携帯獣世界征服計画

序文

 ポケットモンスターに関する研究書は当局、またその関連から数多く発刊されている。しかし
その大半はゲーム「ポケットモンスター」における冒険、そして図鑑完成の手引きであり、また
バトルやコンテストでの勝利を目指す事を目的とするものがほとんどであり、アニメにおいては
物語の主題が主人公、またその他の登場人物をメインとしている。
 その為、それ以外の事柄はひとつひとつ説明すると煩雑になる為に割愛され、具体的に定義
されている事は稀である。
 だが物語はスポットライトを浴びる役者達だけが全てではない。 主人公の歩く道が表舞台で
あるとしたら、当然その裏には彼等が属する「ポケモンのいる世界」が存在し、そこでの営み
がある。ここではこの魅力的な世界の出来事から広くデータを渉猟し、人目には触れる事のない
裏舞台の側から、個々の物事に注目して研究、解析していきたい。

なお、ポケットモンスターの世界はアニメ ・ゲームに留まらず、幼児向きの絵本や各種コミック連載など各種あるが、
 あまりに多岐にわたっているのと、それぞれが別な設定になっている事例も多い為、ここではデータ元をゲームと
 テレビアニメ(劇場版も含む)に限定している。



1.「ものひろい」考
2.「モンスターボール」考
3.「トレーナーの定義」
4.「ポケモンジム」
5.「資源」としてのポケモン






「資源」としてのポケモンat 2021 8/8

 ポケモンの用途としては、大きく分けて使役、生体利用、食肉になる。
1.使役
 真っ先に想起されるのは、バトルを職業とするポケモントレーナーが、バトルに使用する場合で
ある。その他には、バトルトレーナーではないポケモンの飼い主としてのトレーナーに労働力として
使役される。トレーナー自身が個人的な用途で使役する場合だけではなく、アローラにおけるライド
ポケモンや、ガラルのアーマーガアタクシー、ポケジョブのように商用に使役される事も多々ある。
格闘ポケモン等による力仕事だけではなく、毒ポケモンによる汚染物質の処理、電気ポケモンによる
発電等も該当する。また、愛玩用としての用途は更に広範囲になり、これに関してはほぼ全ての種類
のポケモンが該当する。

2.生体利用
 プクリンの換毛、メリープ、ウールーの体毛、ワタガシラの綿毛は上質な繊維として利用される。
チルタリスの羽毛やモンメンの綿は高級布団に加工される。他にバクガメスの排泄物は燃料になり、
バンバドロの吐く泥は土壁に使われ、ミニリュウが脱皮した抜け殻は最高級ななめし革にされる。
自然に抜け落ちるサニーゴの角等、ポケモン自身が不要になって廃棄した物質を利用する例は多いが
食肉用とする場合と同様に、身体や生命に損傷が考えられる場合がある。日焼けの治療に使われる
ナマコブシの分泌する粘液や、薬の材料となるグレッグルの毒液、漢方薬にするパラス、パラセクト
の胞子、その背中に寄生した茸は問題なさそうだが、強壮剤になるチェリネの頭の葉、万病の薬と
いわれるボクレーの葉、ジャラランガの鱗、エアームドの羽根、ガントルの結晶等はどうだろうか。
他にもパールルの真珠や、プーピッグの宝石は微妙なところだ。マグマラシやプクリンの毛皮、宝石
としてのスターミーのコアは、明らかに生命を損なうものだろう。
 ラッキーの卵、ミルタンクの出す乳、トロピウスの首に生える果実や、アマカジの汗、マホイップ
の手から分泌されるクリーム等、食用でも生体を損なわずに得られるものもある。ただラッキーの
卵は自発的に他者に卵を与える事があるようだが、逃げ足の速さを考えると強制的に採り上げようと
する輩(人間、ポケモン共)も多そうだ。ヤドンの尻尾や、タルップルの背中の皮、チェリンボの
小さい球(食べられたくないので逃げ回るらしい)は、生命はともかく身体が損なわれている可能性は
否定できない。

