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これは、宇宙最強のモテモテヒーロー(自称)、仮面ライダーカイザこと草加雅人氏のエゴ・・・もとい、栄光に満ちた日々の出来事を赤裸々につづった、草加雅人の草加雅人による草加雅人のためのひみつ日記です。

前ページの続きです。
もうこれ以上は読むのが辛いという方はこちらへ。
根性で読み続ける方はそんな奇特な人はそうそういないと思いますがまあ、頑張って読んでやって下さい。
但し、読んだ後に後悔されても、当方は一切関知致しません。


10月5日 (日) はれいちじくもり 【第36話】  
 名実共に送りオオカミとなった乾の奴は、悲鳴を上げて逃げ回るママをどこまでも追いかけてきた。
颯爽と現れ、乾の奴からママを守り通す俺。

 ふ・・・
 完璧だ。

 が、あんな目に遭ってもまだ、ママは乾の奴を信用しているらしい。
 そういうところがママのいいところでもあり、悪くないところでもある。
 かといって、このままママを放っておけば、あのオオカミ男の毒牙にかかるのは時間の問題だ。
 ここはひとつ、俺がビシッと言って聞かせねばなるまい。

 ママ。
 乾はオオカミなのだ。気を付けなさい。
 年頃になったなら、慎みなさい。
 とぼけた顔していても、心の中は、オオカミが牙を剥く。
 そういうものなのだ。
 知り合いだから大丈夫だなんて、うっかり信じたら
 ダメダメ(ダメ)ダメ(ダメ)ダメダメよなのだ。

 俺は身振り手振りとジェスチャーを交えながら、汗だくでママに言い聞かせた。


 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 とある歌謡曲を聴きながら文章を読むと非常に不気味ですが、なにとぞご容赦ください。



 草加「・・・今回の元歌は、ピンクレディーの『S・O・S』って解釈で、イイのかな・・・?」


10月12日 (日) くもりいちじあめ 【第37話】  
 ママの口から、流星塾の同窓会の真相が明らかになった。
 俺やママや流星塾のみんなを苦しめてきた犯人は、乾の奴だったのだ。

 怒りに震えた俺は、サイドパッシャーに飛び乗ると、乾の元へと向かった。

 「2月2日・・・かどうかは忘れたが、同窓会で流星塾のみんなを襲ったのは貴様だな!?」

 俺は、みんなの苦しみと、ママの苦悩と、いままで使ってきたウエットティッシュの膨大な購入費用の恨みを晴らすべく、颯爽とカイザに変身した。
 流星塾の友の想いを込めて、カイザブレイガンの剣で乾の奴を斬りまくる俺。
 友よ。
 友よ。
 友よ。
 友よ見えるかこの火花。

 ボコボコにされた乾の奴は、すでに虫の息だ。
 一気にトドメを刺してやる。
 お前の物語もここで最終回だ。
 来週からこの番組の主人公は俺になる。
 タイトルも『仮面ライダー913』に変わるのだ。
 乾よ、安心して眠るがいい。

 が、そこへ、ファイズに変身した木場の奴が乱入してきて、俺の邪魔を始めた。

 ・・・これは、木場の奴と乾の奴が結託して俺たちの敵に回ったという解釈で、イイのかな?


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 友達のいない男が「友」という単語を連呼しているのは非常に寒いものがありますが、原文のままですので何とぞご容赦ください。



10月19日 (日) はれ 【第38話】  
 俺が主人公になったことをねたんだ木場の奴が邪魔に入り、そのせいで前主人公の乾の奴にとどめを刺すことができなかった。
 おのれ木場。
 脇役の分際で出過ぎたマネを。

