SecretStory

　お風呂に入っていると、家の前で大型車が停車する音が聴こえました。昨日、「プレミアムバンダイ」から発送完了のお知らせが着ていたことを思い出し、あわてて浴室から飛び出した瞬間、チャイムが鳴り、「はーい」と返事をしながら服を着るも、裏表を間違えたので、ひっくり返して……、あわわ、やっと玄関の前へ飛んで行きました。ああ、いったい何十秒お待たせしてしまったのでしょう。本当に罪悪感でいっぱいです。

　宅配便屋さんが訪ねてきた時にお風呂に入っている、という経験は誰しも一度や二度ではないと思います。本屋さんで便意をもよおすようなもの。そう！　雑誌などの読者投稿欄に、「私はなぜか宅配便屋さんが訪ねてきた時にお風呂に入っています。」と送って、この現象を「まゆこ現象」と名づけられたい。
　……話が逸れました。こういう状況に備えるには……。うーん、パーカーとタオル素材のワンピースを常に用意しておこうかしら。

　さてさて、「プレミアムバンダイ」から届いた荷物を開けましょう。

「仮面ライダーフォーゼ」のパーカーです。商品が届いた喜びで、髪の毛がびしゃびしゃなことすら忘れ、パーカーを羽織って記念撮影。

　デフォルメされたフォーゼとメテオのイラスト。わあ、キャラクターのイラストがプリントされた服は、小学生時代以来だなあ。

　数人でレストランへ行くと、必ず、「見ていて」とだけ言い残して、かばんを椅子に置いたままトイレへ行く人がいるのです。すると、尿意の連鎖反応が起こるのか、「じゃあ、私も」と、やはりかばんを椅子に置いたまま、トイレに駆け込む者まで。
　取り残された私は、かばんを見つめ、憤る。
　もしも、レストランで堂々とかばんをひったくる奴がいたら、どう対処しろというのか。

　ひったくりがかばんに手を付けた瞬間、とりあえず水をぶっかけておく。しかし、これではまわりからは単なる痴話喧嘩だと思われかねないため、「ド、ドロボーダー！」と叫ぶ。ひったくりもスプーンなどを投げて応戦してくるので、華麗にかわしながら、持ち上げた椅子の脚をさすまた代わりに、相手を窓際へ追い詰める。

　勝利を確信したその時、ひったくりは窓ガラスに体当たりし、ガラスの破片を浴びながらも、街の人込みの中へ消えてしまった……。
　で、かばんを置いてトイレへ行っていた人たちが戻ってきて、
「あれ？　かばんは？」
「見ていて、って言ったじゃない！」
　なんて怒り狂っていやがる。
　あんな攻防を繰り広げたのに、冗談じゃない。

　……毎回毎回、こんなシミュレーションをして、疲れてしまいました。こんなシミュレーションをしたところで、現実には、「ド、ドロボーダー！」が限界だと思います。いや、「イヒァ！　ど、ど、ど、ど、どろ……」程度かもしれません。
　さあ、トイレへ行ってきます。

　4日前から、鼻の付け根と右の頬骨のまわりが痛くてたまりません。
　この症状は昔からよくあることなのですが、原因が不明です。私は小学生の時から鼻炎がひどいので、副鼻腔炎ではないかと思い、この十数年の間に何度か病院で検査していただきましたが、副鼻腔炎ではないと言われてきました。

　今日も鼻の付け根と右の頬骨のまわりがずきずきと痛いです。
　病院へ行ってもどうにもならないのだから耐えるしかない。この4日間、そう思っていましたが、クリーム色の硬く長い鼻水がでろりと飛び出した瞬間、もう耐えられませんでした。

「4日前から色の付いた鼻水が出ているんですって？」
「4日前から鼻の付け根や右の頬骨の周りが痛いのです。今日になって」
　クリーム色の鼻水が出ました、と言い終える前に、「いわゆる『蓄膿症』（慢性副鼻腔炎）の症状によく似ている。CTで確認しましょう。」と、お医者さんはCTの手配を進められていました。

　CTの撮影が終わり、再び診察室へ入ると――先生は封筒から取り出したCT写真を診た途端、目の色が変わった――そんな気がしたのです。
「深刻な状態なので、はっきり言います。今、ご家族の方、いますか？」
　います、と返す間もなく、「ウシ井さあん！　ウシ井さんのご家族のかたあ！」という声が響き、「どうしたんですか？」と父が診察室へ入ってきました（車で連れてきてもらったのです）。
　ええ？　もしかして大ごとなの？　動悸がする。脂汗が止まらない。
「重度の慢性副鼻腔炎です。」
　ああ、やっぱり。変かもしれませんが、やっと診断されたんだ、と安心に似た気持ちを覚えている自分もいました。
「なぜ（別の病院では）副鼻腔炎ではないと言われ続けたのでしょうか。」と質問したところ、レントゲンではわからないかもしれないとのことでした。

　よし、薬を飲んで、膿と鼻水をいっぱい出すぞー。