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壱 |
| 俺は親父の条件付きだけど刑部省の仕事に復帰することができた。 復帰した当初は刑部省職員が全員で出迎えて歓迎してくれたたが、それは本当に最初だけで歓迎されたあと普通の仕事をこなした。 途中で叉玖磨棟梁に北都と一緒に呼ばれ、棟梁室に行った時のことだった。もう少し東宮御所にいればと思ったのは…。 『失敗作ぅ?!』 棟梁室で俺と北都の声がハモった。 「そうだ。実は科学捜査班が実験にまた失敗してな。」 またですかい!! 随分と前にも失敗してなかったけ? 「その失敗のせいで失敗作がメインシステムに流れてしまって科学捜査班だけでは手に負えなくなってしまったんだ。」 「つまり、その失敗作の処分を俺たちにやれと言うわけですね?」 北都は嫌々そうに叉玖磨棟梁に尋ねた。 叉玖磨棟梁はただ黙ったまま頷いた。それを見た北都ははぁっと深い溜め息をついた。 「どうしていつもそういう面倒なことを俺たちに回してくるんですか〜。他にも朧とか使えば良いのに……」 「仕方がないだろう。これが私たちの仕事なんだから……」 北都の文句に叉玖磨棟梁は言葉を濁した。 「それに向こうからも応援が二人くることになっているから。」 「今回は白兎みたいのじゃないだろうね?」 俺は念を押すように叉玖磨棟梁に尋ねた。 「大丈夫だ。今回は科学捜査班の藤片棟梁も同伴するからな。」 同伴するからなって、それが余計不安なんだけど………。 「ところで今回の仕事の報酬は?」 「1000リクスだ。」 叉玖磨棟梁の言葉に俺たちは唖然となった。 報酬がかなり高い。その分危険が伴うというのが金額で物語っているな。 「今回はかなり高値だ。その分やり方の上限やら危険が多いことを十分承知しろよ。」 言われなくても分かっているよ。 「今回は刑部省のメインシステム室だからあんまり魔術とかで吹っ飛ばすなよ。」 『了解』 俺たちは返事をすると、踵を返して棟梁室を後にした。 「洸琉、今回はかなりやりづらいな。」 棟梁室を後にしてまもなく北都が溜め息混じりで俺に言った。 「そうだね。しかもメインシステム室だろ。もしメインシステムを壊したら、ここら一帯が麻痺して俺たちじゃ手に負えなくなるだろうよ。」 「その前にちゃっちゃと邪魔者はいなくなってもらわないとな。」 「そうだね。」 言葉を交わしながら俺たちはメインシステム室に向かったのだった。 |