閉鎖され放置されている廃墟(病院やホテル等)の心霊スポットだという噂を聞きつけた素人が不法侵入する事例
が最近増えているらしい。昔はたんなるレンズの傷や光の反射等を「怪異」だと思い込むだけだったのに情報機器
の進歩によって素人でも簡単に映像撮影(更に加工も!)や公開ができるようになった。相変わらずそれに安易に
乗るマスメディアも如何なものかと思うが「プロ(?)の霊能者」も相変わらず活躍中のようだ。
「怪奇現象」は実際にその場所に住み着いている「幽霊(以外の怪異も含む)」が存在し、かつ「霊感のある人
(自称)」や「霊能者(同)」が感知する事で顕現する。だが本当にその場所に幽霊が出るのなら「霊感のある 人」で
あればその場所に属する「怪異」は「霊感がある人」には皆同じ「幽霊」が見える筈ではないのか?「霊視能力の
多寡」によっては鮮明度に違いがあるだろう。「素人(?)」なら「なんとなく幽霊の気配」を感じるとか、奇怪な
物音を耳にして恐怖を覚える程度だろうが「プロ(!)」の「霊能者」だと「幽霊」の身元を具体的に証言したり
する。
某懐疑主義者の著書によると当時「某有名なプロの霊能者」が超有名な心霊スポットであるロンドン塔を訪れ
「ある部屋」でシェークスピアの有名な戯曲(つまり創作だ)『リチャード三世』で叔父に殺されたとされている
「二人の王子」の姿を霊視したと語ったとか。(犯人が叔父である説は現代では疑問視されてはいるが日本でも
『忠臣蔵』をそのまま史実だと思い込んでいる人が大多数のようなので面倒だから、ここではあえて触れない)
処刑ではなく暗殺なので居室で犯行が行われても別におかしくないと思われがちだが、著者が指摘したのはその
「ある部屋」が後世に増築された部分であると言う事だ。つまりそこは「殺害現場ではない」のである。もしも
本当に彼等の幽霊が出たのであれば「桜田門外の変」の井伊直弼や殉難の武士達が幽霊となって、すぐそばの国土
交通省や検察庁の屋上に出ても不思議ではない。坂本龍馬なら、物見高そうだから京都タワーの展望台ででも目撃
されたりしても良さそうな気がするが、今のところそういう話は耳にしたことはない。上記の「某有名なプロの
霊能者」が「二人の可哀そうな王子」の事を知らなかったら、もしかすると他の「幽霊」を見たかもしれないが、
なにしろ有名なロンドン塔だ、物凄い数の幽霊達が住み着いててもおかしくない。歴史に名の残る人物以外にも
(有罪無罪を問わず)相当な数の死者の霊が住み着いている筈だ。「霊能力のプロフェッショナル」なら通勤時間帯
の新宿駅のように大量の「幽霊の姿」が見えそうな気がするのだが。もしかして「可哀相な王子達」が大量の有象
無象の幽霊達に押し出されて空中に出現したとでも言うつもりなのか?
余談だが、以前、都内某所の再開発地域で高層マンションが建築され話題になった。その時期の集まりで一人が
「そのマンションで幽霊が出た」という話を聞いたと言ったので、その場にいたほぼ全員が「新築のマンション
なのになんで幽霊が出るんだ!」と一斉にツッコミをいれた。当時話題になった場所だから建築中の死亡事故でも
あればメディアが放送しないわけがないし、マンションが建つ前は長年大手企業の工場があった。たとえその場所
でかつて死者が出た事があったとしても本当に「出る」場所ならすでに何件もの目撃談が報告されているだろうし
ましてやはるか上空の高層階で目撃されるのはどう考えても不自然だ。
前記とは別の某著名な懐疑主義者が「ある特定の場所」で実験を試みた。かなりの過去に遡ってその場所を調査
して、その場所では「心霊や怪異が起きる原因となるような事柄は全く記録されてもいないし、見聞された事も
ない」のを確認してから、そこで「怪異が起きた」という噂を流した。するとたちまち「幽霊(らしきもの)を目撃
した!」という人々が続出し、さらにその「幽霊の具体的な情報」まで集まったという。
火のないところには煙はたたないが、燃料をおいて火を点ければ煙も出る。
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