米軍再編での厚木基地の岩国基地への移転に関して、県・市・由宇町が国に質問し
これへの回答が国から12月21日にあった。質問にそって回答全文を並べたものです。
平成17年11月24日
防衛施設庁長官 北原巌男 様
山口県知事 二井関成
岩国市長 井原勝介
由宇町長 槙本利光
「中間報告」における岩国基地再再編に対する質問事項について(照会)
先に日米両国政府間で合意された在日東軍基地再編の「中間報告」における岩国基地再再編案について、下記のとおり疑問点や懸念事項等があり貴職の見解を求めたいので、速やかに回答されますようお願いします。
回答
平成17年11月24日付「「中間報告」における岩国基地再編案
に対する質問事項について(照会)」に対する回答
質問
1基本的事項
(1) 地元自治体(山口県・岩国市・由宇町)への事前協議がないままに決定された「中間報告」の内容は、今後、地元の要望を踏まえ、修正が可能と考えてよいか。また、「パッケージ全体」について合意がなされない場合、一部の合意があったとしても、「最終報告は成立し得ないものと理解してよいか。併せて、「最終報告」に向けた、地元説明を含む全体スケジュールを示されたい。
回答
1について
(1) 在日米軍の兵力構成見直しに係る累次の日米間の協議については、将来の
日米同盟の方向性を検証し、地域及び世界の安全保障環境の変化に同盟を適応さ
せるために行ってきたものであり、このような国の安全保障に関わる米国との政
府間交渉という性格上、事前に地元と十分に調整することができなかったことに
ついては御理解を得たい。
日本を取り巻く安全保障環境には、地域における軍事力の近代化など、依然とし
て不透明で不確実な要素が存在している。また、国際テロの脅威や人規模災害な
どに対して、国際社会は協力して取り組んでおり、我が国としては自国の防衛を
全うするとともに、同盟国である米国と共同でこのような課題に取り組んでいく
必要がある。このような観点から、本年二月の日米安全保障協議委員会(以下
「2+2」という。)においては、アジア太平洋地域における、平和と安定を強化
するとともに、日米両国に影響を与える事態に対処するための能力を維持する
ことなどを含む共通の戦略目標を追求するために、緊密に協力する必要がある
ことで一致した。また、その後の累次の日米協議の中で、日米の役割・任務・
能力についての検討を踏まえつつ、抑止力の維持と地元負担の軽減を図るとの
観点から在日米軍及び関連する自衛隊の態勢について包括的に検討を行い、
その成果について、今回「2+2」共同文書の形で触りまとめたところである。
検討の過程においては、日本全体として負担の軽減を図るという中で、地元
の状況も踏まえて、基地周辺住民の生活環境が現状よりも著しく悪化すること
がないよう十分に留意してきたところである。なお、御懸念がある場合につい
ては、誠心誠意御説明し、その解消に努めてまいりたい。
「統一的なパッケージ」については、個々の案件が全体として抑止力の維持
と地元負担の軽減の実現を図るという意味であり、すべての案件の実施が関連
していることを意味するものではなく、それぞれの案件について実現を追求し
ていくものである。
最終報告に向けたスケジュールについては、「2十2」共同文書で示された
個別の施設・区域に関連する措置について、具体案を最終的に取りまとめ、具
体的な実施日程を含めた計画を2006年3月までに作成することとしている。
その間、米軍との協議の状況について、適宜、地元自治体等に御説明し、御
理解と御協力が得られるよう最大限の努力をしてまいりたい。
質問
(2) 国の安金保障政策に協力しながら住民生活の安全・安心を守るという観点で、地元が従来から堅持している「今以上の基地機能の強化は容認できない」という基本方針をどのように受け止め、理解しているのか。また、その趣旨については、繰り返し国に説明し理解を得ており、CH−53Dヘリ配備の際にも「今後とも地元の意向は十分尊重する」との回答を得て受入れを容認した経緯がある。こうした経緯と今回の移駐案を提示することとの整合性を問う。
回答
(2)「今以上の基地機能の強化は容認できない」というのが、地元自治体等の
