CH53D大型ヘリコプター岩国配備  


CH53Dシースタリオン強襲侵攻用ヘリコプター(米軍のホ−ムページから)
  2001年11月29日、米軍は防衛施設庁を通じて「現在ハワイにいるCH53Dシースタリオン輸送ヘリ部隊を、テロに全世界的規模で対応
するためアジア・太平洋地域の不測の事態へ前線展開する」として岩国しなどへ要請してきた。
安保条約廃棄・岩国基地撤去岩国地域実行委員会が岩国市へ申し入れ
岩国で12、18ヘリ配備反対緊急集会開く

 岩国地域労連、安保条約廃棄・岩国基地撤去岩国地域実行委員会の共催で強襲侵攻用ヘリを岩国に配備するなの
緊急集会が開かれました。
岩国市が国に照会文書(2001.12.25)
 岩国市は12月25日、山口県由宇町と連名でヘリ配備問題について、防衛施設庁長官伊藤康成宛に19項目について質問書をFAXで提出しました。
 その内容は、12月29日防衛施設庁から配備要請があって以後この間県議会、市議会が開催され一般質問が集中したこともあって7件19項目にわたっています。その特徴は「基地機能の今以上の増強は容認できない」と従来からの基本姿勢を踏まえ照会するとして要約以下のように質問している。
@配備の理由、岩国基地の位置付け
A任務、行動範囲
BCH53Dヘリの能力、事故の多い機種というが
C訓練について、何処でどのような訓練をやるのか
D周辺住民の生活環境への影響
ESACO関連その他、KC130空中給油機の岩国配備との関係など。
 
国が正式文書回答
 防衛施設庁は1月10日岩国市を訪れ、昨年12月25日付けで山口県、岩国市、由宇町などが照会していた19項目の質問に文書で正式に回答してきた。
 この回答文書は資料も含めA4で17枚に上る相当詳細なものとなっている。
 主な内容は、当初、防衛施設庁が岩国市などへ申し入れてきた中で述べられていた、、昨年9月11日の米同時多発テロ以来「全世界的規模で、米国は不測の事態への警戒・対処態勢を強化している。アジア太平洋地域における米軍の体制について検討が加えられた結果、岩国にヘリ部隊を配備することにより、わが国をむくむこの地域における不測に事態に、より迅速で的確な対応を行い得る」としている。
 @ 岩国基地の位置付けは「米軍がハワイの司令部隊、キャンプ富士、沖縄等に部隊を展開しているなかで、日本列島の中心的位置にあるので、有効な対応策等が可能となる」
 A 有事の際には「ch53Dヘリは当然の事ながら海兵隊の有事対処の一貫として運用されることもありうる」として、たとえば「第三国で大規模なテロなどが発生……」と日本有事でなく「第三国有事」にいち早く駆けつけることを想定するあからさまな内容となっている。
 B 事故の多いヘリであるとの指摘に対しては、アメリカの言い分をそのまま紹介し、「この15年間沖縄において事故を起こした記録はない」といっているが、沖縄普天間基地所属のCH53Dが1988年、89年に四国と韓国で計29人が死亡する事故を起こしていることに触れていない。
 CDE ひとつの争点である「基地機能の強化になるのでは」ということに対しても、「中心はFA18ホーネット戦闘攻撃機などの固定翼機」の基地であることに変わりはないとして、輸送任務が新たに加わり、ヘリ部隊は指揮系統も沖縄普天間基地の指揮下に入る点でも、疑問に答える内容になっていない。
 加えて、本国へ帰ったHH46救難ヘリの任務を「自衛隊に期待」するというあつかましさである。
安保条約廃棄・岩国基地撤去岩国地域実行委員会がコメント

  マスコミ各社 御中

2002年1月10日

安保条約廃棄・岩国基地撤去岩国地域実行委員会

事務局長 藤本博司

防衛施設庁の文書回答をみてのコメント

 米軍岩国基地へ、ヘリ部隊を配備したいという問題について、防衛施設庁は1月9日、山口県、岩国市、由宇町が昨年12 月25日付けで質問していた19項目について文書で回答してきました。

