これは、宇宙最強のモテモテヒーロー(自称)、仮面ライダーカイザこと草加雅人氏のエゴ・・・もとい、栄光に満ちた日々の出来事を赤裸々につづった、草加雅人の草加雅人による草加雅人のためのひみつ日記です。 |
6月29日 (日) くもりのちときどきはれ | 【第22話】 |
今日、乾の奴から連絡あり。 情けないことにファイズのベルトを奪われてしまったという。 「気をつけろよ、お前も」などと言っていたが、余計なお世話だ。 お前みたいなヘタレと一緒にされたと思うだけで虫酸が走る。 そんなことを考えながら秘密基地でシャワーを浴びていると、どこで俺のことを嗅ぎつけたのか、ファイズのベルトを奪った奴がやって来た。 丁寧な口調が妙に鼻につく男だ。 思いっきりストレートパーマを当てたくなるような、寝グセだらけの髪型をしている。 少しは骨のある奴かと思ったが、ちょこっと殴りつけただけで悲鳴を上げ、ファイズのベルトを放り出して逃走してしまった。 笑い過ぎると腹筋が痛くなるということに生まれて初めて気がついた。 さて、ファイズのベルトだが・・・ あえて乾の奴に返して、恩を売っておくというのもいいな。 ついでに土下座のひとつでもさせてみるとするか。 奴がどんな顔をするか、今から楽しみだ。 そういえば、あの寝グセ男が逃げていった地面に、腕時計のような物が落ちていた。 もしかしたら時限爆弾かもしれない。 とりあえず乾の奴に使わせてみることにしよう。 P.S.そろそろ真理の元へ戻ってみようかと思っている。 彼女は今、唯一頼れる男性である俺への想いを募らせているはずだ。 そこへ颯爽と現れる俺。 ふ・・・ 完璧だ。 |
7月6日 (日) くもり | 【第23話】 |
真理をたらし込んだ超極悪人の木場が、実はオルフェノクであることが分かった。 オルフェノクのくせに真理に言い寄るとは生意気だ。 いつか殺そう。 さて、真理に告白して以来、自分の将来について改めて考えてみたが、いかに俺がスポーツ万能の天才で完全無欠な正義の味方だとはいえ、食わなければ生活していけない。 これから先、真理と二人で生活していくことを考えれば、安定した職場と高い収入は不可欠だ。 俺のような人間が、こんな薄汚いケチなクリーニング屋で一生を終えていいはずがないのだ。 というわけで、ラッキークローバーに入ることにした。 なんだか良く分からないが、そうすればスマートブレイン社で重要なポストにつけるという。 昼間から仕事もせずにバーで飲んだくれていても生活していけるらしい。 これでもう将来の心配はいらない。 真理も安心して俺との生活を選べるというものだ。 よし。 大企業への就職を手みやげに、真理の返事を聞くことにしよう。 真理の返事を聞くのは、わざと雨の日の屋外を選んだ。 ムード満点のシチュエーションだ。 どしゃ降りの雨の中、ずぶ濡れになりながら待っている俺。 そこに差し出される真理の赤い傘。 見つめ合う二人。 甘いマスクと声でささやきかける俺。 俺の告白を顔を赤らめながら受け入れる真理。 両腕を広げる俺。 その胸に思いっきり飛び込んでくる真理。 宙を舞う赤い傘(ストップモーション)をバックに、ひとつに重なる二人のシルエット。 ふ・・・完璧だ。 だが、意外にも真理は、俺の告白を断ってきた。 ・・・なるほど。 わざと突き放すようなことを言って、俺の気持ちを確かめようとしているわけか。 心の底では俺を必要としているくせに、かわいい奴だ。 真理を見つめながらそんな想像をめぐらせていると、いきなり乾の奴が割って入ってきた。 モテモテの俺をねたんで、真理との仲を邪魔するとは何事だ。 木場といいこいつといい、モテない奴のひがみ根性は実に始末が悪い。 何だかムカついたので、ラッキークローバーの寝ぐせ男と乾杯女を引き連れて、まず木場の奴から殺しに行くことにした。 |
7月13日 (日) くもりときどきあめ | 【第24話】 |
