rhapsodie -- fantasia


さて、と、一段落した会合の中で近藤が切り出した。その言葉に、会合を終えてすっかり気を緩めていた隊士たちが近藤に視線を集める。そんな隊士たちを前にして、近藤はにかりと笑った。お前たちに紹介しておきたい奴がいるんだ、と隊士たちに告げて、扉の方へと視線をやる。

、入ってきてくれ」
「・・・・は」

そうしたままで、部屋の外へと近藤が声を張った。それに返ってきた声は、隊士たちにとって聞き覚えのないもの。す、と僅かな音を立てて開いたその先にいたの姿にも、やはり見覚えのない隊士たちは、不思議や怪訝の表情をそれぞれの顔に浮かべた。そんな彼らに向かって、近藤は自身の隣に立たせたを紹介する。

「こいつはだ。今日からこの屯所で過ごしてもらうことになった」

その言葉に、隊士たちの間にざわめきが起こった。一体どういうことなのか、明らかな警戒の眼差しを向けるもの、単なる興味から隠すことなくじろじろとを観察するもの。表情を変えることなくそれらの視線を受け止めるの隣で、近藤が笑みを崩すことのないままに言葉を続ける。

「隊士ではないが、剣客としてここに留まってもらう。みんな仲良くな」

まるで小学生の紹介かなにかのように話を締めくくった近藤に、そしてに、尚の事視線が集まった。隊士ではなく、剣客。皆それぞれに腕に覚えのあるものたちの集まるこの集団に、そう迎えられるというに向かう視線が先ほどまでより一層厳しくなる。それに気づいていないのか、にこにこと笑ったままの近藤に、が切り出した。

「・・・近藤局長。私からもよろしいですか」

その言葉に、近藤にも向かっていた視線がへと集中する。成り行きを見守っていた土方や総悟も、へと視線を向けた。そうして、ああ、という近藤の了承を受けたが、自分へと向けられる目に視線を返す。そうして、この空気に全く動ずることなく口を開いた。

「只今紹介に預かった、と申します」
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