 その特徴は、第一にテロに対して軍事力強化で対抗するという、誤った米軍の対応を無批判に容認するものです。武力行 使でテロは無くならないことは、三ヶ月にわたる米軍のアフガニスタン爆撃で明らかです。軍事力の新たな強化=基地強化 は、テロを無くしてほしいという市民の願いに応えないばかりか、かえって基地による事故の危険や、不安を高めるもので す。

 9月11日の米同時多発テロに対応して米軍が「全世界どこで『不測』の事態が起こってもそれに対応する体制をとり」と、 軍事力強化をヘリ配備の理由としていること自体、テロの根本的解決に逆行するものではないでしょうか。アジア太平洋地 域の状況を検討した結果、「緊急に日本列島の中心的位置にある岩国基地に輸送ヘリ部隊を配置する必要性がある」と米軍 が判断して、市民に新たな基地強化を押し付けることは許されません。

 テロをなくするために軍事力を強化するというアメリカの政策を改めて冷静に検討してみる必要があるのではないでしょ うか。

 同時多発テロに対してアメリカ軍による、アフガニスタンへの報復戦争が開始されて三ヶ月が経過しました。この空爆に よって、何の責任もないアフガニスタンの民間人が3700人以上も犠牲となり、タリバン政権は崩壊しましたが、いまだに テロの容疑者であるビンラヴィンは捕捉されていません。

 事態はかえって悪化し、アメリカはさらに他国への戦争拡大も言明しています。中東紛争、インド・パキスタン紛争へと 拡大の兆しさえあります。

 私たちはテロ根絶のために軍事力を中心とした立場ではなく、国連を中心に国連憲章と国際法により犯人を国際的に包囲 して裁いていく以外にないと確信しています。テロ組織は世界60ヶ国に存在しているとアメリカ政府は発表していますが、 これをすべて軍事力で押さえつけることは絶対にできません。世界の世論と経済的な制裁措置を中心にしてこそ、解決する ことができるのではないでしょうか。

 私たちはこの立場から私たちの故郷岩国が、アメリカがテロ対策と称する、戦争遂行の足場にされることを望みません。 この道はテロをなくすることにはならないし、間違った道だと考えます。

 第二に、文書回答は安全性の問題について、米軍の解答を鵜呑みにし「1986年以降の15年間、CH53Dヘリは沖縄にお いて事故を起こした記録はない」としていますが、これは明らかに誤りです。1988年6月25日普天間基地所属のCH53D が岩国基地から普天間基地へ帰還途中、愛媛県伊方町の山中に墜落し乗員7人全員がなくなるという事故がおきているし、 また1989年3月20日普天間基地所属のCH53Dが米韓合同演習(チームスピリット89)に参加中、韓国南部浦項市の山中 に墜落し乗員22人が亡くなり15人が重傷を負った事故が発生しています。

 確かに沖縄での事故ではないかも知れませんが、このような重大事故に触れないで「沖縄での事故はない」と説明するの は市民に重大な誤解を与える、作為があるといわれても仕方がないのではないでしょうか。機能強化ではないかという疑問 にも「新たな輸送任務が付け加わる」ことは否定しえないでいます。 

 第三に、「一般市民」とはどこを指すのかと言う質問に「米国人等だけでなく我が国の国民も含まれ得る」との説明です が、非常に苦しい言い訳であって、明らかにここでいう一般市民とは「第三国での紛争を想定し、紛争地からアメリカ軍人 ではない一般アメリカ人を救出する」ことを中心的に想定していることは明らかです。

 第四に、重大な問題は「救難ヘリの任務を自衛隊に期待している」との事であるが、たとえばNLP(夜間離発着訓練) 時にHH46救難ヘリは上空でホバーリングしながらとどまって、NLPの際の事故にそなへる任務を持っていますが、こ んな任務さえ日本側に押し付けてくる無神経さにはあきれるばかりであるし、「新ガイドライン」にもとずく自衛隊の米軍 の下請化の一端を見るものです。