3.食用
 サメハダーのフカヒレや、カマスジョー、バスラオのように、人間に食肉として利用されている
ものもいる。現在では、サメハダーやバスラオは捕食対象にはなっていないようだが、前者のように
絶滅が危惧されたり、コイキングのようにあまり美味でない等の理由で、食されなくなっただけかも
しれない。個人的な推察だが、他にも様々なポケモンが人間の食用に利用されているのではないか。
特に大きな群れを作るので大量捕獲の容易そうなヨワシを飼料にして養殖したホエルコ(標準13.0kg)
をホエルオー(398.0kg)に進化させると、かなり効率良く大量の食肉が得られるのではないかと考えられる。
 アニメでは、ポケモンの食事はトレーナーから与えられるポケモンフーズか、人間と同じものを
食べている事が多い。また野生のポケモンが、人間の食べ物やポケモンフーズを盗食したりする場合
もある。そしてしばしば野生のポケモンが、他のポケモンや時には人間を、おそらく食用目的として
襲う場面もあるが、それらが既遂になった事はまだ確認されてはいないようだ。子供向けのアニメの
放送倫理かなんぞに配慮しているのか、あえて避けているのかもしれない。
 しかし野生ポケモンの世界にも弱肉強食の生態系はある。ポケモンは、いろいろなタイプに分類
されているが、ポケモン以外の生物も登場している。アニメでも野生のポッポに捕食されていた
「虫」の他に「魚」や「植物」もいる。だが植物以外の登場は寡少で、実際はポケモンがポケモンを
餌として捕食している例が多いようだ。
 食性の傾向としては、ゴーストやエスパー系が、生命エネルギー等を吸い取る、飛行タイプが虫、
水、植物系のポケモンを食べる傾向があるが、もちろん同系、他系に関わらず、ポケモンを餌にする
ポケモンが、他のポケモンの餌にされている場合も多い。中にはヌメルゴンのように同種のポケモン
をも捕食するのがいる。
 これらの現実は、アニメでは直接的に取り上げられる事は今のところないが、ゲームのデータには
しっかり記載れている。アニメにおける「子供の夢にリアルを持ち込まない」という姿勢の一方で、
ゲームでは「リアルな事実」から逃げないポケモンワールドの姿勢には大いに賛辞を贈りたい。






ポケモンジム at 2009 6/6

ジムバッジ
 トレーナーは8個のバッジを集めると、ポケモンリーグの出場資格が得られる。しかし、ただ単に
8個あれば良い訳ではない。ジムには、初心者レベルの1から最高レベルの8まであり、基本的に
一つの都市に一つしかないので、トレーナーは各都市を回って、各ランク毎に最低一つのバッジを
集めなくてはならない。ジムのレベル1から8までは相当の開きがあり、レベル1では「ポケモン
リーグに出場経験もないジムリーダー」と馬鹿にされている一方で、レベル8のバッジを持っている
だけで四天王に「強いんだね!」と感心されるほどだ。またバッジにはそのランクによって、自分の
ポケモンの能力がアップしたり、秘伝技が使えるようになったり、レベル交換などで手に入れた
他人のIDがついているポケモンを服従させる事が可能になる。このバッジは各ジムのリーダーに
挑戦し、ジムバトルに勝利したトレーナーにのみ与えられる。ジムバトルは、オレンジリーグなど
ローカルな物は別として、原則的に有資格者の審判が立ち会い、公式試合のルールに乗っ取って
どちらかの手持ちポケモンすべてが戦闘不能になるまで行われる。使用されるポケモンの数等は
各ジムの裁量に任されているが、ジムリーダーの使用するポケモンのタイプがあらかじめ明らかに
されていたり、バトル中のポケモンの交換は挑戦者のみとしたりと、挑戦者に有利な規則になって
いる場合が多い。
 このようにジムバッジは、トレーナーのステータスとして非常に重要な物である。しかし、実際
にはこのバッジの授受は意外に適当で、サトシのように、正式なジム戦をせずに、挑戦者がバッジを
与えられる例も多々ある。また、ジムリーダーからリーグ本部に認定者を報告し登録するような
事はないようで、ただバッジを持っているだけで、上記の資格が得られるようだ。だからムサシが
盗品のバッジでポケモンリーグに出場しようと試みたり、サトシのグリーンバッジのように、偶然に
拾得したバッジでも、リーグ戦に出場が可能だったりする。