 イラつきながら家に戻ってみたら、菊池の奴が俺の行動を非難し始めた。
 おのれ菊池。
 その他大勢役の分際で出過ぎたマネを。

 などと思っていたら、何とママまでが俺の行動を非難し始めたではないか。
 挙げ句の果てに、俺よりも乾の奴の方が信用できるなどと言うママ。

 ・・・そうか。
 乾の奴は、こんな事態を予想して、あらかじめママに洗脳を施していたに違いない。
 おのれ乾。
 前主人公の分際で出過ぎたマネを。

 俺はママの目を覚まさせるため、身を切られるような思いでママのマシュマロのようにやわらかなほっぺを叩いた。

 ママ、目を覚ませ。
 強くあるために。

 が、ママは泣きながら家を飛び出して行ってしまった。
 これから俺の慈愛に満ちた説得を聞いて涙を流しながら「草加君、私が間違っていたわ!」とか叫びながら俺の胸の中に顔を埋めるという感動的な展開になるところだったというのに。
 俺はすぐさまママの後を追い、乾の犯した罪についてないことないことぶちまけた。

 だが、ママは俺の説得力ある説得にも耳を貸そうとしない。
 乾の奴は、よほど強力な洗脳を施していたらしい。
 おのれ乾。
 オオカミの分際で出過ぎたマネを。

 俺はほっぺを叩いたおわびのしるしに、ママをデートに誘うことにした。

 ・・・が、家に戻ってみると、ママはすでにどこかに出かけていた。

 なに!?
 木場の奴と遊園地でデート!?

 お、おのれ木場!
 あ、あ、悪役の分際で出過ぎたマネを!

 こ、これは、来週木場が俺に倒されて退場するエンドフラグが立ったという解釈で、イイのかな?


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 ただのチョイ役が主人公気取りで出過ぎた文章を書いているのは非常に寒いものがありますが、原文のままですので何とぞご容赦ください。



10月26日 (日) はれのちいちじくもり 【第39話】  
 ママの口から、流星塾の同窓会の真相が明らかになった。
 俺やママや流星塾のみんなを苦しめてきた張本人は、ラッキークローバーの一人だったのだ。
 やはり俺のにらんでいた通りだった。
 せめてもの武士の情けだ。
 この俺が直々に引導を渡してやろう。

 犯人に間違われた乾君には気の毒だったが、俺は彼が無実であることを最初から信じていた。
 疑いも晴れたことだし、これからはママのことをきっぱりあきらめ・・・もとい、忘れて、ひっそりと新しい人生を歩んでいって欲しい。
 ありがとう乾君。 そして永遠にさようなら。

 などと思っていたら、俺と肩出しボサボサ男との最終決戦にフラフラと現れた乾の奴が、いきなり真っ赤なファイズに変身したではないか。
 主人公に断りもなく、勝手にレッド変身するとは何事だ。
 番組後半のパワーアップは主人公の特権だということが分からないのか。
 おのれ乾。
 脇役の分際で出過ぎたマネを。

 これは、来週に登場するであろうカイザのパワーアップの前座という解釈で、イイのかな?


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 ただの前座役が主人公気取りで出過ぎた文章を書いているのは本っっっ当に寒いものがありますが、原文のままですので何とぞご容赦ください。



11月2日 (日) はれ
 な、なんだこの展開は!?
 ママや肩出しボサボサ男や赤いファイズは一体どこへ行った?
 何故見たこともない男どもが、集団で町を走っているのだ!?

 この男どもは、クライマックスで颯爽と登場する(←予想)この俺の引き立て役という解釈で、イイのかな?

・・・で、俺の出番はいつなんだ?


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 この後は延々と「俺の出番はいつなんだ」という文章が続きますので、残りの3623行についてはやむなくカットさせていただきました。
 容量と時間の節約のためですので何とぞご容赦ください。



11月9日 (日) くもりのちいちじあめ 【第40話】  
 俺のファイズブラスターを装着してオルフェノクを倒した乾の奴は、ベルトとブラスターをママに預けて逃げ出してしまった。
 あまりにも強力な威力を目の当たりにして、恐ろしくなったようだ。
 やはり奴は主人公の器ではない。
 この程度のアイテムが使いこなせないようでは、主人公を名乗る資格などないのだ。

 さあ、ママ、俺のファイズブラスターを渡してくれ。
 俺なら見事にそのアイテムを使いこなしてみせよう。

 ・・・って、ちょっと、どこに行くのだママ?
 ママ〜〜〜〜!?

