青森県音楽資料保存協会

こども郷土芸能フェスタ21

「こども郷土芸能フェスタ21 実施の詳細」
<資料提供:青森県教育庁文化財保護課(平成15年度)>


【平成17年4月2日掲載】
※市町村名、旧市町村名で掲載していますが、新市町村名が併記されている場合は、平成17年4月2日現在で掲載しています。
また、学校名は出演当時の名前で掲載しています。御了承下さい。

※タイトルをクリックすると、内容がご覧いただけます。

 1.フェスタの歴史

 2.出演団体

 3.アンケート(平成15年度)

 4.出演団体の詳細(平成15年度)


 
1.フェスタの歴史

青森県では、これまで県民文化祭などで
大人の郷土芸能を発表することは何度もありましたが、
「子どもたちだけの郷土芸能の発表会」は開かれたことがありませんでした。
秋田県では青森県同様、こうした活動はされていませんでしたが、
岩手県では、平成6年度から、毎年4地区で青少年芸能発表会を開催しており、
平成12年度からは全県的な発表会にするということで、
平成12年10月28日に岩手県民会館で
「平成12年度岩手県青少年民俗芸能フェスティバル」が開催されました。
実際に見に行かれた方の話によると、
岩手県は長年開催しているだけあって流れもスムーズで、
参加している子どもたちがとても生き生きとしており、
楽しいフェスティバルであったということです。
子どもたちが、いったいどんな気持ちで参加しているのかが、
一番の気がかりな点でもあるのですが、
「無理に出させられてる」というものではなく、
本当に、自分たちの郷土の芸能を誇りに思い、
楽しく参加していたのがよくわかったということです。


さて、青森県では、平成11年に資料がまとめられるまで、
学校や地域での「子どもたちによる郷土芸能の活動状況」を全く把握していませんでした。
それが、平成11年度の調査結果によると、
たくさんの学校が郷土芸能に取り組んでいることがわかりました。
ただ、調査表を見ても、どの学校、どの地区の活動が盛んなのか、
どこの団体に出てもらえばよいのか判断がつかないので、
青森県内の各教育事務所から担当する人を集め、地元の話を聞いて
出演団体を推薦してもらい、
青森県でも、子どもたちによる郷土芸能フェスタの準備が進められることとなりました。

青森県での開催にあたり、出演団体は学校単位、あるいは、郷土芸能の場合には
地区の小・中・高の児童・生徒が一緒になって祭りなどに参加している場合も多いので、
地区単位での参加もよいことにしました。

また、すべて子どもたちだけでのフェスティバルを望んだのですが、
鳴り物は、大人が入らないと子どもたちだけでは難しい事情もあるので、
地区の保存会の大人の出演も認めました。

地元の郷土芸能が廃れていく中、
この「こども郷土芸能フェスタ21」に参加することになって
地域ぐるみの練習がおこなわれたところもあり、
子どもたちと一緒に練習を行っていくことで、
先祖からの貴重な遺産である郷土芸能を再認識でき、
場所によっては廃れかけていた芸能が復活できたとの喜びの声も上がった
ということでした。


 
2.出演団体

【平成12年度】
「第1回 こども郷土芸能フェスタ21」
(会場)十和田市民文化センター
(日時)平成13年2月11日 で、
地元から4団体、各地区から1団体、計9団体

東青 三厩村
(現外ヶ浜町)
三厩村荒馬踊 三厩村荒馬保存会
西北 森田村
(現つがる市)
三方荒神鹿島獅子 森田村立育成小学校
三方荒神鹿島獅子保存会
中南 碇ヶ関村 御関所みこし子ども太鼓
「子供太鼓曲打ち」他
碇ヶ関村立碇ヶ関小学校
碇ヶ関御関所太鼓保存会
上北 十和田湖町
(現十和田市)
沢田っ子鶏舞
「シシ」「イッポンセンス」他
十和田湖町立沢田小中学校
沢田鶏舞保存会 沢田っ子鶏舞
七戸町 「鳥舞」「盆舞」 七戸町立西野小中学校
上川目神楽保存会
十和田市 「上切田子ども駒踊り」
「上切田子どもへいそく舞」
十和田市立上切田小学校
南部駒踊上館保存会
横浜町 獅子舞 横浜町立大豆田小学校
大豆田神楽会
下北 脇野沢村
(現むつ市)
獅子舞「滝山神楽」 山の子子ども会
三八 八戸市 えんぶり 八戸市立中居林小学校
中居林えんぶり組