その他の役割
 一義はポケモンリーグの出場を希望するトレーナーに、資格の証となるジムバッジを与える事
であるが、同時にトレーナーの養成も重要な仕事である。ジムにはバッジレベルの格付けの他に
リーダー個人の得意分野という特性があり、フィールドやポケモンのタイプはその属性に帰する。
これは多様なポケモンとのバトルを体験する事で、挑戦者の実力を陶冶する為である。そして
特定のタイプを究める目的で、修行する者を教育する場所でもあって、彼等はジムトレーナーと
呼ばれ、ジムリーダーに挑戦するトレーナーの力を試す役割をする場合もある。
 他にも、まだトレーナーとなる免許を取得できていない年少者に、ポケモンの取り扱いを事前に
教育したりもする。バッジを懸けたジムバトルの他に、エキビジションマッチなど、ショーとしての
ポケモンバトルも行われる。更にハナダジムの水中ショーや、セキチクジムの忍者教室、タマムシ
ジムの香水屋、生け花教室等のジムの特色を生かした副業、人々とポケモンの交流による地域社会へ
の貢献と、その役割は多岐に渡る。

ジムの設立
 トキワジムのように最高レベルのジムでは、ジムリーダーが不在の場合に四天王のメンバーが代行
するなど本部との繋がりが強く、リーグ本部によって設立された可能性が高いが、レベルの低いジム
の場合は、個人がジム設立を申請する事もあるようだ。その際は、まず私設ジムを作り、ポケモン
リーグから検定員の調査が入って、その審査に合格すれば公認される。ヤマブキシティやダーク
シティのように、複数の私設ジムがある場合は、勝った方が公認ジムになれる。
 しかし低レベルのジムの場合、一度認定されてしまうと、その後の管理はかなり甘いようで、
かつてタケシがリーダーをしていたニビジムのように「トレーナー修行の旅に出ながらモノに
ならなかった」父と、出奔したが舞い戻って来た母の二人がジムリーダーを務めていて、更に
もともと岩タイプだったニビジムを勝手に水タイプに変えたりなど、やりたい放題である。一応は
ジムリーダーの交代があった場合、本部から監査が入る事はあるらしく、カスミがハナダジムの
リーダーに就任した時には覆面調査員が来た。しかしこの時カスミはジムのリーダーの地位を懸けて
挑戦者とバトルをするという相当いい加減な事をしていたが、なぜかこの再検定には合格している。

経営
 収入の内訳としては、まず一般のポケモンバトル同様に、勝負に懸けられた賞金があげられる。
(この場合は受験料と表現するのが妥当かもしれない)。挑戦者は、ジムリーダーに勝利すれば賞金
とジムバッジが手に入るが、もちろん負ければ没収される。しかし現実的には負けた挑戦者からの
収入だけでは、ジムの維持は困難である。キッサキジムのように、僻地にあるジムなどは挑戦者の
訪問自体が少ない事もあるし、一度バトルをすると、リーダーのポケモンを回復する時間も必要
なので、ジムバトルの回数も限られる。実際には賞金が収入に占める割合は意外に小さいだろう。
その一方バトルの度にメンテナンスを必要とするバトルフィールドの整備の経費もばかにならないし
(フエンジムではジムリーダーのアスナ自身で整備をしていた)。ジムの運営にもかなりの支出が
伴うので、ポケモンリーグ本部から維持管理の為の資金が支給されているのだろう。
 事実、ジムの経営はかなりの高収入が見込まれる。ニビジムは最低レベルであり、更に立地も
決して良いとは言えないが、それでもリーダーのタケシ一人で、10人の弟妹を養っていた。また
ダークシティでは、この高収入を目当てに、二つの私設ジム同士で町中を巻き込んだ激しい争いに
なり、覆面調査員に公認ジムの指定を拒否されている。