基本姿勢であることは十分認識している。
しかしながら、空母艦載機の移駐先については、次の(3)で述べる理由に
より岩国飛行場とすることが適当と考えており、また、厚木飛行場からの移駐
に伴う騒音等の負担軽減を図る措置を講じる考えであり、御理解を賜りたい。
なお、空母艦載機移駐により岩国飛行場における米軍機の配備機数は増加す
ることとなるが、一般に空母艦載機部隊は年間の約5〜6割しか飛行場に所在
しないことの他、空母艦載機の移駐を岩国飛行場の沖合移設完了後に行うこと
等により、例えば騒音の著しい増加など、飛行場周辺住民の生活環境が現状よ
りも著しく悪化することはないよう十分に留意してきたものである。
なお、御懸念がある場合については、誠心誠意御説明し、その解消に努めて
まいりたい。
質問
(3)空母艦載機の岩国移駐は、「騒音の厚木から岩国への単なるたらい回し」ではないかとの懸念を抱いており、これに関する見解と岩国移駐の必要性を示されたい。また、「海兵隊と海軍の統合運用」が艦載機移駐の理由の一つとの説明があったが、これはどのようなものか説明されたい。
回答
(2)日米間の協議を経て得た両国の共通の認識として、抑止力の維持には米空
母及びその艦載機の長期にわたる前方展開能力の確保は不可欠である。
現在、空母艦載機部隊が所在しているけ厚木飛行場は、人口密集地域に所在し
ており、騒音や安全性に関して、長い間住民に負担をお願いしてきたところで
あるが、今後、日米同盟を安定的に維持していくためには、これらの問題を早期
に解決することが必要であると判断したところである。また、抑止力の維持の観
点からは、統合的な米海軍・海兵隊の航空戦力を同一基地に集約し柔軟な運用を
可能にすることも重要である。
空母艦載機の移転先については、次のような理由から岩国飛行場としたもの
である。
@ 岩国飛行場については、騒音や安全性などに関して、長い間住民に負担を
お願いしてきたところであり、このような負担を軽減するために、現在の滑
走路を沖合に1,000m程度移設する事業を進めているところであるが、この移設
事業が完了後においては、岩国飛行場周辺住民に対する騒音上及び安全上の問
題は大幅に改善されること。
A 加えて、次のような措置を講じることによって、空母艦載のジェット機等
が移設完了後に岩国に移駐した場合においても、岩国飛行場周辺住民の生活環
境が現状よりも著しく悪化することはないと判断されること。
ア 岩国飛行場に現在配備されている海上自衛隊の航空機(E/U/OP-3、U−36A
計17機)を厚木飛行場に移駐。
イ 既に普天間飛行場から移駐することが決定されている空車給油機KC−
130については、海上自衛隊鹿屋基地に移駐することを優先的に検討すること。
ウ いわゆる低騒音機(E−2C:/4機)は空母艦載機離発着訓練を実施する
ものの、他の空母艦載機については、引き続きできるかぎり硫黄島で空母艦
載機離発着訓練を実施すること。
エ 岩国飛行場から他の軍用施設への訓練の分散することに注意を払うこと。
B 抑止力維持の観点からは、統合的な米海軍・海兵隊の航空戦力を同一基地
に集約し、柔軟な運用を可能にすることが適当であり、岩国飛行場には、厚
木飛行場の米海軍空母艦凝機と同じ機種の米海兵隊航空機(F/A−18、
EA−6B)が所在しており、空母が寄港する横須賀との距離は厚木飛行場と比較
して遠く(岩国〜横須賀:約700km)なるが、空母の運用上に特段の支障はない
こと。
「騒音の厚木から岩国」への単なるたらい回しとの御懸念があることは承知
しているが、空母艦載機の岩国飛行場への移駐は、岩国飛行場周辺住民の生活
環境の保全に十分留意しつつ、総合的に検討した結果であることを御理解願い
たい。いずれにせよ、御懸念については、誠心誠意御説明し、その解消に努め
てまいりたい。
また、「海兵隊と海軍の統合運用」については、米海兵隊と米海軍の両方が
保有しているF/A−18やEA−6Bなどの航空機を効率性の観点から統合的に運用
する計画と承知しており、これにより、昨年以降、海軍機が部隊展闇計画(UDP)
で岩国飛行場に配備された実績がある。なお、米本土の空母艦載磯部隊について
は、同一機種が同一基地に配備されている。
