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「死ぬ時は、神が天へ導いてくれる」
子供の頃、枕元で聞いた話
その神の使いがあの世から迎えに来た
でも俺の前にいるのは、天使じゃない
不気味な笑みを浮かべた髑髏
手には大きな鎌
足元で刃が妖しい光を放っている
「俺を連れていくのか」
口から絞り出た言葉
目の前のこいつはなにも言わない
ただ変わらぬ笑みを浮かべているだけ
「なにがおかしい 俺は死ぬのか」
あの笑みに耐えるには、叫ぶしかなかった
体が痺れる 蠍の毒にでもやられたような
まだ笑っている
きしっ
音を立てて奴の手が動く
鎌が持ち上がっていく
ゆっくりと ゆっくりと
刃に映った俺の顔
恐怖におびえていた
頭上まで上がった鎌
それは三日月の光りにも似て
綺麗だ
無音の時間が流れる
“戻れ”
言葉が聞こえた途端
鎌が振り下ろされた
気がついたのは、病院のベッドの上
俺の顔を見て泣く親 友人
自分のせいで、バイクがレールに突っ込んで
生死を彷徨っていた
そしてあいつに会ったんだ
あいつは俺にこの世で“生きろ”と言ったんだ
新しく変わった『自分』の姿で生きろと
あいつは、今も誰かの運命を変えているのかもしれない… |