トレーナーの定義 at 2008 10/10
 「トレーナー」という言葉には、二通りの意味がある。広義では、単にポケモンの飼い主という
意味で、そのポケモンを今現在所有している人間を指す。この件に関しては「モンスターボール考」
に詳細な定義があるので、そちらを参照いただきたい。 もうひとつの用例として「職業トレーナー」
というものがある。これは主にポケモンを戦闘用の道具として使役し、バトルをする事で賞金を得る
事を生業とする。彼等が一度に所持できるポケモンは六匹という制限があり、すでに六匹所持して
いる状態で、新たに野生のポケモンを捕獲した場合は自動的にボックスに転送され、七匹目の携帯は
許されない。(ただし「未GETのポケモンや他のトレーナーのポケモンであれば所持は可能)。
 職業トレーナー以外にも、ポケモンを使役する職業はあるが、これはポケモンの持つ能力を利用
するものであり、必ずしも「技」を使うわけではない。また彼等には、職業トレーナーのような
頭数制限もない。つまり「職業トレーナー」とは、「バトルが仕事」という点で、単なるトレーナー
とは区別される。 基本的にバトルに懸けられた賞金を主な収入とする「職業トレーナー」ではあるが
その他にも、ジムリーダーや四天王等が行うエキジビションマッチなど、ショーとしてのバトルを
する場合もある。そういう意味では、ポケモンの技をショーアップして見せる事をメインとする
コーディネーターも職業トレーナーの一種と見なしてよいだろう。
*以下、職業トレーナーは単に「トレーナー」と表記する。

1.最初のポケモン
 さて、トレーナーとなる道を選んだ者達は、その旅立ちの日に最初のパートナーとなるポケモンを
受け取る。地方によって設定年齢に違いがあるが、カントーでは、十歳でポケモン取扱許可証が交付
され、初心者用のポケモンが支給される。そのポケモンはポケモンリーグから委託されたブリーダー
のところで育成され主に研究所で受け取るが、地域によって研究所が遠方の場合はポケモンセンター
が代行する事もある。このポケモンも地域によって種類が違うが、基本的には炎タイプ、水タイプ、
草タイプの幼態で、初心者でも比較的扱いやすい種類が選ばれる。サトシの場合はピカチュウだが、
これはオーキド博士の手違いの結果であって例外事例である。またタケシの場合、父親から贈られた
イワークだが、この場合は、タケシがもともと職業トレーナー志望ではなかったので、この最初の
ポケモンは、ペット用に購入されたものと思われる。

2. 初心者トレーナーの収入
 賞金を手に入れるには、まずバトルに勝つ事だ。そして一人前のトレーナーというのであれば最低
でも生活できる位は稼げなくてはならない。しかし全くの初心者が、いきなり高額な賞金の得られる
ハイレベルなバトルに勝利するのは困難だ。まずは野生のポケモンとバトルをしてレベルを上げる。
同時に自分用のポケモンもGETする。また同程度のトレーナーとバトルをする。この場合は勝てた
としても賞金はさほど稼げない。ゆえにトレーナーとして生活できるようになるまでは、ある程度の
自己資金を準備できる者でなくてはならない。だから許可年齢に達しても、トレーナー修行に旅立つ
夢をあきらめたり、出立しても思うようなレベルに到達できずに中途で挫折したりする者も数多い。
タケシの父親の場合は、成人し家庭を持った後、昔の夢を諦めきれずトレーナー修行の旅に出たが、
結局はモノにならずに舞い戻って来た。

2.トレーナーの目標
 トレーナーという職業を選んだ者の、最終目的は「ポケモンマスター」になる事であろう。
ただ、それが具体的にどのようなものなのか、詳細はまだ明らかになっていない。おそらく各地方に
いるチャンピオンのさらに上、ワールドチャンピオンの事を指しているのではないかと推定される。
当然の事だが、トレーナーの最高峰「ポケモンマスター」となるのは、相当に実現困難な夢だ。
「ポケモンマスター」以前に、トレーナーのトップ階級に入る第一歩は、ポケモンリーグでの優勝で
ある。しかしそこへ到る道もまた険しい。まず各地にあるレベル1から8までのジムバッジを集め、
ポケモンリーグの出場資格を得なくてはならない。ジムはひとつの都市にひとつしかなく、また同じ
レベルのバッジでは複数GETしてもカウントされない。だから最低でも八つの都市のジムを巡り
更に各ジムのリーダーに勝たなくてはならない。ゆえにポケモンリーグに挑戦するには、ある程度の
自己資金と、それ相当の実力が求められる。他には、ポケモンゼミナールのような全レベルのジム
バッジ制覇と同等の資格を得られる学校もあるが、入試や学費の問題など、旅とはまた別な意味での
困難があるので、一般にはサトシのように、ジムバッジを集める修行の旅に出る場合が多いようだ。