余談ですが、前日に通しでリハーサルを行い、リハーサル終了後、自分たちの紹介や
ゲームなどの交流会を行い、地元の子ども以外は、保存会の方も含め、
三沢市の古牧温泉に宿泊してもらい親睦を図ってもらいました。
また、秋田県の方も、参考のためにと3名の方がリハーサルから来られ、
当日は大雪でしたが最後まで見学されていったということです。

この「こども郷土芸能フェスタ21」に合わせた「交流会」は
以後も継続されることになります。

【平成13年度】
「第2回 こども郷土芸能フェスタ21(こども伝統芸能 北東北大祭典)」
(会場)青森市 ぱ・る・る・プラザ青森
(日時)平成13年11月11日(日)  10時開場  10時30分開演  16時終了

東青 青森市 高田獅子踊 青森市立高田小学校
高田獅子踊保存会
今別町 大川平荒馬 今別町立大川平小学校
大川平荒馬保存会
西北 小泊村
(現中泊町)
下前権現太刀振り 小泊村立下前小学校
下前権現太刀振り保存会
東青 浪岡町
(現青森市)
吉野田獅子踊り 浪岡町立野沢小学校
「吉野田獅子踊りクラブ」
浪岡町吉野田獅子踊り保存会
上北 三沢市 織笠神楽 織笠神楽保存会
下北 東通村 能舞「鐘巻き」 東通村白糠子ども会
三八 三戸町 大黒舞 三戸町立蛇沼小学校
岩手県 盛岡市 沢目獅子踊り「回向」他 盛岡市立乙部中学校
獅子踊り保存会
三陸町
(現大船渡市)
浦浜念仏剣舞 浦浜念仏剣舞保存会
秋田県 秋田市 土崎港はやし「寄せ太鼓」他 秋田市立港北小学校
土崎港ばやし保存会
秋田市 竿燈 秋田市立秋田南中学校
秋田市立築山小学校
秋田市竿燈会

●合計 11団体 、10市町村 

参加者・・・
子ども220人
大人  24人
合計 244人

【平成14年度】
「第3回 こども郷土芸能フェスタ21」
(会場) 黒石市 黒石市民文化会館
(日時) 平成14年11月10日(日)  10時開場 10時30分開演  16時終了

東青 平内町 松野木剣舞踊り 平内町立東平内中学校
東栄小学校
松野木剣舞踊り保存会
西北 五所川原市 藻川獅子舞 五所川原市立藻川小学校
獅子舞
中南 弘前市 津軽神楽「磯浪」 津軽神楽保存会(大人)
黒石市 津軽手踊り 荒田流宝声会
黒石市 ねぷた囃子 黒石正調ねぷた囃子保存会
(大人)
碇ヶ関村 古懸獅子踊 古懸獅子舞保存会
古懸獅子舞保存会 子供獅子
上北 東北町 清水目剣舞 東北町立千曳小学校
清水目剣舞保存会
下北 佐井村 忠臣蔵五段目 福浦ぬいどう子ども会
福浦芸能保存会
三八 八戸市 虎舞 左比代虎舞少年組

●合計 9団体 、8市町村 

参加者・・・
子ども132人
大人  54人
合計 186人

【平成15年度】
「第4回 こども郷土芸能フェスタ21」
(会場) むつ市 むつ市民文化会館
(日時) 平成15年11月16日(日)  10時開場 10時30分開演  16時終了