 そんなことをしているうちに、ママは澤田からの連絡を受けてどこかへ飛び出していった。
 ひっそりと後をつける俺。
 ママの周囲を飛び交うお邪魔虫は、全力を持ってこの俺が排除する。
 それがママを愛する俺の務めなのだ。

 が、澤田はすでに姿を消していて、変わりに乾の奴が倒れていた。
 乾の奴を介抱するママ。

 ・・・・・・・・・

 なんということだ。
 落ち込んだふりをして、ママにやさしくしてもらうとは卑怯にもほどがある。
 あまつさえ、「巧を信じてる私を信じて」などと言ってもらうとは何事だ。
 俺は「草加君なんかより巧の方が信用できるよ」としか言われていないというのに、この差はなんなんだ。
 おのれ乾。
 たとえママが許してもこの俺が許さん。
 ママの周囲を飛び交うお邪魔虫は、全力を持ってこの俺が排除する。
 それがママを愛する俺の務めなのだ。

 乾の奴を叩きのめそうと一歩踏み出した瞬間、誰かから電話がかかってきた。
 え〜と、誰だっけ?
 あ、三原とか言ったか。

 なに?
 俺も今度こそ戦う?
 好きにしろ。
 俺は今忙しいのだ。

 サイドパッシャーで飛び出した俺は、澤田に遭遇した。
 これも何かの縁だ。
 俺は腹いせに、澤田を叩きのめすことにした。

 颯爽とカイザに変身し、澤田に一撃を喰らわせる俺。
 悲鳴を上げながら必死に逃げていく澤田。
 逃がすものか。
 今度こそトドメを刺して、引導を渡してやる。
 俺とママの二人だけのスイートなライフを満喫するために。

 が、後を追おうとした俺の前に、龍とエビとムカデが立ちはだかった。
 邪魔をするな。
 俺は今忙しいのだ。

 俺は澤田と乾と龍とエビとムカデとあと一人誰か(あ、三原か)に対する怒りを必死に抑えながら、颯爽とオルフェノクに立ち向かっていくのだった。


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 ただのお邪魔虫が状況を引っかき回している様子が分かりすぎるほど分かりますが、分かっていないのは本人だけですので何とぞご容赦ください。



11月16日 (日) かいせい 【第41話】  
 颯爽とカイザに変身し、3匹のオルフェノクに立ち向かっていくかっこいい俺。

 が、そんな俺のかっこよさに便乗しようと、乾の奴ともう一人(あ、三原か)がファイズとデルタに変身し、この俺をさしおいて勝手に3匹と戦い始めたではないか。
 なんというせこい奴らだ。
 俺のかっこよさを利用して目立とうとするなど100億万年早い。

 おまけに、BGMにファイズの歌まで流れてきたではないか。
 ふざけるな。
 この番組の主人公は、カイザであるこの俺なのだ。

 俺は自作の替え歌「仮面ライダーカイザ」を口ずさみながら、3匹+2匹の敵に立ち向かっていくのであった。


 (ちゃらっちゃ〜ららら ららっら〜♪)

 ブレイク ブレイク あなたの敵の 解体 解体 一役買いたい
 いったん死んでは生き返る 突然変異だオルフェノク
 地球の平和をはばむやつらさ Break Out !

 仮面ライダーカイザ フォトンバルカン Da Da Da
 仮面ライダーカイザ サイドパッシャー大地を揺らし!!

 敵を倒すぜ! 悪を倒すぜ! 乾倒すぜ! 東へ西へ
 走る! 走る! 仮面ライダーカ〜イザ〜!


 ふ・・・
 完璧だ。

 で、この替え歌の元歌は、「日本ブレイク工業 社歌」という解釈で、イイのかな?


 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 替え歌なんか作ってる状況じゃないと思いますが、本人はまったく気にしておりませんのでなにとぞご容赦ください。



11月23日 (日) くもりときどきはれ 【第42話】  
 (ちゃらっら〜ららら ららっら〜♪)
 ブレイク ブレイク あなたの敵の 解体 解体 一役買いたい
 人間襲って生きてゆく コンプリートなオルフェノク
 地球の平和をはばむやつらさ Break Out !

 仮面ライダーカイザ フォトンバルカン Da Da Da
 仮面ライダーカイザ サイドパッシャー大地を揺らせ!!