木場を潰そうとした俺に、寝ぐせ男と乾杯女が突然襲いかかってきた。 わざとKOされたふりをしていたら、スマートブレイン社長が詫びを入れてきた。 だが、こんな失礼なことをされて、俺の怒りが収まるはずもない。 腹いせにあの会社を潰してやろう。 それにしても、乾の奴が余計な質問ばかりしてくるのには閉口する。 人の過去を暴いて、俺を救おうなどと考えているのなら、余計かつ大きなお世話だ。 俺を救うことのできるのはこの世でただ一人、真理ママだけなのだ。 お前などにママになって欲しくはない。 ・・・思わず想像してしまったではないか。 そんなことを思っていた矢先に、新たなオルフェノク出現の連絡を受け、俺は乾を引き連れて現場に向かった。 俺の勇姿に恐れをなして、慌てて逃げ出す2体のダンシングオルフェノク。 変身を解いて颯爽と追跡する俺。 その前に2人の警官が立ちはだかり、ファイズとカイザのベルトを強引に奪い取っていった。 無論、この俺は奴らがニセ警官であることを最初から見抜いていた。 敵の手の内を知るためにわざとベルトを奪わせたことは言うまでもない。 だが、乾の奴がモタモタしていたせいで、2つのベルトは寝ぐせ男と乾杯女が受け取り、あまつさえ変身までしてしまった。 俺のベルトに気安く触るな。汚らわしい。 すぐに取り返して、ただちに煮沸消毒を行わなければ。 だが、足手まといの乾のせいで、俺は不覚にも一撃を喰らい、気を失ってしまった。 俺が目を覚ましたら、この借りは百億兆倍にして返してやる。 来週を楽しみに待っていろ。 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 日記の存在自体を揺るがす記述が含まれていますが、ひらにご容赦下さい。 |
7月20日 (日) くもり | 【第25話】 |
いい気持ちで目を覚ました俺の目の前で、社長と寝ぐせ男と乾杯女が食事をしていた。 人が気持ちよく寝ているそばで飯を食うとは何事だ。 テーブルマナーを知らないにも程がある。 俺はテーブルの上のフォークを乾杯女に差し出し、使い方を優しくレクチャーしてやった。 だが、乾杯女は自分の無知を笑ってごまかすばかりだ。 寝ぐせ男も下品な笑い声を上げ、社長は知性のかけらもない視線で俺を睨み返している。 恐らくこの連中は、マナーという言葉の意味自体が理解できないのだろう。 あきれ果てた俺は、フォークを放り出すと、その場でふて寝を決め込んだ。 数時間後。 誰かに起こされて、俺はしぶしぶ目を開けた。 すると、いつどこから入ってきたのか、乾の奴が慌てながら俺を見つめているではないか。 その背後には、寝ぐせ男がこっちを睨みながら立っている。 そうか、寝ぐせ男に襲われて、俺に助けを求めてきたのか。 相変わらずヘタレな奴だ。 オロオロと取り乱す乾を連れて、俺は地下へと続く秘密のエレベーターに飛び込んだ。 エレベーターを下りた先には、かつて俺が学んだ流星塾の校舎が広がっていた。 懐かしい流星塾の風景を見て、新たな闘志を奮い立たせる俺。 そこへ追いかけてきた寝ぐせ男と乾杯女。 馬鹿な奴らめ。 俺がワザとこの場所へおびき寄せたことに気づかないのか。 俺は連中の隙をつき、赤子の手をひねるようにベルトを取り戻すと、華麗な手つきでカイザへと変身した。 俺の変身を見ただけで震え上がり、われ先に逃げていく寝ぐせ男と乾杯女。 そういえば、今の今までスッカリ忘れていたが、俺は寝ぐせ男と乾杯女に借りがあったのだった。 地上に脱出しながらそんなことを考えていると、おあつらえ向きに新手のオルフェノクと出くわした。 俺は、心の中に燃え上がる怒りを、とりあえず目の前のオルフェノクにぶつけることにした。 天から授けられたニューアイテムでオルフェノクを倒し、スックと立つカイザの勇姿。 ふ・・・最強だ。 今日は実に気分がスッとした。 これ以上俺が強くなっては、倒されるオルフェノクが逆に哀れに思えてくるが、俺は神に選ばれた戦士なのだから仕方がない。 俺は宇宙最強のヒーロー・カイザとして、オルフェノクを完膚無きまでに叩き潰す決意を新たにするのだった。 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 主観的と言う言葉で片付けるにも程がありますが、代わりに謝りますのでどうかご容赦ください。 |
