|
いつものように談話室で話していたら、ちょうど目に入った窓の外で、ポタリと水滴が落ちたのが見えた。でもこれは別に雨が降っているっていうわけじゃぁない。積もっていた雪が溶けているっていうことさ。 What made in winter
15. This is the happy end !
「あら、どうかしたのジェームズ?」 「いや、ただ雪が溶けてきたなぁと思ってね、リリー!」 少しぼうっとしていたらしい僕に、隣に座っているリリーが首を傾げて聞いてくる。あぁ、なんて可愛らしいんだろう!(さすがは僕のハニーだね!)納得したらしいリリーが僕がさっき見ていた窓へと視線をやって、それに続いてリーマスとピーターも窓へと目をやる。ポタリ、またひとつ雫が落ちたのが見えた。(シリウスはどこにいるかって?) 「本当ね。でもこの分じゃぁ、外はびしょぬれなんじゃないかしら」 「そうだね、さっきピーターも転びかけてたし」 リリーの言葉に続いて、リーマスが笑いながら言う。談話室に来る前、リリーとは違う授業だった僕らはちょうど外を通ったわけだけれど、そこで見事にすっころんだピーターは(そう、あれは見事だった)少し顔を赤くした。でもそれはあいつには意外といい作用をもたらすかもしれないな。そんなことを思いながら何とはなしに窓へと近づけば、下に見えた姿に思わず口元がつりあがる。(全く、こういうタイミングが悪いのは相変わらずだ)(いや、逆にいいともいうのかな) 「シリウスとも外にいるんじゃないの?」 「多分ね。ちゃんと気を回せてるといいけど」 甘い甘い(むしろどうして普通に飲めるのか不思議なほどの)紅茶を飲みながら言うリーマスに、リリーとピーターが笑う。大丈夫だよきみたち、シリウスはその辺りはおさえる男だ。(現に、窓の外ではシリウスがのマフラーを巻きなおしているしね!)シリウスとが付き合うようになったのは1ヶ月ほど前の話。あの事故があった、10日後だ。事の一部始終を聞いた僕らは褒めるよりも先にそんなことが出来た彼に対して驚いたけれど、まぁやるときはやる男だからね、シリウスは。(それでこそ僕の親友さ!)あまり表立って(例えば僕とリリーみたいに!)ラブラブとはしていないから少し心配ではあったんだけれど、それでもお互いがお互いのことを好きなのはわかるし、2人きりの時には今みたいに手なんかも繋いじゃってラブラブしているようだし、うん、あれは僕らがなんだかんだ言うまでもないだろう。(ならなんでいちいちからかっているかって?)(楽しいからさ!) 「でもの話を聞いてると、シリウスもちゃんとやってるみたいよ」 「そうなの?」 と仲良しなリリー(さすがにそういうことは女同士で話すだろうしね)の言葉に、ピーターが聞き返す。「へぇ」とリーマスがクスクスと笑った。からかってはいるけれど、実際僕達は嬉しいんだ。シリウスに好きな子ができて、その相手もシリウスのことが好きになってくれて、今、シリウスとが笑っていることが。ちらり、彼らへと視線を落とせば、幸せそうな、2人。(・・・おっと!キスシーンをみるのは野暮だから止めておこうか)ひとつ笑って視線を外して窓際からソファへと戻った僕の後ろで、温かい日差しが光った。そんな、春も間近にせまった冬の終わり。 |