 乾倒すぜ! 澤田倒すぜ! 木場を倒すぜ! 東へ西へ
 走る! 走る! 仮面ライダーカイザ

 ブレイク ブレイク ウマオルフェノク ドラゴン ヘビツル ムカデにエビを
 殲滅処理などおてのもの 即刻デリートいたします
 正義のライダー コンボをかませ!! Break Out !

 仮面ライダーカイザ カイザブレイガン Da Da Da
 仮面ライダーカイザ ゴルドスマッシュ大地に響け!!

 乾倒すぜ! 澤田倒すぜ! 木場を倒すぜ! 東へ西へ
 走る! 走る! 仮面ライダーカイザ

 仮面ライダーカイザ フォトンバルカン Da Da Da
 仮面ライダーカイザ サイドパッシャー Da Da Da
 仮面ライダーカイザ カイザブレイガン Da Da Da

 仮面ライダーカイザ ゴルドスマッシュ大地に響け!!

 乾倒すぜ! 澤田倒すぜ! 木場を倒すぜ! 東へ西へ
 走る! 走る! 仮面ライダーカイザ
 Break Out !!


 とうとう俺のテーマソング替え歌『仮面ライダーカイザ』のフルコーラスバージョンが出来上がった。
 仕事中も寝ないで歌詞を考えた甲斐があったというものだ。
 これは、元歌である『日本ブレイク工業 社歌』のCD化決定に合わせた、実にタイムリーな替え歌なのだ。
 これをカラオケで熱唱すれば、セクシーな俺にママはイチコロでダウンよ&もうあなたにあなたに溺れるに違いない。

 ふ・・・
 楽しみだ。

 などと楽しい想像にふけっていたら、菊池の奴がオルフェノク警報を入れてきた。
 金魚のフンみたいにくっついてくる誰か(あ、三原か)と共に現場に駆けつける俺。

 が、なんと、ファイズに変身した乾の奴がカニオルフェノクを必死にかばっているではないか。
 やはり奴はオルフェノクだったということか。

 俺は「そういえば最近カニ食ってないな・・・」と思いながら颯爽とカイザに変身し、2匹の敵に立ち向かっていくのだった。


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 女の子の気を引くために仕事そっちのけで替え歌を作っている男が『正義のライダー』を名乗るなど片腹痛すぎますが、本人の存在自体が充分痛すぎますので何とぞご容赦ください。



 月 日 ( )  【第43話】  






 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 この日の日記は、本人がトンネルの壁を殴って拳を痛めたせいで書かれておりません。
 本人は今、右手を押さえながら日記のそばでのたうち回っております。
 来週には復活すると思いますので、何とぞご容赦ください。



12月7日 (日) はれのちいちじくもり 【第44話】  
 オルフェノクの長田結花が、菊池の奴とラブラブな関係になったらしい。
 何ということだ。
 長田がオルフェノクなのは別に構わないが、菊池の奴がラブラブになるのは絶対に許せん。

 俺の中で『一刻も早く倒さなければならない目ざわりな奴リスト』の菊池の順位が、17位から4位に急浮上した。
 おそらく来週のランキングではベスト3にランクインするであろう。
 ふ・・・
 どこまで順位がアップするか、実に楽しみだ。

 それはさておき、現在ランクぶっちぎり1位の肩出しボサボサ男は今のうちに倒しておかねばならない。
 デルタギアを持つ腰ぎんちゃく男(あ、三原か)を引き連れた俺は、正々堂々二人がかりでボサボサ男に立ち向かっていった。
 腰ぎんちゃく男がやられている隙を突き、背後からこっそり襲いかかる俺。
 が、あっという間に腰ぎんちゃく男をノックアウトしたボサボサ男は、俺にも逆襲を加えて来たではないか。
 ちっ。
 腰ぎんちゃくのくせに使えない奴だ。

 1対1の不公平な戦いを強いられた俺は、ボサボサ男の連続攻撃を受け、ズルズルと土俵際まで追いつめられてしまった。
 このままではやられてしまう。
 いや、あきらめてはいけない。
 ここがふんばりどころだ。

 DOSUCOOOOOOOOOY!