7月27日 (日) くもりときどきはれ | 【第26話】 |
父さんがオルフェノクだったということは、ママには内緒にしておくことにした。 俺はママの悲しむ姿など見たくない。 ふ・・・ なんて優しい男なんだ俺は。 それにしても、流星塾の連中は(俺とママを除いて)みんなどうかしている。 バカの一つ覚えのようにデルタデルタデルタデルタと、うるさくて仕方がない。 まあ実際(俺とママを除いて)バカの集まりなのだから仕方がないといえば仕方がないのだが、それにしても仕方がない。 ここはひとつ、誰が宇宙で一番強くてカッコイイのか、みんなに思い知らせてやらねばなるまい。 などと考えていたら、オルフェノクに襲われた河内が俺に助けを求めてきた。 やはりなんだかんだ言っても、最強なのはこの俺、カイザだ。 颯爽と変身し、圧倒的な強さでオルフェノクを追いつめる俺。 だが、あと一息で倒せるという時に、待ち伏せしていたデルタがオルフェノクを倒してしまった。 なんて礼儀知らずな奴だ。 見せしめにデルタをブッ倒すのは簡単だが、ここでカイザの強さを見せつけると、隣でブルブル震えている乾の奴をさらにおびえさせる結果になるので、今回だけは見逃してやることにした。 デルタも運のいい奴だ。 だが次に会った時がお前の最後だ。 その時を楽しみに待っていろ。 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 何故か後半部分の文字がところどころ震えていて、大変読みづらくなっていますが、なにとぞご容赦ください。 |
8月3日 (日) くもり | 【第27話】 |
流星塾のメンバーが、デルタのベルトをめぐって醜い争いを繰り広げている。 そんなに強い力が欲しいのか。 まったく、力のない奴はこれだから困る。 少しは、生まれつき強い力を持った完全無欠のかっこいいこの俺を見習ったらどうだ。 バカの一つ覚えのようにデルタデルタデルタデルタとほざきまくるカスどもを見て、ママも胸を痛めているようだ。 これ以上こいつらを野放しにはしておけない。 俺は、正気を失っているカスどもをやさしく説得することにした。 だが奴らは俺の説得に耳を貸そうとしないばかりか、逆に伝七捕物帳の「よよよいポーズ」で俺に襲いかかってきた。 「よよよい」の指先から出る変な電波攻撃を喰らった俺は、わざと気絶したふりをして、奴らの目的を探ることにした。 ・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・ 俺が気絶から目を覚ます・・・もとい、気絶したふりをやめて目を開けると、何故か乾の奴がそばに立っていた。 乾の話では、奴らの目的はママの身と引き替えにデルタのベルトを手に入れることらしい。 そんなことは、お前に言われなくても最初から俺には分かっている。 物知り顔でいちいち説明するな。 俺は乾の奴と一緒に、奴らの隠れ家へ向かった。 すぐに助けてあげるから、待っていてくれ、ママ。 P.S.それにしても、さっきからほっぺたが妙につっぱる。 奴らの極悪非道な仕打ちを目の当たりにして、気分が高揚しているせいかもしれない。 やはり俺は根っからの正義の男なのだ。 乾巧日記 8月3日(日) 両手がまだ痛む。 あいつのツラの皮の厚さはハンパじゃねえな。 この日記は、草加雅人氏と乾巧氏の日記から抜粋・再構成したものです。 草加氏の日記には、前半と後半で矛盾した表現が見られますが、原文のママですので何とぞご容赦ください。 |
8月10日 (日) はれ | 【第28話】 |