(注)UDP:Unit Deployment program(米本土から一定期間部隊を展開させる計画)
質問
(4)空母艦載機の岩国移駐は、岩国での「NLPのなし崩し的な実施」につながる恐れがあるとの懸念があるが、NLPを岩国基地で実施しないという保証はあるのか。
回答
(4)空母艦載機のうち、F/A−18等のジェット戦闘機の離発着訓練(Field-car
rier landing practice)については、今回の「2+2」共同文書において、
引き続き硫黄島で実施する旨が明記されており、これに反する措置がとられる
ことはない。
なお、現存でも、空母艦載機のうち、いわゆる低騒音機(E−2C)については、
厚木飛行場で空母艦載機離発着訓練を実施していることから、空母艦職
機が岩国飛行場に移駐後、岩国飛行場で空母艦載機離発着訓練が実施
されるものと考えている。
* 空母艦載機離発着訓練(Field-Carrier landing practice)とは、
光学着陸装置を使用してアブローーチ/着艦し、着艦信号官が着艦ごとに
パイロットを監督し、評価する訓練であり、NLP(Night landing Practice)
はこの訓練のうち、夜間のものを指すと承知。
質問
(5)岩国基地沖合移設事業については、以前、国から、騒音や安全性の問題を改善・除去するため、地元の長年の要望に応えて実施するものであり、基地機能強化を意図としたものではないとの説明を受けているが、今回の再編との整合性を問う。
回答
(5)岩国飛行場滑走路移設事業(以下「滑走路移設事業」という。)は、岩国
飛行場周辺における安全の確保及び航空機騒音の緩和という地元自治体等の強い
要望を受け、同飛行場の運用上、安全上及び騒音上の問題を解決し、米軍の駐
留を円滑にするとともに、同飛行場の安定的使用を図るため、滑走路を東側
(沖合)へ1,000m程度移設する事業として着手したものである。
一方、今般、日米両国は、地域における軍事力の近代化や、最近における国
際テロリズムの脅威や大量破壊兵器の拡散を背景とする新たな安全保障環境に対
応するため、兵力態勢の再編を含む協議を行い、その中で、空母艦載機については、
滑走路沖合移設事業終了後には周辺地域の生活環境への影響がより少ない形で安
全かつ効果的な航空機の運用のために必要な施設及び訓練空域を備えることとな
る岩国飛行場に移駐することが取りまとめられたところであり岩国飛行場周辺住
民の方々に対する安全や騒音の緩和等については十分確保してまいりたいと考え
ている。
質問
2個別的事項
(1)空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐について
@「岩国飛行場における運用の増大」により、岩国の負担が増大する部分と影響を緩和するための関連措置の両面について具体的に示されたい。
回答
2(1)について
@ 空母艦載機が岩国飛行場に移駐することに伴い、同飛行場周辺住民の方
々には、配備機の増加に伴う離着陸回数を含む管制回数の増加があることについ
ては十分に認識している。
一方で、滑走路の沖合移設完了後においては、例えば騒音の著しい増加など、
飛行場周辺住民の生活環境が現状よりも著しく悪化することはないと考えている。
また、騒音等の負担を軽減させるために、次のような措置を講じることとし
ているところである。
ア 岩国飛行場に現在配備されている海上自衛隊の航空機(E/U/OP−3、
U−36A 計17機)を厚木飛行場に移駐。
イ 既に普天間飛行場から移駐することが決定されている空中給油機KC−1
30については、海上自衛隊鹿屋基地に移駐することを優先的に検討
ウ いわゆる低騒音機(E−2C:4機)は空母艦載機離発着訓練を実施する
ものの、他の空母艦載機については、引き続きできる限り硫黄島で空母艦載
機離発着訓練を実施すること。
エ 岩国飛行場から他の軍用施設への訓練の分散を拡大することに注意を払う
こと。なお、空母艦載機の移駐後の詳細な騒音状況については、早急に分析し、
地元自治体等に御説明するとともに、空母艦載機部隊が実際に移駐した後も騒晋
について十分調査し、その対策には万全を期す考えである。
質問