2.「モンスターボール」についての考察
    ※以下MBと略す
at 2005 07/07
◎基本構造
 MBにはいくつかの種類があるが、その差はゴージャスボールとフレンドボールのみが捕獲後の
ポケモンに影響を及ぼすが、他のMBにおいては捕獲したいポケモンの種類に応じて使い分ける
もので、ボールそのものの機能には大きな違いはない。そのすべてに共通する基本的な機能は
ポケモンの捕獲と格納である。MBは、普段は子供の掌の中に収まるほどの大きさであるが、
中央部に付いているボタンを押すと本来の大きさに拡大し、その機能を実行できる状態となる。

1.変換
 野生のポケモンを捕獲する場合、MBのボタンを押してスイッチを入れる。するとMBから放射
された光線が野生のポケモンを捉え、MB内に収納する。この時に出る光線は、物質を電気信号に
変換して縮小し、MB内に格納できるようにするものである。また注1※職業トレーナーのように
一度に携帯できる自分のポケモンが六匹に限定されている場合、すでに六匹のポケモンを携帯して
いるトレーナーが新たなポケモンをGETした時は、MB単体で自動的にパソコンに転送される。
つまりMB自体にも、転送機能が内蔵されているというわけだ。
 この「物質を変換し縮小軽量化する」というのはポケモンワールドでは普遍的な機能で、MB以外
の道具類等も同じように変換し、縮小軽量化して携帯を容易にする事ができる。ポケモン同様に
パソコン内に保存した上、別な地域のパソコンに送り引き出す事も可能だ。ただ、MBにおいては
格納できるものがポケットモンスターという生命体に限定されている為、他の物質では一度変換
出来ても格納できず、再物質化してしまう。また捕獲しようとしたポケモンが抵抗したりすると、
電気信号化が不完全で再物質化してしまう事もある。 なお、これらの機能はすべて最寄りの
ポケモンセンターと連繋したものなので、停電時のラルースシティのように、ポケモンセンターの
機能が停止した場合は、そのエリア内ではMB自体に故障がなくても、その機能は完全に停止して
しまう。

2.IDについて
IDは捕獲したトレーナーの識別番号で、ポケモンを交換した時もそれは変わらない。ただ、もう
ひとつ所有者のIDというものもあり、捕獲した者と所有する者が違う場合は、捕獲した者のID
だけではなく現所有者のIDの両方が記録される。ポケモンを交換する場合に交換機を使用するのは
この所有者IDを書き換える必要があるからである。
 一般にMBにはポケモンにIDを書き込む機能がついているが、それは「自動ID書き込み機能」 が設定されている場合に限られる。工業製品のMBにはこの機能が設定されているのでトレーナーは
ショップでMBを購入した時に所有者IDが登録され、そのMBでGETすれば自動的にトレーナー
のIDが書き込まれる。また「ものひろい」などで、所有権が放棄されたとみなされるMBを拾得
した場合も、トレーナーがそのMBを拾得した時に所有トレーナーのIDが書き込まれるように設定
される。ジョウトのヒワダタウンでサトシ達がガンテツさんにぼんぐりの実から作ってもらったが
このMBにはこの自動設定機能がなかったので、野生のワニノコをゲットしようと二人同時にMBを
投げた時、このワニノコがカスミの物かサトシの物か区別がつかないという事態を招いてしまった。

3.帰属意識の刷り込み
 ポケモンの電気信号化が無事に遂行され、捕獲に成功した時には、ポケモンには自動的に捕獲した
トレーナーのIDが書き込まれるだけでなく、同時にGETしたトレーナーへの帰属意識がポケモン
の脳に刷り込まれる。この帰属意識は、直前まで野生であったポケモンに(大抵の場合、自分を痛め
つけ弱らせた)トレーナーに対して服従する行動をとらせるものなので強制的な作為が必要である。
なお上記のフレンドボールとゴージャスボールは、この機能が特に強化されている。
 ポケモンは、捕獲したトレーナーと所有者が同一であればレベルが上っても所有者の命令を聞くが
捕獲者IDが所有者IDと違う場合、注2※所有者のレベル(ジムバッジの保有数)によっては命令
に従わない場合がある。その具体例を、サトシのポケモンを例に検証しよう。