東青 蟹田町
(現外ヶ浜町)
蟹田風太鼓
「風の彩り」「東風」
蟹中風太鼓
(蟹田町立蟹田中学校)
西北 木造町
(現つがる市)
出野里獅子踊り 木造町立出野里小学校
中南 黒石市 鹿獅子踊り 黒石市立上十川小学校
上北 六戸町 鶏舞 六戸町鶴喰鶏舞保存会
下北 むつ市 子ども歌舞伎「白浪五人男」 奥内歌舞伎保存会
むつ市 祭囃子とおしまこ 新盛組(大人)
東通村 東通神楽「二人平獅子」 小田野沢子ども会
東通村 下北の能舞「鐘巻」 蒲野沢青年会(大人)
上北 倉石村
(現五戸町)
南部駒踊り 倉石村立石沢小学校

●合計 9団体 、7市町村

参加者・・・
子ども160人
大人  31人
合計 191人

【平成16年度】
(会場) 五所川原市 ふるさと交流圏民センター「オルテンシア」
(日時) 平成16年11月21日(日) 開場10:00  開演10:30 終演15:35

西北 五所川原市 漆川(うるしかわ)獅子舞 漆川若獅子会
金木町
(現五所川原市)
嘉瀬の奴踊り
(かせのやっこおどり)
金木町立嘉瀬小学校
下北 六ヶ所村 泊神楽舞
(とまり かぐらまい)
泊子供神楽会
東通村 下北の能舞「信夫(しのぶ)」 白糠(しらぬか)子ども会
三八 八戸市 えんぶり「どうさいえんぶり」 八戸市立北稜中学校えんぶり組
東青 蓬田村 玉松太鼓(たままつたいこ)
「玉松」「大漁」
玉松太鼓保存会
中南 岩木町 登山囃子 岩木町立百沢
(ひゃくざわ)小学校
西北 五所川原市 五所川原甚句 五所川原甚句保存会
 (特別出演・大人)
東青 青森市 高田獅子踊
(たかだ ししおどり)
青森市高田獅子踊保存会 
 (特別出演・大人)

※平成17年度以降(平成18年度〜「こども民俗芸能大会」)の出演団体については、
 こちら(PDFファイル) をご参照ください。


 
3.平成15年度 こども郷土芸能フェスタ21アンケート結果

 <資料提供:青森県教育庁文化財保護課>

 平成15年11月16日(日)
 於 下北文化会館
 入場者数 約1000人
 回答者数 153人(アンケート回収率15%)

@どちらからいらっしゃいましたか?
地区 人数
むつ市内 92 60.1
むつ以外下北地区 26 17.0
三八地区 9 5.9
上北地区 8 5.2
東青地区 13 8.5
中南地区 4 2.6
西北地区 0 0.0
県外 1 0.7
合計 153 100

※県外:岩手県二戸郡二戸町


A性別・年齢を教えて下さい。
- 人数
男性 68 44.4
女性 83 54.2
無回答 2 1.3
合計 153 100

- 人数
19歳以下 10 6.5
20歳代 2 1.3
30歳代 14 9.1
40歳代 27 17.5
50歳代 25 16.2
60歳代 41 26.6
70歳以上 30 19.5
無回答 5 3.2
合計 153 100

【参考 前年14年度】
- 人数
男性 30 33.7
女性 59 66.3
合計 89 100

- 人数
19歳以下 6 6.7
20歳代 2 2.2
30歳代 4 4.5
40歳代 9 10.1
50歳代 17 19.1
60歳代 31 34.8
70歳以上 18 20.2
無回答 2 2.2
合計 89 100


B今回の「こども郷土芸能フェスタ21」を何で知りましたか?
(複数回答可)
- 人数
新聞・県民だより 15 8.8
ラジオ 4 2.3
インターネット 0 0.0
ポスター・チラシ 54 31.6
知人から 29 17.0
地元の広報誌 46 26.9
学校から 12 7.0
その他 11 6.4
合計 171 100