澤田がオルフェノクになったらしい。 俺としては正直どうでもいいのだが、心の優しいママは澤田を説得すると言って聞かない。 オルフェノクとの接触は危険を伴うが、ママの頼みとあれば断れない。 俺は母親思いの息子なのだ。 俺はママと一緒に国際水泳場で澤田を待つことにした。 というのは表向きの名目だ。 一応澤田にはメールを打ったが、俺は肝心な待ち合わせの日時を伝えなかった。 奴はいつここに来ていいか分からないのだ。 問い合わせのメールが来ないように、俺の携帯は電源を切ってある。 この隙に、ママに俺の思いのたけを伝えるのだ。 都合良く、「草加君はどう? カイザになって変わった?」とママから質問されたので、俺は極力シブイ声で答えてやった。 「変わらないものもある。 君に対する、俺の気持ちだ」 ふ・・・ 自分のセンスが怖い。怖すぎる。 俺の愛の言葉を聞き、ママは感激のあまり固まってしまっている。 あと一押しだ。 ところが、そんな大事なときに澤田の奴が現れた。 しかも、澤田までがママのことを好きだったなどとほざく始末。 どこまで俺とママの仲を邪魔すれば気が済むんだ。 澤田のくせに生意気だぞ。 流星塾で、俺がワザといじめられっ子の役を演じてやった恩を忘れたのか。 俺は腹いせに澤田を叩きのめすことにした。 颯爽と変身して澤田に向かっていく俺。 俺の圧倒的な強さを目の当たりにした澤田は、たまらず逃げ出した。 途中で勝手に乱入してきたファイズと共に、後を追う俺。 が、肩出しルックのボサボサ頭のヘンな奴が出てきて、あれよあれよという間にデルタに変身してしまった。 何がどうなっているんだ。 いくら頭のいい俺でも、この状況は理解できない。 誰か説明してくれ。 というか、俺とママの仲は一体どうなってしまうんだ。 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 日記というより妄想と言った方がふさわしいと思われますが、本人は日記のつもりで書いていますので何とぞご容赦ください。 |
8月17日 (日) くもりのちあめ | 【第29話】 |
そんなこんなで、デルタのベルトは肩出しボサボサこぞうに奪われてしまった。 デルタに変身し、好き勝手に暴れ回る肩出しボサボサこぞう。 俺は寝ぐせ男を人質・・・もとい、巧みに利用して、ひとまず逃亡・・・もとい、出直すことにした。 デルタのベルトの争奪戦で犠牲者が出たことに心を痛めている優しいママ。 だが、そんなママの目の前で、乾の奴が「デルタのベルトは俺の物だ」などと言い出して所有権を主張し始めた。 なんて無神経な奴だ。 ママがこんなに落ち込んでいる時に、デルタのベルトのことを口に出すのは禁物だということが分からないのか。 場の雰囲気を読めない奴はこれだから始末に負えない。 こんな奴に俺の大事なベルトを渡してたまるものか。 俺はママの前で、デルタのベルトを取り戻してみせると高らかに宣言するのだった。 ・・・って、俺の出番はこれで終わりか? この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 本文中に楽屋オチと疑われるような記述がありますが、気のせいですので何とぞご容赦ください。 |
8月24日 (日) はれ | 【第30話】 |
最近、乾の奴と木場の奴の仲が急接近しているらしい。 これは危険だ。危険すぎる。 いくら自分たちがモテないからといって、よりによって男に走るとは何事だ。 俺は不純同性交友を止めさせるため、一芝居打つことにした。 まず木場の奴にないことないこと吹き込んで、疑心暗鬼にさせる。 さらに、乾の奴からこっそり奪ったファイズギアで俺がファイズになり、木場の奴を襲う。 そして、ファイズギアを木場が奪ったことにして、乾の奴に返す。 ふ・・・ 完璧だ。 俺の巧みな弁術と完全無欠の演技にだまされ、二人はケンカ別れしたようだ。 これでいい。 こいつらには、一生友達なし・彼女なし・信用なしの三拍子そろった寂しい称号がお似合いなのだ。 そんなことを考えながらひとりほくそ笑んでいたら、またまた肩出しボサボサ男がデルタになって現れた。 