十一

 

 俺たちは元の世界に戻ると、水竜王と地竜王はさっさと元の器の人間の人格に戻して消えた。二人とも戦っている最中のことはしっかりと記憶にあるらしい。本人たち曰く、俺と同じように異界に精神を飛ばされていたらしい。
 一方、抜け殻のカイトの体は、元の世界戻るとすぐざま竜子の間に連れて行かれ、術を施されると、他の竜王と同様に壁に埋め込まれていった。
「さようなら……カイト……」
 俺はカイトが埋もれていくのを見守りながら呟いた。
 そして、竜子の間から出て行くと、外は日が差していた。入ったのは夜だったのに、もう既に朝を迎えていたのである。
「朝か…」
「一応無事任務終了?」
 と俺たちは一段楽していると、珠喬があっと何かを思い出した。
「お二人とも今日は出て行ってから何日後かご存知ですか???」
「ぅえ???3日ぐらいじゃないの???」
「3週間ですっっ」
 ちーん…っ
 珠喬の力いっぱいの言葉にしばし沈黙が走る。そして、しばらくして、ぎぎぎぎぎっと音を立てながら俺と北都はお互いの顔を見合って……
『ヤバイ〜〜〜〜〜〜〜〜!!仕事がぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!』
 と物凄い剣幕とダッシュでヴェリータース寺院を飛び出して、刑部省に戻っていったのであった。
 くぅぅぅ…っ。天竜王の頼まれごとを実行するとろくなことが無いぃぃぃぃぃ…っ!!

,

<完>

 

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