サカキさまの絵本2

寒がりツーちゃん
文・モリウチ さま 絵・にゃんた

夕べの吹雪が嘘だったかように今朝は快晴です。
久しぶりの休日をくつろぐボスは窓の外を見ると突然こう言いました。
「運動を兼ねて雪かきをするか」
屋敷の者達は止めますが、ボスはスコップを片手に庭へ出ます。
ペルシアンはもちろん、寒さが苦手なミュウツーもワクワク気分。

そこへ来たのはムサシ、コジロウ、ニャース。
どうやらポケモンをボスにプレゼントしようとやって来たようです。
いち早く気づいたのはミュウツーでした。
「せっかくの時間を邪魔されたくはない」
考えるやいなやサイコキネシスで3人を空へ飛ばしてしまいました。
何が何だか分からないまま空に浮かぶムサシ達。
そして休暇は楽しく続きます。

ペルシアン、ミュウツーも手伝ってカビゴン雪だるまの完成!!







日が傾き寒くなってもボスの勢いは止まりません。
ミュウツーはあまりの寒さにペルシアンで暖をとります。
「ボスは何をやっているんだろう・・・」
「早く暖かいお屋敷へ入りたいのに」
ボスの姿が穴の中に隠れてしまって不安な2匹。
空はドンドン暗くなっていきます。

「出来たぞ」
やっと聞こえたボスの声で穴にはいると・・・







雪のお部屋は思ったより暖かく快適です。
ボスが作ってくれた飲み物は更に温かで幸せな味でした。
ぽっかり開いた雪の穴からは美しい星空が見えます。
ボスがとても優しい表情をしています。
「このまま時間が止まってしまえばいいのに」
ペルシアンとミュウツーはそう思いました。







「ふわふわする・・・・」
ミュウツーはまどろみの中でボスとペルシアンの顔を見ます。
ボスはためらいもなくミュウツーに膝を提供します。
ペルシアンはボスのコートをミュウツーに掛けてあげました。
「間もなく夜明けだ。それまで眠るといい」
静かな声は心に響きました。
「ここには安らぎがある。私は・・・ここにいる。
この安らぎにしばし浸っても構わないのか・・・・・」
ボスのまなざしは変わらず穏やかでした。
「意識が・・・・・・・」
ミュウツーが眠りについたその時です。















 強い衝撃と共にいきなり目の前が真っ暗になりました。
 ペルシアンとミュウツーには何が起こったのか分かりません。
 直後、いつもに増して迫力のあるボスの怒号が冷たい空気を
 切り裂きます。

 「役に立たない上にこの行動。説明してもらおうか」
 「わ、私たちもワケが分かりません〜〜」
 「ボスにポケモンを〜でもいきなり空へ」
 「ニャー達は何がにゃんだか分からないにゃ〜〜」
 いつもの3人組は寒さに震えながら恐怖のあまり言葉に
 ならない声で言い訳をします。
 「処分は追って伝える!一刻も早く私の目の前から立ち去れ」

 やっと雪の中から脱出したミュウツー
 「眠ってしまった・・・・」
 浮かせていた3人のことをすっかり忘れて。

ミュウツーの力で凍てつく空中をさまよっていた3人は、ミュウツーの眠りと共に重力に任せてかまくらの上へ落下したのでした。
「このことは・・・・伏せておこう」
小さくつぶやいたミュウツーの声は白い息と共に空へ消えていきました。

おわり   




ギャラリーの総目次に戻る
MENUに戻る TOPに戻る