A 岩国への移駐予定の時期・機種別移駐機数、移駐に伴う軍人数・軍属数・家族数及び居住方法・区域を示されたい。
回答
A「2+2」共同文書で示された個別の施設・区域に関連する措置についての
具体案が最終的に取りまとめられた後、速やかに移駐に関する準備(施設整備
を含む。)を進めていきたいと考えているが、当該移駐及び運用開始の時期に
ついては、滑走路移設事業が完了する平成20年度末以降一定の期間を経ての
実施となる予定である。
また、移駐する航空機については、F/A-18が49機、EA-6Bが4機、E−2C
が4機、計57機の予定である。
具体的な移駐人員は未定であるが、現時点では、艦載機(F/A-18、EA-6B、
E−2C)部隊全体(約1,500人)と支援部隊等の半数(約100人)の合計約
1, 600人が厚木飛行場から岩国飛行場に移駐すると推定している。軍人、軍属
の内訳等の細部については、米側に今後確認していく考えである。
なお厚木飛行場に所在する米軍家族住宅は約1,000戸であるが、移駐する家
族数、居住方法などについては、今後米側との協議を通じて具体化していきたい。
質問
B 安全性に関する資料(移駐予定機の諸元、移駐予定機に係る過去の事故歴)を示されたい。
回答
B 厚木飛行場から移駐する航空機の諸元については、付表1のとおりと承知し
ている。
また、移駐が予定されている厚木飛行場所属の空母艦戯機(F/A-18、EA−6B、
E−2C)の日本国内における過去5年間の事故件数は次のとおりである。
・墜落及び着陸失敗はなし。
・部品落下及び物件投棄は5件。
(参考)
○ 日本近海の領海外における墜落‥1件
平成17年1月、F/A−18Fが横須賀の南東約100マイルの海上において
米空母着艦訓練中、ストップワイヤーが切れたため、海上に落下(空母側に起
因する事故)。
質問
C 厚木基地における空母艦載機の飛行状況及び騒音の状況を示されたい。
回答
C 当庁が厚木飛行場において平成15年度から、平成16年度にかけて行った騒
音度調査の結果によれば、同飛行場に離着陸する航空機(空母艦戯機を含
む。)の飛行経路及び騒音の状況」(WECTPNLコンター)は付図1から付図
3までのとおりである。
また、平成16年度における厚木飛行場における空母艦載ジェット機の管制
回数は約12,000回である。
質問
D 航空機の騒音について、次の諸条件を明示の上、沖合移設後の滑走路を利用した岩国基地全体のシミュレーションを示されたい。
○ 航空機の運用(騒音レベル、飛行回数、飛行コース等)
○ 平成7年環境影響評価との比較ができる騒音影響区域の提示
○ 他の軍用施設への訓練の分散
飛行ルート、上空制限、運用時間等について、現在の「岩国基地日米協議会」のルールを踏まえた運用
回答
D 再編後の予測コンターについては、以上の手順に従い作成した。
ア 騒音レベルについては、岩国飛行場における第一種区域の基礎となった平
成2年度の騒音度調査のデータを基本的に使用し、また、厚木飛行場から岩
国飛行場に移駐する空母艦載機については、平成16年度の厚木飛行場にお
ける騒音度調査のデータを使用。
イ 飛行回数については、平成2年度の騒音度調査における飛行同数(岩国飛
行場の滑走路両端付近に設関している自動騒音測定装置で平成元年7月1日
から平成2年6月30日までの1年間に測定した飛行回数に、時間帯による
重み付けを行った後、当該飛行回数を多い方から数えて全体(365日)の1
0%に当たる日の飛行回数(337回)をベースとして、現在、岩国飛行場で
運用されている配傭機数の割合及び厚木と岩国との間を移動する機数を考慮
の上、再編後の1日の標準飛行回数(400回)を算出。
ウ 飛行コースについては、滑走路を沖合移設することにより、現在の飛行経
路の一部(北方向への旋回離陸及び北からの旋回着陸)を変更
工 飛行方向及び飛行経路別割合については、平成2年度の騒音度調査時の飛
行方向及び飛行経路別割合を使用。
詳細については、別冊「岩国飛行場に係る航空機騒音予測コンターについて」
のとおりである。
なお、平成2年度の騒音度調査時においても、米軍は、「岩国基地日米協議
会」のルールを踏まえた運用を行っており、今般のシミュレーションも、本協