横滑りバイクを呼び出したボサボサ男に対抗し、自分も横滑りバイクを呼び出す乾。 が、横滑りVS横滑りの戦いはボサボサ男に軍配が上がり、乾の奴はミサイルによってチリとなった。 しぶとく生き残っていた乾もとうとう年貢の収め時が来たか。 さようなら、そしてありがとう。 それにしても、コード入力で横滑りバイクを呼び出せるとは知らなかった。 今度俺も試してみよう。 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 ほとんどすべての記述が妄想の産物になっておりますが、何とぞご容赦ください。 |
8月31日 (日) くもりいちじはれ | 【第31話】 |
チリになったはずの乾は、ファイズアクセルのおかげで九死に一生を得た。 ちっ。 悪運の強い奴。 憎まれっ子世にはばかるとはよく言ったものだ。 誰だ、あんな奴にファイズアクセルを渡したのは。 乾の奴は、木場の奴が裏切ったかどうか、まだ疑問に思っているらしい。 この俺の言うことがそんなに信用できないのか、まったく。 人を疑うのもいい加減にしろと言いたい。 そんなことを思っていると、オルフェノクのくせに生意気な澤田の奴が、ママの携帯に連絡を入れてきた。 ママを呼び出して、告白するつもりか。 俺に断りもなくそんなことをさせてたまるか。 二度とそんな大それたことのできないように、返り討ちにしてくれる。 密かに待ち合わせ場所に向かってみると、オルフェノクに変身した澤田がママに言い寄っていた。 よりによって、オルフェノクに変身して告白するとは何事だ。 女の子はムードが何よりも大切だということが分からないのか。 女性の心も理解できない奴に、告白する資格などない。 女性の敵は俺の敵、女性の味方は俺の敵だ。 全世界の女性の期待を一身に背負いながら颯爽とカイザに変身し、澤田の奴を叩きのめすかっこいい俺。 そばで見ているママも、黄色い叫び声を上げて俺を応援してくれている。 ふ・・・ 最高だ。 だが、必殺技の『両方草加キック』を繰り出そうとした瞬間、澤田の奴は卑怯にもママを盾にしてきた。 何ということだ。 このままではママに俺のキックが当たってしまう。 ええい! 止まれ! 止まらんか、俺の足! この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 「一体いつ書いたんだ」というツッコミをしたくなる気持ちは重々承知しておりますが、何とぞご容赦ください。 |
9月7日 (日) くもり | 【第32話】 |
何ということだ。 俺のかけがえのないママが、澤田の奴のせいで大怪我を負ってしまったのだ。 しかも澤田の手引きをしたのは乾の奴だという。 こいつらのしでかしたことは、恐怖新聞の1万年分強制購読刑にも値するほどの重罪だ。 一生許さん。 コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ。 が、今はそんな懐かしい決めゼリフを言っている場合ではない。 何よりもまず考えなければならないことは、ママのことだ。 ママの命を救うために、俺が今できることを考えなければ。 そうだ。 ママは今、多量の出血で生死の境をさまよっているのだ。 俺の愛のいっぱいつまった血液を輸血すれば、きっと元気を取り戻すに違いない。 そして、俺とママは本当に血の繋がった親子になれるのだ。 俺は即刻病院に向かい、担当医の部屋へ駆け込んだ。 先生! 俺の血をママに輸血してくれ! なに? 血液型が違うからダメ? 貴様! そんな細かいことを言っている場合か! 俺のママが生きるか死ぬかというせとぎわなのだ! お前はママを見殺しにする気なのか!? ここは病院だから静かにしろだと!? ええい! お前じゃ話にならん! 院長を呼べ院長を! な、なんだこの屈強な男どもは!? こら、離せ! 俺をどこへ連れて行くつもりだ! この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 医学的というより人間的に間違った言動が見られますが、何とぞご容赦ください。 |