 俺は最後の力を振り絞り、起死回生の16連打を放った。

 パタ。

 地響きを立てて、土俵に倒れるボサボサ男。

 やった!
 ついにボサボサ男の連勝記録に土をつけたのだ!
 国技館に飛び交う座布団の雨。
 俺はガッツポーズを取りながら、暴れん坊将軍の決めゼリフをかっこよく言い放った。

 『成敗!』

 よし! この調子で今場所は勝ち越しを狙うぞ!
 来場所は何としても大関に昇進するのだ!
 流星塾の屋根裏から見守っていてくれ、父さん!


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 途中から内容がコロコロ変わっていますが、この男には本編と番外編の違いはおろか、特撮番組と大相撲ダイジェストの区別すらついておりませんので何とぞご容赦ください。



12月14日 (日) かいせい 【第45話】  
 デルタに気を取られている隙をついて、背後からこっそり襲いかかり、俺は最強のオルフェノクを倒した。
 こんな画期的な戦法は、俺でなければ考えもつくまい。
 さすが宇宙一かっこ良くて頭のいい俺だけのことはある。
 犠牲になった腰ぎんちゃく男(あ、三原か)も、草葉の陰で喜んでいることだろう。

 が、倒れたはずの肩出しボサボサオルフェノクは、再び起きあがり、全身の装甲を脱ぎ捨ててマッハの速度で動き出した。

 何ということだ。
 こいつには加速装置がついていたのだ。

 目にも止まらぬ速さでデルタの周囲を走り回り、全身をボコボコにしている肩出しボサボサオルフェノク。
 俺はその隙にカイザブレイガンを構えた。
 だが、高速で走り回る敵に、なかなか照準が合わない。

 ううむ。
 気をちらしてはいかん!
 目をつぶって・・・

 ジャッ!

 手応えあり!

 俺の放った一弾は、見事に命中した。

 ・・・ドサッ!

 地響きを立てて、地面に倒れるデルタ。

 ちっ。
 どこまでも足手まといな奴だ。

 ガンッ!

 次の瞬間、俺は肩出しボサボサオルフェノクに後頭部を殴られ、気を失った。

 人が目をつぶっている時に、後ろから攻撃を加えるとは何事だ。
 どこまでも卑怯な奴め。
 心の腐ったオルフェノクはこれだから始末に負えない。

 俺は来週のリベンジを心に誓いながら、地面にゆっくり倒れていくのであった。


 この日記は、草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 心の腐った奴に心の腐った奴よばわりされるのは実に心外ですが、本人は自分の自爆加減にまったく気付いておりませんので何とぞご容赦ください。



12月21日 (日) かいせい 【第46話】  
 俺が目を覚ますと、肩出しボサボサ男はいなくなっていた。
 そばにいた腰ぎんちゃく男(あ、三原か)に事情を聞くと、父さんが現れて俺たちの危機を救ってくれたという。
 そんなバカな。
 そんなはずはない。
 きっとこの男(あ、三原か)は、俺の活躍をねたんでウソをでっちあげたに違いない。
 かっこよくて強くてモテモテの勇者は、周囲の無能な男どもから反感を買うものなのだ。
 これも致し方のないところか。
 それにしても、意識を失った状態であの肩出しボサボサ男を退けるとは、さすが俺だけのことはある。

 などと考えていたら、どこかのガキがママの家にやって来た。
 みんなで話し合い、しばらくの間ガキの面倒を見ることにする。
 さらに、ガキをママの家に連れてきた変な奴が、俺の前で感謝の言葉を並べ立てたので、配達車の洗車のついでに身体を洗ってやった。
 目に涙を浮かべながら地面にひざまづき、何度も感謝する変な奴。
 人に親切にするのは実に気分がいい。

 などと考えていたら、ママたちが野球の道具を引っ張り出してきた。
 どうやら、ガキを元気づけるためにみんなで野球をするらしい。

 ふ・・・
 野球なら、流星塾時代に『球拾いのプロ』と呼ばれたこの俺の出番だ。
 朝から晩まで外野を走り回されてボールを拾いまくり、ガラスの割れた家にホームランボールを取りに行かされた腕前を見せてやる。