* ピカチュウの場合
 サトシのピカチュウをはじめ、初心者トレーナーが持つ最初のポケモンは、トレーナー自身で捕獲
したものではなく、しかるべき機関から提供されるものである。これら初心者用のポケモンは、
ポケモンリーグ本部から委託された団体や個人が繁殖育成して、IDはまだ白紙状態である。そして
それぞれのトレーナーに渡される時にそのトレーナーのIDが記録され、同時に所有者への帰属意識
が刷り込まれる。ただサトシの場合は、オーキド博士が初心者トレーナーの人数を間違えて、四人の
トレーナーに対して初心者用ポケモンを三匹しか用意していなかった為、しかたがなくオーキド博士
が所有していたピカチュウを提供する。ゲームのピカチュウ版で見られるようにこのポケモンの捕獲
者はオーキド博士なのだが、ある種の有資格者にはMBの捕獲者IDを書き換える事が可能なのだ。
しかしこの時は慌てていた為なのか、帰属意識の刷り込みをしなかったようで、ピカチュウはまだ
トレーナーレベルゼロであるサトシの命令を最初から聞こうとしない。

* ヒトカゲ・リザード・リザードンの場合
 トキワの森でサトシが初めて捕獲したキャタピーと、次にGETしたピジョンはID自動書き込み
機能付きのMBで捕獲されている為、はじめからサトシの命令に従う。またピカチュウも、サトシと
親密な関係が構築されると、サトシの命令に従うようになる(たまにそうでない時もある…)。
 しかし捕獲者IDがサトシのものでなかったヒトカゲは、進化してポケモン自身のレベルが上ると
注3※トレーナーレベルの低いサトシの命令に従わなくなってしまった。だがサトシと心が通じ合う
ようになると、再び素直に従うようになる。捕獲時に強制的に服従心を持たせる効果は長時間持続
しないが、なつき度をあげればトレーナーのレベルが低くても、レベルの高いポケモンに帰属意識を
持たせる事は可能である。
注1、注2、注3については別な項目であらためて述べる。

4.ぼんぐりに関する考察
 『セレビィ時を越えた出会い』に登場したユキナリ少年の所持品は、40年前のものとされる。
さすがに旧式な品だけあって、今使われているMBに比べると、使い勝手は少々不便なようだ。
一方、以前ジョウトではぼんぐりのの中身を取り出し、特殊な装置を埋め込みMBとしていた。
ぼんぐり製のMBは原料となるぼんぐりによって、その用途に違いがある。フレンドボールは
ゴージャスボール、ルアーボールはネットボール、またレベルボールはネストボール等々、
ホウエンで開発されたボール(カントーでは諸島部でのみ販売される)と代替できるものもあるが、
ヘビーボール、スピードボール、ムーンボール、ラブラブボール等、ぼんぐり製に限られるボールも
ある。今でも手に入れば便利なのだが、ジョウトで、しかもガンテツ名人に材料を持ち込み製造して
もらうしか入手する方法がない。金額から見ても逃げ足の速いポケモンをつかまえる場合は、原価
無料のスピードボールの方が1,200円のハイパーボールよりも優れているし、他のぼんぐり製のMB
も市販の特殊機能付きMBに勝るとも劣らない。この便利なぼんぐり製のMBが使われなくなった
のはなぜだろうか。
 「ものひろい」編でも考察したように、ポケモン世界では地方により気候風土に違いがある。
わざわざ畑に埋め、水をやらないと木の実が収穫できないホウエンと違い、カントーやジョウトは
植生が豊かである。ただ、ぼんぐりだけはカントーには産しない。逆にいえば、ぼんぐりはジョウト
では野生の状態で自然に実り、容易に入手できる材料なのだ。しかしひとつ問題がある。それは
ぼんぐりの実が一日一個しか成らないという事である。毎日成るのだから、十日で十個と単純に
考えがちだが、事はそう簡単ではない。ぼんぐりは、一本の木につき1個の実を収穫できる。
そして翌日の0時には、また次の実が収穫できる。しかし翌日の実が成る時には、前日成った実は
もう落ちてしまい、採る事ができないのである。ぼんぐりの実は、どうしてもその日のうちに
しなくてはならないのだ。いくら優れた性能のボールが作れるとしても、これでは収穫の手間が
かかり過ぎてコストが嵩んでしまう。その結果、品質が安定し、便利な機能(IDの自動書き込み
等を備えた工業製品のMBが一般化してくると、ぼんぐり製のMBを使う人が減ってしまうのは、
仕方のない事であろう。
 また、ジョウトで使われるぼんぐりはショップで売ると100円であるが、わざわざ野生の木の実
を集め、名人に依頼して作るぼんぐり製のMBをシッョプで売るとわずか80円である。市販のMB
よりも性能が優れているにも関わらず、この価格設定には疑問を感じられるかもしれない。だが、
これは正規な流通ルートがないからである。昔は人々が自分でぼんぐりを集め、機械を埋め込んで
作っていた。もともと自家製のものであり、市販される商品ではなかったのだ。現在は、ぼんぐり
から性能の良いMBを作れるのは一部の名人に限られ、それも商品として購入可能な物ではなく、
名人の好意によってのみ入手する事ができる限定品である。安定供給が出来ない商品は、店側と
しても販売コストがかかるので、買取価格が低く設定されてしまうのだ。なお、ぼんぐりの実の方が
ボールより高いのは、未加工のぼんぐりは薬品などの原料として使用できるので、比較的価格が
高めになるからであり、決して名人の腕をマイナス評価しているわけではない。その証拠にタイプ別
のMBは、特別な機能のない普通のMBに比べて格段に高価であり、フレンドボールと同等の機能が
あるゴージャスボールは非売品である。






