*この作品は黄色猫騎士団幹部・真田美之さまのサイトで募集された「ロケット団で20のお題」 に投稿した小説で、ゲーム『ポケットモンスター金・銀・クリスタル』のロケット団・残党のボス である幹部♂をモデルにして二次創作したものです。 |
第一章-----「兄からの手紙」----- |
ぼくの いちばん いちばん だいじな おとうとへ おにいちゃんは きょう たびに でます きみを おいていくのは とても かなしい ことだけど かならず りっぱな ぽけもんとれーなーに なって むかえにくるから それまで さびしいけど まっていて ください きみも はやく このてがみが じぶんで よめるように いっしょうけんめい べんきょうして おおきく なって ください おにいちゃんは きみのために いっしょうけんめい しゅぎょうします いつか かならず いっしょに くらせるように なります がんばって |
てがみをありがとう。このまえのおやすみに きみにあうことができて とても うれしかったです。 しばらくぶりで あえたきみが とてもおおきくなっているにのは ビックリしました。 かみのけが ずいぶんのびましたね。きみはおぼえていないだろうけど そんなふうに あかい かみをのばすと ぼくたちのママに とても にていますよ。 ぼくはきのう スカウトのひとにあって しごとがきまりました。くわしいことは せつめいするのが むずかしいので かきませんが きみとおなじナマエをつけた ぼくのデルビルも いっしょに はたらけるシゴトです。 がっこうのほうは どうですか。べんきょうは たのしいですか。いろいろ つらいことも あるとおもいますが いっしょうけんめい がんばってください。 きみの おやすみのときには また あいにいけると よいのですが。 おにいちゃんも いっしょうけんめい がんばります。しゅぎょうは きびしいと おもいます。 でも きっとやりがいのある しごとだと おもいます。 きっと やりとげて りっぱにいちにんまえの だんいんになって きみをむかえにいくよ。 それまでのしんぼうですから。 まけないで。 |
短いけど、取り急ぎ返事を書きます。 この前の手紙からずいぶん間があいてしまってごめんなさい。重要なプロジェクト に関わっていたので、長い間、君からの手紙を受け取る事が出来なかったのです。 でもこの任務が終わったら必ず!必ず!!君に会いに行きます。 今はまだ話す事ができないけど、きっと良いニュースを聞かせてあげられると 思います。お兄ちゃんはずっと、君を愛しているよ。だから泣かないで。 |
この前の休暇に会いに行けなくてすまなかった。 しかし決して君の事を忘れていたわけではない。 頼むからサカキさまについてそんな事をいわないでくれ。子供の君には まだわからないだろうが、わたしが昔からずっとお目にかかれる事を切望 していたサカキさまは予想通り非常に偉大なお方なのだよ。 幹部に昇進し、ボスのサカキさまのおそば近くに仕える事が出来るように なって、ますますサカキさまの素晴らしさを実感している。ロケット団に 入ったのも、いつかこの望みが叶えられると信じていたからだ。 今、わたしはこの方のおそばにいられる幸せを心から噛みしめている。 はやく大人になって、ロケット団に入っておくれ。 そしてサカキさまの事をもっと知って欲しい。 その時が来ればきっと、君にもこのわたしの気持ちが、理解できるように なるだろう。 兄は待っている。 |
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サカキさま、あなたは今どこにいらっしゃるのでしょうか。 こうして「サカキさま」とお呼びする事をお許しください。 あの日、トキワシティの本部で直々に辞令を拝領した時。 「これからは『さま』ではなく『さん』付けで呼ぶように」と仰せられた時。 そして部下達の前であなたにそう呼びかける時、わたしはその恐ろしいほどの 光栄に目が眩む思いでした。しかしその感激でさえも、わたしにとっては一団員 として、はじめてお目通りした時の喜びに比べれば、あまりに微小で些細な 出来事に過ぎないのです。 この三年の間、どこかで修行をなさっておられるあなた様をお探しする事は しませんでした。そのかわり再びサカキさまを我々ロケット団の「ボス」として お呼びする日を迎える為に、わたしは全てを捨ててその目的の為だけに生きて きました。 今、わたしは部下達に「ボス」と呼ばれています。しかしその度ごとにわたし の心には深い傷が刻まれるのです。 ロケット団が瓦解した時よりも辛い事実。 あなたを失った瞬間から、流れ続ける血の涙がわたしの魂を引き裂きます。 わたしはロケット団のボスではありません。我々にとってのロケット団のボスは サカキさまの他に未来永劫存在し得ないのです。 明日、我々はコガネシティ制圧計画を決行します。ロケット団の完全復活を 全世界に宣言します。その日が再びあなたをボスとして我々の頭上に戴ける日に なりますように。 常世の果てまでもが、サカキさまの掌中で永遠の繁栄につつまれますように。 あなたのもとで、我等がロケット団が常盤の栄光を誇れる日が、必ず来る事を わたしは信じています。 |