【その他意見の詳細】
・子どもが出演する(7人)
・取材
・県文化財保護課からの案内
・郷土芸能に関係しているから


Cご来場のきっかけについて(複数回答可)
- 人数
郷土芸能が好き 90 45.5
こどもの発表が観たい 69 34.8
知人に誘われた 7 3.5
知り合いが出演する 20 10.1
その他 10 5.1
無回答 2 1.0
合計 198 100

【その他意見の詳細】
・子供にさそわれて
・ピアノ演奏会の空き時間があったから
・ビデオ撮影
・取材のため
・息子が出演するから
・子供が出るので
・風太鼓にひかれて
・同じ場所(文化会館)で発表会があって暇だったから
・子供が「見たい」と言ったから


Dその他、ご意見・ご感想がございましたらお願いいたします。
 (自由回答)

【主な意見】

・毎年、郷土芸能発表会を開催すればよいと思います。(女性60代)

・初めて見ましたが郷土芸能とても良いと思いました。
 子供達の素朴な踊りがすばらしいと思いました。(女性50代)

・開催時期を9月〜10月頃できないか?
 11月だと雪の心配があり、遠くからは来られないから(男性70代)

・毎年郷土芸能発表会(子供、大人)楽しみにしています。
 下北地区でも多くの郷土芸能があり前に見たものであっても
 そのつど感動しています。今回は初めて見るものが多く、
 伝統を引き継ぎ指導してくださる方々と発表する子供達に感動と喜びで、
 見にきて本当によかったです。(女性50代)

・PR不足なのでは?(男性40代)

・すばらしい企画ですですが、観客が少ないのが残念です。
 もっともっとPRの工夫を。(男性60代)

・長い間子供たちが一生懸命練習してきたんだなあ、と強く感じられました。
 素晴らしかったです。多くの人たちに見て欲しいですね。(女性40代)

・何事にも心を一つに目的に立ちむかう姿をみてたのもしく思いました。
 子供達が輝いてみえました。今日は沢山元気をいただきました。
 ありがとうございました。(女性60代)

・みんなすごく上手だった。(男性10代)

・大人の特別出演があって良かったと思う。
 これからも1〜2組の大人の特別出演があった方が良いと思う。(男性70代)

・子供たちの一生懸命さが伝わってきてとてもよかったと思います。(女性30代)

・御けいこが大変だったと思います。(女性60代)

・大変すばらしかったです。(女性70代)

・来年もたのしみにしています。(男性50代)

・子供達の輝いている姿がとても感動しました。
 郷土芸能が引き継がれているのはすばらしいですね。(女性50代)

・全体に見事です。(男性60代)

・特に小・中学生に観せたい。(男性60代)

・入場料徴収してもよいのでは?とてもよかったです。
 今後も継続して下さい。(女性70代)

・テレビで見ている芸能の実物が見れて大変良かった。(女性50代)

・大変しあわせでした。長く続けて下さい。(男性60代)

・純粋、一生懸命! 少子化を案ずる者にとても心強い限りです。
 素晴らしい秋の一日でした。ありがとう。(男性60代)

・大変よかったです。ありがとうございました。(女性50代)

・お子さん方の熱心で上手なおどりに感動致しました。
 毎年見せて頂きたいと思います。今日は本当に有難うございます。(女性70代)

・ただ、ただ、感動。
 他市町村の芸能が観られてありがとうございました。(女性?代)

・百点満点です。(女性70代)

・子供たちの一生懸命頑張ってきた成果が出ている。(女性60代)

・すごかった。出演者が汗だくでいたので、がんばっていたんだと思った。(女性10代)

・大変上手だった。(男性40代)

・これからも続けていってほしいと思います。(女性40代)

・とても楽しく拝見しました。(女性10代)

・終幕と始幕の休憩に照明を灯けて欲しい。(男性50代)