1.「ものひろい」についての考察 at 2005 02/02
 アドバンス界で新規に発見されたものとしてポケモンの特性というものがある。そのほとんどが
バトルにおいて重要視されるものではあるがトレーナーの日常においてバトル以外にもが利用できる
特性が「ものひろい」である。この特性は主にジグザグマ、マッスグマ、ゴマゾウ、ニャースが
持っている。ホウエンで拾ってくるアイテムとしては回復用や治療用の医薬系、能力やレベルアップ
用の強壮剤系、モンスターボール系、技マシン類、その他の道具類に分類される。ポケモンが拾うと
いうからには、これらが地上に放置されていて、それを発見者が収得しても良いとされているという
事である。本来なら遺失物とみなされそうなものではあるが、バトルの時に相手のポケモンが持って
いる道具を奪取し占有する事も許されているので、これらも所有権が放棄された廃物とみなしても
良さそうである。ならば、なぜこれらのアイテムが放置されているのか?この論文ではその理由を
考察してみた。

1.ボール系
 これに関しては一番わかり易い理由として、一度投げたモンスターボールはたとえポケモンが捕獲
できなかった場合でも再度使う事が出来ないという事実がある。野生のポケモンを捕獲する場合は
大抵の場合バトルで体力を減らし、更に状態異常にするなどして、弱らせてからというのが普通で
あるが、やはり野生動物であるから飛び出してきても、自爆したり逃走したりして捕獲される事を
拒否する場合がある。だから当然ある程度の距離を置いてモンスターボールを投げるわけだが、一度
GETできたと思ってもポケモンがボールから出てしまったりして捕獲できなかった場合、その
ボールは無駄になってしまう。そのボールをすぐに回収すればリサイクルが可能であるが、野生
ポケモンが生息している場所は、丈の高い草原であったり、暗いトンネルや岩山、水中等々で回収
するのが困難な事が多い。と、いうわけでトレーナー達は投げたボールの回収を諦め、そこいに空の
モンスターボールが放置されたままになる。そういう物を見つけて拾い集める性質が「ものひろい」
なのである。この特性を持ったポケモンはどちらかというと小型で人間よりも目の位置が低い事から
みても、モンスターボールだけでなく他のアイテム類についても同様の理由となる。

