントのところ(数値)は分かりませんが、確かに「圧力差」でプランジャは動きそうだ
ということは分かりました。(まちがいを見つけた人は教えてくださ
いね。)
J58Gのメンバーの中には、NBのPバルブを流用する時に「上下
さかさま」につけていた人もいましたが、
おいちゃんの考え方でみれば、この取り付け方だと低い圧力でもプラ
ンジャが動きだすことになるので、
NBのモノを流用した意味がなくなるってことになりますね。
(^^;
部品というのはやっぱりちゃんと取り付けてこそ、性能が発揮できる
ようになっているということでしょう。
こうしてPバルブの構造と作動原理が分かったからといって、さした
るメリットは無かったりしますが、
そのうち何か使えるパーツを見つけられれば、外部からの調整が可能
なPバルブでも作れたらと思っています。
久しぶりに脳を使ったので疲れました。(^^;
↓早々と修正編↓
7月3日、さっそく同じクラブの「でっぱ君」からご指摘がありました。(^^)↓
「私も普段勉強しているところなので、少し補足説明させていただくと
本文の内容で圧力の解釈がやや違っているように思います。
つまり、パスカルの原理よりブレーキ配管内の圧力はどこも等しいので
Pバルブの作動に関係がある左右方向の力は受圧面積との積から求めら
れ、
右向きの力は
(A面積 + D-C面積 + F-E面積)× マスタシリンダからの
油圧
左向きの力は
(D-E面積 + F-G面積) × マスタシリンダからの油圧 +
バネの反力
油圧30kgf/cm2gがかかった場合を想定するとバネの反力は
31.32ー20.88=11.12(kgf)
バネレート1.04kgf/mmということなら、
バネを11mmくらい押し縮めて組んであるという感じでしょうか?
私も詳しいひとに聞いたわけではないので怪しいのですが。」byでっぱ
君
ん、なるほど!
フルードが接している所全ての面積を考えなきゃいけない訳ですね。納得です。
となると、次のような感じでしょうか。
右にかかる圧力面を「ミドリ」、左にかかる圧力面を「ピンク」にしています。
でっぱ君の指摘だと、ドーナツの平面2面だけですが、正確に言えばテーパー状の「T2」の部分も入
りますよね。
F面などのような垂直面に、仮に「1」の圧力が面にかかっていると考えれば、角度によっては圧力が
「0.25」や「0.5」にもなると考えられます。(シロウト考えですが)
この部分のテーパー角は、ほぼ45度(1.76mmの間で1.73mm下がっているので)と考えられます。
ということは、「T2」に
かかる圧力は垂直面の半分か?(ものすごいシロウト考えのような気がします)
「T2」の面積は扇形の面積の算出の応用で約「62.05mm2」と
出せます。圧力は「1」の半分だと仮定して、
先に面積を半分にしてやって「T2」=「0.310cm2」
おそろしいまでのシロウト考えで先へ進んでますが、また仮に計算をしてみましょう。(^^;
<右への圧力>
(A面積 + D-C面積 + F-E面積)× マスタシリンダからの
油圧
(0.085cm2+0.378mm2+0.579mm2)×30kgf/cm2
=31.26kgf/cm2
<左への圧力(フルード圧力のみ)>
{D-E面積 + F-G面積 + (T2面積÷2)} × マス
タシリンダからの油圧
(0.280cm2+0.408cm2+0.310cm2)×30kgf=
29.94kgf/cm2
これにバネの力が加わって均衡が取れていると。
31.26−29.94=1.32kgf/cm2
ということは、バネは1mmちょいプリロードをかけて組んであるということになります。
・・・たぶんそんな感じです。(^^;
(さすがに11mmは縮んではないですが、手元にあるNA8のもので6mmくらいはプリロードをかけそうです。)
こうなると、ロッ
クボルト(蓋)の長さを測り忘れたのが痛いですね。
もう、あとの祭りですけど。
結局、でっぱ君から指摘をもらったとはいえ、すべてがシロウトの予想での計算&大まかな計測ですから、
以前も書いたように数値はまったくあてになりませんし、してもらっても困るんですが、(^^;
まあ、たまにはこういうこと考えてみるのも面白いものです。
しかしまあ、こういう小さい部品でも、色んなこと考えられて作られているんだなあと、しきりに感心する
おいちゃんがココにいる。ってことで、お終いにしましょう。>訳分かりませんね。
あ、完全な正解がわかった人は引き続き連絡くださいね。
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