・すばらしいです。子供達の元気いっぱい演技するのに感心します。
 衣装のすばらしさも感心しました。(女性60代)

・毎年見に来るけど関係者の努力のたまものだと思います。(女性50代)

・同じ県でも見たことのないものを見ることができてとてもよかった。
 来場者が思ったより少なかったのが残念。(女性40代)

・どこも皆上手でした。(女性60代)

・ポスターの終演時間が小さく、見落としてしまい、
 昼ごはんを食べそこねてしまいました。
 あと、一部マナーのとても悪い人達がいました。
(飲食、上演、演中のおしゃべり、ケータイ等)(女性40代)

・各地域で頑張っている子どもたちの姿がみれて嬉しかったです。
 ありがとうございました。(女性50代)

・満足した。入場料を取ってもよい位だ。
 元気な子供達を見て自分も若くなった感じだ。(男性60代)

・どれを見学しても大変じょうずでした。
 練習時はすごくむずかしい所もあったでしょう。
 皆ではげましましあったことでしょう。本当に御苦労様でした。
 これを機会に又次をめざしてがんばって下さい。(女性60代)

・郷土芸能は小さいときに良く見ました。毎年楽しみに。
 大好きです。子供達の一生懸命さに感動しました。(女性?代)

・何回か見せていただいた芸能もありましたが、
 そのような芸能も、今日は素晴らしく感動しました。
 学生さん達もしっかり郷土芸能を伝承していてたのもしく思いました。
 ありがとうございました。(女性60代)

・子どもが郷土の誇る様々な芸能を引き継いでくれている姿に感動です。
 この文化は大切にして欲しいものです。(女性40代)


E出演団体から寄せられた声

【主なもの】

・すばらしい発表に感銘を受けていたが、交流会でこども同士が
 「ふれあう」というまでは、時間が限られており、できなかった。

・基本的に「こどもの大会」なので、大人の出演団体はなくてもよいのではないか。

・すばらしい会場でした。よい経験の場を与えてくださったことに感謝しております。

・今回の大会に出演することを、子どもたちは楽しみにしていたようです。
 子どもなりに目標を持ち、取り組んでくれたこと、
 フェスタを通じ、少し成長したような気がします。
 郷土芸能に対する考え方が、今後、子どもたちの成長に従い、
 心身ともに大きくなってくれればよいと思います。
 貴重な体験をさせていただき、大変ありがとうございました。
 これからも、伝承芸能の大切さと地域の役割を考え、子どもたちに指導してまいります。
 スタッフのみなさん、お疲れ様でした!

・すべてをまかなっていただき、出演させていただいたこと、大変感謝しております。
 本校の親たちも、当日、衣装をつけにかけつけてくれ、
 親の心意気を教えられた機会でもありました。
 出演した子どもたちにとっても、大きな自信となったようで、
 成長した姿を見ることができました。
 本校にとっても大きな自信を得ることができました。
 本当にありがとうございました。


 
4.出演団体の詳細

平成15年度の「こども郷土芸能フェスタ21」の出演団体詳細です。
内容はプログラム用に出演団体が書いたものから掲載しております。


◆ 漆川(うるしかわ)獅子舞 ◆
  五所川原市 漆川若獅子会

平成12年度、青森県伝統文化伝承総合支援事業をきっかけに
子どもたちの熱意で漆川若獅子会が結成されました。
将来、子どもたちが一人でも多く地元に残り、
このすばらしい郷土芸能を踊り伝えていくことを願いつつ、
日々の活動が続けられています。