 などと考えていたら、俺だけママに呼び止められた。
 みんなが野球をしている間、私たちのボディーガードを頼む、とママ。
 なるほど、他の男どもでは頼りにならないということか。
 無意識のうちに最強のオルフェノクをけちらしてしまうほど強い俺にうってつけの仕事だ。
 「この役目は草加くんしかできない。 私には分かる」とまで言われては、断る理由はない。
 俺はママのために、喜んでボディーガードの任務に就くのであった。


 物陰からひそかにのぞいてみると、ママやガキや乾や菊池や誰か(あ、三原か)が、楽しそうに歓声を上げながら野球をしている。

 ・・・今日は何故か、寒風が人一倍身に染みるなあ。


 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 ていのいいやっかい払いをされただけではないかとツッコミたくなりますが、恐らくその通りだと思われますので何とぞご容赦ください。



12月28日 (日) かいせい 【第47話】  
 さっきサイドパッシャーを洗っていたら、頭がキ〜ンとなった。

 おかしい。

 今日はかき氷なんか食べていないはずだが。


 この日記は、草加雅人氏の日記を抜粋・再構成したものです。
 死にフラグ立っちゃった?・・・と百抹の不安がよぎる今日この頃ですが、来年もよろしくお願いします。



1月4日 (日) はれのちくもり 【第48話】  
 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。

 新年早々、肩出しボサボサ男や乾杯女がママに襲いかかってきた。
 颯爽と現れ、カイザに変身して戦うかっこいい俺。
 宇宙最強のヒーローであるカイザは、2004年も絶好調なのだ。

 などと思っていたら、またもや頭がキ〜ンとなった。
 おかしい。
 今日は冷凍ミカンなんか食べていないはずだが。
 そんなことを思いながら、俺はゆっくりと倒れていくのだった。

 目を覚ますと、いつの間にか登場した父さんが、まるで今までのストーリーで生じた消化不良の謎解きをナレーションだけで済まそうとするかのように、異様に説明的な口調で話し始めた。

 ・・・なるほど。
 難しいことはよく分からないが、要するに王を倒せば全て解決するのだな。
 宇宙最強のヒーローにとって、オルフェノクの王を倒すことなど、小学生のガキを相手にするぐらい簡単なことだ。
 俺は王を倒すため、サイドパッシャーを走らせた。

 が、その途中、いつのまにかスマートブレインの社長になっていたピカレスク木場の奴から電話がかかってきた。
 ママを人質に取ったから助けに来いという。
 おのれ木場。
 やはり奴は根っからの悪人だったらしい。
 だがママを人質に取ったのは奴の大いなる誤算だ。
 宇宙最強のヒーローであるこの俺を敵に回してしまったのだから。
 というか、元々敵だったのであるが。
 とにかく、待っていてくれママ。
 俺が必ず助け出してみせる。

 木場との待ち合わせ場所に着くと、案の定待ち伏せしていたボサボサ男たちが襲いかかってきたではないか。
 俺は、奴らを油断させてママを逃がす隙を作るため、ひとまず変身を解き、海岸に隠れた。
 俺の頭脳的作戦は見事に功を奏し、ママは捕らわれていた車の中から自力で脱出したのである。

 「草加君! 草加君!」

 砂浜に腹這いになっている俺を、ママが必死に探し回っている。
 俺はすぐ近くにいるというのに、なかなか見つけられずに叫びまくるママ。

 「ママ、後ろ後ろ!」

 俺はTVの前で思わず叫んでしまった。

 ・・・・・・・・・

 ・・・ん?
 なんでこんなシーンでカイザが出てくるのだ?
 俺はちゃんとそこにいるというのに?
 フィルムの編集ミスか?