議会のルールを踏まえたものである。
また、他の軍用施設への訓練の分散の内容については、今後、その内容が具
体的になった時点で検討したいと考えている。
質問
E 大気・水質への影響を示されたい。
回答
E 大気への影響については、厚木飛行場から岩国飛行場に航空機
(F/A-18、EA−6B、Eー2C)が移駐し、岩国飛行場から厚木飛行場に航空機
(E/U/0P−3、U−36A)が移駐することに伴い増加する窒素酸化物(NOx)は、
年間約31tと維定される(付紙1)。
他方、出口県の平成17年度版環境白書参考資料集によれば、岩国地域にお
ける平成16年度のNOxの総排出量は、約5,000tあり、NOx排出量増加量の
割合は0.6%である。
また、水質への影響については、空母艦載機の岩国飛行場への移駐等に伴い
整備する施設は、具体的には、引き続き、日米間で協議に入ることとなってお
り、その内容及び数量等について、現時点で確たることは申し上げられないが、
施設を整備することに伴う排水については、当然のことながら、岩国飛行場周
辺において水質の汚染や漁業への影響がないよう対象となる環境法令に基づき、
適切に処理された上で排出されることになる。
なお、米軍に対しては、航空機や船舶の燃料漏れ等の事故がないよう、十分
配慮するように申し入れてまいりたい。
質問
F 「訓練空域を備えることとなる」とあるが、今後新たな訓練空域を設定するのか。
回答
F 岩国飛行場周辺においては、日米地位協定等により米軍が使用する空域
として、北西約150kmの洋上に「九州空戦訓練区域」、西方約300kmの洋上に
「ゴルフ空域」、 また、南東約250kmの洋上に「リマ空域lなどを既に設定
しているほか、自衛隊の訓練空域も設定されている。
岩国飛行場に空母艦載機が移駐することに伴う訓練空域に関する措置につい
ては、今後米側と調整する必要があり、その上で回答する考えである。
質問
G 現滑走路を誘導路にするというこれまでの説明に変更はないか。
回答
G 滑走路移設事業の計画では、現滑走路に隣接した航空機弾薬搭載場の移設、
現滑走路の周囲に保安柵の設置及び現滑走路に係る航空保安施設(進入灯、気
象観測装置等)を撤去の上、誘導路灯を設置することとしている。また、提供
施設整備計画においても、滑走路に隣接する地区に航空機のエンジンテスト用
の消音装置を移設することとしているところである。
このように、現滑走路を移設事業完成後も滑走路として使用すること
は困難であり、新滑走路と関係施設を結ぶ連絡誘導路として使用することに変
更はない。
質問
H 岩国基地沖合移設事業のスケジュールに変更はないか。
回答
H 滑走路移設事業は、平成20年度に完成すべく、平成18年度概算要求にお
いても引き続き工事等に要する経費を要求しているところである。
このように、滑走路移設事業のスケジュールに変更はない。
質問
(2)空母艦載機離発着訓練について
@「空母艦載機離発着訓練のための恒常的な訓練施設の特定」とは、どういうことか。また、これを具体的にどの方面に求めようとしているのか。
回答
2(2)について
@ 空母艦載機離発着訓練は、現在、暫定措置として、平成3年以降、できる限
りの訓練を硫黄島で行っているところであるが、硫黄島での訓練には次のよう
な種々の制約があるため、米側は従来から恒常的な空母艦載機離発着訓練のた
めの施設の確保を強く要望している。
○ 硫黄島は、厚木飛行場から約1,200kmの遠距離に所在し、近傍に緊急
時のための代替飛行場が不在。このため、空母艦載機を運用する上での大き
なリスクが存在し、搭乗員の負担も極めて大。
○ 硫黄島はスコールや火山活動という不安定要素が存在し、飛行場の確実な
使用に制約あり。
また、厚木飛行場での空母艦載機離発着訓練実施については深刻な騒音問題
が発生していたことから、日本政府としては、厚木飛行場に代わる代替訓練施
設を整備することとし、三宅島をその適地と判断して、昭和60年代初めから
地元自治体等の理解を得るよう努力してきたところであるが、なかなか理解が
得られず、更に、平成12年7月に三宅島の雄山が噴火したことから、現在、そ