◆ 嘉瀬の奴踊り(かせのやっこおどり) ◆
  金木町 金木町立嘉瀬小学校

今からおよそ350年ほど前、津軽4代藩主の信政が新田開墾に着手したとき、
鳴海伝右衛門という藩士が、この地に派遣されました。
実直な性格であった伝右衛門は、農夫たちの苦労を思って決して無理をさせませんでした。
そのために開墾はどんどん遅れ、上役の不興をかうことになりました。
こうして仕事にも恵まれなくなり、伝右衛門は不遇な日々を送ることになります。
それを見かねた下僕が、主人のために秋の取り入れや、月見の夜などに
「石コ流れて 木の葉コ 沈む」、
すなわち、誠実な者は恵まれない、世の中、逆さまだという意味の唄をうたい踊って
主人を励まし慰めたといいます。
これが「奴踊り」の起源といわれ、その後、嘉瀬に伝承されていくことになりました。
中腰で踊られる、激しく速い特異な動作が、「奴」の動きをよく表現しています。
青森県の無形民俗文化財の指定を受けています。

嘉瀬小学校では、「ふるさとタイム」の時間に、保存会の方の指導を受け
練習に励み、チャンピオン大会を開催するなど、元気に伝承活動をおこなっています。


◆ 泊神楽舞(とまり かぐらまい) ◆
  六ヶ所村 泊子供神楽会

泊には諏訪(すわ)神社、貴宝山(きほうざん)神社の二つの神社があります。
特に諏訪神社は、水と関係の深い氏神様であり、泊地区の漁業者に信仰されてきました。
泊神楽は、両神社の祭礼と一体のものといわれています。
舞の創始については不詳ですが、幕末の時代から、
太夫職を務められた方によって継承されてきました。
その舞のリズムは4拍子か5拍子で、ハイテンポの動きが要求され、
音律とともに村内外では類例がなく、
その独特な音律と舞が観衆の心を魅了するということから
昭和49年3月29日、貴重な文化財として、六ヶ所村無形民俗文化財の指定を受けています。
神楽の奉納舞は神社の祭礼はもとより、年始めに行う門打ち、
地域にあっては船舶の安全、大漁祈願、新築屋固め、厄払いに舞われています。
泊子供神楽会は、大人の保存会の高齢化に伴い、後継者不足の問題から、
将来、子供たちによって継承されることを願いつつ、
昭和56年8月、泊小学校社会科クラブとして発足。
学習発表会、神社の祭礼、村民文化祭、村芸能発表会などで活動しています。


◆ 下北の能舞「信夫(しのぶ)」 ◆
  東通村 白糠(しらぬか)子ども会

能舞は、中世芸能の面影をよく残している修験能の一つで、
日本の演劇史上、極めて重要な芸能であるとされています。
修験能とは修験者の行法を基調としつつ、猿楽、曲舞など
中世の諸芸能を取り入れたもので、東通村には今から
およそ400年前、不動院という修験者がもたらしたとされています。

下北の能舞は平成元年3月20日、国の重要無形民俗文化財の指定を受けました。

「信夫」は一人舞で、高舘合戦のさまを語り舞ったものだといわれています。
内容は、典型的な武士舞であり、まず最初に習う演目ともいい、武士舞の中で
最も古い演目だともいわれています。信夫太郎景時が勇ましく戦う場面ですが、
信夫がいかなる人物であるかは定かではありません。
白糠子ども会では、青少年の健全育成と、後継者不足の解消のため、
昭和54年から、活動の中で能舞を伝承しており、平成12年8月には
EUの文化交流事業「ヘルシンキ2000」に日本派遣団の一員として参加し、
フィンランドの首都ヘルシンキ市で能舞を上演してもいます。


◆ えんぶり「どうさいえんぶり」 ◆
  八戸市 八戸市立北稜中学校えんぶり組

えんぶりは、県南に伝わる稲の豊作を祈願する伝統芸能で
昭和54年に、国の重要無形民俗文化財の指定を受けています。
「えんぶり」の言葉は、田をならす際に使用される「えぶり」という道具が
訛ったもの、また、地を揺り動かす「いぶる」が語源になったともいわれています。

えんぶりには、動きの穏やかな「ながえんぶり」と、
激しく勇壮な「どうさいえんぶり」の二種類がありますが、
北稜中学校が取り組んでいるのは「どうさいえんぶり」です。