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 な、なんだこの展開は?
 これではまるで、俺が死んでしまったみたいではないか?
 そんな事があってたまるか。
 主人公たる俺が、最終回を待たずに退場してしまうなど、たとえこの宇宙が滅び去ったとしてもあってはならないことだ。
 死んだように見えたのは、きっと目の錯覚に違いない。
 今に見ていろ木場。
 この借りは10兆億倍にして必ず返してやる。
 俺はブラウン管の前で拳を握りしめ、クライマックスの奇跡の復活を心に願うのであった。


 この記述は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 今週で最終回かと思わせておいて、まだまだ続きそうな雰囲気ですが、なにとぞご容赦下さい。



1月11日 (日) はれ 【第49話】  
 今日は出番がないようなので、TVで放送を見ることにした。

 海岸に集まり、オイオイ泣き叫ぶ乾と変な奴と誰か(あ、三原か)。
 奴らは、この俺が死んだと思っているらしい。
 まあ無理もない。
 この俺でさえ、あの画面を見て、一時は間違いなく死んだと思ったのだから。

 海岸でママの子どもの頃の写真を見つける乾。
 それを見た誰か(あ、三原か)は「間違いない・・・草加のだ」とつぶやいた。
 ちょっと待て。
 何故お前がそんなことを知っているのだ。
 あの写真は誰にも見せずに、この俺が肌身離さず持ち歩いていたものだ。
 ・・・というか、あれ?
 あの写真は確か、23話あたりで俺がママに告白したとき、落として失くした奴じゃないのか?
 なんであんな場所に落ちてるんだ?

 俺が完全に死んだと思いこんだ誰か(あ、三原か)は、俺の死をママには黙っていることにした。
 よしよし。
 その他大勢扱いの登場人物のくせに、なかなか物わかりがいい。
 俺が死んだなどというデマを流されては、ママが悲しむからな。
 だが「俺の中で生きてくれ。お前の強さを俺にくれ」とはなんだ。
 まるで俺が本当に死んだみたいではないか。

 などと思っていたら、乾の奴がいきなりママに「草加は死んだ」などとほざき始めた。
 だからそんなデマを流すな!
 ママが信じたらどうするのだ!
 俺はTVの前で怒りに震えるのだった。

 肩出しボサボサ男はボリボリ食われるわ、寝ぐせ男は泣きわめきながら暴れて踊るわ、今週は盛りだくさんの内容だった。

 ・・・で、俺の再登場はいつなんだ?


 この日記は草加雅人氏の日記から抜粋・再構成したものです。
 本人にツッコミを入れたいお気持ちは痛いほど承知しておりますが、あと1週間のガマンですのでなにとぞご容赦ください。



1月18日 (日) はれ 【第50話】  
 今週は最終回だという。
 俺は、クライマックスでの再登場を期待しつつ、TVの前に座った。

 なんとなく、大晦日の日に自宅のTVで紅白歌合戦を見ている歌手のような気分だ。

 子どもを拉致したばかりか、乾をオルフェノクの実験台にしようとする、悪人モードフルスロットルの木場。
 何ということをするのだ。
 乾が実験台になるのは一向に構わんが、子どもを傷つけるのは許せん。
 この俺が正義の鉄槌を下してくれる。
 だから早く俺を出せ。

 無能な乾たちが何もできず右往左往しているうちに、とうとうオルフェノクの王が目覚めてしまった。
 これだからあいつらには任せておけないのだ。
 俺なら覚醒する前に宿り主を倒してとっととケリをつけていたことだろう。
 だから早く俺を出せ。

 王の攻撃に苦戦する乾たち。
 よし、ここで俺が再登場するのだな。
 俺は期待に胸を膨らませながら、次のシーンを待った。

 ・・・なに?
 何故ここで木場が出てくるのだ?
 ここはどう考えても俺が再登場して「大丈夫か君たち!」「草加君!」「草加! 全部俺たちが悪かった! 頼むから俺たちを助けてくれ!」「草加さん! お願いだよ!」「よしよし、分かった! このぼくに任せたまえ! 変身!」コンプリート! レディ! エクシードチャージ!「くらえ王様! 両方草加キィック!」ぱぐしゃあっ! ドッカ〜ン!「ありがとう草加! ありがとう!」「やっぱり草加さんは宇宙一のスーパーヒーローだ!」「いやいや、大したことじゃないよ、はっはっは」「草加君! 私と結婚して!」「おいおい、いくらぼくが魅力的でも気が早過ぎるなあ。はっはっはっは・・・」とならなければおかしい場面だというのに。
 あまつさえ、乾と誰か(あ、三原か)と一緒に変身して、王に立ち向かうとは何事だ。
 あまりの節操のなさに、俺はあきれはてて何も言えない。
 「王を守る」と言っておきながら、その舌の根も乾かないうちに、正義の側に寝返るとは。
 こいつ、今の今まで自分のしていたことをきれいさっぱり忘れてしまったのであろうか。
 そんなことで今までの罪が帳消しになると思ったら大間違いだ。
 人前でコロコロ態度を変えるヤツは信用できない。
 そんなヤツにカイザのベルトを使う資格はないのだ。
 そもそもこいつは登場したときから・・・(編集註・以下325行削除)