の状況を見守っているところである。
このような状況を踏まえ、今回の「2十2」共同文書において、恒常的な空
母艦載機離発着訓練施設を特定し、日本政府がこれを提供するとのコミットメ
ントを再確認する旨示されているものである。
日本政府としては、現段階で、恒常的な空母艦載機離発着訓練施設の整備場
所を特定しているものではないが、今後、三宅鳥の取扱いも含め検討を行い、
引き続き、その実現に努めていく考えである。
質問
A なぜ岩国基地においてE−2Cによる空母艦載機離発着訓練を実施するのか。また、厚木基地におけるE−2Cによる訓練の実態及び騒音の状況を示されたい。
回答
A 空母の着艦甲板(延長約200数十m)は、飛行場の滑走路に比べ、非常に
小さく、空母艦載機が洋上の空母へ着陸するには非常に高度な技術が要求され
る。
このため、空母が入港している間も空母艦載機のパイロットは陸上の飛行場
で空母艦載機離発着訓練を行い、空母着艦資格を取得する必要があるが、この
資格は取得日から一定期間のみ有効であると承知している。
現在、空母艦載機離発着訓練は、暫定措置として、できるだけ硫黄島で実施
しているが、空母着艦資格の有効期間と硫黄島での訓練スケジュ−ルとの関係
から、一部は厚木飛行場で実施せざるを得ず、米側はいわゆる低騒音機の訓練
を同機が所在する厚木飛行場で実施しているところである。
空母艦載機が岩国飛行場に移駐した場合については、「2+2」共同文書に
おいて、空母艦載機離発着訓練のための恒常的な施設が特定されるまでの間、
現在の暫定的な措置に従う旨が示されていることから、厚木飛行場と同様の措
置がとられ、岩国飛行場でいわゆる低騒音機(E−2C)の空母艦載機離発着
訓練が実施されるものと考えている。
なお、厚木飛行場におけるいわゆる低騒音機の空母艦載機離発着訓練は、空
母出航前に数日(平成16年度実績:2回、2日間及び4日間)行われており、
その際の滑走路両端における騒音状況及び苦情件数等は付紙2に示すとおりで
ある。
質問
B厚木基地における事前訓練の実態及び騒音の状況を示されたい。
回答
B 事前訓練の実態については、米軍の運用に係る問題であることから、その正
確な状況は把握していないが、NLPが開始される直前1か月間の滑走路両端
における騒音状況及び苦情件数等は付紙3のとおりである。
質問
C 引き続き岩国基地に対し、予備施設の指定が行われ、天候不良等による緊急時には空母艦載機離発着訓練が実施されるのか。
回答
C 「2+2」共同文書において、空母艦載機離発着訓練のための恒常的な施設
が特定されるまでの間、現在の暫定的措置に従う旨が示されており、現在も岩
国飛行場が予備飛行場として指定されていることや空母艦載機が所在する厚木
飛行場が予備飛行場として指定されていることから、空母艦載機の移駐後の岩
国飛行場についても予備飛行場として指定され、硫黄島で天候不良等により十
分な訓練が実施できない場合には空母艦載機離発着訓練が実施されることがあ
り得ると考えている。
なお、平成3年度から平成17年度までの空母艦載機離発着訓練の実施状況
は、付表2のとおりである。
質問
(3)海上自衛隊機の厚木移駐について
@ 移駐時期、機種別の機数、移動人員(兵員・家族)について示されたい。併せて、現在の配備機数、隊員数、家族数を示されたい。
回答
2(3)について
@ 「2+2」共同文書で示された個別の施設・区域に関連する措置についての
具体案が最終的に取りまとめられた後、速やかに移設に関する準備を進めてい
きたいと考えているが、当該移駐及び運用閲始は、滑走路移設事業が完了する
平成20年度末以降一定の期間を経て実施される予定である。
移駐機種及び機数については、UP−3が3機、OP−3が5機、EP−3
が5機及びU−36Aが4機を予定している。移駐する人員については隊員
約700名を見込んでいる。
なお、現在、海上自衛隊は岩国飛行場に約40機の航空機を配備している。
岩国基地に所属する隊員は現在約1,600名であるが、隊員の家族数の詳細
については、現時点では基地ごとの正確な統計はない。
質問
A海上自衛隊の厚木移駐に伴う環境への影響(騒音等)はどの程度減少するのか。
回答