2.薬系&その他の道具系
 これらは純然たる遺失物のような気もするが、それではあまりに数が多過ぎる。その他の道具
類に関しては、本来ポケモンに持たせて使用する道具なので、トレーナー同士や野生ポケモンとの
バトルで「どろぼう」されたり「はたきおとす」で手放したモノと推定される。またポケモンに
使う道具以外でも、バッグが満杯の場合ポケモンに預ける場合もある。それらの貴重なアイテム
を野性ポケモンのバトルで奪われてしまった経験がある人も多いだろう。更に旅の途中でバッグが
満杯になった場合、近くにポケセンでもがあれば自分のパソコンに転送すれば良いのだが、それが
できない場合は、余分なアイテムを仕方なく捨てるという手段をとる事もあるだろう。更にもう
ひとつの可能性として、持ち物をバトル以外でもポケモンに奪われる場合がある。アニメの第一話
でサトシが自分のリュックから目を離した隙にコラッタがリュックの中身を漁っていたのを御記憶
であろうか。ポケモンが人間の持ち物を掠め取るという行動は、特に食物類においては枚挙に暇が
ないほど数限りなく確認されている事だ。旅のトレーナーは人気のない、ポケモンの群生する地域
を徒歩で旅するのであるから、野生のポケモンがそれらの持ち物をこっそり盗んだり、時には強奪
するのだろう。また、薬を使ってもらうとポケモンが喜ぶといわれているように、マックスアップ
などは人間が飲んでも美味なくらいだから、ポケモンにとっては食物同様に大いに好む可能性が
高い。「ものひろい」の特性を持たないポケモンでも、しばしばいろいろな道具を持っている事を
考慮すれば、それぞれのポケモンによって好む道具(木の実も含む)というものがあり、旅をして
いるトレーナーから奪ってはみたが、好みの物でなかった場合や容器に入っていて自分で開ける事
が出来なかったりした時はそこいらに放置する事が考えられる。事実バトルの最中でも木の実など
はポケモンが自分で使用できるが、人間が作った道具はポケモンには使い方がわからず役立てる事が
出来ない。「ものひろい」の特性を持ったポケモンが収得するのはこのように投棄された物である。

3.地域差
 ホウエンで主に拾えるのは上記した物だが、カントーにおいては多少事情が違う。拾うアイテムは
数種類しかなく、ほとんどが木の実である。これはカントーの人々があまり物を落とさないからかも
しれないが、それだけが理由であれば逆にホウエンで木の実を拾わないという事が説明できない。
これにはホウエンとカントーにおける地域差がおおいに関係しているといえる。カントーとジョウト
に棲息しているポケモンに比べホウエンは岩や地面、鋼タイプなどの無機質系のポケモンが多い。
伝説系のポケモンもレジ3類のようなロボット型ポケモン、ぬいぐるみ人形のようなパッチールや
ドンメル、砂漠に棲息する駱駝の類と思われるバクーダ。ヤジロンやネンドールは遺跡の泥人形
から発生したと言われている。土地柄も洞窟、火山、砂漠などで、水中に棲息しているポケモンも
海にはありふれたメノクラゲばかりで深海に潜らない限り他のポケモンにはお目にかかれない。
川や池に棲む水系ポケモンも汚れた水でも棲息できるようなタイプばかりである。カントーや
ジョウトで見られたようなポケモンは、サファリゾーンのように人工的に整えられた場所にいる。
カントーやジョウトと比較すると、ホウエン地方は豊かな自然に溢れているとは言い難い。
 なんといっても決定的な違いは、木の実の入手が非常に困難であるという事である。カントーや
ジョウトでは自然に実り容易に入手できる木の実だが、ホウエンの旅では、あちらこちらにある木
から収穫できるのは一度きりで、その後は自分で木の実を栽培したり、特定の人物からもらったり、
ごく稀に野生のポケモンが持っているのを奪いとるしかない。本来ポケモンは動物であるから、
トレーナーは喜ぶが自分では食べられないアイテムよりも、本来の餌に近い木の実の方を優先的に
拾うはずだ。しかし土地が痩せているホウエンでは、自然になる木の実は非常に少ない為、稔ると
すぐに野生のポケモンに採り尽くされてしまい「ものひろい」で拾えるほど落ちてはいないのだ。

付記

 エメラルドにおいてはポケモンのレベルと拾うアイテムの価値が比例している。ホウエンでは
ゴマゾウはサファリゾーンにしかいないし、ニャースは棲息していない。ホウエンのポケモンで
「ものひろい」をするのは、ジグザグマとマッスグマだけだ。更にルビーとサファイヤでは大量に
いたにも関わらず、エメラルドでは草原ではポチエナ、グラエナ、水際ではマリルが大量繁殖し
ジグザグマとマッスグマの生息数が激減している。彼等の生息域が縮小しつつある為、同種同士
での生存競争が激化し、よりレベルの高いポケモンでないと、良いアイテムを拾う事が出来なく
なっているのだ。


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