 今回の防衛施設庁の文書回答は、市民の不安を取り除く何者もない、文書であるといわざるを得ません。

 私たちは県安保実行委員会と力を合わせて、2月9日(土)14時から沖縄普天間基地のある宜野湾市から大城保英さん(沖 縄県平和委員会事務局長)を招いて「ヘリ部隊の岩国配備を考える集い」を、サンシャイン岩国(旧勤労者総合センター) で開く予定です。

 市民ぐるみでこの問題を考えていくために署名運動も検討しています。 以上

ヘリ配備を考えるつどい


○ 2月9日(土) 午後2時〜4時
○ サンシャイン岩国(勤労者総合センター)
  □ 話す人 大城保英(沖縄県平和委員会)
          久米慶典(山口県安保実行委員会事務局長)
岩国市議会を傍聴しよう


ヘリ配備問題について、防衛施設庁から担当官も来て「岩国市議会全員協議会」が開かれます。
ぜひみんなで傍聴しましょう。

○ 日時 1月25日(金) 午前十時より
○ 場所 岩国市庁舎内議場
井原市長が「受け入れ」表明
テロ対策として称しての際限のない基地強化はごめんです
 1月25日午前10時から岩国議会(全員協議会)が開かれ、冒頭、井原市長が「受け入れやむなし」を表明しました。市長は受け入れの理
由として「騒音など市民生活に著しい影響はない」「機能強化については受け入れられないという岩国市の態度を国が理解してくれた」から
とのべました。
 これに対し10人の議員が質疑し、日本共産党の三人の議員は「テロは軍事力だけでは解決できない。騒音、墜落の危険が心配。議会に
相談しないで市長が態度表明したのは議会軽視」「テロ対策というが、アメリカは軍事増強の一環で基地を強化するといっている」と反対し
ました。全体として保守系会派、公明党、旧民社系会派とも賛成の意向です。
 これ以上の基地強化を許さないため、市長、議会へ「もっと市民の意見を聞け」の声をあげましょう!!
岩国地域労連と共同で岩国市に申し入れ
 岩国市議会での「受け入れ表明」に再考を求め安保条約廃棄・岩国基地撤去岩国地域実行委員会は、地域労連と共同で申し入れをお行
いました。

           申し入れ

 井原市長は一月二十五日に開催された市議会全員協議会や基地の地元である川下地域自治会長集会で、「ヘリ部隊 の受け入れはやむ
をえない」との態度を表明されました。

 私達は昨年十一月二十九日の防衛施設庁の申し入れ以来宣伝活動や、市民との対話などでこの問題に取り組んでき ました。基地が一、四
倍にも拡大されたり、KC130空中給油機が移駐されたりする上に、また強襲侵攻用ヘリ部 隊の岩国配備となれば、際限なく基地が増強され
ることになると大変憂慮しています。

 現在の基地があることでのさまざまな被害に加えて、新しいヘリ部隊が来ることによって、騒音の心配、墜落の心 配など、防衛施設庁の説明
でも「自衛隊のMH53Eより少ない」「最近重大事故を起こしていない」というだけで、 どういう時間帯に、どんな訓練を行うのか、を明らかにしな
いで、一方的に「市民生活に大きな影響を与えるおそれ は少ない」というのは納得できるものではありません。

 機能強化になるかどうかの問題についても、玉虫色の決着は絶対に認められません。この問題では市議会全員協議 会の場で市政クラブの
代表から「機能強化になることは小学生でもわかること」をはっきりと認められたように、誰 が考えても機能強化になることは間違いありません。
二十二日の岩国市の要請についての防衛施設庁の回答もこの点 では機能強化にならないと言っていません。

 KC130の受け入れのときにも前市長は「基地機能の強化にならない」「地獄の沙汰も金次第」といって九項目 の要望と引き換えに受け入れ
を認めました。そうならば、岩国市はなにを基準に「機能強化を判断」するのかお示し いただきたいと思います。

 また、テロに対抗するという特別の事情といいますが、テロを根絶するためにも軍事力によらないで、人類の到達 した英知をあつめ、国連を中
心に法と理性による解決をめざすべきです。万一、日本国内でテロが発生したとしても それは米軍の仕事ではなく警察などが対処すべきものです。