A 海上自衛隊の航空機が厚木に移駐する場合とそうでない場合の騒音コンター
を比較した場合に大きな変化はないが(別冊「岩国飛行場に係る航空機騒音予
測コンターについて」の19ページ)、防衛庁としては岩国飛行場周辺住民の
方々の生活環境を少しでも良好なものにするため、岩国飛行場に現在配備され
ている海上自衛隊の航空機を厚木飛行場に移駐させるものである。
質問
B海上自衛隊岩国基地(第31航空群)の組織はどうなるのか。
回答
B 第31航空群の今後の組織の具体的な在り力については、今後、適切な形態
を検討していくこととなるが、空母艦載機等の移駐後も第71航空隊(US-1)、
第111航空隊(MH−53E)等の海上自衛隊部隊は岩国基地に残る予定である。
質問
(4)KC−130の移駐について
@ 今回の米軍再編に伴い、SACO最終報告はどのように取り扱われるのか。
回答
2 (4)について
@ 「2+2」共同文書においては、「SACO最終報告において普天間飛行場
から岩国飛行場に移駐されることとなっているKC−130については、他の
移駐先として、海上自衛隊鹿屋基地が優先して、検討される。」とされており、
SACO最終報告の内容と異なっていることは事実であるが、その目的は普天
間飛行場の早期返還であり、SACO最終報告の趣旨に沿ったものであると考
えている。
なお、「2−2」共同文書において、日米双方は、この文書における勧告に
よって変更されない限りにおいてSACO最終報告の着実な実施の重要性を確
認しているところであり、SACO最終報告自体を改めて変更することは考え
ていない。
質問
A 地元自治体に何の相談もなく、今回、KC−130の移駐先を変更するのはなぜか。
回答
A 在日米軍の兵力構成見直しに係る累次の日米間の協議については、将来の日
米同盟の方向性を検証し、地域及び世界の安全保障環境の変化に同盟を適応さ
せるために行ってきたものであり、このような国の安全保障に関わる米国との
政府間交渉という性格上、事前に地元と十分に調整することができなかったこ
とについては御理解を得たい。
SACO最終報告においては、沖縄の負担軽減を図るため、普天間飛行場の
返還に当たり、岩国に米海兵隊空中給油機KC−130(12機)を移駐させ
るとしていたところである。
この度の在日米軍の兵力構成見直しに関する日米協議において、改めて抑止
力の維持及び地元の負担軽減の観点から、普天間飛行場の有する機能(ヘリ運
用機能、空中給油機(KC−130)に関する機能、緊急時の展開等の機能)を総合的
に検討した結果、鹿屋基地は南九州に所在する海上白衛隊の基地として、主たる
給油対象である海兵隊ヘリコプター部隊が所在する沖縄から近く、KC−130を運
用可能な地積を有していること等から、今回の再編で岩国飛行場に厚木飛行場所
在の米海軍空母艦載機(計57機)が移駐することも踏まえ、岩国飛行場周辺住民
の負担を可能な限り軽減する観点から、KC−130の移駐先として優先して検討す
ることとしたものである。
なお、これまでも山口県、岩国市及び由宇町とは、岩国飛行場に係る諸問題
の解決を通じて信頼関係を築いてきたと考えており、今後も引き続き、このよ
うな信頼関係を維持できるよう、誠心誠意御説明させていただくとともに、最
大限努力してまいりたい。
質問
B 本年10月27日に「中間報告」の事前説明を受けた際に、「KC−130の司令部の所在地や家族の取扱いは引き続き検討する」との提示があったが、このことについての見解を伺う。
回答
B 「2+2」共同文書においては、KC−130について「最終的な配置の在
り方については、現在行われている運用上及び技術上の検討を基に決定する
こととなる」とされており、KC−130部隊の司令部の所在地や家族の取扱い
については確定していないため、10月27日には、その点について引き続き
検討する旨御説明したものである。
日本政府としては、今後、KC−130部隊の司令部の所在地や家族の取扱
いについて米側と協議してまいりたいと考えている。
質問
C 平成9年のKC−130移駐容認の際、地元が要望した事項(「基地用地の返還」等)に対する国からの回答は、今後とも有効なものとして継続すると考えてよいか。
回答