「摺り初め」、「中の摺り」、「摺り納め」の三つに分けて摺り、
合間には大黒舞や恵比寿舞などが演じられていきます。
昭和57年度の開校当初に「特色ある活動」の一つとして取り入れられ、
以来23年間、脈々と引き継がれ、現在に至っています。


◆ 玉松太鼓(たままつたいこ)「玉松」「大漁」 ◆
  蓬田(よもぎた)村 玉松太鼓保存会

平成元年、村政100周年を記念して創設されました。
「玉松」とは、蓬田村の象徴であり、樹齢360年以上といわれる老松です。
一時、練習場所を失い、途絶えましたが、平成12年6月に保存会が設立され、
小学校・中学校の子どもたちを中心に、
村の伝統芸能として文化向上に寄与することを目的に、村内の演奏はもちろん、
施設慰問、太鼓仲間との交流、公演をとおして、
子どもたちの健全育成をはかっています。
現在、27名で活動が続けられています。


◆ 登山囃子 ◆
  岩木町 岩木町立百沢(ひゃくざわ)小学校

旧暦8月1日、近郷近在から、津軽の霊峰岩木山をめざし、
五穀豊穣、家内安全を祈願すべく「サーイギ、サーイギ・・・」の唱えごとに合わせ
登山囃子を演奏しながら、隊列を組み、集団登拝する行事が「お山参詣」です。

笛・太鼓・手びらがねの醸し出す囃子にはなんともいえない味わいがあり、
民衆の心意気さえ感じられます。
また、無事に登拝をすませた喜びを、下山囃子と「バダラ踊り」で表現します。

百沢小学校では、地域に伝わるこのお囃子を、子ども自身に体験させ、
生まれ育った郷土への愛着を育てる活動を20年以上にわたって続けています。
笛・太鼓は3年生以上、手びらがねは2年生以上、1年生は踊り、と役割を決め、
先輩から後輩へと伝えられ、年間を通して練習が続けられています。
保護者や地域の指導者の協力のもとこうして伝統が守り続けられています。
「こども郷土芸能フェスタ21」には4年生以上、23名全員が出演の予定です。


◆ 五所川原甚句(ごしょがわらじんく) ◆
  五所川原市 五所川原甚句保存会

今から320余年前の寛文5年頃、お盆を中心に豊作祝いの盆踊りが始められ、
それが今日の「五所川原甚句」となりました。

花笠の周りには顔がはっきり見えないように稲穂をかたどった切り紙が下げられますが、
首を左右に振って、切り紙を揺さぶるように踊るのが「踊り上手」とされています。
現在、会員28名のうち、男性5名、女性23名で構成されています。
平成13年に市指定無形民俗文化財に指定されています。


◆ 高田獅子踊(たかだ ししおどり) ◆
  青森市 青森市高田獅子踊保存会

津軽獅子は、津軽2代藩主が1614年ごろ、各町にわたり、
地鎮祭をおこなった際、京都から舞楽を招いて踊らせ、これを地元に伝えるため、
弘前市松森町の派立頭猫右衛門という人に命じたのが始まりとも、
あるいは4代藩主信政が弘前八幡宮の大祭(1682年)に踊らせて
藩内に広まったともいわれています。
その津軽獅子踊は鹿獅子と熊獅子に大別されますが、高田獅子踊は鹿獅子系で、
その中でも漁農合作の一流派をなし、踊りが終始、隼のように
斜めに地を駆ける踊りで、荒削りな太鼓のばちさばきと、澄み切った笛の音が
独特な雰囲気を作り出しています。

春には豊作を祈願し、秋にはこれを祝うとともに、新宅祝いや地鎮祭など、
農民の踊りとなって、祖父から父に、父から子へと伝承され、高田に三百有余年、
踊り伝えられてきました。踊りは、舞初め(追い込み)、橋渡り、女獅子隠し、
山越えで構成します。



以上

※無断転載を禁止します。

資料倉庫へ戻る      ホームへ