 今開催されている国会に「有事立法」が提出されようとしています。米軍は新ガイドライン以後地位協定をタテに して岩国港への強行入港を繰り
返しています。新ガイドラインはアメリカの起こす紛争に、日本を全面的に巻き込み、 有事立法はこれを国内法によって法制化しようとするもので、
憲法で保障された国民の諸権利を根こそぎ制限し、地 方自治体もこれに従わせようとするもので絶対に認められません。

 こうしたときに、米軍がアジア・太平洋地域の不測の事態に対処するとしての今回のヘリ配備は、明らかにテロへ の対処と称して世界制覇をね
らう日本での具体化にほかなりません。いまこそ地方自治体がこのような事態に警鐘を 鳴らし、二度と戦争は繰り返さないという「憲法の精神」を
遵守して頑張るときではないでしょうか。

私達は平和を望む市民の声を代表して岩国市当局に次のように申し入れます。

一、ヘリ配備問題は国への回答を急がず、十分時間をかけて市民の意見を聞いてほしい。

二、一回の全員協議会の開催と川下地区の説明会だけでなく、臨時議会の開催 や東地区、愛宕地区、灘地区など広く意見を聞いてほしい。

三、機能強化になるかどうかの判断基準を明らかにしてください。

     

     2002年1月28日

                             安保条約廃棄・岩国基地撤去岩国地域実行委員会

                            岩 国 地 域 労 働 組 合 総 連 合

  

岩国市長  井原勝介 殿

2月7日にヘリ配備されることが判明
 11月29日に年内配備の予定として要請があった、米海兵隊のCH53D強襲侵攻用大型ヘリの、岩国基地への配備が2月7日(木)に配備されることが明らかになった。これは岩国市などが配備受け入れの際、要請文書を提出していたことへの正式の文書回答を持参した防衛施設庁の宇佐田次長が岩国市などへ明らかにしたものです。
配備強行への緊急抗議集会
 岩国地域労連、安保廃棄・基地撤去実行委員会は緊急抗議集会を開きます。
○ 2月7日(木) 午後5時30分より
○ 今津川土手にて
大型ヘリ午後4時45分二機が飛来
 CH53D大型ヘリは予想時間より大幅に遅れて午後4時45分に飛来しました。
午後4時40分ごろ着陸寸前の大型ヘリ
着陸直後の大型ヘリ(朝日新聞より)

大型ヘリ配備がされた七日私は基地南門前側土手に午前十一時に行って監視体制に入りました。土手には県や市の担当者、島根ナンバーの航空マニアらしき人など十人あまりが陣取り、一方反対側の基地北今津川沿いにはテレビ局などマスコミ人に一般市民が混じって騒然とした状況の中、午後四時四十分ごろ南の空に二つのヘリコプターらしきものが姿を見せ、見る見るうちにはっきりと不気味な銀色の姿をあらわした。私は夢中でカメラのシャッターきりながら、テレビで見たことのある、アフガニスタンに乗り込んでいく空母上の大型ヘリ、陸上へ自動小銃を肩にかけ迷彩服に大きな荷物を担いだ海兵隊員の姿が頭をよぎった。監視体制に入っって約六時間、米軍岩国基地は頻繁に米軍、自衛隊の航空機が離発着や訓練を繰り返し行っていました。岩国基地に駐留している主力機FA18戦闘攻撃機が六機と二機それぞれ編隊を組んで、ものすごい爆音をとどろかせながら離陸、また一月に部隊交代で配備された新型のEA6プラウラー電子戦機が数回タッチアンドゴーを行っていました。自衛隊のEP3電子情報収集機がぐるぐるとタッチアンドゴーを繰り返し、自衛隊のMH53E掃海ヘリが上空で静止する訓練を繰り返すなど、ヘリ到着までの間に基地を見ていてあらためて米軍岩国基地が戦争を行うための拠点であることを改めて痛感させられました。(藤本博司)

現地での緊急抗議集会(2/7)

岩国基地東側で静止訓練を行うCH53Dへり