C KC−130の岩国飛行場への移駐に関し、地元自治体から御要望があり、
当庁から回答した内容については、当時の経緯や地元の御要望の内容等を踏
まえ、引き続き適切に対応してまいりたい。
質問
(5)訓練の移転について
@ 訓練の分散の内容や分散の対象となる軍用施設及び当該地元との調整の時期を明らかにされたい。
A 基地に関する具体的な負担軽減の内容を示されたい。
回答
2(5)@ 及び A について
訓練の分散の内容については、今後、米側と必要な協議を実施しつつ、早急に
関係する地元自治体等に御説明したいと考えている。
質問
(6)訓練空域の調整について
「すべての米海軍及び米海兵隊航空機の十分な即応性の水準の維持を確保するための訓練空域の調整」とは具体的にどのようなことを調整するのか。
回答
2(6)について
空母艦載機を含む米韓軍及び米海兵隊の航空部隊の訓練所要を満たすために、
どこの訓練空域を使用するか、また、空域の広さ、使用高度、使用時間帯などに
ついて、今後日米間で検討していくことを意味している。
質問
(7)追加的施設について
「岩国飛行場に配置される米海軍及び米海兵隊部隊、並びに民間空港の活動を支援するために必要な追加的施設、インフラ及び訓練区域の整備」とは具体的に何か。
回答
2(7)について
具体的には引き続き日米間で協議することとなっているが、例えば空母艦載機用の駐機場、格納庫及び隊員、家族の住宅施設などの他、日米合同委員会において合意された民間空港再開のための施設を新たに整備する必要があると考えてる。
質問
(8)その他
@「米軍施設・区域が人口密集地域に集中している場所では、兵力構成の再編の可能性について特別の注意が払われる」とあるが、具体的にどの場所を想定し、どのような注意が払われるのか。
回答
2(8)について
@ 例えば、普天間飛行場については、人口密集地域の中に位置しており、また、
昨年8月には普天間基地に所在する米軍ヘリが沖縄国際人学に墜落するとの事
案も発生したことから、騒音の軽減や危険性の除去といった観点から、今回の
「2+2」共同文書において、早期に移転するための具体案を示したところである。
また、厚木飛行場については、米軍の統合的な米海軍・海兵隊の航空戦力を
同一基地に集約することなどにより、人口密集地域にある厚木飛行場周辺住民
の負担軽減につながるものと認識している。
負担の増加する施設・区域の地元自治体等に対しては、具体案について、誠
心誠意御説明し、御理解と御協力が得られるよう最大限努力してまいりたい。
質問
A「米軍施設・区域の軍民共同使用を導入する機会は適切な場合に検討される。このような軍民共同使用の実施は、軍事上の任務及び運用上の所要と両立するものでなければならない」とあるが、どういう意味か。
回答
A 御指摘の記述については、米軍施設・区域の軍民共用については、米軍の運
用上の所要を損なわないことを条件として、実現可能性を検討することを述べ
たものである。
質問
B 横須賀に原子力空母が配備されるのか。そうなれば艦載機が80機となるとの報道があるが、岩国基地への移駐機数は増加するのか。
回答
B 平成17年12年2日、米国防総省は、「本日、米海軍は、空母ジョージ・
ワシントンが西太平洋への前方展開空母として空母キティ・ホークと交替し、
2008年に日本の横須賀に到着する旨発表した。とプレス・リリースして
いる。
また、空母艦載機については、同プレス・リリースの中で、「空母ジョージ・ワ
シントンの前方展開は、艦載機の変更を伴わず、その構成にも変更はない。
第5航空団が引き続き前方展開の任務を担う。」としている。
これらのことを踏まえると、今後、米空母が交替した後も岩国飛行場の空母
艦載機の数に変更があるとは考えていない。
質問
C 今後、岩国基地が空母などの米国軍艦の母港及び寄港地になることはないか。
回答
C 岩国飛行場が米空母などの米国軍艦のいわゆる母港になるという計画はない
と承知している。
また、滑走路移設事業に伴って移設を行った港湾施設は、現有機能の代替と
して、補給物資の荷揚げ作業を行うことを目的に整備した施設であり、米国籍
又は米国がチャーターした船舶が寄港することとなると承知している。