 お、いつの間にか後日談モードか。
 ここでやっと俺が登場するのだな。
 変なヤツとか寝ぐせ男の近況報告なんかどうだっていい。
 早く俺を出せ俺を。

 土手に寝ころんでいるママと乾と菊池。
 ・・・おい、俺はどうした?
 乾の手のひらなんかどうだっていい。
 早く俺を出せ俺を。

 な、なぜもうスタッフロールが始まったのだ?
 しかもBGMは、脇役であるファイズの歌ではないか。
 俺自身が作詞した真の主題歌「仮面ライダーカイザ」を何故使わないのだ?
 俺はBGMの音声をかき消すぐらいの大声で「ブレイク〜ブレイク〜」と必死に歌い出した。

 い、いや、ここで取り乱してはいけない。
 最近の作品は、スタッフロール後の最後のカットでどんでん返しの映像が流れることもある。
 最後の1秒まであきらめてはいかんのだ。
 落ち着け俺。

 「明日のナージャ、このあとすぐ!」

 ドンガラガッシャ〜ン!!

 俺は1秒前までTVだった残骸に目もくれず、部屋を飛び出していくのだった。


 この日記は草加雅人氏の記述から抜粋・再構成したものです。
 本人は現在、目に涙をいっぱい溜めながら、公園の砂場で体育座りをしております。
 気が向いたらなぐさめの声をかけてやってください。

 私はイヤですけど。



1月25日 (日) はれのちいちじくもり
 今俺には分かった。
 すべてのカラクリが解けたぞ。

 「仮面ライダーカイザ」は先週で終わったが、草加雅人自身の物語が終わったわけではない。
 宇宙最強のスーパーヒーローである俺の物語は、むしろこれから始まるのだ。
 俺の、俺による、俺のための物語が。
 そのシナリオを描くのは、脚本家ではなく、この俺自身だ。

 そうと分かれば、こんな所でぐずぐずしてはいられない。
 新たな旅に出かけよう。
 自分の未来を自分自身の力で創り上げるために。

 俺は必ずここへ帰ってくる。
 そして、さらにかっこよくてモテモテの男になって、ママを迎えに来る。
 その日まで、待っていてくれ、ママ。

 俺は期待に胸を膨らませながら、サイドパッシャーにまたがり、地平線まで続く道をどこまでもどこまでも走っていくのだった・・・。


 日記の記述はここで終わっています。
 草加雅人氏は、『人生』という名の物語を自分自身の手で完成させるため、長い長い旅に出かけました。
 もしどこかで彼を見かけたら、声をかけてやってください。

 私は他人のフリをするつもりでいますが。


『完』



(管理人より)

■この日記は、仮面ライダーファイズの放送当時に、総合ライターサイト「九拾八式工房」(リンクページ参照)の「赤城山掲示板」に毎週書き込んでいた内容をひとつにまとめたものです。
■元々は、掲示板の常連である暗闇葬魔さんの「琢磨逸郎日記」に便乗して、ごくごく軽い気持ちで書き始めたネタであります。
■始めた当初は、まさかこのような結末を迎えることになろうとは思ってもみませんでした。
■ファイズの放送終了と同時にこの日記も完結し、掲示板の過去ログと共にサラサラと消え去る運命にあったのですが、赤城山掲示板の読者の一人であるシリウスさんの「まとめて読みたい」という声に応える形で、今回の復活とあいなりました。
■九拾八式工房管理人の元締(=後藤夕貴さん)、暗闇葬魔さん、シリウスさん、そしてこの日記を読んでくださったみなさんに、この場を借りてお礼を言わせていただきます。
■本当にありがとうございました。