5時起床。いつも通りの朝食をとりごそごそと出発準備をする。
フェリーの受付最終時間は9時なのでさほど急ぐ必要もないのだが、いつまでもココにいても仕方がないのと、
この一週間でツーリングのリズムが身についてしまっている
ためだ。
準備をしているとテントの中に嫌な音が聞こえてくる。「雨」
である。
「パツ、パツ、パツ」とテントに雨がまばらに当たる音が聞こえる。
「マイガッ!いよいよの最終日まで降るか?せめてテントをたたむまではもってく
れや。」
と願ったがそんなことで止むほど甘い雨男人生
ではない。
テント撤収時にはしっかりとテントは濡れていた。仕方がないのでそのまま納めてカッパを着込み7時半頃出発する。
小樽までは30分で着く距離である。
フェリーターミナルのバイク駐車場に相棒を止めて船内用の食事4食分(カップラーメン)を近くのコンビニへ買いに行く。
往路の失敗は帰りに復路で生かすのだ。コンビ
ニから帰ってくるとバイク駐車場に見たことのある人物が。
なんとTZR250の主
である。
先日の会話では、昨日のフェリーで帰る予定だったはず。
不思議に思いつつ
「また会いましたね・・・?」
と声をかけると、
「昨日の船やってこと、忘れててんなぁー。」 (関西弁)
・・・う、うーむ、やはりそういうことか。しかもソレに気がついたのが、 昨夜テントの中 らしい。
仕方がないので、船を変更してもらうために早くにターミナルにきたとのこと。幸い変更可能だったが、危なかったですねぇ。
しかし何かしら「縁」
のある人だなぁ。
時間も早いのでターミナル内をうろうろして土産のお菓子などを買ったりして時間をつぶす。
そうこうしているうちに帰りの便のバイクも次第に増えていく。
見れば、民宿「とおまわり」で一緒になった人もいるし、昨日ターミナルで会ったラン
ツァの人もいる。
帰りのフェリーも余り退屈しないですみそうだ。
乗船時間になり、往路と同じように船の巣穴に戻っていく蟻たち。
わが相棒もフェリーに乗るまでは何とか持ちこたえてくれた。
相棒を置いて着替えと洗面用具、スリッパと貴重品のみ持って上がり、例によって2等船室に入り込む。
往路とちがって同じ区画にはライダーは少ない。楽な服装に着替えてから船内をうろうろする。
ライダー達の行動は大体同じで、見た顔が売店やテレビの前でごそごそしている。
「とおまわり」で一緒になった人と再開を祝いビールを飲みつつ、今回のツーリングについて、民宿を出た後のルートなど色々と話をする。
雨の日に同じように出発した人だが、雨対策は完璧であったのでほとんど濡れることなく、かなりの距離を移動できたのだとか。
カッパはしっかりしたものを使えば浸水はまずないことや、「すぐに破れる」という先入観があった「ブーツカバー」も、
ベルクロなどで足に密着できるタイプのものであれば、そうそう破れないこと。
グローブも、表がゴアテックスでインナーがフリースのものであれば、手も濡れずに快適であることなどなど。
なるほど、雨男のおいちゃんにとっては朗報であるが、それらを揃えるのはまた別の今度にすることにしよう。
そうこう話をしているとTZR250の主や、ランツァの主、他にもZRXの主などが集まって、
あっという間に今回の旅についてお互いが話をする輪が出来上がった。
往路のフェリーとでは、また違った連帯感がある。
それにしてもこの「ソロライダー同士の連帯感」というものは一体何なのだろうか。
もともとライダー同士の連帯感は自動車のそれ以上だとは思うが、ソロツーリングとなると
不思議なほどお互いに親近感が沸く。
車で旅行している者同士がこうして集まって話をするというのは聞いて事がないし見たこともない。
やはり「バイク」という趣味の共通性、かつ、暑さや寒さといった「辛い境遇」を共有してきた者同士のいわば
「戦友」的な連帯感とも取れるというのは少し言い過ぎだろうか。
ともかく、同じような経験をしてきたもの同士が共感できる話はおもしろい。
ランツァの主は3週間ほど北海道にいて「軍資金がなくなったので帰る」とのことである。
3週間あればいろんな所に行けるだろうと少し羨ましく感じるが、これは仕方がないことである。
同じような会合が昼の部・夜の部で行なわれ、ときおり船内で放映される映画を見たりと、復路フェリーでの1日目はあっという間に過ぎたのだった。