9月14日 (日) はれのちくもりいちじあめ | 【第33話】 |
かっこよさ度・モテモテ度・無敵度・いずれも100%を誇る俺の目の前に、3本のベルトがとうとう集結した。 「3つ子の魂百まで」とはよく言ったものだ。(編集注:意味不明) 俺は澤田との決着をつけるべく、奴との戦いの場を設定した。 が、いかに神に選ばれた最強戦士の俺とはいえ、一度に使えるベルトはひとつだけ。 どのベルトを使って奴を倒すか、戦いの前にきちんと決めておかねばならない。 やはり、相手がわざわざ送ってきてくれたのだから、ここはデルタのベルトで出迎えるのが礼儀と言うべきであろうか。 しかし、俺が最も慣れ親しんでいるのはカイザのベルトだ。 不慣れなベルトを使えば、こちらが不利になるということも十分に考えられる。 むしろ相手はその辺りが狙いなのかもしれない。 となれば、カイザのベルトで決まりであろう。 ・・・いや、さらに裏をかいて、ファイズのベルトというのはどうだ? 俺が持っていないはずのファイズのベルトで待ち合わせの場所に現れれば、相手は意表を突かれるに違いない。 そのリアクションを見て楽しむというのも一興だ。 俺は鏡の前に立ち、3本のベルトをかわりばんこに腰に当てながら考え込んだ。 ・・・ま、待て。 俺は一体何をしているのだ。 これではまるで、デートに着ていく服が決められずに悩んでいる女の子みたいではないか。 危ないところで我に返った俺は、どのベルトを使うかを神の意思にゆだねることにした。 ど・れ・に・し・よ・う・か・な・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り・・・ 運命の神の大いなる意思によって、俺の使うベルトはカイザと決定した。 待ち合わせの場所に颯爽と現れる俺。 が、そこにいたのは澤田一人ではなく、何故かカブトムシ&クワガタの2匹のお邪魔虫も同席していた。 ・・・幻滅だ。 あの男に一対一の勝負を期待した俺が間違っていた。 なんだか、憧れのあの子にデートに誘われていそいそと出かけていったら、実は単なる頭数合わせのために呼ばれただけだったという事に気づいてしまった時のような気分だ。 ・・・嫌な過去を思い出してしまったではないか。 俺は過ぎ去った苦い思い出を脳裏から完全に消し去るため、こいつらをまとめて叩きのめすことにした。 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 本人の心の中がこれでもかというぐらい赤裸々に描かれていてあまりにも痛すぎますが、何とぞご容赦ください。 |
月 日 ( ) | 【第34話】 |
この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 この日のページには、涙の跡が点々と残されているだけで、文章は一切書かれておりませんので、何とぞご容赦ください。 |
9月28日 (日) はれ | 【第35話】 |
ママ。 ママ。 俺のママ。 俺の愛するママが生きて帰ってきた。 愛する俺の元に帰ってきた。 俺の愛の祈りが通じたのだ。 神様も、溢れる俺の愛に感動し、天の摂理を曲げてくれたらしい。 俺の愛に不可能はない。 愛は命を救う。 この世の全ての人々に愛を。 この世は愛が全てなのだ。 ラブイズエブリシング! マイマザーイズマイラバー! ママ〜〜〜〜〜〜〜!! ・・・ん? 乾? あんなオオカミ野郎の事など知ったことか。 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。 この日のページには、涙と鼻水とゆがんだ愛の痕跡があちこちに残されていて、物理的にも精神的にも大変読みづらくなっておりますが、何とぞご容赦ください。 |